2008年7月3日木曜日

6_71 地質百選

 地質の名所を案内した「地質百選」というものを紹介します。その目的と意義を紹介します。

 「地質百選」というものを御存知でしょうか。これは、日本の地質に関係する典型的な場所を100箇所選んだものです。
 地質百選は、2005年にNPO法人地質情報整備・活用機構(GUPI)と社団法人全国地質調査業協会連合会が、「日本の地質事象百選」というプロジェクトを提案して、全国から募集をしてきもたのが発端になっています。2006年には、広くメンバーを拡充して、「日本の地質百選選定委員会」を結成しました。「日本の地質百選選定委員会」には多くの関連機関、学協会、行政機関が参加して、非常に大きなプロジェクトとなりました。
 日本列島は、世界的に見ても、「島弧」とよばれる特徴のある地質環境です。そこに島弧を代表する地質がみられる地点を選んでおけば、国際的にもアピールできるし、日本の国民への啓蒙や、地域住民も身近な大地の重要性を理解することにつながります。地質百選の選定事業や選定を行うことで、そのような意識を持ってもらうことが重要な目的でした。地方公共団体や市民からの意見も参考にしました。最終的に全国から400箇所近くの候補が推薦されてきました。
 2007年5月10日に第一次選定として、83箇所が公表されました。この日は、第1回「地質の日」にあたります。また、2007年10月には「日本列島ジオサイト地質百選」が出版されました。選定から公表の時期は、2008年が国際惑星地球年で、2007年から2009年の3年間、国際的な取り組みがなされ、その一環の活動とも位置づけられています。
 本の中で、私のホームページアドレスも紹介されています。友人が北海道の地質百選の一つである神居古潭で、私が書いたエッセイを引用してくれたためでした。
 地質百選は、今後、研究教育だけでなく、観光資源や地質情報資源として整備、保全への取り組み、地域の振興、関連する博物館などの施設の充実、連携に向けて、重要なステップとなることが目指されています。
 ところで、地質百選なのに、83箇所しか選ばれていないのは、少々不思議な気がしませんか。それには、理由があります。「日本の地質百選選定委員会」では、第2期選定を用意していて、あと17箇所を追加する余地を残しています。今回の候補地以外にも、見落とされている地域もあるかもしれません。そのような地域も取り込めるように配慮されているそうです。まだ、次期のスケジュールは公表されていませんが、より多くの候補地が挙がることによって、市民の地域地質への関心が高まるのではないかと期待されています。

・地質見学・
地質百選に関する情報は、NPO法人地質情報整備・活用機構のホームページの
http://www.gupi.jp/geo100/
に詳しく紹介されています。
また、出版物の「日本列島ジオサイト地質百選」は
(ISBN: 978-4-274-20460-9)
オーム社から発行されています。
私も地質案内をホームページとメールマガジンを発行しています。
http://terra.sgu.ac.jp/geo_essay/index.html
興味があれば見てください。
また、旅行などででかけて、近くに地質百選がある際には、
ぜひ足をのばして、見学されてみてはどうでしょうか。

・研究授業・
ゼミの学生が、次々と教育実習をしています。
そして担任は研究授業に立ち会う機会が増えます。
研究授業とは、教育実習生が実習の成果を
指導教諭、他の先生、大学の指導教員などにみせる
実習の総括のようなもので、
実習期間の終わり近くに行われます。
そのため、実習生は緊張をしられるでしょうが、
今までの実習で学んだことを活かして
自分なりの授業をすることになります。
その成果を送り出した大学の教員が見ることになります。
学生の成長のほどを、見学させていただくことになるのですが、
もしミスをしたらとか、生徒たちが騒いだらとか、
まるで親のような心配が湧いてきます。