2026年3月19日木曜日

5_217 恐竜の卵の殻の年代測定 1:相対と絶対

 過去の地層や岩石で年代測定できて、地質時代が決まります。正確な年代測定は技術の進歩により、精度が上がってきました。しかし難しい素材もあります。まずは、どのような年代測定の方法があるのかをみていきましょう。


 時代区分は地質学において重要な基礎情報になります。そのために、地層や岩石、化石の年代を決めていく必要があります。岩石や地層、化石などの年代を調べる方法には、相対年代と絶対年代があります。それそれの概要をみてきましょう。
 相対年代とは、地層の上下関係を用いて、形成時代の新旧を決めていく方法です。多数の地層の連なりでは、非常に詳細な前後関係を決めることができます。離れた地域の地層であっても、同時期に堆積したとわかる根拠があれば、それを同時代層(鍵層と呼びます)として、それぞれの地域を対比して、地層で新旧を決めることができます。同時期の堆積物として、火山灰がよく使われています。
 時代のわかっている化石があれば、地層の時代を決めることができ、鍵層と同じ役割を果たせます。このような化石を「示準化石」と呼びます。示準化石となるには、時代が確定しているだけでなく、広く分布し、たくさん見つかること、種の出現、繁栄、絶滅ができるだけ短い期間であること(進化速度が速い)、種としての見分けやすい特徴をもつことなどが必要になります。
 海洋底の堆積物、あるいはそれらが陸上に持ち上げられた地層(層状チャート、深海底堆積物など)では、微小の化石ですが、大量に集まっているので、非常に詳細な時代区分がなされています。目で見えるサイズの示準化石であれば、野外調査の最中でも、即座に時代を決定することができ、非常に手軽な方法となります。
 しかし、相対年代は、どれだけ詳細な時代区分ができたとしても、新旧という定性的な区分になります。定量化された年代ではないので、鍵層のない他地域の地層とは比較できません。また、示準化石に頼ると、化石の見つからない地層や時代(カンブリア紀以前)には使えません。また、化石を含まない火成岩や変成岩では利用できな方法です。他の方法が必要になります。
 絶対年代と呼ばれる方法があります。これは、放射性元素を用いた年代測定で、定量的な値として「今から◯◯年前」と求められます。時代や地域(地球外であっても)を問うことなく、年代値を決めることができます。放射性核種の半減期(崩壊定数)を利用しているので、一定の速度で崩壊していくので、非常に正確な時を刻みます。
 ただし、その岩石や鉱物、物質など(以下では鉱物と呼ばます)ができた時、均質に放射性核種が含まれていて、外部との元素交換がない状態(閉鎖系と呼ばれます)で保存されてなければなりません。その鉱物が閉鎖系になっていても、その鉱物が経てきた年代にふさわしい半減期で、放射性核種またはその崩壊でできた核種が正確に測定できる技術と量がなければなりません。このような条件を満たした時、正確な年代測定が可能になります。
 相対年代も絶対年代も、いずれにも長所短所があり、現在では、両者が組み合わせて利用されています。その集大成として、国際体的(国際地質科学連合IUGSの国際層序委員会ICS)によって、国際年代層序表が作成されています。ほぼ、すべての年代境界の基準となる地層と年代値が決まってきました。
 どのような地層や化石でも、年代測定ができるかというとそうではありません。例えば、化石で直接、絶対年代を測定しようとしてもうまくいかないことがほとんどです。しかし、今回、化石の卵の殻を用いて、正確な年代測定できるという報告がありました。その紹介は次回から。

・新しい日常・
少しずつ新しい日常の組み立ています。
書斎、パソコン関係、プリンターや
ネットワークのセットアップなどが
ほぼ整ってきました。
日々の早朝の散歩のルートを考え
GPSによる距離と時間のチェックも進めて
ルーティンをつくってきました。
あれこれと整備してきました。
書棚の本の入れ替え以外は
ほぼ整ってきました。
今後も継続的に調整を加えていくのですが
新しい日常がやっと整ってきました。

・カラープリンター・
自宅に置きっぱなしにしていた
カラープリンターを自宅で
2年半ぶりに動かしました。
するとインクがかすれて
きれいな印刷ができませんでした。
いろいろやったのですが、だめでした。
メーカーに相談したら、修理は可能だが、
それにかかる費用が後継機種の購入費の方が
安いことがわかりました。
カラープリンターは必要なので
新機種導入をして、セットアップしました。
新品なので快調です。

