長期持続できる文明社会への道は険しいかもしれません。しかし、多くの人類が知恵を出し合えば、人類の生き残りへの道筋か拓けるかも知れません。多くの場で、地球や自然について考えることが、大切ではないでしょうか。
二酸化炭素の放出を削減したり、フロンを使わなくしたり、人類は地球環境を守るために、さまざまな努力をしています。その結果が現れるのは、少し先かもしれません。しかし、何もせず終焉を迎えるよりは、少しでも長生きをする道を選ぶべきです。
今まで、地球上に存在した生物のすべて種には、寿命があることがわかっています。したがって、人類という種も、遅かれ早かれ滅びるはずです。その「滅び」が利潤追求のために早まることは大いにあることだと思います。
例えば、二酸化炭素の放出削減は、本当に地球にあるい人類にとって必要な方策なのでしょうか。現在文明を守るためには必要な措置かもしれません。丸山茂徳氏は、科学雑誌「サイアス」で、「現在、地球は寒冷化に向かっている。だから、頑張って二酸化炭素を出さないと長い目で見れば地球の生物全体が、やがては人類が困る」というような内容を述べられてました。人類という種を考えると、文明は滅びても、種を守るためには、寒冷化への対策のほうが大切なのかもしれません。地球を相手にして、地球のタイムスケールで考えている丸山氏の発言には、同業者として共感できるところがあります。
私たちは人類です。ですから人類の視点で、地球や生命を見ています。その人類であるという視点をはずすと、別の見方ができることを丸山氏は指摘したかったのだと思います。
「地球環境を守る」ことや「絶滅生物を保護する」こと、どれも大切なことです。しかし、私たちは、清潔な生活環境を維持しようと日々努力しています。その清潔な環境とは、微生物(雑菌と呼ばれます)のいない環境を目指しているのです。そこには、当然ながら殺戮があります。ウイルス性の病気を予防したり、治療するために、ウイルスという生き物を殺戮しているわけです。極端な例ですが、人類中心では見方をすればそうなります。
「地球環境を守る」ことや「絶滅生物を保護する」というお題目を唱えるときに、そこには人類のエゴイズムが入っていることを自覚するべきです。一つの視点で見ることの怖さを、ここに垣間見ることができます。いろいろな視点があることを理解していく必要があると思います。
この「地球のささやき」の各所で、いろいろ社会批判めいたことを述べてきました。しかし、このようなことを考えること自体が、人類としての営みがなせる技なのだと思います。考えることができる人類は非常にすばらしいことだと思います。考えなければ、自分自身が滅亡に向かっていることすら気付かずに、絶滅への道を歩むかもしれません。自分自身の将来を予測し危険があれば回避できるということは、非常にすばらしいことです。人類以外の生物は、予測もしないし、自分自身の生き方を変えることもありません。やがて滅びるはずの人類の最後の足掻きかもしれません。しかし、一世代で終わるのが、数百、数千、数万世代経た後の滅びとは、大きな違いがあるかもしれません。現在の人類が滅びても、中生代の恐竜のように、多様な種を擁する新人類の時代が訪れるかもしれません。滅びれば、そのような夢もすら見れません。
2001年4月5日木曜日
2001年3月29日木曜日
3_4 二酸化炭素はいずこに
原始の地球の大気は、二酸化炭素が主要成分でした。それが、今や非常に少ない成分となっています。その少なくなったはずの二酸化炭素が、少し(0.01%ほど)増えただけで、温暖化という問題が生じています。では、大量にあった二酸化炭素が少なくなったプロセスをほんの少し再現すれば、二酸化炭素による温暖化は解決されるかもしれません。ここでは、二酸化炭素の行方を追ってみましょう。
