2006年3月23日木曜日

2_43 生物の分類2:5から3へ

 前回は、生物の分類の歴史を見てきました。今回は、現在主に使われている分類と、最新の分類に対する考えを紹介します。

 生物の分類で、動物と植物の2界の分類から、モネラ界と原生生物界が新たに加わったところまで紹介しました。しかし、研究が進むにつれて、植物の中に性質の違ったものが見つかってきました。
 かつて、植物に区分されていたものの中に、菌類がありました。それは、菌類が、運動しないこと、細胞壁を持つことがその理由でした。ですから、この単純な構造は、葉緑体を失い退化してしまった植物だと考えられていたのです。しかし、菌類を詳細に調べていくと、体の外にある有機物を利用する(従属栄養)動物ような生き方をしていました。ですから、菌類は植物だけでなく、動物に似た性質ももっていたのです。動物は体の中に有機物を取り込んで栄養にしていましたが、菌類は細胞の外で分解酵素を出して有機物を消化し、細胞表面から養分として摂取していました。
 菌類は、細胞のつくりは植物に似ていて、生き方は動物に似ていました。でも、どちらとも違っていました。以上のようなことが分かるようになってから、菌類は、独立した界として認められるようになったのです。その結果、菌界、あるいは細菌類と区別するために真菌界と呼ばれるようになりました。
 現在では、分子遺伝学からは、植物よりも動物に近い仲間であることがわかってきました。
 以上のような分類の歴史から、生物は、動物界、植物界、モネラ界、原生生物界、真菌類という5つの界に分類されるようになってきました。
 分類の基準となるのは、体の基本的仕組みとして、DNAが核に入っているかいないかで真核生物(核を持つ)と原核生物(核を持たない)という区分がされました。さらに真核生物は、細胞がひとつで生きているのか複数集まって一つの生物として生きているのかによって、単細胞生物(細胞がひとつ)と多細胞生物(細胞が複数)に区分されました。
 これらとは別に、栄養の摂取法によって、独立栄養(光合成、化学合成)、従属栄養(吸収、摂取)によっても区分されています。これらの組み合わせから、5つの界に分類されていきます。
 最近では、遺伝子レベルの研究によって、違う分類の体系が考えられています。それは、ドメインと呼ばれるもので、イリノイ大学のカール・ウーズが提唱した説です。
 すべての生物が持っている(リボソーム小サブユニットRNA)遺伝子の塩基配列を調べて、その違いよって生物の分類をしようというものです。
 その結果、細菌類(真正細菌と呼ばれています)と古細菌(メタン細菌・好塩細菌・超好熱細菌など)は、今は同じ菌類に分類されているのですが、遺伝子のレベルで比べると全く違う起源を持つことがわかってきました。
 5界分類というのは、歴史的に人間が見た目で区分することが基準となっていました。そのため、見える特徴が重要視されていたのです。遺伝子の違いという分子レベルでみていくと、どうもまったく違った関係が見えてきたのです。
 動物界、植物界、菌界の真核生物と、真正細菌、古細菌の3つは、対等の分類学的地位を持たなければならないことがわかりました。真核生物間の違いより、真核生物、真正細菌、古細菌間の違いの方が大きいのです。そのため、真核生物ドメイン、真正細菌ドメイン、古細菌ドメインの3ドメイン説が提唱されたのです。
 これらの3つのドメインは、共通祖先である原始生物から、最初に真正細菌が進化し、その後に古細菌、真核生物が進化してきたと考えられています。そして、この考えは広くうけいれられてきています。

・春に吹雪・
今週はじめは、北海道は強い冬型の気圧配置となり、吹雪でした。
やっと春めいてきたというのに、
一気に冬に逆戻りしたようです。
家に来ているクリーニング屋さんは、
今年は例年より3週間も早く
冬物が出されるといっていました。
ところが、21日の昼間には
冬物のクリーニングをもってしました。
もともと火曜日がクリーニングの定期的な集配日で、
我が家には夜に来ていました。
ところが、冬物が急にいる用というので
あちこちから電話があったので、
あわてて届けているとのことです。
今年は、例年と少々違っているようですが、
こんな天気の繰り返しで、春になることは同じです。

・年度の終わり・
いよいよ明日が卒業式となります。
大学ごとに、卒業式の日は違っていて、
わが大学は明日行われます。
そして来週になると、教職員の送別会、
新任の教員の顔合わせ会などがあります。
年度の終わりの行事が連続して行われます。
しかし、私の年度の終わりは、忸怩たるものがあります。
それは、1月以降たびたびの風邪で体調を崩して、
思ったことがまったくできなかったことです。
まだ本調子ではないのですが。
でも、これも仕方がありません。
その遅れの責任はすべて自分に跳ね返ることになります。
そんなことは自分の中にとどめて、表に出さずに、
新たしい年度を迎えたいと思います。