2008年10月16日木曜日

4_83 九頭竜川:能登と飛騨の旅5

 九つの頭を持つ竜と書く九頭竜川という名前は、竜のおどろおどろしさ髣髴とさせる名称です。九頭竜川、じつは竜と関連があります。能登と飛騨の旅の最後に、竜の里の話をしましょう。

 私は、富山県から岐阜県にはいり、長良川源流を下り、上流の途中から西に向かい、油坂峠を登りました。その峠は今では、自動車専用道路ができていて、すぐに越えられる峠になっているのですが、私は、旧道を車で登りました。くねくねした道を登り、短いトンネルといくつか通り、やや長めのトンネルを抜けると下りになりました。そのトンネルが、九頭竜川の源流でした。
 九頭竜川と書いて「くずりゅうがわ」と読みます。福井県を代表する一級河川です。九頭竜という名称には、いくつかの由来あるようです。「大乗院寺社雑事記」では洪水の度に川岸を崩しながら激しく流れ下ることから「崩川」と呼ばれ後に九頭竜川と呼ぶようになったという説、「越前名蹟考」では白山権現の像を川に浮かばせたら頭が九つ分かれた竜が現れたという説、などなど。私は、九頭の竜の説が気に入っています。
 この九頭竜川は、地質学者の間では有名です。それは、九頭竜川周辺では、竜の化石が見つかるからです。名前の由来の竜伝説とは関係がないのですが、竜、つまり恐竜の化石が見つかるのです。恐竜の化石は、古くから竜骨と呼ばれ、漢方薬として使われています。竜骨は、実は大部分が大型哺乳類の化石で、一部に恐竜の化石が含まれていたようです。恐竜は中生代に繁栄し、哺乳類は新生代に繁栄したものです。一般に古い化石より新しい化石がより多く見つかるため、恐竜の化石は少ないのです。福井県は、日本でも有数の竜骨、恐竜の化石の産地として知られているのです。
 九頭竜川は、南の三国ヶ岳から流れてくる大きな支流の日野川と、南東の両白山地の油坂峠(標高717m)に源を発する本流があります。本流上流の南部には二畳紀から石炭紀に堆積した古生層(丹波層群と呼ばれています)があり、北部には飛騨変麻岩とその上を覆うジュラ紀から白亜紀に堆積した手取(てとり)層群や足羽層群があります。
 この手取層群から恐竜の化石が見つかっています。手取層群は福井県だけでなく、石川県、岐阜県、富山県にも分布していて、各地から化石が見つかっています。しかし、中でも福井県の九頭竜川流域が恐竜の化石の産地としては有名です。
 地層ができたところは、内湾の浅瀬と川や湖が交わる、海水と淡水が交わる(汽水といいます)ような湿地帯でした。そこには、多数の恐竜だけでなく、カメやワニ、鳥類など各種の生き物いたことが、足跡(足跡も化石の一種とされています)や化石からわかっています。
 今年の春に福井県立恐竜博物館にいって(4-77 恐竜博物館:若狭の旅2で紹介)、恐竜の化石を見たのですが、産地を見ることできませんでした。今回は、化石の産地を見たいと思っていました。どのような地域から化石が見つかったのが、直接でなくてもいいから感じることできればいいと思いました。化石がたくさん見つかっている勝山へはいけませんでしたが、大野市伊月や後野は九頭竜川本流からも近いので見ることができました。これらの地域は、残暑の快晴の九頭竜川は、緑が深く恐竜の棲んでいた環境とはまったく違う山地ですが、竜骨が潜むにふさわしい場所に思えました。

・お詫び・
このメールマガジンは毎週木曜日の発行していたのですが、
風邪でダウンして遅れました。
申し訳ありませんでした。
1日遅れでの発行となりました。
月曜日から体調は変だったのですが、
火曜日には激しい咳が出始め、
医者に言って薬をもらってのですが、
手遅れだったらしく、その夜にダウンしました。
木曜日まで寝込んでいました。
だいぶましになりましたが、
今朝も寝汗をいっぱいかきました。
これ以上休めないので、
今回は早く直ることを願っています。

・風邪・
大学は大きな組織として運営されています。
ところが、教員が行うここの授業は
その人しかできないものになっています。
授業は、教員個人に依存しているものです。
教員が突然の体調不良になれば、代替が利きません。
それは、学生に迷惑をかけることになります。
補講として補いをすればいいのですが、
数字の上ではあわせることができますが、
どうしても補いきれないものもあります。
学生の都合や他の補講との調整がきかないときもあります。
私自身は、体調には気を配っているつもりなのですが、
今年は、なぜか冬になる前に、2度も風邪にたたれました。
前期もそれで休講をしました。
今年は、どうも風邪にたたられているようです。
前回の夏風邪が長引いたのですが、
今回は、涼しくなってすぐの風邪です。
我が家では、家内がまずかかり、
長男がかかり、そして私でした。
症状が長男に似ているので、
小学校ではやっている風邪のようです。
でも、同じ小学校の次男は
薄着で風邪も引かずに走り回っています。
体力の違いでしょうかね。