二酸化炭素は、ある程度海水に溶けます。二酸化炭素は、海水に溶けると、炭酸イオンとなります。炭酸イオンは、マイナス2価のイオンですので、プラス2価の陽イオンと結びつきます。化学的性質で、カルシウムやマグネシウムと結びつくと、沈殿します。炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムは、固まると方解石やドロマイトという鉱物になります。ですから、陸地に持ち上げられると、固体として安定したものとなります。そしてなにより、気体のときの二酸化炭素と比べると、格段にコンパクトなサイズになっています。
海水から二酸化炭素が減ると、大気中の二酸化炭素からまた溶け込んできます。カルシウムやマグネシウムは、海水にたくさん含まれている成分です。岩石にもたくさん含まれている成分で、海水に少なくなると、陸地の岩石から水に溶けて、川によって海に運ばれてきます。
海に生物が誕生すると、炭酸塩を殻や骨に利用するものが現れてきました。サンゴなどがその例です。サンゴは小さい生き物ですが、たくさん集まると島を取り囲むほど巨大になります。現在では、オーストラリアのグレートバリアリーフのように、長さが1000kmを越すような規模のものまであります。サンゴ礁は、海の中にあると、やがては溶けてなくなりますが、地球の営みによって、陸地にあげられれば、石灰岩という岩石として長く保存されます。陸地には、グレートバリアリーフに匹敵するような規模の石灰岩地帯がいくつもありあます。「日本には石灰岩のない県はない」といわれるほど、小さくてもいたるところにあります。
陸地に植物が、誕生すると、植物が今度は、有機物として二酸化炭素を固体にしてきました。あまった有機物は石炭として炭素の固体として、大地の中に保存されました。
地球の大気の変遷は、地球と大気の相互作用の結果なのです。その相互作用は、生物の進化にともなって、時代毎に変化してきました。
今も大気中の二酸化炭素は、生物によって固体化されています。しかし、そのような生物を人間は、材木や紙として利用しています。あるいは石炭や紙を燃やして、植物が固体化する以上に、二酸化炭素を生産しています。これが、将来どう変化するかは、人類の選択に委ねられているのかもしれません。
二酸化炭素は、ある程度海水に溶けます。二酸化炭素は、海水に溶けると、炭酸イオンとなります。炭酸イオンは、マイナス2価のイオンですので、プラス2価の陽イオンと結びつきます。化学的性質で、カルシウムやマグネシウムと結びつくと、沈殿します。炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムは、固まると方解石やドロマイトという鉱物になります。ですから、陸地に持ち上げられると、固体として安定したものとなります。そしてなにより、気体のときの二酸化炭素と比べると、格段にコンパクトなサイズになっています。
海水から二酸化炭素が減ると、大気中の二酸化炭素からまた溶け込んできます。カルシウムやマグネシウムは、海水にたくさん含まれている成分です。岩石にもたくさん含まれている成分で、海水に少なくなると、陸地の岩石から水に溶けて、川によって海に運ばれてきます。
海に生物が誕生すると、炭酸塩を殻や骨に利用するものが現れてきました。サンゴなどがその例です。サンゴは小さい生き物ですが、たくさん集まると島を取り囲むほど巨大になります。現在では、オーストラリアのグレートバリアリーフのように、長さが1000kmを越すような規模のものまであります。サンゴ礁は、海の中にあると、やがては溶けてなくなりますが、地球の営みによって、陸地にあげられれば、石灰岩という岩石として長く保存されます。陸地には、グレートバリアリーフに匹敵するような規模の石灰岩地帯がいくつもありあます。「日本には石灰岩のない県はない」といわれるほど、小さくてもいたるところにあります。
陸地に植物が、誕生すると、植物が今度は、有機物として二酸化炭素を固体にしてきました。あまった有機物は石炭として炭素の固体として、大地の中に保存されました。
地球の大気の変遷は、地球と大気の相互作用の結果なのです。その相互作用は、生物の進化にともなって、時代毎に変化してきました。
