2021年5月27日木曜日

6_184 地球外生命 2:メディオクリティの仮定

 遠く存在で、その実態を知りたい時、身近なものを手本にして、類推していく方法があります。その類推は、正しさが保証されるものではありません。しかし、現状では知り得ないものを探る便利な方法です。


 ありふれたもの、特別なものがなにもないものの原理や規則性、特徴を、不明のものに適用していく方法を、「メディオクリティの仮定」といいます。前回紹介した生命誕生や生命進化の条件として、ハビタブルゾーンやゴルディロックスゾーンは、地球や太陽系を当たり前として、メディオクリティの仮定を適用していたことになります。

 メディオクリティの仮定を適用することには、科学的根拠はありません。なにも手がかりがない時、デタラメに探したり、総当たりで検討するよりは、見つけやすくなります。そんな研究があります。

 現在知られている、太陽系に最も近い恒星のプロキシマ・ケンタウリがあります。太陽系から約4.2光年の距離にあります。私たちの太陽系は主系列星と呼ばれるごくありふれた恒星でが、このプロキシマ・ケンタウリは、太陽の10%ほどの質量しかありません。太陽の表面温度は約6000度ほどですが、プロキシマ・ケンタウリは2800度しかありません。赤色矮星と呼ばれています。

 この恒星には、惑星プロキシマb(プロキシマ・ケンタウリbとも呼ばれることもあります)が見つかっています。地球よりやや大きいのですが、恒星のかなり近くを一周11日で公転しています。恒星の近くを公転している天体は、恒星との潮汐力によって、公転と自転が一致していく、「潮汐ロック」という現象が起こっていると考えられます。その結果、プロキシマbは、恒星に常に同じ面を向けていると考えられます。私たちの太陽や地球とは非常に異なった条件の恒星系になります。

 さらに、プロキシマ・ケンタウリは、強いフレアが度々発生していることがわかっています。恒星の近くでは、強力な紫外線が照射されることになりそうです。そんな恒星や惑星に、メディオクリティの仮定など適用できるのでしょうか。

 どんな恒星系であっても、その条件が明らかになれば、ハビタブルゾーンが設定できます。そこに惑星があれば、初期的な条件を満たすことになります。プロキシマbは、そのハビタブルゾーンにあります。ただし、通常のハビタブルゾーンではありません。潮汐ロックされた惑星では、常に夕方の地域、明け方の地域ができます。潮汐ロックのおかげで、安定したゴルディロックスゾーンが出現するかもしれません。

 それを確かめるために、地球の気候モデルをメディオクリティの仮定をつかって、プロキシマbに適応するという検討がされています。その内容は、次回にしましょう。


・潮汐ロック・

2つの天体がお互いの周りを回っている時、

天体の最も近い面と最も遠い面が、

引力で引っ張られて、膨らみ変形します。

地球では、月によって潮の満ち引きが起こり、

固体の地殻も変形しています。

これのようは変形を起こす力を、潮汐力といいます。

この潮汐力が働き続けていると、

質量の小さい天体の自転と公転が

一致するという現象がおこります。

月が常に地球に同じ面を向けているのも

潮汐ロックによるものです。

多くの天体の関係で潮汐ロックは起こっています。


・人間の考え方の癖・

このエッセイでは、メディオクリティの仮定と呼びましたが、

似た考え方はいろいろなところにあります。

統計学では、ベイズ統計があります。

科学では、斉一説もこの考え方を利用しています。

さらに進めれば、科学では、すべて仮説を立てて、

それを検証ていくという「仮説演繹法」を用いています。

仮説演繹法もメディオクリティの仮説も

共通した考え方を用いています。

多くの科学では、似たような考え方を用いています。

これは、人間の考え方の癖かもしれませんね。

2021年5月13日木曜日

1_194 カーニアン多雨事象 6:ランゲリア洪水玄武岩

 層状チャートの研究から、多雨が起こり、それが生物の大絶滅、種の誕生、海洋無酸素事件などの連鎖が見えてきました。さらに、同時代のパンサラッサでのLIPsを通じて、連鎖は続いていきます。


