2009年7月2日木曜日

3_75 特異な火山岩:コマチアイト1

 コマチアイトと呼ばれる岩石があります。以前、このエッセイもでも紹介したことがありますが、少々変わった石です。その変わった性質から、地球の仕組みを垣間見ることができます。コマチアイトは古い時代に活動した火山岩で、まるで過去を覗くための窓のようなものです。

コマチアイトという岩石があります。コマチアイトは、南アフリカ共和国バーバトン山地の南側を流れる、コマティ川の露頭から最初に見つかりました。川の名前にちなんで、コマチアイトと名づけられました。英語ではkomatiiteと書きます。
コマチアイトは、少々変わった岩石です。まれにしか見つからない岩石でもあるのですが、特異な成分と組織を持っている火山岩です。また、その火山は、限られた時代に特徴的に噴出しています。
コマチアイトは、残念ながら日本では、採取することができません。なぜなら、ほとんどのコマチアイトは、太古代(38億から40億年前)に活動した火山でだけみつかります。原生代にも見つかることがありますが、非常にまれになります。日本列島では、そのような古い岩石は分布しません。ですから、大陸地域で古い岩石が分布する地域でのみ、見つかります。コマチアイトは、太古代という非常に古い時代にだけ活動したマグマからできたのです。
コマチアイトは、放射状に長く伸びた針状の結晶がいっぱ集まってできています。この数cmにもなる結晶は、カンラン石が延びたもので、このような組織をスピニフェクスと呼んでいます。ただし、溶岩の内部にいくにしたがって、スピニフェクスは減ってきて、普通の火山岩の組織になります。
溶岩は外ほど急激に冷えます。通常、カンラン石が急に冷えると羽毛状の結晶になるのですが、ある種のマグマが急激に冷やされるとカンラン石の結晶が、このような針状になることがあります。スピニフェクス組織があることから、この岩石は、地上に噴出した火山岩であることがわかります。
カンラン石が、スピニフェクスのような組織ができるためには、マグマから最初の結晶としてカンラン石になる必要があります。大量のカンラン石ができるためには、カンラン石の主成分であるマグネシウム(Mg)がマグマにたくさん含まれていなければなりません。コマチアイトには、大量のマグネシウムを含んでいます。酸化マグネシウムに換算すると、重さで18%以上になります。通常の玄武岩では、せいぜい10%ほどにしかなりませんから、非常の多くのマグネシウムを含んだマグマからできたことになります。
コマチアイトは、他にも特異な化学成分を持ちます。マグネシウムが多いため、岩石の主成分である珪酸(SiO2)が少なく(40から45%程度)なり、また酸化カリウム(K2O)などのある共通の特徴をもった成分も少なくなっています。
その共通の特徴とはなんでしょうか。そもそも、このような特異な化学成分をもったマグマが、どうしてできたのでしょうか。なぜ、古い時代にだけできたのでしょうか。それに対する、新しい成果が昨年(2008年)10月にネイチャーという雑誌に報告されました。その詳細は、次回以降としましょう。

・ムンロタウン・
私がコマチアイトを見たのは、
カナダのケベック州のムンロタウン(Munro Town)
というところでした。
1982年8月に恩師の田崎先生と共に
コマチアイトを調査するためその地を訪れました。
廃坑になった鉱山の跡地を通り抜けたところに
小高い岩石の丘がありました。
その丘が、コマチアイトからできていました。
スピニフェクスの見事な組織が
岩石の表面に見えていました。
夢中になって調査していたのですが、
昼食の時間が過ぎました。
まわりには、野生のブルーベリーがいっぱいあったので、
先生と二人で昼食代わりに腹いっぱい食べました。
25年以上たった今でも、
そのときの記憶は鮮明に残っています。
調査のときにとった標本を
田崎先生は大切に保管されていました。
断面が磨かれた標本は、
お葬式のときに形見としていただきました。
そのコマチアイトの標本には
A2-3, Munro Town, Komatiite, Col. Taz. 1982.8
と書かれています。
この日付とメモと標本は、
私とって非常に大切な思い出となっています。

・日焼け・
いよいよ7月です。
北海道も夏になりました。
快晴の爽快な日が続いています。
北海道は、乾燥しているので、
日陰であれば、それほど暑くはありません。
先日の日曜日に、地区での一斉清掃がありました。
午前中に道路の草むしりをします。
お昼には、その慰労会でジンギスカンをします。
近くの公園でやるのですが、日陰がなく、
快晴の夏の太陽を浴びながらのジンギスカンでした。
ビールはうまいのですが、
汗がいっぱい出ます。
半ズボンで参加したら、
太ももが赤く日焼けしてしまいました。
心も、お腹も、体も、夏を満喫しました。