2005年2月10日木曜日

1_40 古生代2:化石の産地(2005年2月10日)

 古生代の前は、地球の環境は過酷でしたが、穏やかな環境になった直後に生物の爆発的進化が起こりました。「カンブリアの大爆発」と呼ばれているものです。今回は、カンブリアの大爆発の証拠となる化石の産地を紹介していきましょう。

 古生代は、カンブリア紀からはじまりますが、その直前から生物の進化の痕跡が見つかっています。化石がたくさん出るような産地はそれほど多くはなく、限られています。私が訪れたのは、オーストラリアのエディアカラ、中国雲南省の澄江(ちぇんじゃん)、カナダのロッキー山脈ヨーホー国立公園フィールド山のバージェスの3ヶ所の化石産地です。この3ヶ所は、地質学では有名な地域となっています。
 エディアカラは、オーストラリア南部アデレードの北、フリンダース山脈の西にある小さな丘の名前です。その斜面の露頭から、殻を持たない大量の動物化石が、1947年にレッグ・スプリッグによって発見されました。その発見場所にちなんで、これらの化石をエディアカラ化石動物群と呼んでいます。
 このころは、先カンブリア紀に生物がいたとは誰も考えていなかったので、これらの化石はカンブリア紀初期ものだとみなされていました。しかし、1959年には先カンブリア紀のものであることがわかってきました。
 エディアカラ周辺の地層は、アデレード累層群と呼ばれ、原生代後期からカンブリア紀にかけて形成され、12kmの厚さがあります。エディアカラ化石動物群は、アデレード累層群のウィルペーナ層群(約6億年前~5億2000万年前)の最上部のローンスリークォーツァイトという黄色い石英砂岩からでてきます。
 エディアカラ動物群には、クラゲなどの仲間(刺胞動物門)が多く(67%)、次いでゴカイなどの仲間(環形動物門、25%)、エビ・カニなどの仲間(節足動物門、5%)の化石が見つかっています。
 1999年10月に、私はこのエディアカラの地層を見に訪れました。エディアカラの丘は、保護区になって化石の採取は禁止されています。同じ地層が国立公園のトレイル沿いで観察することができます。パンフレットも看板もあるのでわかりやすくなっています。もちろん国立公園内ですから試料の採取は禁止です。でも、石の中に化石があるところを観察できました。
 バージェス化石動物群は、5億4000万年前(カンブリア紀前期)から5億年前(カンブリア紀中期)の地層で、北半球の北米大陸からグリーンランド、スペイン、ヒマラヤ、中国、オーストラリアへといたる地域で見つかります。これは、当時あった、巨大なローレンシア大陸の縁にあたります。
 バージェス化石動物群の中でも古いのは、中国雲南省の澄江(ちぇんじゃん)化石動物群です(バージェス地域のものより1500万年ほど古い)。
 澄江は、昆明の南50kmのところにあります。1912年には化石が発見されていて、1990年代までにカンブリア紀中期の化石がたくさん発見されました。100種類ほどの保存のいい動物化石がみつかっています。羅列すると、海綿動物(10属)、小有殻動物(2属)、刺胞動物(1属)、クラゲ様動物(5属)、エラヒキムシ(3属)、腕足動物(28属)、箒虫動物(1属)、環形動物(2属)、腕足動物(2属)、脊索動物(3属)、原索動物(1属)などととなります。
 澄江には2000年10月に出かけました。ここも採掘禁止になっていましたが、すぐ近くにある南京大学の研究所でいくつか標本をいただきました。また、博物館ですばらしい化石を見ることができました。
 カナダのバージェス化石動物群は、1909年8月31日にウォルコットが発見、その後も調査を続け、7万3000個以上の標本を採集しました。その後、ハーバード大学のレーモンド、カナダの地質調査所、ロイヤルオンタリオ博物館などが調査して、周辺から15個以上の産地と、8万5000個以上の標本が採集されました。
 バージェス化石動物群には、約120の属、12の動物群が報告されていますが、その大部分は一種一属で、多くは現在はない種類です。化石のうち6割は、節足動物の仲間ですが、現在の節足動物とは違う原始節足動物です。
 バージェス動物群の中で、もっとも有名なのがアノマノカリスではないでしょうか。アノマノカリスは、さまざまな部分がばらばらになって見つかっていたため、いくつもの生物として分類されていました。現在では、アノマノカリスという最大では体長2mに達する強大な肉食のひとつの動物であったことが判明しました。2001年7月に訪れたバージェスでは、アノマノカリスの腕の化石を見ることができました。バージェスは世界遺産にも登録されていて、もちろん採掘禁止です。

・雪祭り・
北海道札幌では雪祭りはじまりました。
私の住む町でも、今週末には、スノーフェスティバルが開催されます。
スノーフェスティバルも日本語で言えば、雪祭りです。
札幌の雪祭りほどではありませんが、
2日間にわたって、にぎやかに行われます。
町の人に呼びかけてアイスキャンドルやスノーキャンドルをつくり、
夜に家の前をローソクの明かりで飾ります。
アイスキャンドルとは、夕方から朝にかけてバケツの水を凍らせて
氷の器を作り、その器を風除けにして、中でろうそくを灯します。
スノーキャンドルは、雪玉を積み上げて、
ろうそくの覆いをくみ上げるものです。
昨年、我が家ではアイスキャンドルだけでしたが、
今年はスノーキャンドルにも挑戦しようと思っています。

・私立大学・
今週の初めに、わが大学の一般入試が終了しました。
いずれの大学でも同じだと思いますが、
受験者数の減少が問題になっています。
国公立の大学と違って、
私立大学は経営が成り立たなければなりません。
そのためには、一定の学生の確保が必要です。
その対策としていろいろなことが考えられていますが、
やはり、大学の教員にとって、教育が最重要課題です。
そしてその教育を裏付けるために研究も必要です。
教育を効果的にするために、職員の協力も必要です。
施設の維持、更新も必要です。
大学のすべての人の努力が必要で、
その努力の成果を社会にアピールできるかどうかが
この過酷な時代を生きていけるかどうかの分かれ目となるのでしょう。
そして失敗したら、絶滅への道を歩むことになるのかもしれません。