2021年4月22日木曜日

1_191 カーニアン多雨事象 3:層状チャート

 カーニアン多雨事象の検証に用いられたのは、層状チャートと呼ばれる岩石でした。層状チャートは、どのようにできたのか。層状チャートのオスニウムの同位体組成を調べると、どんなことがわかるのでしょうか。


 前回は、オスニウムがマントルに多く含まれており、大陸地殻にはほとんど含まれていないこと、オスニウム同位体組成を調べると量にかかわりなく由来をわかる、ということを紹介しました。

 報告には海洋の素材として、層状チャートが用いられていました。層状チャートとは、どのようなものかをみていきましょう。

 層状チャートは、淡い青色から灰色や、赤色がかっていることもあります。多くは10cmほどの層が繰り返されています。層は珪質の硬い部分(チャート)が厚くなっており、間に1cmに満たない薄い粘土の層が挟まれています。ときに層は、激しく曲がっていることがあります。

 日本列島では各地に見られますが、多くはブロック状になっています。ただし、そのサイズが地形図で示されるほど大きいときもあるので、一見通常の地層に見えることもあります。ただし、通常の土砂が固まった地層と比べると、かなり特異なものになっています。

 厚い珪質(チャート)の部分と薄い粘土(ほんとんど挟まなこともあります)の繰り返しという、特徴的な構成物からできています。珪質のチャートの部分で、再結晶をしていない場合には、小さい化石が見えることがあります。通常は、非常に小さい化石なのでなかなか見ることはできませんが、珪質部が化石の集まりになっていることが特徴です。

 チャートを化学的処理をする方法があり、多くの化石を取り出せます。化石は、海洋に住んでいるプランクトンで、珪質の殻をもった放散虫です。放散虫は動物性プランクトンなので、植物性プラントンを餌にしています。放散虫の殻の成分は、海水に溶けている成分や他の生物(植物性プランクトン)から取り込んだものです。放散虫もその殻も、海洋由来の成分からできていることになります。

 プランクトンが死ぬと、遺骸は沈んでいきます。遺骸の沈んでいく様子が、マリンスノーと呼ばれる現象です。沈みながらプランクトンの体の有機物は分解されていき、海洋底では時間が経てば、硬い殻の部分だけが残ります。珪質殻だけが溜まったものが珪質粘土と呼ばれています。赤道付近の海洋底で、広く、厚く堆積していることが、深海掘削調査でわかっています。

 この厚い珪質粘土が固まったものが、チャートとなります。放散虫は、カンブリア紀から現在まで生きている生物種なので、形態の変化を利用して、時代区分に利用されています。陸上の層状チャートは、放散虫化石から時代決定でき、古い時代ものであることがわかります。

 層状チャートは、形成された時代の海洋の化学成分の特徴を反映していることになります。また、前回紹介したように、オスニウムは、大陸には稀で、マントルに含まれている成分でした。マントルの成分が海に来ることはあるのでしょうか。それが、マントルに由来するマグマが形成され、それが火山噴火すれば、地表にもたらされます。また、オスニウムの同位体組成を調べれた由来も確認できます。

 海洋のプランクトンに取り込まれるような火山活動があれば、そればどんなものでしょうか。次回としましょう。


・春の嵐・

先週末の土曜の午後から月曜まで、

北海道は嵐になっていました。

週末の土曜の午後から日曜までどこにもいかず、

自宅でじっとしていました。

外が荒れていると思いましたが、

気になりませんでした。

ところが、月曜の早朝、歩いてくるときは、

風が強く、雨も時おり激しく降りました。

風がずっと強く、傘を横にむけて歩いてきました。

しかし、ずぼんがしっとりと濡れました。

久しぶりの雨による春の嵐でした。


・講義はじまりの時期は・

大学の講義がはじまって、2週目になります。

しかし、先週末が履修登録の締切だったので、

1回目の課題が締め切りが終わっているので、

それを再度、提出可能にして、

誰でもが課題が提出できるようにしました。

最初の頃は、いろいろトラブルがあります。

今週以降は、通常状態になるはずなのですが・・・