2012年5月10日木曜日

3_105 海台 2:巨大火山

火山はマグマによってできます。マグマはマントルが「何らかの原因」によって溶けたものです。その原因はなにか、というのが今回のテーマです。大規模な火山になると、普通ではない原因も考えられます。その有力な説として、地球外に起因する可能性も考えられています。

 海台には大きなものがあり、中でもオントンジャワ海台は、最大級の大きさがあることを前回紹介ました。オントンジャワ海台も含めて、海台はどのような起源があるのでしょうか。
 海台は、いろいろな成因があるとされています。火山活動によってきた海山や海洋島が沈降してできたもの(サンゴ海海台やベロナ海台)、海流によって堆積物がたまったもの(ブレーク海台)、断層などの構造運動でできたもの(キャンベル海台)、大陸地殻が沈降したもの(後で紹介します)、大規模で火山活動できた火山などが挙げられています。海台とは、地形としての区分名にすぎず、多様な成因があることになります。つまり、海台ごとにその成因を解明してく必要があるわけです。
 オントンジャワ海台は、活動時期が白亜紀前期(約1億2千万年前)の玄武岩の火山からできていることがわかっています。オントンジャワ海台は、大きいので、そのような火山は、地球(現在でも地球史上)でも、最大といえる大きさがあります。
 そのような超弩級の火山活動が海底で起こったのならば、地球環境に大きな影響を与えた可能性があります。
 火山活動に伴われて大量の噴出されたであろう二酸化炭素は、海底の噴火であっても、すぐに大気に達します。大量の二酸化炭素が大気に加わることになります。加わった二酸化炭素の量に応じて、温室効果によって温暖化が起こったはずです。
 実は、オントンジャワ海台の火山活動と同じ時期に、海水中の酸素が欠乏する「海洋無酸素事変」が起こっています。その原因は、温暖化によって陸地にあった氷床がほとんど溶けて、冷たい海水が大量に深海底に流れこみ、海水の大循環を止めてしまったと考えられています。その結果、海水に酸素が供給されなくなったのではないかとされています。
 同じ時期に、海のブランクトンの仲間(放散虫という種類)で、約40%もの大絶滅がありました。その大絶滅は、海洋無酸素事変によるとされています。放散虫の大絶滅も、もとをたどっていけば、この火山活動が原因ではないかということです。
 火山活動を起こした原因として、2つの説が唱えられています。下部マントルからの熱いマントル上昇流がマントル上部で大規模に溶けたためという説と隕石の衝突によってマントルが溶融してできたという説があり、長年論争されてきました。隕石の衝突による絶滅は、白亜紀末の恐竜絶滅が有名です。似たような規模の隕石の衝突があれば、上で述べたような環境異変や大絶滅も起こりえます。
 問題は、火山の原因が、隕石(地球外説)か、熱いマントル上昇流(地球内説)かということになります。オントンジャワ海台の物理探査や海底掘削などによる調査が進んできて、実体が少しずつわかってきました。そして、今年になって日本人研究者によって、決定的な証拠が出され、起源について決着を見ました。その詳細は次回としましょう。

・全原発停止・
原子力であろうがなかろうが、
電気にその由来の色はありません。
しかし、使う心にはその色を気にしてしまいます。
5月5日、北海道の泊原発が定期点検で停止しました。
これで日本では稼働中の原発はなくなりました。
だからといって、安心できるはわけではありません。
放射性物質はそこにまだ存在するのです。
そして動かすべきだと、必要だ考える人もいます。
放射性物質や放射線は無色無臭で、
その存在を感じる感覚器官は人間にはありません。
体が感じころには、死の恐怖が訪れるのです。
安全や安心は、他人や国から一方的に与えられるものではなく、
いつの時代であっても努力して手に入れるものなのでしょう。
手に入れる努力、守る努力をしなければと思います。
でも、なにをどうすべきか、悩みます。

・遅めの春・
長かったゴールデンウィークも終わりました。
天候の不順も少しずつおさまり、
北海道にも心地より春が訪れるようになります。
今年の桜は、少し遅目でしたが、
遅れた春を急ぐように足早に咲いては散っていきます。
今週でわが町の桜のピークも終わりそうです。
そして、すぐに初夏を迎えるようになります。
北海道の一番いい季節です。