今も大気中の二酸化炭素は、生物によって固体化されています。しかし、そのような生物を人間は、材木や紙として利用しています。あるいは石炭や紙を燃やして、植物が固体化する以上に、二酸化炭素を生産しています。これが、将来どう変化するかは、人類の選択に委ねられているのかもしれません。
2_9 最上の生活様式とは
どのような生物でも、現在自分が置かれた環境に適応します。そして、その環境で生活できるようになっています。その生活様式が最上のものかどうかわかりませんが、とにかく生きていけます。では、その環境に最上の生活様式とは、どんなものでしょうか。答えはあるのでしょうか。
「2_7 炭素を中心に」で地球生命は、炭素を積極的に利用していることを示しました。地球の大気のなかでは、炭素は二酸化炭素の形で存在します。ですから、生命は二酸化炭素から炭素を取り出し、有機物にして利用します。その二酸化炭素から有機物にいたるプロセスの代表的なものが、光合成と呼ばれるものです。光合成は、植物が担っています。
植物は、陸地の広い部分を覆うほど発展をしています。しかし、光合成は地球の環境で最適な生活様式なのでしょうか。二酸化炭素は、現在、地球の空気には0.03%しかない成分なのです。植物は、少ない資源を有効に利用しているのです。しかし、別の多くある資源を有効に利用したほうが、効率的で生きやすいはずです。
動物や植物も「呼吸」には酸素を利用しています。酸素は、空気の主要成分です。ですから大量に簡単に手に入る資源を使っているわけです。動物は、植物がつくった大量の有機物を、ちゃっかり利用しています。動物が一番、環境に適応している、あるいは一番楽な生活様式をもっているのかもしれません。
では、植物はなぜ、そのような少ない二酸化炭素という資源を苦労して利用しているのでしょうか。実は、量は少ないのですが、二酸化炭素は地球上のいたるところに、一定の量が存在します。常に新たな二酸化炭素が、呼吸や火事、火山などで供給されているため、ある日突然枯渇することはありません。二酸化炭素は、少ないけれども、安心して利用できる資源なのです。
二酸化炭素から有機物にするにはエネルギーを必要とします。植物は、光合成ためのエネルギーも、無尽蔵にあるものを利用しています。そのため光合成は、エネルギーに関しても安心な方式なのです。そのエネルギーの供給源が太陽なのです。太陽は、枯渇することのないエネルギーです。
植物は一見少ない資源を細々と利用しているいるようなのですが、実は地球では、非常に有効な生活様式なのです。ですから、地表にあんなにも植物が繁栄しているのです。
「2_7 炭素を中心に」で地球生命は、炭素を積極的に利用していることを示しました。地球の大気のなかでは、炭素は二酸化炭素の形で存在します。ですから、生命は二酸化炭素から炭素を取り出し、有機物にして利用します。その二酸化炭素から有機物にいたるプロセスの代表的なものが、光合成と呼ばれるものです。光合成は、植物が担っています。
植物は、陸地の広い部分を覆うほど発展をしています。しかし、光合成は地球の環境で最適な生活様式なのでしょうか。二酸化炭素は、現在、地球の空気には0.03%しかない成分なのです。植物は、少ない資源を有効に利用しているのです。しかし、別の多くある資源を有効に利用したほうが、効率的で生きやすいはずです。
動物や植物も「呼吸」には酸素を利用しています。酸素は、空気の主要成分です。ですから大量に簡単に手に入る資源を使っているわけです。動物は、植物がつくった大量の有機物を、ちゃっかり利用しています。動物が一番、環境に適応している、あるいは一番楽な生活様式をもっているのかもしれません。
では、植物はなぜ、そのような少ない二酸化炭素という資源を苦労して利用しているのでしょうか。実は、量は少ないのですが、二酸化炭素は地球上のいたるところに、一定の量が存在します。常に新たな二酸化炭素が、呼吸や火事、火山などで供給されているため、ある日突然枯渇することはありません。二酸化炭素は、少ないけれども、安心して利用できる資源なのです。
