2025年11月27日木曜日

5_215 隕石の由来 4:族(ファミリー)

 このシリーズでは、これまで、隕石が由来した母天体がわかったという一連の3編の論文が発表され、それらの論文のタイトルになっている、隕石の大雑把な特徴を紹介してきました。今回から、論文の中身に入ってきましょう。


 前回まで、論文のタイトルにあった炭素質コンドライト、普通コンドライトのLコンドライトについて紹介してきました。論文の内容では、タイトルに入っていなかったのですが、Hコンドライトなどについても、母天体を特定しています。
 一連の論文で進められた研究方法は、小惑星同士の衝突で飛び散る破片のシミュレーション、実際の隕石の年代、小惑星の軌道や表層の化学組成の観測データとの比較などで、いくつかの隕石の種類の母天体を推定しています。
 ここでいう隕石の年代とは、形成年代ではなく、衝突してから落下までの期間のことを意味します。その期間は、隕石に宇宙線が照射されてできた核反応生成物の量によって決める手法があり、「宇宙線照射年代」と呼ばれています。多くの隕石で、数100万年程度(500万年あたりに年代値のピークがある)の年代となります。ただし、鉄隕石には古いもの(10億年から1億年)が見つかります。
 古い年代が少ないということは、地球に隕石として落下するような軌道をもった小惑星は、短い期間に落下してしまっていることになります。小惑星が、そのような軌道をもつようになったのは、「最近」のことと考えられます。
 地球と交差する可能性のある軌道をもった小惑星は「地球近傍小惑星」と呼ばれ、観測されています。数は少ないですが、隕石の落下から公転軌道を推定されたものなどがあります。
 論文では、軌道を変える現象として、太陽の放射(光や)の影響も考えられています。天体の表面に当たった側(昼側)は温められ、そこが自転で夜になちき、熱を赤外線で放射されます。その放射の力がわずかですか、継続的に働く力なので、天体が小さければ軌道を変化させる推力となります。ヤルコフスキー効果と呼ばれるものです。ヤルコフスキー効果は、小さい天体ほど影響を受けます。また、地球近傍小惑星に対しても、微妙な軌道計算には影響を与えます。
 地球に落下する隕石の起源は、大きな天体で、ヤルコフスキー効果の影響を受けないはずです。大きな天体の軌道を変えるのは、天体同士の衝突になります。衝突によって飛び散った破片で、大きな天体となったものは、最初の軌道を保ったままで、似た軌道を持つ天体群となります。そのようは軌道をもった小惑星群は、族(ファミリー)と呼ばれます。
 各種の小惑星族の公転軌道をもとにして、長期間に渡って軌道をシミュレーションしていくことで、分裂した時期を推定しています。そして、その分裂を起こしたと考えられる衝突で、飛び散った破片が、地球に届く隕石の量をシミュレーションしています。その結果を、現実に見つかっている隕石の種類の量や比率と一致するかどうかと比べて検証しています。
 3回の小惑星同士の衝突で、多くの隕石が由来することが分かってきました。詳細は次回としましょう。

・北海道の冬・
北海道は何度かの積雪やドカ雪もあり、
一気に秋から冬に突入しました。
白鳥も渡ってきて、
近所の田畑に朝夕、ねぐらから飛んできます。
しかし、まだ11月なので、
何度かの雪も、根雪とはならず、
溶けてしまいました。
そんな繰り返しが、
冬へと向かっていくのでしょう。
これから北海道は長い冬の季節となります。

・北九州の旅・
先週の北九州の旅は、
まったく初めてのところばかりで
非常に楽しかったのです。
関門海峡も初めて見ることができました。
人道トンネルも半分までですが
歩くことができました。
長男の予定があえば、
また車を出してくれるとのことです。
来年もまた、北九州を訪れたいと思いました。

2025年11月20日木曜日

5_214 隕石の由来 3:コンドライトの特徴

 隕石の由来を明らかにしたという論文がありました。そこで扱われている隕石は2種だけでした。その2種は、隕石の中でも重要で主要なタイプなので、それらの由来がわかることは、重要な情報となります。


