2010年7月22日木曜日

1_91 不思議な砂:IRD 2

 陸上で砂を見ていると、あるのが当たり前で不思議でも何でもありません。ところが、砂のないはずのところにあれば、それは、不思議な砂となります。深海には、一般的には砂はたまりません。ところが、深海の堆積物のコアから薄いですが、砂の層が見つかりました。その砂とは、どんな砂だったのでしょうか。


 海洋底の掘削のDSDPからIPODにかけては、多くの研究者が注目していました。私も、昔の海洋地殻(オフィオライトと呼ばれています)の研究をしていたので、それらの報告書にマメに目を通していた時期がありました。海洋底の基盤にある岩石に注目していたのですが、初期のころはなかなか玄武岩層まで達しませんでした。ところが、海洋底の堆積岩は、あちこちで採取されてきました。
 北大西洋の海底堆積物のコアを観察していたドイツの海洋地質学ハインリッヒ(Hartmut Heinrich)は、そのコアの中に、岩片が多数入っている砂の層を発見しました。岩片は、海洋底を構成している火山岩や堆積岩のものではなく、大陸を構成しているような石英や長石などでした。そのサイズは、180μmから3mmほどの範囲でした。
 3mmもの大きさになると海流で運ばれてくることありません。ですから、何か特別な作用があったはずです。
 実は、深海で砂の層が見つかることがあります。それは、海流ではなく、混濁流というものによって運ばれてきたものです。このような深海に運ばれた砂を、深海砂(deep-sea sand)と呼び、堆積物をタービダイト(turbidite)と呼んでいます。
 大陸斜面で地震や海底地すべりで発生した重力による物質の流れは、時に深海まで届くことがあります。混濁流によってたまった地層をダービダイトと呼んでいます。タービダイトは、砂から泥まで物質で地層を形成します。タービダイトの砂の由来は、河川から海にまで運ばれたものが、再度、混濁流によって深海へと運ばれたものです。その砂は河口や海岸よくみる砂で、円磨され、淘汰のよい砂となります。
 ところがハインリッヒのみつけた砂は、タービダイトの砂ではなく、円磨されておらず、角ばっていました。なおかつ、砂の層は、いくつかのコアで見つかました。これはその砂の層が、広く北大西洋に広がっていることになります。その砂の層は、北緯50度あたりで、なんと3000kmにわたって見つかっています。タービダイトでは、こんな大きな規模にはなりえません。
 そのほかにも、その層の上下には有孔虫がたくさんみつかるのですが、砂の層では、有孔虫の化石が異常に少なくなっていました。
 海洋底の地層のコアとは、一種のタイムレコーダです。深海は、堆積物があまりたまらない穏やかな、変化の少ないところです。深海底では、非常にゆっくりとしか堆積しません。深海の堆積物は、長い時間をかけて薄い地層が積み重なっていきます。そのようなタイムレコーダとして、海洋底の各地からコアとしてあるわけです。
 この深海堆積物に、広域的に特徴的な砂があるということは、北大西洋全域におよぶような、なんらかの事件があったことを意味しています。このような砂の層を、ハインリッヒは、コアの中から6つ見つけています。それを1988年に、報告しました。その6度におよぶ事件とは、いったどのようなものだったのでしょうか。
 その事件の詳細は、次回としましょう。

・水泳大会・
いよいよ夏休みです。
私の滞在している町では、
夏休みの初日に、小学校の水泳大会が行われました。
役場の横にあるプールで、行われていたので
執務室にも、その歓声が響いてきました。
昼食後少し見学したのですが、
人数は少ないですが、盛り上がっていました。
梅雨明けの真夏の青空のもとでの大会で
水の中が気持ちよさそうでした。

・帰省・
7月23日締め切りの論文で
私はたばたしていました。
ほぼ完成したので、なんとか間に合いそうです。
今回は、なかなかてこずりました。
これが終われば、少し、息抜きをしたいと思っています。
暑いので、あまり外に出る気にならないのですが、
北海道に一時帰宅するつもりです。
家族サービスで旅行をする予定です
北海道も一番暑い時期ですから
涼しければいいのですが。