二酸化炭素から有機物にするにはエネルギーを必要とします。植物は、光合成ためのエネルギーも、無尽蔵にあるものを利用しています。そのため光合成は、エネルギーに関しても安心な方式なのです。そのエネルギーの供給源が太陽なのです。太陽は、枯渇することのないエネルギーです。
植物は一見少ない資源を細々と利用しているいるようなのですが、実は地球では、非常に有効な生活様式なのです。ですから、地表にあんなにも植物が繁栄しているのです。
2001年3月22日木曜日
4_5 最古の海の証拠
海というと、海水のあるところです。では、海と陸との違いは、海水があるかないかの違いだけなのでしょうか。もっと違う部分が海の底には隠されています。
海と陸の違いは、水のあるなし以外にもあります。岩石が違います。陸をつくっている岩石は、花崗岩と呼ばれるものです。墓石や石材としてよく使われている御影石とも呼ばれるものです。一方、海底をつくっている岩石は、玄武岩(げんぶがん)と呼ばれるものです。
花崗岩も玄武岩もマグマからできものです。しかし、玄武岩とは花崗岩とはおおいに違います。花崗岩は、マグマが深いところでゆっくり冷えて固まり、大きな結晶(鉱物)からできている白っぽい深成岩です。玄武岩は、マグマが海底に噴出して急速に冷えて固まり、小さい結晶や結晶しきれずにガラスのなって黒っぽい火山岩です。
さらに、海と陸の違いは、海をつくる玄武岩が新しい(大部分2億年より若い)のに対し、陸の花崗岩は、新しいものがありますが、大部分は古いものが多くなっています。ですから古い海の岩石は、海にありません。陸のあります。かつて海底の岩石であったものが、大地の営みによって大陸に持ち上げられたものが時々あります。そのようなものを探せば、海の化石ともいえる海底の岩石が見つけることができます。
グリーンランドのイスアには、地球で最古の海の岩石があります。最古の堆積岩も海の証拠ですが、最古の海洋地殻もイスアから見つかっています。イスアから見つかっている海洋地殻の代表的なものは、玄武岩の枕状溶岩です。枕状溶岩とは、玄武岩が海の中で噴出して、溶岩が枕を積み重ねたような構造になったものです。
グリーンランドのイスアで見つかる海洋地殻は、現在の海洋地殻と同じだと考えられています。イスアの岩石類が形成された年代は、今から約38億年前です。つまり少なくとも38億年前から、今の海洋地殻をつくる地球の営みが起こり、そして現在までその営みは続いているのです。
海と陸の違いは、水のあるなし以外にもあります。岩石が違います。陸をつくっている岩石は、花崗岩と呼ばれるものです。墓石や石材としてよく使われている御影石とも呼ばれるものです。一方、海底をつくっている岩石は、玄武岩(げんぶがん)と呼ばれるものです。
花崗岩も玄武岩もマグマからできものです。しかし、玄武岩とは花崗岩とはおおいに違います。花崗岩は、マグマが深いところでゆっくり冷えて固まり、大きな結晶(鉱物)からできている白っぽい深成岩です。玄武岩は、マグマが海底に噴出して急速に冷えて固まり、小さい結晶や結晶しきれずにガラスのなって黒っぽい火山岩です。
さらに、海と陸の違いは、海をつくる玄武岩が新しい(大部分2億年より若い)のに対し、陸の花崗岩は、新しいものがありますが、大部分は古いものが多くなっています。ですから古い海の岩石は、海にありません。陸のあります。かつて海底の岩石であったものが、大地の営みによって大陸に持ち上げられたものが時々あります。そのようなものを探せば、海の化石ともいえる海底の岩石が見つけることができます。
グリーンランドのイスアには、地球で最古の海の岩石があります。最古の堆積岩も海の証拠ですが、最古の海洋地殻もイスアから見つかっています。イスアから見つかっている海洋地殻の代表的なものは、玄武岩の枕状溶岩です。枕状溶岩とは、玄武岩が海の中で噴出して、溶岩が枕を積み重ねたような構造になったものです。
グリーンランドのイスアで見つかる海洋地殻は、現在の海洋地殻と同じだと考えられています。イスアの岩石類が形成された年代は、今から約38億年前です。つまり少なくとも38億年前から、今の海洋地殻をつくる地球の営みが起こり、そして現在までその営みは続いているのです。
