2009年5月21日木曜日

2_76 酸素の利用:酸素の物語2

2_76 酸素の利用:酸素の物語2
(2009.05.21)
 酸素は、植物が生産しています。酸素は、生物にとって有害でもありますが、うまく利用すると、エネルギーを生み出すこともできます。酸素を利用するために、非常に複雑な仕組みを持たなければなりませんでした。しかし、酸素を用いたエネルギーは、非常に効率のいいもので、複雑な仕組みを整える価値がありました。

 地球上で酸素は、いくら使ってもなくなりません。ですから、どこかで、酸素が、常につくられているはずです。酸素は、どのようにして合成されているのでしょうか。
 酸素の合成というと、多くの人が、学校ので習った光合成を思い出したはずです。光合成とは、植物が葉緑体で太陽の光をエネルギー源として、水と二酸化炭素を使って、糖類(炭水化物)を合成する作用です化学反応式は、
6CO2+12H2O→C6H12O6+6H2O+6O2
となります。そのときに、副産物として酸素がでてきます。
 光合成をおこなうのは、植物の葉緑体です。葉緑体こそが、酸素を生みだすみなもとです。酸素のほとんどは、植物が光合成によって供給しています。植物は、陸上だけでなく、海にも植物性プランクトンとしてたくさん生息しています。そのような生物たちが日々酸素を生産しているために、酸素が尽きることがないのです。
 酸素は、植物でも動物でも、呼吸をする生物にとって、不可欠なものです。呼吸とは、酸素を取り込み、二酸化炭素を放出することをいいます。その仕組みは、複雑なものですが、解明されています。
 細胞内のミトコンドリアという器官で、食料として取り入れた、あるいは光合成で得た糖類を、分解して、アデノシン三リン酸(ATP)というエネルギー物質が合成されます。そのときに、酸素が用いられます。すべての真核生物において、ATPが、生きていくためのエネルギーとなっています。ATP合成のために酸素は不可欠です。それを呼吸として、外から取り入れているのです。
 酸素は、細胞内では、活性酸素(フリーラジカル)と呼ばれる、非常に不安定な状態になります。活性酸素の強い酸化力を利用して、ATPがつくられます。しかし、このような強力な活性酸素は、諸刃の刃で、生物にとって有害でもあります。細胞をつくっている組織やDNAなども酸化させてしまいます。ですから、各組織は、抗酸化酵素と呼ばれるものを用いて、活性酸素による酸化を防いでいます。
 多数の化学反応や複雑なプロセスは、酸素とATPを使うための代償ともいえます。なぜ、このような複雑な仕組みを持つに至ったのでしょうか。そこが進化の不思議なところなのですが、酸素とATPを用いるのが、非常に効率よくエネルギーを得られるためという結果論的な自然選択が、おこなわれたのではないでしょうか。
 数値で比べると、単位ブドウ糖(1モル)あたり、以前の酸素を用いない生物(嫌気性生物)のエネルギー効率(約150kJ)に比べて、酸素を用いる生物(好気性生物)では、20倍(約2,880kJ)近く効率がいいのです。これだけの効率のいいエネルギー源なら、少々複雑な仕組みでも、利用できれば、他の生物を圧倒できます。それが、真核生物が、大発展をしてきた理由かもしれません。
 酸素を生み出す生物、そして酸素を利用する生物が、現在の地球上では多数派となっています。酸素を嫌う、嫌気性細菌や古細菌などもいます。彼らは、昔の地球では主役だったのですが、今では日陰者となっています。それは、別の機会としましょう。

・教育実習・
4年生たちの教育実習が始まっています。
第一期生たちが、緊張しながら実習校へと出ています。
教員は、小学校への挨拶と研究授業に参加するために、
北海道各地を巡ることになります。
近くの学校ならば掛け持ちで回りことになります。
私は、今のところ4校にいく予定です。
ただし遠いところは、
泊まりで出かけることになります。
授業を休講にしていくため、
曜日が重ならないようにすることも
配慮しながら日程が組まれていきます。
学生だけでなく、教員もなかなか大変です。

・春から夏へ・
北海道も、快晴の日には、
暑いくらいの気温にまで上がるようになりました。
春から夏の兆しがみえます。
学生やうちの子供たちも、
半袖になって外を遊びまわっています。
先日までストーブを炊いていたことがあるのを思うと、
例年より、寒暖の変化が激しいようです。