 北アメリカの西部に分布しているランゲリア洪水玄武岩について紹介していきます。

 ランゲリア洪水玄武岩の「洪水」と「玄武岩」という言葉は、水と岩石なので液体と固体ですから、関連づきにくい言葉です。この両者が結びきが、ランゲリア洪水玄武岩の意味することがわかってきます。

 玄武岩は火山岩ですから、マグマからできたものです。玄武岩マグマは、マグマの中でも、もっとも粘性が小さいので、「さらさら」と流れます。「さらさら」といいましたが、水よりは粘性が大きのですが、水のように流れる性質を持っています。

 「さらさら」のマグマが大量に噴出すると、マグマが洪水のように流れていきます。マグマは冷えれば岩石になるので、噴出孔の周辺に大量に、そして広大な地域で玄武岩が広がっていくことになります。マグマの量が多ければ、広い高原状となっていき、台地玄武岩とも呼ばれます。

 インドのデカン高原は、デカントラップと呼ばれる洪水玄武岩が、アメリカのワシントン州やオレゴン州に広がるコロンビア洪水玄武岩などが有名です。「洪水玄武岩」と名称がつけられるようなマグマの活動は、前回紹介したLIPsによるものが多く、その時代の地球環境に影響を与えることもありえます。ランゲリア洪水玄武岩の影響が、今回のカーニアン多雨事象を引き起こしたと考えられています。

 ランゲリア洪水玄武岩は、北アメリカ大陸の西部に分布しています。パンサラッサの海洋プレートが、アメリカ大陸に沈み込んだことで、形成された付加体の中に大量に見つかっている玄武岩類になります。同時期のカーニアン期の火成活動で似た産状をもった玄武岩が、今回調査された層状チャートが属している秩父累帯の南帯(三宝山帯)の玄武岩類にあたります。この帯の玄武岩は、海洋プレートの沈み込みによって形成された日本列島の付加体になります。

 同時代に似た機構で大陸に付加した玄武岩は、秩父帯だけでなく北上帯から北海道の渡島帯、そして極東ロシアのタウハ帯にまで断続的に連続していきます。これらすべては、パンサラッサの海洋プレートの沈み込みで付加体として形成されたものだと考えられています。3000 kmにわたって分布している長大な玄武岩帯になります。

 これらの極東地域の玄武岩帯と北アメリカ大陸のランゲリア洪水玄武岩は、分かれて分布していますが、プレート活動によって分裂してしまったためだとされています。もともとはパンサラッサ海でひとつのLIPsから形成されたと考えています。さらに著者らは、日本からロシアにかけて連続する玄武岩類と、北アメリカ大陸のランゲリア洪水玄武岩も、超海洋パンサラサ海の同一のLIPsの活動で、カーニアン多雨事象を起こしたのではないかと推定しています。

 日本の小さな露頭のチャートの中のコノドントや化学成分から、大胆な推定が生まれてきました。もちろん、今後も議論も必要ですが、足元の石ころから、過去の地球のダイナミズムが垣間見えます。


