2004年2月19日木曜日

2_34 氷河期と人類

 生命が、地球外の原因によっても絶滅にいたるものとして、「太陽の輝きの変化」と「隕石の衝突」について話をしました。今回は、天体の運動についてです。

 地球は自転をし、月は地球の周りを巡り、地球も太陽の周りを公転しています。しかし、それぞれの運動はきれいな円運動ではなく楕円(だえん)運動です。その楕円運動も、ほかの惑星の影響を受けます。この影響は小さいものなので、気づきにくいのですが、長い時間の間に周期的な変化が起こります。これを最初に考えたのは、ユーゴスラビアのミランコビッチ(M. Milankovitch)でした。
 ミランコビッチは、3つの運動による組み合わせを考えました。際差運動、離心率の変化、章動(しょうどう)の3つです。
 コマが首を振りながら回転することがあるように、地球も首を振りながら自転しています。この首振り運動を歳差運動といいます。地球の歳差運動は、地球の公転の方向とは逆に移動しています。地球の自転の歳差は2万6000年の周期を持っています。歳差があると、地球がもっとも太陽に近づくときの季節が地域によって変わってきます。
 離心率とは、地球の公転軌道が円から楕円へどの程度ズレているかということです。この離心率は一定ではなく、周期的に変化しています。その周期は約10万年です。地球の公転軌道でもっとも離心率の大きいときに、地球が太陽から離れた位置にいくと、太陽からの日射量が大きく変化します。それは、太陽の日射量は太陽と地球の距離の2乗に逆比例するからです。離心率が最大のときは、太陽に一番近い時(近日点)と一番遠いとき(遠日点)のときの日射量は、30%も変化します。
 章動とは、自転軸(地軸)の傾きの周期的変化のことです。現在地軸は23.5度ですが、21.5度から24.5度の間を変化してしています。その周期は4万年だとされています。傾きが小さいと季節変化は小さく、大きいと季節の変化も大きくなります。
 このミランコビッチの周期性(ミランコビッチ・サイクル)には、歳差が2万6000年、離心率が約10万年、章動が4万年というものがありました。そして、そのすべては、太陽の日射量の変化がおこることが予想されます。日射量の変化は、地球の表面の温度を大きく変化させます。ミランコビッチ・サイクルは、現在、起こっていることです。詳しい観測をすれば、複雑な周期性でしょうが、正確に求めることはできるでしょう。その結果、温暖化と寒冷化がくり返し起こることが予想されます。
 ミランコビッチ自身は、緯度10度ごとに100万年前まで、この周期性を計算してみました。そして、氷河期と間氷期が起こることを説明しました。仮説ですが、かなり有力な説です。過去に向かっても、未来に向かってもその計算をされています。しかし、その精度は定かでありません。
 ミランコビッチ・サイクルと前々回に説明した「暗い太陽のパラドック」は違う原因の基づいた日射量の変化です。そしてそれぞれ地球環境にどれほどの変化を与えるかは十分解明されていません。ミランコビッチ・サイクル自身も、地球ができてからいろいろと変化しているかもしれません。今後の課題でしょう。
 氷河期は、陸上生物にとっては大きな環境変化となります。寒さ対策や食料調達をするすべを持たなくてはなりません。短期間であれば、冬眠で冬を乗り切ることも可能でしょう。でも、氷河期となると、何世代にわたって寒さを乗り切る能力を持ったものでないと、生き残れません。寒さを乗り切る能力のないものは、数を減らし、やがては絶滅していったのでしょう。
 そんな中に裸のサルもいました。裸のサルは寒さ対策を、他の生物を皮を身にまとったり、火を使うことで乗り切りました。食糧不足を道具を使うことで乗り切りました。そして、そのすべては知恵の基づいていました。寒さはさらに知恵を要求しました。そんな要求を満たすことができたのが、絶滅を免れた私たちの祖先でした。

・多様性・
生命のたくましさをたどるシリーズは今回で終了です。
どうも書いていると、地球の大絶滅のシリーズと似てきてました。
かなり意識して違うように書こうとしたのですが、
事件がダブっているせいか、どうしても似た内容となってしまいました。
申し訳ないです。
でも、一応終わりとなりました。
生命のたくましさを書くつもりが、
どうも生命は、か弱く、偶然、なんとか生き残った
のではないかという気もしました。
そのか弱さや偶然を生み出したのは、
生命全体が持つ多様性です。
多様性によって、大変な事態の生じたときに
誰かが生き残れたのです。
どうして生き残っていたのか不思議なほどの苛酷な環境の変化さえ、
多様性によって生き延びてきました。
生命のたくましさの秘訣は、多様性なのでしょう。
ですから、多様性を狭めるような行為は自殺行為でしょう。
農業、牧畜どれも多様化を狭めてないかという不安がしてきました。
多様性を守ることは大切です。
でも、どのようにはするかは、それこそ知恵の見せ所でしょう。

・風邪・
我が家が、次男、家内が結局風邪を引き、
私は少し症状が出ました無事乗り切り、
長男は少々鼻水を流しましたが大丈夫でした。
まだまだ風邪は、はやっています。
私の風邪対策は、基本的には体力を維持することです。
1 可能な限り通勤で歩くこと(片道40分)。
2 バランスのよい食事。
3 よく寝ること。
1と3は、なんとかなるのですが、2が難しいです。
朝型ですから、早朝一人で起きて、
一人で冷蔵庫にあるものや、残り物を食べて朝食としてます。
昼は大学の生協食堂で食べますから、
バランスの良いものを食べるよう心がけています。
夜は子供中心の食事ですから、
なかなか思うようにバランスがとれません。
でも、家内が一応気を配ってくれているのですが。
あまりいうと起こられそうです。
皆さんも風邪には注意してください。