4_4 堆積岩の話
続いて、グリーンランドの話をします。グリーンランドのイスアというところにある世界最古の堆積岩を紹介します。
まず、堆積岩とは、大陸の川が運んできた土砂が、海底にたまったものです。堆積岩があるということは、海があったという重要な証拠となります。
イスアの堆積岩は約38億年前のものです。38億年前から現在まで、さまざまな時代の堆積岩は世界各地から見つかっています。このように、各時代の堆積岩が見つかるということは、地球の海は、38億年前から現在まで、ずっと絶えることなく存在しつづけたことを意味します。
海がずっとあったということは、地球の表面の温度が、摂氏0度から100度までの間に保たれていたことを意味します。このような条件は、生命にとっては非常に望ましい環境でもあるわけです。
海があれば、生命の誕生の場となります。また、そんな海が持続的に存在すれば、海で誕生した生命は、海で更なる進化を遂げることができます。進化の結果、やがて生命は海を離れるものも出てきて、私たちヒトも生まれることができました。
グリーンランド、イスアの堆積岩は、礫岩と呼ばれるものが特徴的でした。イスアの礫岩は、玉石のような粒の粗いものが混じっていました。そして、ザクロ石(ガーネット)の数センチメートルの結晶がたくさんできているところもありました。非常に珍しいものです。さらに、イスアの堆積岩は、褶曲していました。
最古の海の証拠であるイスアの堆積岩からは、生命の痕跡が発見されています。真偽のほどは議論中で、まだ結論は出ていませんが、私自身はかなり信憑性は高いと考えています。もし、この生命化石が本物だったら、地球では海ができてすぐ、生命は発生したことになります。生命は案外、簡単にできてしまうものかもしれない、ということが、この議論の背景にはあるのです。
まず、堆積岩とは、大陸の川が運んできた土砂が、海底にたまったものです。堆積岩があるということは、海があったという重要な証拠となります。
イスアの堆積岩は約38億年前のものです。38億年前から現在まで、さまざまな時代の堆積岩は世界各地から見つかっています。このように、各時代の堆積岩が見つかるということは、地球の海は、38億年前から現在まで、ずっと絶えることなく存在しつづけたことを意味します。
海がずっとあったということは、地球の表面の温度が、摂氏0度から100度までの間に保たれていたことを意味します。このような条件は、生命にとっては非常に望ましい環境でもあるわけです。
海があれば、生命の誕生の場となります。また、そんな海が持続的に存在すれば、海で誕生した生命は、海で更なる進化を遂げることができます。進化の結果、やがて生命は海を離れるものも出てきて、私たちヒトも生まれることができました。
グリーンランド、イスアの堆積岩は、礫岩と呼ばれるものが特徴的でした。イスアの礫岩は、玉石のような粒の粗いものが混じっていました。そして、ザクロ石(ガーネット)の数センチメートルの結晶がたくさんできているところもありました。非常に珍しいものです。さらに、イスアの堆積岩は、褶曲していました。
最古の海の証拠であるイスアの堆積岩からは、生命の痕跡が発見されています。真偽のほどは議論中で、まだ結論は出ていませんが、私自身はかなり信憑性は高いと考えています。もし、この生命化石が本物だったら、地球では海ができてすぐ、生命は発生したことになります。生命は案外、簡単にできてしまうものかもしれない、ということが、この議論の背景にはあるのです。
4_3 白い大陸グリーンランド
クリーンランドという地名を、多くの人が聞いたことがあると思います。しかし、どこにあるのか知っている人はどれくらいでしょうか。まして訪れたことがある人は、どれくらいるでしょうか。今回はグリーンランドのお話です。
なぜ、突然、グリーンランドの話を始めたのは、実は2000年7月に、グリーンランドに2週間ほど行ってきました。その話をします。
