次の論文は、新しいものです。全球凍結時に残されていた海水温を推定したものです。その時代の海水をどこで見つけ、どのように推定していったのでしょうか。そして、海水温はどのような温度だったのでしょうか。
もうひとつ、新しい論文を紹介します。これは、2026年のNature Communications誌に掲載されたLuさんたちの共同研究での報告です。
Extremely cold ocean temperatures in iron formation brine pools of snowball Earth
(全球凍結の鉄鉱層の塩水プールにおける極めて冷たい海水温)
というタイトルでした。この論文では、全球凍結時の海水の温度を推定しています。
全球凍結時の海水を調べるには、その時代の海水の手に入れなければなりません。ただし、過去の海水は残っていないので、海水と密接に関係した地層を見つけ、そこから温度を推定していくことになります。
原生代後期(クライオジェニアン紀 Cryogenian 7億2000万から6億3500万年前)には、鉄鉱層(Cryogenian Iron Formation CIFと略されています)が広く分布していことが知られています。鉄鉱層は、海水に溶けていた鉄イオンが条件変化によって化学的に沈殿してできました。全球凍結時、海洋はすべて凍結していたので、海氷に下に残っていた海水の状態を調べること素材となります。これが、タイトルの「全球凍結の鉄鉱層」の意味です。
鉄鉱層は、主に菱鉄鉱(シデライト、FeCO3)や赤鉄鉱(Fe2O3)などの鉄鉱物が沈殿してできています。酸素の多い環境では、Fe3+が赤鉄鉱として沈殿し、酸素が少ないとFe2+が多くなり菱鉄鉱が沈殿します。氷床下の海洋がFe2+が多く、還元的な状態であったことになります。これは、全球凍結によって海面に海氷ができ、光合成ができず、還元的環境になり、Fe2+が増えていったと考えられます。
水温は、鉄鉱層を構成している鉄鉱物の同位体組成から推定されました。一般に、溶液と沈殿した結晶(鉱物)の間の同位体比の差を調べることで、結晶が形成されたときの温度を逆算できます。結晶が沈殿するときは、温度が低いほど、軽い同位体のほうが取り込まれやすくなります。このような変化を同位体分別といいます。この性質を利用して計算したものを、同位体温度計と呼んでいます。
【軽い同位体/重い同位体】という比を取ることで、温度が低いほどこの値が高くなります。標準の試料と試料の値の比(比)の1からのズレ(偏差)を計算します。ズレの桁によって、100分率(% パーセントで表す)、1000分率(‰ パーミル)、1万分率(ε イプシロン)などで表します。
鉄には主に54Feと56Feの安定同位体があります。海水から鉄イオンから、鉄鉱物が沈殿するときは、温度が低いほど、軽い同位体(54Fe)のほうが取り込まれやすくなります。鉄の場合は、偏差を1000分率(‰)にしたδ56Feは、温度が低いほど高くなります。
今回測定された鉄鉱層のδ56Feは、+0.94‰と非常の高い値となり、そこから-15.0±7℃という低い温度が計算されました。つまり、鉄鉱層を沈殿させた海水温が-15℃であったということを意味します。
通常の海水はマイナス1.9℃ほどで凍ります。ところが、非常に塩分濃度の高い塩水(ブライン brine)では、凍ることなく液体の状態が維持できます。そのような海水がプール状にあることで、鉄鉱層が沈殿したと考えられます。これがタイトルの後半「塩水プールにおける極めて冷たい海水温」の意味するところです。
このプールの存在は、別の大きな意味ももっています。それは次回としましょう。
・後期の準備・
大学では、来週から後期がはじまります。
後期は、前期とは別のキャンパスでの講義です。
これまでいた馴染みのあるところです。
ところが、退職してからは、
組織体制に伴い部署の改編があり
部屋も大幅な配置替えがありました。
そのため、非常勤講師の部屋や
仕組みも変更になっています。
新しい体制になってから一度もいっていないので
一週間前に一度訪れて、様子を見がてら
レジメの印刷をしておこうと考えています。
・不調の改善・
術後の調子がまだよくないので、
先日医者にいって、薬を処方してもらい
それを飲んだら一気に楽になりました。
不調が残っていますが
体調がだいぶ楽になりました。
ところが、数日して薬が合わないことがわかってきました。
再度診察を受けることにします。
まだ無理はできませんね。