・デカントラップ・

デカントラップのトラップとは

スウェーデン語の階段を意味するそうです。

この地域観が階段状の丘から名付けられたそうです。

デカン高原を生み出したマグマです。

デカントラップのLIPsは白亜紀末に活動しているため、

恐竜の大絶滅でも重要な役割を果たしていました。

一見関係にない現象や岩石が、

関連しあっていくのも不思議ですが、

それを解明していくことが科学の醍醐味ですね。


・のんびりと・

ゴールデンウィークの1週間は、

北海道のひっそりとした田舎町で

夫婦でのんびりと過ごしました。

2年前にもいったところでしたが、

昨年もその地域に行く予定をしていたのですが、

COVID19のために中止をしました。

今回は、なんとかでかけることができました。

何もないところですが、私には快適なところです。

午前中にブラブラして、午後には温泉に入って

買い物をして、宿泊所でのんびりとしました。

道内には、しばらく滞在したくなるような

私好みの地域がいくつかあります。

しかし、希望の季節に長期滞在でき

自炊できるような手頃なところとなると

そうそうは見つかりません。

その数少ない地域で過ごしました。

2021年5月6日木曜日

1_193 カーニアン多雨事象 5:年代の一致

 今回の報告では、カーニアン多雨事象の時代を正確に決めるために、層状チャート以外で、コノドントと有機炭素同位体層序を用いていました。それはどのような方法でしょうか。


 カーニアン多雨事象の仮説で重要なのは、事象と火山活動の年代が一致するかどうかでした。それをいくつかの方法で決定しています。その方法としては、コノドントと有機炭素同位体層序でした。その概要を紹介しましょう。

 コノドントとは、リン酸塩鉱物からできた1mm程度の歯の形をした化石で、海で堆積した地層からたくさん見つかっていました。最初のころはどんな生物かは不明でしたが、最近では原始的な脊椎動物の化石であることがわかっています。カンブリア紀から三畳紀末まで見つかっていますが、突然姿を消します。

 リン酸塩鉱物は丈夫なので、化石として残りやすくなります。また、コノドントは、時代ごとの形態の変化が大きいことから、示準化石として年代決定に使えました。どんな生物かわからなくても、利用されていました。今でも、その方法は有効です。坂祝のチャート中のコノドントから求めた年代も、カーニアン多雨事象の時期と一致しました。

 もうひとつの有機炭素同位体層序は、聞き慣れない言葉です。有機炭素とは、生物が作り出した有機物を構成している炭素のことです。炭素の同位体組成とは、同位体比(12C/13C)のことです。最後の層序という言葉は、連続した地層のことです。

 層序ごとの同位体比の変化が、世界各地で調べられており、時代ごとに同じパターンを示すことが知られています。そのパターンを年代測定に利用するという方法です。この方法は、化石のない堆積物の年代を決定するために用いられています。坂祝のチャート中の有機炭素同位体層序でも、時期が一致することがわかりました。

 層状チャートのオスニウム同位体組成から海洋にまで及ぶ火山活動があったこと、カーニアン多雨事象の年代が、層状チャートのいくつかの方法での年代が一致したことがわかってきました。以上のことから、大陸の巨大な火山活動が、カーニアン多雨事象の時期に起こったことになります。カーニアン多雨事象の原因は、巨大火山活動による可能性が高くなってきました。

 火成活動の時期に、パンサラッサやテチス海など全地球の海洋へ及ぶ海洋無酸素事変、生物大絶滅、重要な生物種の誕生とも一致していました。


・LIPs・

今回で、このシリースを終わる予定をしていたのですが、

ランゲリア洪水玄武岩について

詳しく紹介していないかったことに気づきました。

ランゲリア洪水玄武岩は、

巨大火成岩岩石区と呼ばれるもので、

英語のLarge igneous provincesを略して

LIPsと表記されことが多いようです。

次回は、このランゲリア洪水玄武岩の意味することを

考えていくことにしましょう。


・予約配信・

ゴールデンウィーク中は不在につき

このメールマガジンは、予約配信しています。

なぜ不在かは、前回のメールで紹介しています。

このメールを読まれている頃には

私は、もう日常生活に戻っていると思います。

調査の内容については、機会があれば紹介します。

2021年4月29日木曜日

1_192 カーニアン多雨事象 4:海洋無酸素事変

 三畳紀の地球では、大きな大陸のパンゲアと大きな海洋のパンサラッサに分かれていました。そんな時期に、多雨事象が起こっていました。その多雨は海洋にも大きな影響を与えたようです。


