2011年4月21日木曜日

5_92 遠ざかる光:最初の星3

 光の速度は、どんなところ、時代でも、不変(一定)です。しかし、光の波長や周波数は条件によって変わります。その変化を調べると、遠ざかる天体のスピードや時代も分かってきます。ただし、あまりにかすかな光で、見えない輝きです。それを感知するには、高度な装置が必要になります。

 最初の星は、見える光(可視光)で輝いていました。ところが、同じ星を地球からみても、見えない星になっています。見えない星の輝きが、見える光から、見えない光に変わったということです。波長が変化したことを意味しています。なぜ、波長の変化が起こったのでしょうか。
 ドプラー効果が起こったためです。ドプラー効果は、よく経験する馴染みある現象です。救急車やパトカーのサイレンの音が、こちらに向かってくるとき高くなり、通りすぎると低くなるという現象を経験したことがあると思います。これがドプラー効果です。音は、波長や周波数をもった波です。運動するものから発せられる波は、運動速度に応じたドプラー効果を受けます。聴く側の運動も関係するので、ドプラー効果とは相対速度に応じて波長が変るという現象といえます。
 電磁波である光も波ですから、同様のドプラー効果を受けます。ある星から出た光は、光のスピードで飛び出します。ご存知ように光のスピードは不変ですが、波長や周波数は、相対速度によって変化します。遠くの星は、昔に出た光です。もちろん遠くの星は暗くなります。
 遠くの星には、後退速度という効果が、私たちの宇宙では働きます。
 「後退速度」とは、光源(この場合最初の星)が、観察者(地球)から遠ざかっていく速度のことです。その速度に比例して光源から発せられる電磁波の波長が変化すること(偏移ともいいます)で、遠ざかる場合、波長は伸びます。可視光では、赤の波長の方に変化します。赤方偏移と呼ばれます。縮むときは青方偏移といいます。
 私たちの宇宙では、赤方偏移が観測されています。地球からみるとすべての天体は、遠ざかっている(後退している)ように見えることになります。赤方偏移は、宇宙が膨張しているためだと説明されています。光源のもともとの波長がわかれば、偏移の程度から後退の速度を計算することができます。遠くの銀河(昔の宇宙の姿)は、この方法で後退速度が決められ、宇宙の膨張の証拠とされました。
 今回の最初の星は、赤外線(正確には近赤外線)の波長領域までずれていました。ハッブル宇宙望遠鏡でも、通常の光学望遠鏡では観察することができず、新しく搭載された赤外線カメラではじめて確認されました。
 実際には遠く(宇宙の初期)の銀河が観測されました。銀河は、多数の星で構成されています。その銀河が宇宙の形成初期のもであるということは、第一世代と呼ばれる天体からできていたことになります。私たちの太陽のような天体は、まだありませんでした。その説明は、次回しましょう。

・震災・
地震の余震が、まだ続いています。
大きな余震も、1ヶ月たっても起こっています。
先日の余震は、北海道でも強くそして長く感じました。
教え子の中に東北出身者がいて、
親族に余震の被害にあった学生もいました。
また、巨大な揺れで、他地域の地震や
火山の活動も誘発されているようです。
なんといっても原発がまだ危険な状態のままです。
放射物質の放出が続いています。
震災はまだ続いています。
気を緩めずに状況を見守っていかなければなりません。

・春・
先週末は雪なりましたが、
少々遅れているようですが、
春は着実に来ています。
田畑の残雪も消えつつあります。
陽だまりでは、フキノトウやつくしも芽生え始めました。
北国にも遅い春が来ました。
大学も新入生を迎えました。
授業もはじまり、もう2週目になりました。
でも、今年の春には
なぜかウキウキ感は少ない気がします。
それは震災のせいでしょうかね。