まず、グリーンランドの位置から説明します。グリーンランドは、大西洋の北の方にあります。グリーンランドの最南端は北緯60度で、最北端は北緯84度で、ほとんどが北極圏にある白い大陸です。
グリーンランドが白いのは大陸の氷床があるからです。こんな白い大陸ですが、人間は定住しています。私たちの血縁のあるグリーンランディックと自らを呼ぶ、イヌイット(エスキモー)と同属の人達です。黄色人種で、私たちに似ており、どことなく親しみがあります。
グリーンランドとはいえ、夏には植物が生え、暖かい日が続きます。Tシャツでも大丈夫です。ただし、太陽が出ていているときです。曇っていたり、晴れても風があると、上着が必要です。ですから、家から出る時、何を着るべきは悩むところです。
こんなグリーンランドに、3年前から行きたいと思っていて、やっと念願がかなって、行きました。普通の海外旅行の2倍の費用がかかりました。そして、念願の目的地であるイスアというところには、約3時間ほどしかいれませんでした。本当は5時間ほどいる予定だったのですが、天候の都合で半分しか滞在できませんでした。しかし、満足しています。
なぜ、たった3時間のために、高いお金を払ったのかといいますと、そこにしかない地層と岩石が見たかったのです。地質学的に非常に面白いところなのです。博物館には、グリーンランドのイスアの岩石があります。しかし、本物を見たい、そして、現地の臨場感を味わいたい思って行ったのです。
私が恋こがれたのは、38億年前の堆積岩と海洋底を構成していた岩石があるからです。堆積岩も海洋底の岩石も、海があった証拠となるものです。そして、イスアの堆積岩と海洋底の岩石が地球で最古のものなのです。地球最古の海の記憶を肌で感じたかったのです。それが、遥かグリーンランドへの旅の目的だったのです。
なぜ、突然、グリーンランドの話を始めたのは、実は2000年7月に、グリーンランドに2週間ほど行ってきました。その話をします。
まず、グリーンランドの位置から説明します。グリーンランドは、大西洋の北の方にあります。グリーンランドの最南端は北緯60度で、最北端は北緯84度で、ほとんどが北極圏にある白い大陸です。
グリーンランドが白いのは大陸の氷床があるからです。こんな白い大陸ですが、人間は定住しています。私たちの血縁のあるグリーンランディックと自らを呼ぶ、イヌイット(エスキモー)と同属の人達です。黄色人種で、私たちに似ており、どことなく親しみがあります。
グリーンランドとはいえ、夏には植物が生え、暖かい日が続きます。Tシャツでも大丈夫です。ただし、太陽が出ていているときです。曇っていたり、晴れても風があると、上着が必要です。ですから、家から出る時、何を着るべきは悩むところです。
こんなグリーンランドに、3年前から行きたいと思っていて、やっと念願がかなって、行きました。普通の海外旅行の2倍の費用がかかりました。そして、念願の目的地であるイスアというところには、約3時間ほどしかいれませんでした。本当は5時間ほどいる予定だったのですが、天候の都合で半分しか滞在できませんでした。しかし、満足しています。
なぜ、たった3時間のために、高いお金を払ったのかといいますと、そこにしかない地層と岩石が見たかったのです。地質学的に非常に面白いところなのです。博物館には、グリーンランドのイスアの岩石があります。しかし、本物を見たい、そして、現地の臨場感を味わいたい思って行ったのです。
私が恋こがれたのは、38億年前の堆積岩と海洋底を構成していた岩石があるからです。堆積岩も海洋底の岩石も、海があった証拠となるものです。そして、イスアの堆積岩と海洋底の岩石が地球で最古のものなのです。地球最古の海の記憶を肌で感じたかったのです。それが、遥かグリーンランドへの旅の目的だったのです。
2001年3月15日木曜日
2_8 火星の生命
2月27日付けのアメリカ科学アカデミーの機関紙に2つの論文が載りました。その論文は、火星から飛んできた隕石から生物の痕跡を発見したという報告でした。火星生命化石に関するニュースは、これが2度目です。本当に火星に生命がいたのでしょうか。科学界では、このニュースをどのように捉えているのでしょうか。
