2009年11月5日木曜日

1_83 困難を克服して:最古の岩石2

 地球最古の岩石の発見を紹介しているのですが、今回は、測定に必要な条件について見ていきます。その条件をクリアしたものだけが、年代測定できるわけです。でも、その条件をクリアするのが、実はなかなか大変なのですが。

 岩石の年代は、昔と比べると、技術も道具も進歩してきたので、さまざまな岩石や鉱物で、微量の含有量や微小な部分でも測定できるようになってきました。でも、いまだにどんな岩石でも年代測定ができるわけではありませんし、年代測定には手間がかかります。理想としては、マグマからできた火成岩ならどんな岩質のものでも、簡単にできる年代測定の方法があればいいのですが、なかなかそうはうまくいきません。
 年代測定によく使われる放射性核種(元素といういいかたが馴染みあるのですが、核種の方が適切なのでここでは核種を使います)には、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)やサマリウム(Sm)、ウラン(U)など、いろいろなものがあります。それらの放射性核種は、条件によって、年代測定に使える場合と使えない場合があります。
 その条件とは、放射性核種の含有量、崩壊定数、形成後の移動などが重要となります。
 放射性核種の含有量とは、測りたい岩石に放射性核種が充分含まれていなければ、測定できないということです。もともとあった放射性核種(親核種といいます)だけでなく、壊変でできた核種(娘核種と呼びます)も測らなければなりません。親核種の含有量が少なければ少ないほど、測定は困難になっていきます。どんなに技術が進んでも、検出限界を超える微小な部分や微量のものは測定できません。
 また、放射性核種の崩壊定数とは、放射性元素ごとに決まっている壊変のスピードが、目的の岩石の年代に対して適切かどうかです。崩壊定数は、半減期とも呼ばれるものです。最近できたものには、早く崩壊する放射性核種、古いものならゆっくりとした崩壊をする核種を利用しなければなりません。
 さらに、放射性核種の形成後の移動とは、測りたい岩石から放射性核種が移動しては、得られた年代はウソのものになります。目的の岩石が、どこかの時代に変成作用や変質作用などを受け、その時親の放射性核種や娘の核種が岩石から移動していると、年代は正確に記録していないことになります。変成や変質作用を受けていない岩石、あるいは動きにくい核種でなければなりません。
 このような条件を満たす放射性核種はそうそうないのですが、ウラン(U)という放射性核種を含むジルコンという丈夫な結晶で、古い時代の岩石の年代測定するのは理にかなっています。
 しかし、前回も紹介しましたが、珪酸の少ない苦鉄質(mafic)マグマからできた岩石では、ジルコンはほどんど含まれていませんので、ジルコンを用いた年代測定は有効ではありません。ジルコンの代わりに、ウランを含み、なおかつ丈夫な結晶構造をもつ鉱物(モナズ石など)を用いて、苦鉄質から超苦鉄質岩石で年代測定されたことがあります。しかし、大量の岩石を処理して、その中から目的の結晶をみつけるという作業がなされたものです。非常の困難な方法で、だれにでもできる手法ではありません。その証拠に、似たような研究はなかなかでてきません。
 そこで注目されるのがサマリウム(Sm)という放射性核種を用いた年代測定です。サマリウムが崩壊してネオディミウム(Nd)になります。Sm-Nd年代測定と呼ばれています。サマリウムの半減期はウランのものと似ています。ですから古い岩石に利用できます。サマリウムは、苦鉄質岩にも利用でき、変成や変質作用にも強い年代測定です。
 Sm-Nd年代測定は、いいこと尽くめかのように見えますが、そうでもないのです。サマリウムは、珪長質岩や中性岩では、それなりの濃度があるのですが、苦鉄質岩や超苦鉄質岩では、濃度が小さくなります。ですからなかなか難しい場合があります。また、最古の岩石は、変成作用を強く受けているものも含まれていました。そのような岩石の年代は、なかなか正確には決まりません。そのような困難さを克服しての年代測定ができたというのが、今回の論文の意義でした。

・初雪・
いよいよ11月です。
わが町では、初雪が降りました。
例年と比べて3日ほど早い初雪だそうですが
寒波のために、寒さの方がつらいです。
我が家では、先週末に車のタイヤを冬タイヤにしました。
タイヤを交換しておけば、心配することはありません。
間に合ってほっとしました。
実は、冬タイヤでなくても大丈夫なほど
ささやかな初雪だったのですが、
次男は、今シーズン初めての雪かきだといって
喜んで雪の中に出て行きました。
私は、道具だけだして雪かきは、次男に任せました。

・母の滞在・
母が、昨日まで滞在していました。
ちょうと初雪だったのですが、
真冬の寒さは何度も経験しています。
ですから、それほど驚くこともなかったようです。
孫の学芸会を見せるつもりで呼んだのですが、
新型インフルエンザの延期になったので、
せっかく来たのに、お楽しみがないので、
温泉につれてきました。
近所の温泉2箇所と、遠くの温泉1箇所でした。
ころんで痛めた右足が少しでもよくなればと思いましたが、
なかなかすぐにはよくならないようです。