2004年11月18日木曜日

4_50 支笏湖再訪:樽前山の溶岩ドーム

 10月下旬に支笏湖に出かけました。紅葉真っ盛りでしたが、積雪に見舞われました。

 10月上旬の道北に続いて、支笏へも再訪しました。昨年の11月中旬に訪れた支笏湖は、雪のために、あちこちが閉鎖されていて、残念な思いをしました。ですから、今回は早めにと思い、10月下旬にでかけて、目的を果たしてきました。
 今回の一番の目的は、樽前山の溶岩ドームを近くで見ることでした。札幌あたりからも、樽前山の溶岩ドームの形は目立っているため、すぐに見分けられます。
 この特徴のあるドームを間近に見るには、樽前山の火口の縁まで上がることになります。以前はドームのある中央火口丘の裾野の噴気孔まで行けたのですが、今では火山活動が活発なために、火口内は立ち入り禁止となっています。
 私も火口縁からドームを見るために、登山道を登りました。土・日曜日、1泊で出かけたので、天気のいい日に樽前山に登ることにしていました。1日目は雨で、途中から雪になってきましたので、あきらめて支笏湖の周辺を見学しました。2日目は、初雪で樽前山も真っ白になっていました。でも、天気も良くなってきたので、登ることにしました。同じような思いなのでしょうか、多数の登山客がいました。
 樽前山は登山道がしっかりしているので、登ることにそれほど問題はありません。長靴を履いて、雪の中を出かけました。7合目まで車でいけますので、そこから登山道を2.5kmほど登ると火口縁につきます。天気は晴れていたのですが、風が強く、火口縁でかなり寒い思いをしました。
 溶岩ドームのその異様な形状と存在感には、寒さも忘れて圧倒されました。この溶岩ドームは、直径1.2kmから1.4kmの火口の中にどっしりと存在します。溶岩ドームは、最大直径450m、高さ150m、頂上部が平坦で鏡餅のような形をしてます。1909(明治42)年4月17日夕方から19日夕方にかけて、たった2日でできたドームです。がさがさした安山岩の溶岩(アア溶岩とよばれます)で、中には大きな斜長石の結晶を含んでいます。
 樽前山は支笏火山の一部です。支笏火山は、4万年前に大噴火(破局的噴火とよばれます)によって支笏カルデラができました。樽前山は、風不死(ふっぷし)や恵庭山とともに、支笏カルデラができたあとに活動した火山です。
 樽前山は9000年ほど前から活動をはじめ、何度かの休止期をへたのち、1667(江戸時代の寛文7)年に、樽前山では最大の噴火をします。古文書によれば、その噴火の音は、遠く青森県でも聞こえたそうです。火山噴出物も多く、苫小牧では2mもの厚さになりました。また、1739(元文4)年にも大噴火し、大量の火山噴出物を放出し、現在の火口をつくりました。最近では、1981年に小噴火をしました。その後は噴火をしていませんが、噴気が激しく、火山性地震が頻繁にあるために、噴火の危険性があると考えられています。
 今回の支笏湖周辺では、コケの洞門とオコタンペ湖を訪れました。
 コケの洞門は、1667年の樽前山の噴火によって発生した火砕流が熱いまま堆積し、固まった(溶結凝灰岩とよばれる岩石)ものが、侵食によって沢になり、そこにコケがびっしりと生えたところです。今では落石のために奥まで入れませんが、入り口には見学の台が設けられています。
 オコタンペ湖は、3万年前の恵庭山の火山噴出物が川を堰き止めてできた湖で、支笏湖より300mも高いところにあります。そこから、オコタンペ川として急な滝として支笏湖に流れ込んでいます。
 紅葉と雪の支笏で、火山を見学してきました。火山を間近に見ると、自然とはけっして同じものがずっと維持されているのではなく、変化も自然の中では、重要な役割があることを痛感させられます。

・初登山・
支笏湖へは、いつものように家族で出かけました。
4歳の次男が上まで登れるかどうか心配だったのですが、
休み休み登ったので、なんとか火口縁にたどり着きました。
昨年も樽前山の看板のあるとことまでは登ったのですが、
次男には無理そうなのでそこでやめていました。
でも、今年は何とか上までいってみようと挑戦しました。
周りの登山客は、小さい子供が登っているのでびっくりしていましたが、
山登りは、自分のペースでゆっくりと行けば、
特別難しい山でない限り、登れるはずです。
重要なのは、上にいきたいという気持ちを
上につくまで持続できるかどうかです。
家内は、狭い急な登山道を
長男がちょろちょろしながら登るので気が気でないのと
自分自身が高所恐怖症なので、一番怖がっていました。
火口縁で私が撮影している間、
家族はおやつを食べ、飲み物を飲んで休憩していました。
残念ながら、風が強く、体感温度が下がっていましたので、
火口縁で私は撮影を終え、家族は栄養補給と休息をしたらすぐに降りました。
下りは、皆らくらくと降りてきました。
長男と次男にとっては、これがはじめての登山となりました。
でも、川に出かけているとき、
あちこち野山を上り下りしているので、
子供たちにはあまり登山の感動はなかったようです。
それより、遊べるかどうかの方が、重要だったようです。
子供たちには、オナタンペ川の河口のほうが
遊べたので楽しかったようです。

・自然の営為・
支笏湖も台風の影響で多くの倒木を出しました。
道路沿いは片付いていますが、
それ以外の多くの倒木は、まだ処理しきれずにあります。
少しずつ処理はされているようですが、
あまりに広大な地域に、大量に倒れているので、
いつ片付くのでしょうか。
その量に圧倒されて、心配になります。
夏に、植樹祭も支笏湖周辺で予定されていたのですが、
倒木の被害で中止されました。
自然の営為には、変化も含まれてることを痛感させられます。
そして変化には、災害、被害を伴うことがあります。
私たちは、そんな自然の中に置かれていることを、
理解しておく必要があるのかもしれませんね。