2006年8月17日木曜日

3_47 マントルの水3:水が納まる

 いよいよ、大谷さんたちの研究の成果の核心部になります。マントル深部に、水が存在する可能性を示していきます。


 2006年1月12日号のイギリスの科学雑誌ネイチャーに、「地球上部マントル最下部での含水メルトの安定性」が発表されました。分かりやすくいうと、マントル深部に水を含んだマグマ溜まりが、安定に存在することが、わかったということです。マグマ溜まりとマントルの水とに、どのような関係があるのでしょうか。見ていきましょう。
 今までエッセイで述べてきたように、上部マントルと下部マントルの境界は、遷移層とよばれ、深度400~670kmあたりにあります。遷移層では、地震波による観測から、密度変化による不連続な面があることがわかっています。その密度変化は、岩石の高温高圧実験から、カンラン石がより高密度の結晶に変化するためだと考えられています。
 さらに地震波の観測から、遷移層には、液体状物質がある可能性が示されてきました。
 一方、岩石の高温高圧実験から、新たなことも分かりました。
 カンラン石が遷移層で変わる結晶は、地下410kmでスピネル構造(β相)をもった結晶(ウォズレアイトと呼ばれます)に変わり、520kmaで別のスピネル構造(γ相)の結晶(リングウッダイト)に変わります。
 これらウォズレアイトとリングウッダイトの結晶を詳しく調べていくと、水をたくさん取り込める構造をもっていることがわかってきました。ですから、遷移層に水が持ち込まれれば、水の納まるところはあるのです。遷移層に水があることにあれば、その量は膨大なものとなります。
 注意が必要なのですが、ここでいっている水とは、私たちが普段目にする流れる水があるのではありません。結晶の中に取り込まれた状態もので、H2Oや水酸基(OH)という分子状ものをいいます。ですから、地震波で予想された液体は、H2Oの水ではありません。遷移層に、たとえH2Oがあっても、結晶の中に取り込まれているわけですから、液体にはなりません。では、その液体とは何でしょうか。
 一番の候補として考えられていたのが、岩石が溶けたマグマです。マグマであれば、地球深部にあっても不思議ではありません。では、マグマであることを、どうすれば証明することができるでしょうか。
 証明すべきことは、マグマができること、マグマが遷移層に留まれること、遷移層に水があることです。
 岩石の高温高圧実験から、遷移層の温度圧力で、条件さえ整えれば、マントルの中でマグマを形成することはできることがわかっています。その条件とは水があることです。上でも述べましたように、水は遷移層の結晶に入ることができます。水さえ遷移層にあれば、話は上手くつながります。
 後の証明は、次回としましょう。

・お盆・
お盆が終わりました。
皆さんは、お盆をどうのように過ごされたでしょうか。
北海道も8月上旬の暑さから開放され、
風さえあれば過ごしやすい状態になりました。
私は、相変わらずの日々です。
お盆の間は、大学の生協がしまっているのと、暑いので、
昼前まで研究室で仕事をして、午後は自宅にました。
ただし、13、14日は天気いいので、昼食を森で食べました。
食後はひと時、のんびりしました。
子供は虫取り、家内は読書、私は撮影をしていました。
15日の午前中は、北海道大学の博物館で開催されている
モンゴルの恐竜展を見学に行きました。
17日からは平常どおりの仕事となります。
さて、成績の締め切りが迫ってきました。
急いで整理していきましょう。

・パソコンの不調・
最近自宅で使っているパソコンの調子が悪く、
フォーマットをしなおしました。
するとネットワークにつながりません。
非常に不便をしています。
大学に持ってきてもネットワークにつながらなくなりました。
また、メイラーも新しいもの変えたら、
またこれが不調で、同じメールを永遠に受信します。
どうしたことでしょうか。訳が分かりません。
明日からは、計算機センターも開くので、助っ人を頼みましょう。