2010年5月20日木曜日

2_85 獣脚類が祖先:恐竜から鳥へ4

 現在の説では、獣脚類が鳥類の祖先だとされています。また、始祖鳥も鳥類と同じ祖先ですが、現在の鳥類は栄えてきますが、始祖鳥は絶滅したと考えられています。まあ、これも現状での説ですが。

 そもそも恐竜が鳥類の祖先であるという説は、今まで述べてきた化石になりやすい骨格だけでなく、珍しいですが羽毛の化石がみつかったことだけが証拠ではありません。恐竜の卵化石を詳しく観察して、鳥類の卵と同じように、多層微細構造をもつことがわかりました。2005年にマジュンガトルスという恐竜の脊椎骨の化石の研究から、鳥類のような気嚢をもっていたということが言われています。前にも紹介しましたが、いくつかの根拠から、恐竜にも恒温性があったこともいわれています。このような根拠から、今では研究者も、恐竜は鳥類の祖先であると信じています。
 どのような恐竜が、鳥類の祖先なのかについては、いくつかの説があります。
 三畳紀(2億5100~1億9960年前)ころの樹上性の小型の四足歩行をした原始的な主竜類(祖竜とも呼ばれる)を祖先とする説、古生代末から中生代前期の二足歩行をした地上性の槽歯類を祖先とする説、もっと後の二足歩行をする獣脚類という恐竜類を祖先とする説などがありました。
 その後、鳥類の特徴をもった恐竜の化石や原始的な鳥類の化石などが、発見されてきたことも紹介しましたが、それによって前回紹介した槽歯類を祖先とするダイノバード説は否定されました。また、アメリカの古生物学者のオストロムは、1973年、恐竜の獣脚類にも鎖骨があることを見つけ、獣脚類から鳥類が進化したという説を復活させ、現在ではこの説が定着しつつあります。
 恐竜は、大きく鳥盤目と竜盤目の2つの系統に分かれ、竜盤目のうちの竜脚類と獣脚類に別れ、いくつかの枝分かれをしながら、最終的にジュラ紀後期に鳥類の直系の祖先がでてきます。鳥類の祖先は少なくとも2系統あり、ひとつは現在の鳥類へ、もうひとつは始祖鳥になりました。始祖鳥の系統は、残念ながら子孫の化石が見つからないことから、絶滅してしまったと考えられています。
 以上の話は、あくまでも現状ではという但し書きがつきます。学説は、研究者がその時点まで手にした証拠によって考えた最良のものです。しかし、それは、あくまでもその時点での証拠に基づいたものです。新しい化石が発見されたら、状況は変わることは大いにあります。たった一つの化石の発見が、それまでの説に大きな変更を迫ることもあります。
 これからの大発見に、期待したいものです。これこそ科学の醍醐味でもあるのですから。

・科学の進歩・
恐竜から鳥のシリーズはとりあえず
今回で、いったん終了とします。
恐竜の発掘は、現在も世界各地で続けられています。
特に中国やモンゴルでは、新しい発見が続いています。
そんな発見の中で、今までの学説を覆すものも
出てくるかもしれません。
そんな発見は、現在の説を唱えいている人には
心穏やかではないかもしれませんが、
それも、学問の進歩の一形態ですから歓迎すべきでしょう。

・足摺行・
先日、愛媛から半時計周りに
足摺岬を一周し、四万十川を経由してもどってきました。
4日間をかけて巡りました。
ただ走るだけなら、2日ほどで
走破できる距離かもしれません。
でも、ここぞともうところを
じっくり見ることが私の目的です。
地層をみて、いろいろ思うところがありました。
まあ、それは別の機会にしましょう。

・山派・
ところで、山派と海派に分けるとすると
私は、山派です。
海沿いの景色は、私にはまぶしすぎます。
それに比べて川沿いは川面を渡る風は涼しく、
暑くとも木陰が涼をもたらしてくれます。
四万十川沿いを走って非常に心地よい思いをしました。
自宅から1時間足らずでそんな環境があります。
これから、時々出かけましょう。