2018年5月17日木曜日

3_167 核の姿 2:独立した証拠

 地球の核が金属の鉄でできている証拠には、どのようなものがあるのでしょうか。見たこともない地球内部の構成物を、どのようにして推定するでのしょうか。核の基礎知識編の続きとなります。

 核(コア)は地球の一番中心にあるもので、成分は金属の鉄からできていることがわかっています。とはいっても、だれも見たことがない地球深部のことです。どのようにして、鉄でできていることがわかるのでしょうか。その根拠を示していきましょう。
 地球内部を探る方法として、地震波を用いるものがあります。地震波には固体だけを伝わる波と、どんな物質でも伝わものがあります。地震波は、物質の性質により伝わる速度が違っています。その違いを詳しく調べて、内部を探る方法です。ひとつの地震で生じた地震波を、世界各地で観測し、詳細に解析していくとで、状態(固体か液体か)や、密度、温度などを、推定することができます。果物のスイカを叩いて中身の状態を確かめるようなものです。
 地震波の解析の結果、地球の中心部にはマントルよりもっと密度の大きく、温度の高い物質からできている核があることがわかりました。そのような物質は鉄に相当しています。同じ金属鉄でも、さらにその内部は、外側に液体の部分と、内側に固体の部分があることもわかりました。
 地球の外部からの証拠もあります。それは、隕石です。
 隕石は太陽系ができた頃の年代をもっています。隕石の中には、地球の材料となったと考えられるタイプ(コンドライト)のほかに、惑星の核を構成していたと考えられるタイプの鉄隕石もあります。鉄隕石は、金属の鉄からできています。これは他の石質隕石とはまったく違った構成物からできており、組織も違っています。さらに、核とマントルの境界にあったと考えられる石鉄隕石や、天体のマントルを構成していたと考えられるエイコンドライトと呼ばれる石質隕石もあります。
 惑星の核を構成してたものが、なぜ隕石として現在の惑星空間に存在しているのかは、なかなか難しい問題です。多分、太陽系の惑星形成の時期は、大量の材料物質があり、それらが非常に激しく衝突、合体していて、やがて微惑星ができ、さらに衝突、合体とともに、破壊もおこっていたようです。その激変は、非常に短い期間におこったと考えられます。各惑星軌道で残っているのは、軌道で最大の天体(惑星)だけとなり、周辺の材料物質はすべてその惑星に集まったことになります。
 しかしその当時の破片の一部が、今も小惑星帯に残っていて、隕石として時々地球に落ちてきているのです。
 このようないくつかの独立した証拠から、地球(他の惑星にも)の内部には金属の鉄からできた核があることが推定されています。そんな核について、新しい情報が出てきました。それは次回としましょう。

・エッセイの再編・
今回、メールの頭に掲載したのですが、
今後、「地球地学紀行」の項目は
今後新たに書かないことにしました。
それは、私が出しているもうひとつの月刊エッセイ
「大地を眺める」と内容が重複しているからです。
そしてどこかへ出かけた時のエッセイを
どちらで書こうか迷うこともあるので、
出かけた時のエッセイは、「大地を眺める」にまとめることにしました。

・南北の差・
もうゴールデンウィークが終わって10日ほどたちます。
西日本では夏日など暑い日が訪れているようですが、
北海道は涼して、自宅では1時間ほどですが、
ストーブを焚いたと家内がいっていました。
今でも時々短時間ですが
ストーブを焚くこともあるようです。
小さい日本列島ですが、
北と南ではだいぶ気候が違っているようです。