 今回話題にしている「カーニアン期」は、2億3700万年前から2億2700万年前の時代でした。この時期に、世界各地で、湿潤な(雨が多い)気候であったことは知られていました。イギリスの地質学者は、このうち200万年間で激しい雨が降った時期があり、それを「カーニアン多雨事象(CPE: Carnian Pluvial Episode)」と呼びました。カーニアン多雨事象は、初期カーニアン期(ジュリアンと呼ばれています)に起こっています。

 その時期には、海洋生物の絶滅とともに、石灰質の殻をもったプランクトンや現代型の造礁サンゴも誕生しています。陸上では、恐竜の多様化や哺乳類も誕生しています。カーニアン多雨事象の時期は、生物進化に重要だったようです。

 多雨事象の原因として、北アメリカの西部で「ランゲリア洪水玄武岩」の火山活動が考えられていました。ランゲリア洪水玄武岩は、アラスカ、ユーコン、ブリティッシュコロンビアの海岸沿いに、点々と分布する付加体中の玄武岩としてあります。全体として、巨大な玄武岩の火山地帯になっています。その影響は、世界的に広がったと考えられています。

 問題は、火山活動の時代と多雨事象とが、年代として一致していたかどうかが不明な点でした。

 今回の報告に用いられたのは、岐阜県坂祝(さかほぎ)、木曽川の河原に露出している層状チャートでした。層状チャートの年代は、カーニアン前期ものです。坂祝の層状チャートが堆積したのは、当時もっとも広い海洋(パンサラッサと呼ばれています)の赤道付近だったと考えられています。

 坂祝の層状チャートのオスミウム同位体組成は、低い値がでした。オスニウム同位体比が低いのは、マントル物質の特徴に一致します。そこから、いろいろ推測してされていきます。

 層状チャートでマントルの特徴を持つということは、マントル由来の物質が地球全体、もしくは坂祝の層状チャートが堆積したいパンサラッサに持ち込まれたことになります。当時の地球の陸と海の分布は、超大陸パンゲアと大きな海パンサラッサという状態でした。パンサラッサに火山物質が広がるには、大規模な火山活動が起こったいてことになります。

 活発な火山活動とともに、海洋では無酸素事変も起こっていることもわかっています。無酸素事変とは、海水中の酸素が極度に少なくなったり、なくなったりする異変です。無酸素事変という海洋環境の変化により、生態系に大きな変化(大絶滅)を起こしたと考えられています。

 層状チャートで、色が黒っぽくなったり、チャートの堆積がなくなり黒っぽい粘土層になったりしています。チャートの赤は酸化された鉄の色で、チャートの欠如はプランクトンの大絶滅を意味しています。これは、無酸素事変によるものだと考えられています。

 この時期の海洋無酸素事変は、パンサラッサだけでなく、別の内湾域であったテシス海でも見つかっています。テチス海では、黒色頁岩や有機物に富む堆積物が堆積しています。黒色頁岩や有機物が分解されずに地層に残ったということです。その原因は、海洋底で酸素の供給がなくなっていた可能性があります。

 全地球の広域で、無酸素事変が起こっていたと考えられます。このような海洋無酸素事変は、これまで何度か起こったことがわかっていますが、その原因については確定していません。

 カーニアン多雨事象の研究では、年代を正確に決定されていませんでした。年代決定を正確におこなうことが重要で、この報告ではコノドントと有機炭素同位体層序という方法を用いて、年代のチェックされています。その詳細は次回としましょう。


