2005年8月4日木曜日

2_41 進化論の進化4:進化論の更なる進化

 「進化論の進化」のシリーズも、いよいよ最後です。今回は、進化論が現在直面している問題点と今後の展望を見ていきましょう。

 遺伝子はDNAの分子配列によって決まりました。DNAの変化が子孫に伝わることが進化のメカニズムの核心でした。しかし、そのような分子レベルの変化が生物の進化を生み出すことに、どうしても賛成できない研究者もいます。
 との一つが、生物とは、DNAのような生物に内在するも要因ではなく、個体が集まった集団、グループが一斉に変化していくという考えに立つものです。
 例えば、フランスの生物学者のラマルクは(1744~1829)、ダーウィンと同時代に生きたい人で、早い時期に進化説と唱えました。だた、ダーウィンの進化論とは違っていまし。進化は、環境によって成長に影響を与え、身体が変化し、その後天的に得た変化(獲得形質といいます)が子孫に伝わるという考えでした。この説は、用不用説とも呼ばれています。ラマルクの進化論は、ある個体が獲得した形質がどのように遺伝するかが説明できないため、批判され、認められることはありませんでした。いくつかの実験結果から、この説を裏付ける証拠が得られたのですが、現在では、その実験の信憑性が疑われています。それに、後天的に得た形質を、どのように子孫に遺伝させるかが、解決されていません。
 この考えの延長線上に、前に話した定向進化説があります。今西錦司(1902~1992)の唱える進化論(今西進化論と呼ばれます)があります。今西は、カゲロウの研究から、棲む環境が異なると多くの種が同時に、異なる形態をした種になっているという「棲み分け」という現象を見つけました。この棲み分けから、環境に適合するために形態を進化させるという進化論が生まれました。この説は、総合説のようなゆっくりとした進化ではなく、急激な進化が必要になるため、対立します。しかし、今西の説は、どのようなシステムで進化が起こるのかが解明されていないため広まりませんでした。
 もう一つの大きな反論は、大進化を一番よく見ている研究者からのものです。総合説は種分化のような小規模な進化には適用できても、今までにない新しいタイプの種や大進化には適応できないという反論です。
 この考え方は、古生物学の分野から出てきました。1972年に発表されたエルドリッジとグールドとの断続平衡説と呼ばれるものです。比較的短期間(断続的に)に爆発的な種の分化がおこり、あとは長期の安定期(平衡状態)が続くという考え方です。その根拠は、中間種的な化石が極めて少ないこと、大量絶滅などの環境の激変の後に新しい形質の爆発的な出現すること、が挙げられています。これはなかなか手ごわい反論ですが、まだ決着はみていません。
 次なる反論は、ダーウィンの進化論では進化が連続的に起こりますが、非連続的な進化の実例が見つかってきたことです。それも、生物の進化における重要な局面においてです。
 それは、マーギュリスが唱えた細胞共生説というものです。真核生物のミトコンドリアや葉緑体、鞭毛など、生物において重要な器官が、別の単細胞生物が共生することによってできたものだという考えです。これは、自然選択とはまったく違った方法で進化が起こるというとことを示しました。高等動物でも、微生物やウイルスの遺伝子に影響を受けている可能性があります。現在では、この説が正しいことが証明されています。そして、このような影響も、進化の過程にはあったことが、総合説でも受け入れられています。
 分子レベルの研究からも反論が出てきました。それは、木村資生が唱えた中立説というものです。中立説によると、分子レベルの進化は、突然変異と遺伝的浮動(定常的に起こっている変化)によって説明でき、分子が環境とは無関係に進化するというものです。この説は、分子レベルの議論を中心にした総合説は、衝撃を与えました。しかし、現在では、重要な遺伝子にかかわる分子の進化は、自然選択によって抑制されることがわかってきました。そのため、現在では総合説と矛盾しないと考えられています。
 いくつかの反論は、総合説に取り入れられました。また、科学の進歩によって、分子レベルでみた総合説の教義(ドグマ)と考えられていた、DNA→RNA→たんぱく質へという遺伝情報の流れが、逆転写現象の発見によって崩れ去りました。総合説自身の研究からも、変化を求められています。
 上で述べたように、まだまだ、白黒のついていない問題も残されています。まだ、進化論は完成していないのです。新しい知識をとりいれた、よりより進化論が必要なのでしょう。まだまだ進化論は進化していきそうです。

・世の常・
今年は、7月下旬から北海道は天気が悪い日が多いようです。
雨でなくても、湿気も多く蒸し暑い日が多いです。
それでも本州の暑さに比べればましなのですが、
北海道の涼を求めてこられている人には、
期待はずれのような気がするのでしょうね。
でも、これも北海道です。
北海道の夏は、涼しいことは涼しいのですが、
盛夏ともなれば暑い日もあります。
蒸し暑い日だってあります。
砂漠にだって雨が降ることだってあります。
一般論はあったとしても、
ある個別にみれば、それなりの変化があるのです。
これは世の常でもあります。

・停電・
夕方から雷が鳴っていたのですが、
雨で夜は涼しいので窓を閉め切っていました。
まして、テレビをつけていると外の音はあまり聞こえません。
その夜、数分ほどでしたが、停電がありました。
私も子供も寝ていたので、騒ぎはしませんでした。
程なく停電は回復しました。
回復してから時計を見ると家内が
まだ起きている時間なので、さぞかしあわてていたことでしょう。
朝起きたら、あちこちの電化製品がリセットされていました。
常時電気をつけていると、便利なこともあるのですが、
非常事態には不便なものです。
この街に引っ越して4年目ですが、停電は初めてのことでした。