 今回紹介している論文のタイトルにあったのは、Lコンドライトと炭素質コンドライトと呼ばれる2種類のコンドライトでした。コンドライトは、いずれも太陽系の初期にできたものでした。それぞれ、どのような種類で意味をもつのかを説明していきます。
 隕石の種類の中でもっとも多い種類は、コンドライトで、隕石全体の79.4%を占めています。そのため普通コンドライトと呼ばれています。普通コンドライトは、HコンドライトとLコンドライトに区分されています。その違いは、化学組成で鉄(Fe)の占める比率が大きいものをH(25〜31 重量%、以下wt%と略します)で、Lコンドライトが小さくなり(20~22wt%)、さらに小さいものをLLコンドライト(19~22wt%)と区分しています。普通コンドライトの内でHコンドライトの比率(47〜50%)と、Lコンドライト(40〜45%)が多く、LLコンドライト(10〜12%)は少なくなっています。Lコンドライトは、隕石全体の中でも35〜40%を占めているため、多く見つかる隕石だといえます。
 Lコンドライトは、ある程度の熱が加わった(熱変成作用を受けた)組織をもっていていますが、コンドリュールの組織が残っていることから、隕石できたときの組織が残っています。水などの揮発成分をあまり含んでいません。
 普通コンドライトは、熱変成作用を受けていますが、揮発性成分が含まれていませんので、太陽系でも太陽から離れた場が固化した可能性があります。ただし、揮発性成分はないので、熱変成で母天体形成時、もしくは形成後に抜けていく過程があったことになります。
 もうひとつの炭素質コンドライトの隕石に占める比率は、4.4%しかないので、かなり稀な種類となります。名前が示すように、炭素(C)を含んでいることが大きな特徴になります。他にも、有機物や水(H2O)などの揮発性成分を多く含んでいることから、母天体となった後、熱や圧力を受けることがなかったと考えられます。
 炭素質コンドライトにはCAI(Ca-Al-rich Inclusions CaとAlに富む包有物)とよばれる、白っぽい不定形のものがあります。CAIは高温で形成される鉱物からできており、太陽系を形成したガスが高温になったのち、最初に固体として凝縮した物質が含まれています。
 炭素質コンドライトは変成作用を受けることなく、炭素や有機物や太陽系でもっとも初期に固化した(始源的と呼ばれます)隕石です。炭素質コンドライトは、炭素、水、揮発成分、岩石、金属鉄など、現在の地球を形成するための成分がすべてそろっています。そのため、地球の材料ではないかとも考えられています。
 では、Lコンドライトと炭素質コンドライトの母天体を、どのようさぐったのか、次回としましょう。

・石ころの声・
隕石は、地球から見れば小さな石ころに過ぎません。
小さくても重要性を理解し、
それを読み取ることで、
石ころの声を聞くことができます。
小さな石ころは隕石だけでなく、
いろいろなところに、いろいろなものが
転がっています。
その声が聞こえれば、
もっと多くの声が聞こえ
地球の秘密が解き明かされることでしょう。
私たちは、まだまだ耳が聞こえてないようです。

・福岡山口の旅行・
福岡、山口の周辺に旅行にいきました。
長男が北九州に住んでいるので、
車を出してもらって、三人で
1泊2日の旅行を楽しみました。
これまではまったく訪れたことがないところで
行きたいところを楽しみました。
若い息子は、体力があるので、
あちこち盛りだくさんに
連れて行ってくれたのですが、
夫婦ともども少々疲れました。
特に妻が疲れているようなので
自宅でのんびりしてもらいましょう。

2025年11月13日木曜日

4_201 神戸:背後の山並みと眼前の海

 何度か神戸空港を利用したことがあるのですが、神戸の街は通り過ぎたことはあったのですが、散策するようなことはありませんでした。今回、時間をとって宿泊して、神戸を少し観光しました。


 京都に帰省したとき、行きは関西空港からでしたが、帰りは神戸空港から戻ることにしました。せっかくなので神戸の中心地、三ノ宮に宿泊することにしました。昼前について、神戸の街を歩くことにしました。まずは異人館を見ることにしました。ホテルの人に聞くと、近いところにあるけれど、坂道が厳しいとのことでした。循環バスがあるので、それを使うといいとアドバイスを受けました。駅前の停留所からバスでいくと、二停留所くらいの近さでしたが、さすがに坂道は厳しかったです。
 神戸の街は、南に海、北に六甲の山並みが迫っている狭い平地しかありません。六甲山地は、東側に高く(931m)、西に向かって低く(235m)なっていきますが、その間十数個の山頂をつなぐ、険しい山並みになっています。神戸の街からは見えませんが、六甲山地の後ろには山田川(志染川)を挟んで丹生(たんじょう)山地があります。神戸の北側には2つの山並みが並列しています。
 海側からみると、海岸沿いの低地、次に台地があり、その後ろには丘陵があり、さらに後ろには六甲山地の急斜面になります。これらの地形の違いは、地質を反映しています。
 丹生山地や六甲山地ができているのは、山側が上昇し、海側が沈降していることになります。100万年間に六甲山地側が100m隆起し、それにともなって海側は沈降したと考えられています。断層を境界にして、北側の上昇しているのですが、六甲山地の山並みを見ると、東の方がより高く上昇しています。100万年前の活動です。
 六甲山地は白亜紀の花崗岩(7500万年前)からできています。丘陵は、古第三紀の神戸層群(3500万年前)と呼ばれる地層からなります。神戸層群は、かつては淡水の大きな湖があり、「古神戸湖」と名づけられています。台地は、第四紀の大阪層群(200万年前から10数万年前)が分布しています。そして海側の低地に、もっとも新しい時代に堆積した地層(沖積層)からできています。その後、氷河期と間氷期の海面変動で、大阪層群に海岸段丘ができたと考えられます。
 六甲山地の斜面地に異人館がありました。三ノ宮の駅のある平地から登っていくのが、なかなか大変でした。循環バスを利用したので、アプローチは容易でした。異人館も多数あり、観光客が多く訪れていました。周辺には観光施設も多数あり、賑わっていました。
 異人館からの帰りは下りになっているので、歩いて帰ることしました。三ノ宮の繁華街について、商店街が広がっていました。知らない街を、久しぶりに、散策をしました。少々疲れましたが、知らない街を歩くは楽しいですね。