・桜の花・

今年は暖かくて、北海道でも1週ほど

桜の開花が早くなっています。

日本各地の感染拡大地域では、

花見の自粛も強いられています。

花を見るだけならいいのでしょうが、

花の下での密集や宴会が

感染拡大を起こすことになるのでしょう。

田舎では人出がないところもあり、

そこではひっそりの身内だけで

花を愛でることもできるでしょう。

私も、人気のないところで花見をしようと考えています。


・待避旅行・

ゴールデンウィークに入りました。

幸い私の街は、感染拡大地域ではないので外出も可能です。

田舎にしばらく待避しようと考えています。

1週間ほど家内も一緒に滞在します。

その時、少し調査もしようと考えています。

1年半ぶりの野外になります。

まあ、家族での待避旅行でもあるので、

のんびりしてこようと考えています。

2021年4月22日木曜日

1_191 カーニアン多雨事象 3:層状チャート

 カーニアン多雨事象の検証に用いられたのは、層状チャートと呼ばれる岩石でした。層状チャートは、どのようにできたのか。層状チャートのオスニウムの同位体組成を調べると、どんなことがわかるのでしょうか。


 前回は、オスニウムがマントルに多く含まれており、大陸地殻にはほとんど含まれていないこと、オスニウム同位体組成を調べると量にかかわりなく由来をわかる、ということを紹介しました。

 報告には海洋の素材として、層状チャートが用いられていました。層状チャートとは、どのようなものかをみていきましょう。

 層状チャートは、淡い青色から灰色や、赤色がかっていることもあります。多くは10cmほどの層が繰り返されています。層は珪質の硬い部分(チャート)が厚くなっており、間に1cmに満たない薄い粘土の層が挟まれています。ときに層は、激しく曲がっていることがあります。

 日本列島では各地に見られますが、多くはブロック状になっています。ただし、そのサイズが地形図で示されるほど大きいときもあるので、一見通常の地層に見えることもあります。ただし、通常の土砂が固まった地層と比べると、かなり特異なものになっています。

 厚い珪質(チャート)の部分と薄い粘土(ほんとんど挟まなこともあります)の繰り返しという、特徴的な構成物からできています。珪質のチャートの部分で、再結晶をしていない場合には、小さい化石が見えることがあります。通常は、非常に小さい化石なのでなかなか見ることはできませんが、珪質部が化石の集まりになっていることが特徴です。

 チャートを化学的処理をする方法があり、多くの化石を取り出せます。化石は、海洋に住んでいるプランクトンで、珪質の殻をもった放散虫です。放散虫は動物性プランクトンなので、植物性プラントンを餌にしています。放散虫の殻の成分は、海水に溶けている成分や他の生物(植物性プランクトン)から取り込んだものです。放散虫もその殻も、海洋由来の成分からできていることになります。

 プランクトンが死ぬと、遺骸は沈んでいきます。遺骸の沈んでいく様子が、マリンスノーと呼ばれる現象です。沈みながらプランクトンの体の有機物は分解されていき、海洋底では時間が経てば、硬い殻の部分だけが残ります。珪質殻だけが溜まったものが珪質粘土と呼ばれています。赤道付近の海洋底で、広く、厚く堆積していることが、深海掘削調査でわかっています。

 この厚い珪質粘土が固まったものが、チャートとなります。放散虫は、カンブリア紀から現在まで生きている生物種なので、形態の変化を利用して、時代区分に利用されています。陸上の層状チャートは、放散虫化石から時代決定でき、古い時代ものであることがわかります。

 層状チャートは、形成された時代の海洋の化学成分の特徴を反映していることになります。また、前回紹介したように、オスニウムは、大陸には稀で、マントルに含まれている成分でした。マントルの成分が海に来ることはあるのでしょうか。それが、マントルに由来するマグマが形成され、それが火山噴火すれば、地表にもたらされます。また、オスニウムの同位体組成を調べれた由来も確認できます。