2026年3月12日木曜日

3_236 大絶滅を起こした隕石 9:稀な衝突

 K-Pg境界で衝突したのは、C型小天体でした。他の時代の衝突の天体を調べたところ、一般的なS型小天体でした。C型小天体の衝突は稀であることがわかりました。しかし、大絶滅との関係は今後の課題です。


 この論文では、他のいくつかの時代の衝突事件の天体のルテニウム組成とも比較しています。太古代から顕生代に渡る35億年前から3600万年前の8つの衝突事件で検討しています。
 古い順でみていくと、太古代の35億~32億年前のボーリングコアで見つかった南アフリカのBARB5-SL2、CT3-1-SL9、CT3-2-SL13の地層の試料です。この地層は、衝突で飛び散った粒子(顆粒、spherule)からできたものです。顕生代では、衝突構造をもったところから、クリアーウォーター東(Clearwater East、カナダ)で4億6000万年前のボーリングコア、ブレンド(Brent、カナダ)の4億5280±2700万年前のボーリングコア、ロチェチョート(Rochechouart、ロシア)の2億0100±200万年前の露頭、モロクェング(Morokweng、南アフリカ)の1億4600±16万年前のボーリングコア、ポピガイ(Popigai、ロシア)で3663万±92万年前の露頭の5つの試料を集め、同位体組成が分析されました。
 これらのルテニウム同位体組成から、すべてS型小惑星に由来する衝突であることがわかりました。
 S型小惑星とは、岩石(ケイ酸塩鉱物からできている)を中心として、金属(鉄やニッケルの合金鉱物)も含んでいるもので、隕石ではもっとも多くある石質隕石と呼ばれるタイプになります。「はやぶさ」が調査した「イトカワ」もこのタイプになります。
 S型小惑星は、小惑星帯にも多くあるのですが、「地球近傍小天体」と呼ばれるものを主に構成しています。地球近傍小惑星とは、もともとは小惑星帯にありました。小惑星帯には多数の小惑星があるため、小惑星同士がぶつかったり、接近して軌道が変わったりすることも起こります。その現象によって、太陽に向かう軌道をとり、地球の公転軌道を横切るような軌道をもった天体をいいます。そのような軌道をもった天体は、地球に衝突する確率が高くなります。地球に落下していくる隕石の多くは、地球近傍小惑星に由来すると考えられています。
 以上のことから、これまで衝突した小天体は、S型で、地球近傍小惑星に由来していることがわかります。ところが、K-Pg境界の衝突は、木星より外縁に由来した、C型小惑星によるイベントであったことになります。大きな衝突は度々おこっているのですが、K-Pg境界の衝突だけが、特殊な天体であったことになります。
 サイズは小さく、頻度は少ないですが、C型小惑星に由来する炭素質隕石の落下は起こっており、隕石もそれなりに見つかっています。稀な炭素質隕石が衝突したことと、大絶滅との関係は不明です。大絶滅との因果関係の有無が今後の課題でしょう。

・朝の散歩・
大学の研究室を退室して、
新しい日常を構築するために、
日々、試行錯誤しています。
これまでのように早朝に起きて
一人で朝食を摂ってから
散歩をすることにしました。
大学に向かう必要がないので、
あちこち、気の向いたコースをとっています。
今後どのようなコースをルーティンにするのか。
それともルーティンなど決めないのか。
試行錯誤しながら、考えていこうと思っています。

・まずは使えるよう・
書斎の片付けは、まずは、仕事道具のパソコンや
日常に的に使用していう機材を
セットアップし終わりました。
使用頻度小さい、
スキャナーやペンタブレットなどは
使う時にセットアップしようと考えています。
一番の問題は、とりあえず書棚に入れた書籍類が
バラバラになっており、整理されていないことです。
これをなんとかしたいのですが、
これも、必要になった時に、
おいおいと進めていこうと考えています。
とりあえず使えるようにすることが優先です。

2026年3月5日木曜日

3_235 大絶滅を起こした隕石 8:炭素質型小惑星

 K-Pg境界の地層のルテニウムの同位体組成から、衝突天体は、炭素質型小惑星という結論をだしています。その根拠はどのようなものなのでしょうか。少し詳しく紹介していきましょう。