・初積雪・
わが町は、先週末に初雪となりました。
前日の午後から雨からミゾレ、
そしてアラレになり、夜には雪になりました。
翌朝には、積雪となっていました。
天気予報の通りでした。
前日に冬靴を用意していたので、
それを履いてきました。
ベチョベチョ雪でしたが、
いよいよ里も冬模様となってきました。
家の車は、先週のはじめに冬タイヤにしていたので
積雪に間にあいました。

・兵庫県南部地震・
1995年1月17日早朝に起こった兵庫県南部地震は
大きな被害がでて阪神・淡路大震災と呼ばれています
六甲・淡路島断層帯の活断層が運動でしたものです。
淡路島の野島断層のずれが
大きな揺れの原因となりました。
震度7が新設されて、
はじめて適用されたものでした。
それから30年以上がたちましたが、
三ノ宮の街は、そんな震災の影は感じませんでした。
もし機会があれば、
南京町やメリケン波止場なども
訪れたいですね。

2025年11月6日木曜日

4_200 伏見:地下水の恵み

 先日の帰省したとき、幼少の頃の思い出がある伏見を訪れました。伏見は造り酒屋で有名です。伏見で、なぜ酒造りが盛んになったか、地質学的理由があることを紹介していきましょう。


 10月下旬に帰省しとき、伏見を訪れました。幼い頃から馴染みがある町です。生まれた家から、もっとも近い「都会」だったので、親に連れられて、時々でかけていました。親にも伏見は、馴染みのある町でした。
 伏見は、京都盆地のやや南側に位置していて、南側にも盆地が続きます。北から流れてくる桂川、東から流れてくる宇治川、南から流れてくる木津川が合流して西に流れていく淀川になります。盆地の内に集まってきた河川を、西に流す地形に伏見があります。
 京都が盆地となっているのは、大きな地質学的な運動によるものです。フィリピン海プレートが沈み込んでいく時、ユーラシアプレートが推されて圧力がかかります。圧縮により、ユーラシアプレート側に断層が並行してできます。
 京都盆地では、西側には堅原断層や光明寺断層などの複数の西山断層帯ができ、東側には花折断層から桃山断層ができています。断層の外側が持ち上げられて、東と西側に南北に伸びる山並みができています。2つの山並みの間に、京都盆地ができています。断層運動は、第三紀末からはじまり、フィリピン海プレートが沈み込み中なので、現在も継続中です。大きな地質学的変動による断層でできたものを、構造盆地といいます。
 山地から流れる河川が盆地に入り込んで、水がたまり、湖ができます。京都では、この湖は「古琵琶湖」と呼ばれています。堆積物の分布から、現在の伊賀あたりにできてから、拡大と縮小を繰り返しながら北上し、京都盆地を形成して、現在の琵琶湖まで移動しました。これは、構造盆地の位置が、時間経過とともに移動していったことになります。
 盆地には、周辺に山並みあり、多数の河川が流れてくるため、堆積物がたまっていきます。200万年前にたまった地層は、大阪層群と呼ばれています。多くは淡水でたまったものなのですが、一部に海成の地層があることから、海が入ってきたことがわかっています。
 盆地の中で河川が集まっているところが伏見に当たり、地下水が豊富にでるところです。また、京都盆地の東の桃山や東山などの山地は、花崗岩からできています。花崗岩にはカリウムやカルシウムなどを多く含み、地下水にはそれらの成分が溶け込み中硬水となり、酒造りに適したものになります。伏見は、地質学的背景から酒造りに適した水が大量に手に入るため、醸造業に適した地となっていました。
 伏見は、稲荷神社だけでなく、造り酒屋が非常に有名で、観光客も多くきています。駅近くにある商店街は、地元の人を中心で賑わっていましたが、のんびりと散策できました。観光地から少し離れているので、思ったより観光客が少ないようです。ある店に入っておばさんと話していたら、造り酒屋への通り道でもあるので、それなりには外国人観光客も多数きているのとのことでした。

・幼少の思い出・
伏見には幼い頃の思い出あります。
父に連れられて訪れたのが伏見でした。
冬場、伏見で住み込みで働いていました。
父には、伏見には馴染みがり、
小さい私を連れて行ってくてのでしょう。
もうひとつは、叔母が伏見に暮らしていました。
そこに何度か訪れた記憶があります。
そんな古い記憶から、伏見を懐かしく思えます。

・紅葉・
北海道は秋が深まっています。
紅葉もだいぶ進み、もうそろそろ終わりそうです。
先日の爆弾低気圧で、
紅葉した葉がかなり散ってしまいました。
でも木によってまだ紅葉は残っています。
紅葉が残っているうち、
見どころに見にいこうと考えています。