 海洋のプランクトンに取り込まれるような火山活動があれば、そればどんなものでしょうか。次回としましょう。


・春の嵐・

先週末の土曜の午後から月曜まで、

北海道は嵐になっていました。

週末の土曜の午後から日曜までどこにもいかず、

自宅でじっとしていました。

外が荒れていると思いましたが、

気になりませんでした。

ところが、月曜の早朝、歩いてくるときは、

風が強く、雨も時おり激しく降りました。

風がずっと強く、傘を横にむけて歩いてきました。

しかし、ずぼんがしっとりと濡れました。

久しぶりの雨による春の嵐でした。


・講義はじまりの時期は・

大学の講義がはじまって、2週目になります。

しかし、先週末が履修登録の締切だったので、

1回目の課題が締め切りが終わっているので、

それを再度、提出可能にして、

誰でもが課題が提出できるようにしました。

最初の頃は、いろいろトラブルがあります。

今週以降は、通常状態になるはずなのですが・・・

2021年4月15日木曜日

1_190 カーニアン多雨事象 2:オスニウム同位体

 後期三畳紀のカーニアン期に雨が多かったという報告がありました。海洋のオスニウム同位体を用いて調べているとのことでした。オスニウム同位体とは、どのようなものでしょうか。


 「カーニアン多雨事象」では、オスニウム同位体がキーワードになっていることは、前回、紹介しました。今回は、そのオスニウム同位体についてみていきましょう。

 オスニウムは、Osという原子記号で、周期律表では6列目にある原子番号76です。オスニウムの左側(質量数の小さい側)にレニウム(Re)が、右側にイリジウム(Ir)があります。これらは、白金(プラチナ、Pt)の近くにあり、化学的挙動も似ているので、白金族(5列目にRe、Rh、Pdが、6列目がOs、Ir、Ptが属する)に区分されています。

 地球化学的に考えると、金属で「鉄(Fe)」と挙動を共にしやすい元素です。地球化学的に考えるとは、地球を構成している元素で、量の多いもので、重要な化学的指標になるものを中心に見ていくことになります。ですから、鉄が移動、濃集しているところに、オスニウムも移動、濃集することになります。

 オスニウムには質量数が、184、186、187、188、189、190、192の7つの同位体があります。同位体とは、原子番号は同じで、質量数が異なっているものです。オスニウム同位体の組成は、188Os/187Osの比のことを意味します。岩石中のオスニウム同位体組成を調べて、その由来を調べる方法です。ただし、含有量は、それを同位体組成で比べると、量に左右されることなく、由来の違いを検討できます。

 オスニウムは、地球化学的に鉄と挙動を共にしますので、地球中心部の核(コア)やマントルの多く含まれていますが、大陸地殻の岩石にはほとんど含まれていません。白亜紀と古第三紀の時代境界(K-Pg境界)で、恐竜の大絶滅を示す根拠となったイリジウム(Ir)と同じ白金属です。

 オスニウム同位体による研究方法は、共同研究者の佐藤さんたちが、すでに確立され、利用されているものです。以前「2_141 三畳紀の大絶滅 4:層状チャート」(2016.11.17)で紹介しました。時代境界で、隕石の証拠となる小さな金属粒(宇宙塵)を見つけています。その時、岩石のオスニウムの同位体組成を調べて、隕石の根拠としていました。

 今回は、隕石の証拠ではなく、海洋の特徴を調べようとするものです。そのため、海の素材を入手しなければなりません。過去の海水は、手に入らないので、それに変わるものを用意しなければなりません。その素材とはなんでしょうか。海洋と密接な関係をもった岩石を調べることで、海の特徴を調べることになります。それは、その時代にできた層状チャートでした。層状チャートは、深海底で堆積したものだとされています。

 層状チャートが、海の特徴をどう反映しているのでしょうか。次回としましょう。


・芽吹き・

先週は、北海道は寒波に襲われて雪が降りました。

週末には暖かくなったので、

今週には春の陽気が戻ってきました。

週末に我が家の車も、

冬タイヤから、夏タイヤに交換しました。

このまま暖かい日が続くと、

春の芽吹きが、一気にはじまりそうです。

森の中を散策したくなります。


・講義開始・

大学は新年度になり、各地で講義もはじまりました。

多くの大学でも同じだと思いますが、

対面授業と遠隔授業が混在していると思います。

ただし、対面授業もあるので、

キャンパスで学生たちが多数みられます。

生協の購買や食堂も賑わっています。

私も、半分は対面講義なので

学生の顔を見ながら講義ができるのはありがたいですね。

以前まで、それが当たり前だったのですが

それがなくなることで、

はじめて重要性、大切さを思い出せますね。

2021年4月8日木曜日

1_189 カーニアン多雨事象 1:時代区分

 今回から、新しいシリーズになります。「カーニアン多雨事象」という聞き慣れない言葉がテーマとなります。カーニアンとは、地質時代の区分名です。そこで起こった事件です。時代区分から紹介していきましょう。


