2011年5月19日木曜日

3_96 温室効果:暗い太陽3

 過去の大気は、地球表層で風化や蒸発、沈殿などで形成された鉱物の種類である程度見積もることができます。それらの見積では、大気の温室効果は、暗い太陽を補うのは不十分だったようです。それも、ケタ違いに不足していたようです。

 時間と共に明るさを増してきた太陽光に対し、地球の平均気温がそれに呼応していたわけではないようです。このパラドクスは、大気中の温室効果ガスの濃度(正確には分圧といいます)の変化で、解決できると考えていました。しかし、その論理は、必ずしも完成していないものでもありました。2010年、暗い太陽のパラドクスに、ロージング(M. T. Rosing)らは挑戦しました。
 温室効果ガスとしては、水蒸気、二酸化炭素、メタン、エタン、アンモニアなどが考えられています。最近の地球温暖化問題では、二酸化炭素が重要であるとされています。暗い太陽のパラドクスでは、大気中の二酸化炭素が、昔は大量にあり温室効果が強く働いていて、時間と共に大気から取り除かれて温室効果が減少して、地表の温度変化を緩和していったとするものです。
 大気中の二酸化炭素の分圧を、過去の地質学的証拠から見積もる試みは以前からされていました。地質学的証拠として利用されてきたのは、古土壌(27.5億~22億年前)、砕屑物の風化帯(32億年前)、蒸発岩(35億と32億年前)などです。
 これらの鉱物のできる条件は、酸化鉄(FeO、Fe2O3)と珪酸(SiO2)、大気、海での平衡関係で考えることができます。成分で考えると、FeO-Fe2O3-SiO2-CO2-H2O系となります。このような系で、二酸化酸素の大気分圧を見積もるのに重要になるいくつか鉱物があります。表層の環境において、菱鉄鉱(りょうてっこう、sidereite、FeCO3)ができるか、できないか。あるいは鉄に富む層状珪酸塩ができるか、できないか。これらの形成条件が大気の状態を反映しています。
 検討の結果から導きだされた大気の二酸化炭素の分圧は、暗い太陽を補うには不十分であることがわかっています。ロージングらは、新たな試みとして、縞状鉄鉱層に着目しました。
 太古代末(20億年前ころ)に縞状鉄鉱層が大量に形成されています。鉄の酸化物としては、赤鉄鉱(hematite、Fe2O3)や磁鉄鉱(magnetite、Fe3O4)が形成されています。縞状鉄鉱層の磁鉄鉱に着目して、上のような系での鉱物の沈殿条件から、大気中の二酸化炭素の分圧を見積もると、現在の大気の3倍程度にしかなりませんでした。大量に二酸化炭素があったとは考えられないとしています。
 メタンもせいぜい二酸化炭素程度の分圧しかなかったと見積もられました。アンモニアも大気中では不安定であったと考えられています。ロージングらが新たに検討した縞状鉄鉱層からすると、どうも過去の大気の成分では、温室効果を充分起こせるほど多くはなかったようです。これは、古土壌などの見積りなどの先行研究と同じ結果になりました。二酸化炭素の分圧では暗い太陽を補えない、という証拠が新たに付け加わったことになります。
 現在の70から100倍ほどの二酸化炭素が必要となるのに、せいぜい3倍程度しか期待できないということです。では、冷たい地球を温めるにはどうするかというと、アルベドの値を低くするしかないようです。それは、次回としましょう。

・晴れない春・
北海道は、なかなかいい天気になりません。
朝、晴れたと思っても、午後には曇ったり、
朝曇って昼晴れて、夕方には雨と
移ろいやすい天気です。
なかなか気がはれません。
桜の季節は終わりそうですが、
なかなか春らしい陽気がきません。
春より前に夏がくるかもしれませんね。

・対処法・
大学には、20歳前後の若者が集まります。
日本のある世代における
その地域の平均的な若者が
ピックアップされているのかといえば、
必ずしもそうではありません。
大学へは入試をくぐり抜けて入学しますので、
学力的にある範囲が設定されます。
私立大学ともなれば、
授業料による保護者の経済力にも
ある一定の範囲が設定されます。
それらの範囲は時期、社会情勢によって変化してきます。
それらの変動を考慮に入れても、
この数年やはり大学生の属性は
変化してきているように見えます。
その変化は、なによるものでしょうか。
私の所属する学科が新設で
1期生から順番にみてきているので
その変動が見えやすのかもしれません。
不景気という経済的影響なのかもしれません。
全入時代による変化、大学のブランド力、
競争力などの変化かもしれません。
たとえ原因を見つけても
対処法が見つかることはありません。
教員は、ただただ精一杯、真摯に
学生に向かい合うことしかなにのでしょう。
この対処法は、今も昔も同じはずです。