2002年6月6日木曜日

6_12 6月の誕生石

 6月の誕生石は、アマゾナイトとムーンストーンです。どちらも長石の仲間です。

 アマゾナイトは、不透明で青緑色をしたものです。日本名は天河石(てんがいし)といます。アマゾナイトは、想像どおり、アマゾン川にちなんだ名前です。最初にブラジルのアマゾン川で産したため、この名前がつけられました。しかし、ブラジルではあまり取れず、現在の主な産地は、インドで、その他に、アメリカ合衆国、ロシア、マダガスカル、タンザニアなどです。
 アルカリ長石の仲間で、鉱物名は、マイクロクリン(microcline、微斜長石)といいます。マイクロクリンには、黒、白、ピンク、赤、灰色、緑、青、などさまざまないろのものがあります。しかし、青緑色のきれいなものだけをアマゾナトとして宝石とします。色のきれいなものは、ヒスイの代用品としても使われることがあります。この青緑色は、鉛によるといわれています。
 ムーンストーンの日本名は、月長石(げっちょうせき)です。名前からわかるように、長石の仲間です。正長石(orthoclase)というカリウムを比較的多く含む長石です。
 正長石(単斜晶系)の化学組成は、マイクロクリン(三斜晶系)と同じなのですが、結晶構造が違うので、別の鉱物となっています。
 みがいたものは半透明の輝きを持ち、宝石となります。青や白色の美しい輝きがあり、月の光のようにみえます。このような輝きは、正長石の中に成分の違う曹(そう)長石(ナトリウムに富む長石)の層ができたものです。2種類の長石の薄い層が、何枚も重なり、そこに光が反射したものです。曹長石のほうが薄いと青みをまし、多いと白みが増します。
 このような薄い2種類の鉱物からできた構造は、ラメラとよばれます。ラメラは、離溶(りよう)とよばれる現象でできたものです。薄い層となったものをいいます。
 離溶とは、高温でできたとき、もともと一つの結晶だったものが、温度が下がる時、別の安定な2つの鉱物に分離したものです。このような鉱物は、固溶体とよばれる性質を持つもので、長石、輝石、磁鉄鉱などでも、よくみられます。
 正長石(KaAlSi3O8)から曹長石(NaAlSi3O8)までの間では、カリウムとナトリウムの交換を連続的におこり、さまざまな結晶ができます。長石では、1000℃から700℃の間の温度では、一つの結晶として存在できますが、700℃以下の低温では、正長石に富む結晶と曹長石に分かれます。できたときの長石の組成によって、正長石と曹長石の量は決まってしまいます。離溶する曹長石は、曹長石成分からだけでできているのですが、正長石は、正長石に富みますが、純粋なものでありません。
 正長石でも、きれいに離溶がおこり、光を美しく反射できるも大型のものはなかなかなく、まれになります。ですから、大きなムーンストーンは、貴重なものとなります。つまり、高価になります。