2014年5月21日水曜日

1_126 最古の認定 4:検証終了

 ジルコン内で鉛が移動する可能性があることが指摘されていました。その危惧を回避するためには、古いジルコンで鉛の同位体がどう分布しているかを原子レベルで調べることが一番の確認となります。そんな検証がなされました。

 これまで、ジルコンを用いた年代測定の方法を述べてきました。そこで浮上してきた問題は、ジルコンの中で、形成後も鉛が移動することなく、保存されているかどうかというものでした。ウランやトリウムから放射壊変によって形成されてきた鉛が、長期間、移動することなくジルコンの中に留まっていることが、年代測定の精度を保証する条件となります。もし、鉛の移動があっても、ディスコーディアを形成するような履歴でなくてはなりません。
 ジルコンは、もともと鉛を含まない結晶です。鉱物として鉛が安定に存在する場所がないような結晶構造をしているのです。ですから、放射改変できた鉛が移動すると、年代測定値が変化してしまうことになります。鉛がある場所(収まりやすいところ)に移動しており、たまたまその部分を測定してしまうと、古い年代がでることもありえます。
 これに関する研究が、アメリカのバレリーたちが、2014年2月にNature Geoscienceという雑誌で報告しました。タイトルは、次のようなものでした。

 Hadean age for a post-magma-ocean zircon confirmed by atom-probe
tomography
(アトム・プローブ断層撮影によって確認されたマグマ・オーシャン後のジルコンの冥王代年代)

 アトム・プローブ断層撮影とは、元素の分布を3次元的に調べる装置で、ジルコン中の鉛の原子の収まっている位置を原子一個ごとに調べていくことができる装置です。
 バレリーたちは、このアトム・プローブ断層撮影を用いて、44億年前の年代を示しているジルコンを調べました。結晶内のある部分(クラスターと呼ばれています)の鉛の分布を調べました。範囲は10nm(ナノメートル、10億分1mのこと)で、奥行き10nmから50nmで調べられました。
 そんな微小なクラスターには、50個ほどの鉛原子がありました。クラスターの中では、207Pb/206Pb比が異常に高い比をもっていました。
 206Pbは238U(半減期44.68億年)からできたたもので、207Pbは235U(半減期7.038億年)からのものです。いずれもウランの崩壊で形成されるものです。なのに207Pbが異常に多くなっていました。
 これは、形成後、熱変成による変化を受けたことを示しています。ディスコーディアを形成するような熱変化の事件があったことを示しています。ですから、コンコーディアとの交点での年代は、形成年代をしていることになると考えられます。
 少々ややこしい論理ですが、原子レベルで古いジルコンの年代測定は、信頼性があるということを検証したことになります。今までは、なんとなくジルコンの年代が信じられていたのですが、この報告によって、鉛が動くのではないかという疑問、不安を取り除くことができました。地球最古の鉱物の年代が、44億0400万年前と確定したことになります。

・リラ冷え・
「リラ冷え」という言葉があります。
リラとはライラックのことです。
札幌では、先週末から「ライラック祭り」がはじまりました。
「リラ冷え」とは、ライラックの花が咲くころに、
冷え込みがあるということです。
まさにその通り、週末は寒かったです。
土、日曜日は、自宅ではストーブをたきました。
週明けには晴れて、心地良い春の天気になりました。

・高体連・
北海道では、一気に夏のスポーツの季節がはじまりました。
息子は、高体連で4日間も札幌市内の競技場に通います。
10km近く離れているのですが、自転車で通っています。
公共の交通機関がまだ動いていない時間帯に到着して、
準備するそうです。
以前は家内が送っていたのですが、
今年から自転車で行くことにしたそうです。
5時半に自宅をでるというで、
家内が弁当をつくるために、
私が起きる時間に、ばたばたしています。
朝の私のささやか安息の時間が、慌ただしく過ぎていきます。