 今回のエッセイは、熊本大学の大学院生の冨松さんと九州大学、海洋研究開発機構(JAMSTEC)などの共同研究による報告をもとにしています。「全地球惑星変化」(Global and Planetary Change)の2020年11月に掲載されました。タイトルは、

Marine osmium isotope record during the Carnian “pluvial episode” (Late Triassic) in the pelagic Panthalassa Ocean

(パンサラッサ海のカーニアン「多雨事変」(後期三畳紀)における海洋のオスニウム同位体の記録)

というものでした。

 この報告で、キーワードとなるのは、「カーニアン多雨事象」と呼ばれる現象(事象)とオスニウム同位体です。

 「多雨事象」とは、雨の多い気象現象で、「カーニアン」という聞き慣れない固有名詞がついたものです。カーニアンというは、時代名称です。この時代名称を時代区分について概要を紹介しておきましょう。

 時代区分は、さまざまな階層でおこなわれています。例えば、中生代や白亜紀などは、有名なので聞いたことがあると思います。専門的には他にも、いろいろな時代区分が用いられています。もっとも大きな時代区分の階層としては、隠生代と顕生代があります。隠生代は生物が隠れている時代、顕生代は生物が顕(あらわ)れる時代という意味です。隠生代は、冥王代、太古代、原生代に、顕生代は古生代と中生代、新生代に区分されます。「代」というのをよく聞くのですが、これはかなり大きな時代区分となります。

 次に「代」より下位の区分を、中生代を取り上げて考えていきましょう。中生代は、三畳紀、ジュラ紀、白亜紀に分けられます。「代」と次は、「紀」という区分になっています。三畳紀は、さらに前期、中期、後期に分けられていますが、まだ正式名称は確定していませんが、正式に区分名がつけられたら、「世」が付きます。後期は、カーニアン期、ノーリアン期、レーティアン期に区分されます。「期」がこの階層には付きます。

 さらに細分は続きますが、今回のテーマに用いられている「カーニアン期」は、この階層にあります。年代では、2億3700万年前から2億2700万年前になります。

 この時代に雨の多い気象現象が起こっていたということです。多雨の現象がこの時期に起こっていたことは、以前から知られていました。しかし、その原因がよくわかっていませんでした。今回の論文は、カーニアン期の多雨事象の原因を、海洋のオスニウムの同位体の記録から検討したというものです。オスニウムの同位体については、次回にしましょう。


・新学期・

いよいよ学校では、新学期がはじります。

我が大学では、4月1日の入学式から6日まで、

短期間でガイダンスがおこなわれます。

そして、7日からは、授業がはじまります。

今年度も、遠隔授業が混在した状態でのスタートです。

在学生や教職員は馴れてきたのですが、

新入生は戸惑うはずです。

ガイダンスも、対面は最小限にされているので、

十分な準備ができないままではないでしょうか。

遠隔授業も充分理解できずに、

スタートする新入生もいると思います。

新生活の不安の上に、

遠隔授業の不安も重なのではないでしょうか。

案ずるより産むが易しであればいいのですが。


・野外調査の再開・

学内の競争的研究費が採択されました。

今年こそは、野外調査を再開したいと考えています。

ただし、今年度は、道内を中心にしています。

5月下旬から出かける予定をしています。

コロナ感染の第4波が起こりそうで、

少々心配ですが、行政の指示に従いながら

判断していこうと考えています。