2007年3月22日木曜日

1_59 隕石の起源3:太陽系の創成を読む(2007.03.22)

 隕石に含まれている特殊な成分から、いろいろな情報が読み取られています。ほんの小さな石ころから、いろいろな情報が読み取られます。その一つに年齢があります。今回は隕石の年齢からわかることを紹介します。

 「放射性核種」というものをご存知でしょうか。放射性同位体とも呼ばれています。放射性とは、物質や元素が、放射能をもっているものを指します。同じ元素でも、放射能を持つものと持たないものがあります。同じ元素でも、原子の質量の違いがあり、放射能を持つものと持たないものを、区別することができます。その質量の違いを区別したものを、核種あるいは同位体と呼んでいます。
 放射能とは、ある核種から、なんらかの粒子、あるいは電磁波を出して、別の核種に変わるという性質です。ひとつ放射性核種を観察していたとすると、いつ別の核種に変るかは、定かではありません。しかし、同じ核種がたくさん集まっていれば、種類によって、その変化する時間は決まっていることがわかっています。
 その変化する時間を利用すれば、その放射性核種を持っている物質ができてから、どれくらい時間が経過したかが測定できます。変化する時間は、半減期(もとの核種が半分になる時間)などによって、示されています。
 核種によって、壊れるスピードがわかっていますから、できて間もないものは、半減期の短い放射性核種を、できてから長い時間たつものは、長い半減期のものを利用すれば、物質ができてからの年齢測定ができます。
 さて、隕石です。隕石にも放射性核種が含まれています。その核種の量の測定から、隕石が形成されてからの経過時間がわかります。ただし、隕石の年齢は、非常に古いために、半減期の長い放射性核種を選んで、測定しなければなりません。
 ほとんどの隕石の年齢は、約45.5億年前というものになっています。測定結果は、非常によい一致をします。隕石の年齢の一致は、太陽系で最初にできた物質が隕石で、固体物質はすべて同時にできたということを示しています。
 しかし、隕石を構成する粒子を、詳しく調べていくと、粒子ごとに形成年齢が若干違っていました。ほんの少しですが、測定誤差以上の違いとして、高温でできる粒子ほど古く、低温の粒子ほど新らしいことがわかってきました。
 このような年齢の違いは、何を意味しているのでしょうか。太陽系ができた当初は、すべての粒子が、気体のガス状になってしまうほど、熱い状態であったということです。これを、原始太陽系ガスと呼んでいます。その後、太陽系全体が冷めてきて、ガスから結晶ができはじめます。熱かったものから冷めてできるのですから、最初に高温で形成される結晶ができ、その後低温でできる結晶が出てきています。
 隕石の構成物のほんの少しの測定値の差から、このような太陽系誕生の物語が読み取られるのです。
 このように隕石を調べれば、太陽系の創成期の様子を探ることができます。隕石が、太陽系のすべての素材となり、集積して天体が形成されたことになります。ですから、隕石から、太陽系の天体の起源を探ることもできるのです。さらに、そのような隕石が今も落ちてくるということは、太陽系の創成時代のまま現在まで保存されている場として。小惑星帯があることがわかります。
 隕石は、太陽系の起源を知っている証人なのです。

・隕石不足・
隕石は、小さなひとかけらでも、非常に重要な意味を持ちます。
そして、読む側の能力さえがあれば、同じ隕石からでも、
いろいろな情報を読み取ることができます。
例えば、宇宙空間で形成される放射性核種で、
非常に半減期の短いものがあります。
そのような核種は、隕石が地球に落下してすぐに
測定しなければ、少なくて測定できなくなってしまいます。
しかし、その核種がなくなっても、
今度は半減期の長い核種を利用して
別の情報を読み取ることができます。
多数の核種があるために、一つの隕石からも
いろいろな情報を読み取ることができるのです。
ただ、問題は、多くの分析では、隕石を砕いたり、
溶かしてしまうことです。
そうなれば、その隕石から、他の情報を読み取ることはできません。
しかし、隕石は、今も落ちてきますし、
今まで探さなかったところから、大量に見つかったりもしています。
ですから、とりあえずは、隕石が不足するということはないはずです。
不足するころには、小惑星帯での探査や試料回収などが
行われているかもしれませんね。

・卒業・
現在、卒業式があちこちで行われています。
次男の幼稚園は15日に、長男の小学校は18日に、
私の大学は23日に行われます。
そして、今週で小・中・高校も終業となります。
いよいよ区切りの季節となりました。
新たな場、環境に向けて、多くの人たちが旅立ちます。
残っている人も、新しい人たちを迎えることになります。
そんな4月には、桜が似合います。
でも、北海道の4月はまだ春浅く、
桜は新天地になれたころとなります。