2008年3月20日木曜日

3_68 沈み込みが原因:日本列島の石3

 日本列島は多様な岩石があります。その多様性が、実は、単純なメカニズムに起因しています。


 日本列島には、他の地域と比べて、多様な岩石があることを見てきしました。この特徴は、日本列島にだけ見られるものではなく、海溝をもつ列島全般に見られるものであることがわかってきました。
 では、次のステップとして、なぜ、列島には多様な岩石があるかということです。その原因を探ります。日本列島を例にしていくとわかりやすので、日本列島で考えていきましょう。
 日本列島には、火山があります。火山は、列島の延びている方に並んでいます。堆積岩は、大陸棚にたまったものや海底にたまったものなどがあります。地層の伸びる方向も、列島に平行しています。深成岩があり、それと並行するように変成岩があります。両岩石の並びも列島に平行です。海に近いものは新しい時代にできたもの、離れているものは古い時代にできたものという一般的な規則性があります。大雑把にみるとこのような傾向が見られます。大雑把な傾向ですから、もちろん例外もありますが、日本列島だけでなく、多くの列島にも同じような傾向があります。
 これらは、すべて重要な特徴ですが、並びに重要な意味があります。並びが伸びている方向は、列島の伸びる方向でもあり、海溝の伸びる方向でもあります。実は、列島のすべての特徴は、この海溝に由来していることがわかっています。
 海溝は、海洋プレートが沈み込んでいるところです。この海溝での沈み込みが、多様性形成のはじまりです。
 考えると不思議な現象ばかりです。海溝では、冷たい海洋プレートが下に向かって沈み込みます。なのに列島では、上に向かって、作用が起こります。海でたまった岩石が陸に上がり、地球深部でできた変成岩や深成岩が地表で見られます。また冷たいものが沈み込むのに、熱いマグマが形成され、深成岩や火山ができます。さまざまな現象が起こります。これらの現象が、海洋プレートの沈み込みで、本当にすべて説明できるのでしょうか。
 列島が高まる理由は、海洋プレートが沈み込む時に、陸側のプレートを押しているためです。陸側のプレートは圧縮されていきます。大地が圧縮されると、場所によってはくぼむところがありますが、全体としては盛り上がります。なぜなら、陸地をつくっている岩石は、地下深部のマントルを作っているものより軽いからです。下にくぼみたくてもいけません。いけるのは上だけです。だから、押されている列島には高まる力が働きます。
 海溝では、陸側の岩石は、沈み込むプレートともに引きずられてもぐりこもうとしますが、軽いのでもぐりこめません。そのため岩石には強い力がかかり、歪として蓄えられます。しかし、沈み込みが起こっている限り、継続的にこの力は加わりますから、やがて岩石が歪を吸収しきれなくなったとき、一気に上に跳ね返ります。このとき岩石は破壊されならが歪が解消されていきます。これが沈み込み地帯にそって起こる地震となります。このような海洋プレートの沈み込みに伴う現象で、陸側の岩石の陸化が起こっています。
 これらの作用の繰り返しで、堆積物が陸に付け加わります。陸側の大陸斜面の下部にできる堆積物を、付加体と呼んでいます。
 列島側の陸に高まりができると、侵食にさらされていきます。侵食を受けた岩石は、砕かれ、海に向かって堆積物として流れ込みます。一部は海溝まで達することもあります。海溝では、常に沈み込みによって堆積物が陸側に付加する作用が働いています。だから、海溝は沈み込みが起こっている限り、深い場所となります。
 まだまだ沈み込みによって岩石に多様性が生まれるメカニズムが働いています。それは、地下深部の出来事ですが、次回としましょう。

・論理学・
今論理学の入門書をいくつか読んでいます。
論理学自体は、まささに論理的で理詰めですべて話が進んでいきます。
数学以上に簡潔に証明がなされていきます。
できればそれも学びたいのですが、
まず、論理の基礎的な概念をつかむために、
いくつかの入門書を読んでいます。
大いに学ぶとこと大です。
そして、応用できるところ大です。
ただ、私が目指している方向性とは、少々違う気がします。
しかし、基礎的な教養、道具としては必要なので、
もう少し、深く学んでいくつもりです。

・卒業式・
先日大学の卒業式に参列してきました。
学長の送辞として、何人かの学生の大学生活が紹介されていました。
もちろん彼らは大学でがんばって、それなりの成果を挙げた学生です。
このような話を聞くと、教員をやっていてよかった思える瞬間です。
しかし、学生はどう思うでしょうか。
がんばったと思っている学生はどれほどいるでしょうか。
夢を見つけ、そしてその夢に向かって
新たなステップを大学という場で踏めたのでしょうか。
そうであればすばらしいことです。
もし、大学生活に不満や思い残すことがあった学生いたとしたら、
彼らは成功した学生の話をどう聞いていたでしょう。
かろうじて卒業した学生、
就職が決まっていない学生、
何をしたいかまだ決められない学生、
彼らにとって、卒業は喜ぶべきことなのでしょうか。
式の最中に不謹慎にもそんなことを考えてしまいました。