2014年7月17日木曜日

4_114 室戸岬2014 2:斑れい岩

 室戸岬のジオパークの面白さは、不思議な岩石がいろいろ見られることです。海岸沿いのきれいな露頭で、だれでも手軽に見ることができます。そんなポイントとして、不思議な斑れい岩があります。

 室戸岬では、付加体の典型的なタービダイトによる地層やその褶曲が見事さでもあるのですが、一番のメリットは、それが簡単に見られることです。タービダイト以外にも、まだまだ見どころがあります。その一つに、不思議なマグマの活動があります。
 海洋地殻が海嶺で形成されるとき、海底での火山活動、さらに下部にはマグマ溜まりがあり、深成岩や沈積岩などの多様な火成岩が形成されます。付加体には、そのうち海洋地殻上部にあたる火山岩の部分が、巻き込まれることがよくあります。
 火山岩より深部の火成岩が、付加体の中に持ち上げられることもあるのですが、そのようなものはオフィオライトと呼ばれます。付加体のオフィオライトは、沈み込む時に地質学的に激しい運動をして、断層として周りの岩石と接することになります。
 通常のマグマの活動では、地下のマグマが上昇した時、上のあった地層などとマグマが接することになります。そんなとき、マグマは冷たい岩石に接して、急冷して火山岩のように固まります。ただし、いったん急冷した岩石ができる、岩石は断熱性がいいので、内側のマグマはゆっくりと冷えていきます。このようにマグマが外の岩石に接したところだけが急に冷えた組織を「急冷縁」とよびます。マグマが、地層に貫入すると、境界部に急冷縁ができるのです。
 付加体のタービダイトによる地層は、沈み込み帯の陸側にたまります。一方、海嶺のマグマの活動場は、海洋プレートが形成されるところですから、ずっと遠くの海底ということになります。付加体では、陸のものと海のものが、激しい大地の営みが起こり、断層活動も盛んになります。ですから、生成場は全く違う火成岩とタービダイトの地層が断層で接していても、不思議なことではありません。
 ところが、室戸岬では、斑れい岩(深成岩)がタービダイトの地層の中に貫入しているのようすが、観察できます。斑れい岩が急冷縁をもっているのです。また、貫入されたタービダイトの地層は、マグマの熱に焼かれて変成岩(フォルンフェルスと呼ばれます)になっています。これは、なにを意味するのでしょうか。
 考えられることは、この斑れい岩のマグマは、タービダイトが形成されている場で活動して、貫入したということです。そこは、沈み込み帯の陸側になります。この活動は、海洋地殻やタービダイトの形成より、ずっと新しい時代のものであるはずです。
 斑れい岩から派生した火成岩(グラノファイヤーと呼ばれる岩石)の形成年代は、1440万年前(中期中新世)で、斑レイ岩もほぼ同じ年代にできたと考えられます。この年代は、まわりの地層の年代(前期中新世)より新しいものです。
 この室戸岬の斑れい岩は、非常に不思議な火成活動です。今までのプレートテクトニクスでは理解されにくいものです。でも事実ですから、認めるしかありません。室戸岬の斑れい岩は、海溝付近のマグマ活動でできたものです。
 問題は、今までのプレートテクトニクスの枠組みで、どのように考えるかということです。特別な仕組みですが、しばしばある活動でもあるようです。それは、別の機会にしましょう。

・台風一過・
北海道は台風の影響で少し雨が振り、
風も強まりましたが、
大きな被害はありませんでした。
その後は、風が少し残りましたが、
通常の夏空が広がりました。
いよいよ夏も盛りとなります。
皆さんも暑さには注意して下さい。
今週は1週間ほど母が来ています。
子どもの学園祭を見にいきます。
チャンスは今年と来年くらいしかなので、
なんとか見てほしいものです。
北海道が暑くなければいいのですが。

・緊急地震速報・
先日はじめて緊急地震速報を受信しました。
私のスマホと家内の携帯が次々との騒がしアラームがなり
緊急地震速報を伝えました。
家内は煮炊きの火をとめて、
私は、テーブルの下に入り、
テレビをニュースにしました。
緊急ニュースはながれ、苫小牧沖での地震だったようですが、
我が家はほほとんど揺れませんでした。
はじめての緊急地震速報でしたが
防災や避難のいい経験となりました。