1度目のニュースは、1996年の夏でした。アメリカの科学雑誌サイエンスに、火星起源の隕石から化石を発見したという報告が載りました。その雑誌が出る直前に、NASAの長官が事前にプレスへ発表しました。その発表の数日前から、インターネットのメイリング・リストでは、「何かしらないけど大発見があったらしい」という噂が流れていたのですが、NASAの長官の記事が、写真付きで新聞に出たときは、私も少なからず驚きました。すぐさまサイエンスのホームページにアクセスして、その論文を取り寄せました。
1996年の論文が出てから1年間くらいは、さまざまな学会で、火星生命の真偽のほどが議論され、特集号もたくさん出版されました。
今回の化石の発見も前回の同じ隕石のALH84001からの発見でした。前回の論文では、炭酸塩の形態や、生物特有の化学組成を持っていることが、その根拠となっていました。今回は、磁鉄鉱(Fe3O4)という鉱物に関する報告でした。一つは、形態が地球のバクテリアだけがつくる磁鉄鉱にそっくりであるという報告でした。もう一つは、有機体でしかできない磁鉄鉱の結晶の鎖の発見でした。
前回も今回も、火星生物の証拠となった炭酸塩や磁鉄鉱は、生物でなくても無機的にできる可能性がある、という反論が強くあります。今のところまだ、断定的結論は出ていませんが、否定的見解が多いようです。しかし、どの研究者も、強行に否定しません。それは、完全に否定してしまうと、火星探査のための予算が打ち切られることを懸念しての配慮かもしれません。学術雑誌の特集号でも、否定的ですが、その真偽を決定するためには、更なる火星における探査や調査が必要としています。
果たして、火星に生物はいたのでしょうか、あるいは今の火星のどこかにいるのでしょうか。火星人の夢は敗れたのですが、私たち地球人は、宇宙で孤独な存在ではないのかもしれません。そんな可能性を、このニュースは伝えているのです。
1度目のニュースは、1996年の夏でした。アメリカの科学雑誌サイエンスに、火星起源の隕石から化石を発見したという報告が載りました。その雑誌が出る直前に、NASAの長官が事前にプレスへ発表しました。その発表の数日前から、インターネットのメイリング・リストでは、「何かしらないけど大発見があったらしい」という噂が流れていたのですが、NASAの長官の記事が、写真付きで新聞に出たときは、私も少なからず驚きました。すぐさまサイエンスのホームページにアクセスして、その論文を取り寄せました。
1996年の論文が出てから1年間くらいは、さまざまな学会で、火星生命の真偽のほどが議論され、特集号もたくさん出版されました。
今回の化石の発見も前回の同じ隕石のALH84001からの発見でした。前回の論文では、炭酸塩の形態や、生物特有の化学組成を持っていることが、その根拠となっていました。今回は、磁鉄鉱(Fe3O4)という鉱物に関する報告でした。一つは、形態が地球のバクテリアだけがつくる磁鉄鉱にそっくりであるという報告でした。もう一つは、有機体でしかできない磁鉄鉱の結晶の鎖の発見でした。
前回も今回も、火星生物の証拠となった炭酸塩や磁鉄鉱は、生物でなくても無機的にできる可能性がある、という反論が強くあります。今のところまだ、断定的結論は出ていませんが、否定的見解が多いようです。しかし、どの研究者も、強行に否定しません。それは、完全に否定してしまうと、火星探査のための予算が打ち切られることを懸念しての配慮かもしれません。学術雑誌の特集号でも、否定的ですが、その真偽を決定するためには、更なる火星における探査や調査が必要としています。
果たして、火星に生物はいたのでしょうか、あるいは今の火星のどこかにいるのでしょうか。火星人の夢は敗れたのですが、私たち地球人は、宇宙で孤独な存在ではないのかもしれません。そんな可能性を、このニュースは伝えているのです。
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