2008年7月17日木曜日

5_69 化合物:炭素1

 炭素は、非常に身近な元素です。地球の表層においても、物質循環において重要な役割を果たしています。シリーズで炭素や炭素の化合物も挙動を探っていきましょう。

 炭素は、二酸化炭素の主成分です。炭素を燃やすと、炭素が空気中の酸素と結合して、二酸化炭素になります。その時にエネルギー(熱エネルギー)を出します。それを私たちは利用しています。燃焼によって出てきた二酸化炭素は、地球温暖化問題の主原因として、悪者扱いされています。しかし、二酸化炭素は悪者ではなく、二酸化炭素を必要以上に排出していることが問題なのです。炭素はただ自然に摂理に従って二酸化酸素という化合物を作っているに過ぎないのです。
 では、私たちは、炭素や二酸化炭素の振る舞い(挙動)や、地球の歴史の中で果たしている役割を、どれほど知っているのでしょうか。このシリーズでは、炭素やその化合物が、地球で果たしている役割を見てきます。
 炭素は、元素記号C、原子番号6の原子で、軽い方にホウ素(B、原子番号5)、重い方にに窒素(N、原子番号7)があります。炭素原子の最外殻には、4つの電子があるため、4価または2価のプラスイオンになりやすい性質をもちます。同じような性質を持つ元素として、原子番号14の珪素(Si)があります。珪素は、マントルや地殻の岩石の中では主役(主成分)になっていますが、地球表層では炭素の方が主役を演じます。
 物質には、液体、固体、そして気体として変化します。炭素自体も3つの状態(三態)がありますが、地球表層では三態すべてが生じるわけではありません。地球の表層では、通常炭素は固体です。しかし、炭素はさまざまな化合物をつくります。それらさまざまな化合物が、地球では重要な役割を果たしています。その概要を見ていきましょう。
 炭素の単体は固体で、石墨(グラファイト)という鉱物になります。炭素が高温高圧状態になるとタイヤモンドになります。ダイヤモンドも炭素の単体です。
 炭素の気体の化合物としては、二酸化炭素が重要です。別の回で詳しく説明しますが、二酸化炭素は、昔の地球や惑星の大気として主成分となっています。ですから惑星の表層環境を考えるとき、二酸化炭素は重要な役割を果たします。
 炭素は、通常の状態では液体にはなりません。しかし、炭素が酸化されて二酸化炭素になると、その一部は炭酸(CO3)という2価の陰イオンとなり、水に溶けこみます。溶ける量は、溶解度によって表されますが、温度が低いほどたくさん溶けこみます。
 溶けた炭酸は、地球表面に多く、水に溶けやすいカルシウム(Ca)の2価の陽イオンと結びついて、炭酸カルシウム(CaCO3)という化合物をつくります。炭酸カルシウムは、ある程度水に溶けますが、一定量以上になると、固体として沈殿していきます。二酸化炭素やカルシウムの供給が続くと、沈殿も続きます。地球規模で見ると、海底下の沈殿物では下の方が固まり、方解石という鉱物になります。方解石は石灰岩という石になります。
 炭素の化合物には、固体でもなく、液体、気体でもない不思議な物質があります。それは、分散系と呼ばれるものです。分散系とは、小さな粒子が、液体、気体、あるいは固体の中に溶けることなく均質に混じっている状態です。私たちの体をつくっているものは、有機物がその主成分ですが、その存在形態が分散系になっています。分散系は複雑な振る舞いをするものもあります。最近では、そのような特性を活かして、いろいろなものに応用されててきます。スライム、ゲル、ジェルなどとして商品化が行われています。
 シリーズでは、地球の表層で重要な役割を果たしている化合物をいくつか取り上げていきます。上で、炭素の単体は固体で石墨という鉱物になっているといいましたが、実はカーボンナノチューブという不思議が固体もあります。次回は、シリーズの本題からは少し外れますが、カーボンナノチューブを見ていきます。

・炭素シリーズ・
今回から数回に分けて、
炭素とその化合物に関するエッセイをシリーズとして
続けていこうと考えています。
炭素は実は、地球にとっては
重要な役割を果たしています。
しかし、その実態は必ずしも
よくわかっているわけではありません。
どこまでわかっているかを、
このシリーズで示せればと考えています。

・腰痛・
先週末から、腰の筋肉痛で動けなくなっています。
風邪でひどい咳をしばらくしていたら、
もともと弱かった腰に負担がかかり、
腰痛になってしまいました。
風邪で内科にまだかかっているのですが、
同時にマッサージで腰痛のほうも治療をしています。
明日は、出張が入っているので、
痛み止めをもらって、出かけようかと考えています。