 前回、衝突天体が、炭素質型小惑星だったということを紹介しました。ルテニウムの同位体組成を根拠に決定したのですが、その詳細を見ていきましょう。
 フィッシャー・ゲッデらは、K-Pg境界に濃集しているルテニウムの同位体組成を、高精度に分析していきました。同位体組成の測定は、精度を上げるために、101Ruの値を分母にして100Ruとの同位体比でおこなわれます。その値を、比較するときは、違いが小さいために、ある基準にされている物質(標準試料)と比較した値でおこなわれます。
 標準試料としては、南アフリカのブッシュベルド(Bushveld)クロミタイト(UG2と呼ばれます)を用いられています。試料でえられた値(比)を、標準試料の値(比)で割った値(比)として規格化していきます。この値は小さいので、1万倍(1万分率)して示されます。このような比率はε100Ru(イプシロン)として表します。ほかにも1000倍にするパーミル(‰)、100倍したものは馴染みのあるパーセント(%)などの表示法があります。
 隕石でも、新たにルテニウム同位体組成を高精度に測定してε100Ruを求めています。分析された隕石としては、炭素質コンドライト、エンスタタイト・コンドライト、普通コンドライト、鉄隕石でした。その結果、K-Pg境界の試料は、炭素質コンドライトに非常に似ていることが明らかになりました。
 次に、論文タイトルにあった炭素質型小惑星についてです。炭素質型小惑星は、小惑星をスペクトル分析によって区分されたものです。スペクトル分析とは、光(天体の場合は太陽光)が天体に当たったとき、表面の物質によって、吸収されたり反射されたりする光の波長が決まっています。波長を細かく調べることで、表層の物質を区分していくことができます。例えば、ものの色などは、その物質の特徴を表していることを意味します。
 小惑星帯周辺には、小天体が多数あるので、望遠鏡を用いてスペクトル分析がされています。そのスペクトル分析をもとに小天体が分類されています。
 隕石と小惑星が対比されています。隕石は小惑星帯から飛来していることが、落下時の軌道計算からわかっています。小天体と隕石は、それぞれをスペクトル分析して比較していくことで、両者の対応関係を決めることができます。
 炭素質型小惑星とは、隕石の炭素質コンドライト(carbonaceous chondrite)と似ているC型(炭素のC)に区分されるものです。炭素質型小惑星は、木星軌道より外側に多く分布していることもわかっています。
 K-Pg境界で衝突した天体は、隕石としては炭素質コンドライトの同じルテニウム同位体組成をもち、炭素質コンドライトは、木星軌道より外側から由来した炭素質型小惑星に類似していることになります。以上のことから、論文のタイトル「衝突天体が炭素質型小惑星だった」ということになったわけです。
 さて、この論文では、地球のほかの時代の衝突クレータの物質も分析しています。それは、次回としましょう。

・三寒四温・
2月末から3月初めにかけて、
雨が降ったり雪が降ったり
根雪が溶けたり凍ったりを
繰り返しています。
冬が終わる頃なので、
三寒四温の様相を呈しています。
春先の三寒四温が終わると、
本格的な春がはじまります。
北海道の春は、雪解けの時期が長く続きます。
今年の雪解けは早く進んでいるようです。

・不足の事態・
3月になりました。
ただし、このエッセイは、
前回のエッセイでも紹介しましたが、
研究室の退去が2月末になったので、
自宅でのコンピュータや研究環境を
整えなければならないのですが
バタバタしている可能性があります。
そのため、早めに予約配信して
不足の事態に備えました。

2026年2月26日木曜日

3_234 大絶滅を起こした隕石 7:ルテニウム

 このシリーズでは、ここまで、6つのエッセイを書きました。これらは、前置きに当たるので、少々長くなりました。今回から、いよいよ大絶滅を起こした隕石の話題になります。論文の紹介からしていきましょう。


 K-Pg境界で恐竜などの大絶滅が起こった時代の話題で、論文は2024年8月のScience誌に掲載されました。
Ruthenium isotopes show the Chicxulub impactor was a carbonaceous-type asteroid
(ルテニウム同位体組成は、チクシュルブの衝突天体が炭素質型小惑星だったことを示す)
というタイトルでした。ドイツのケルン大学のフィッシャー・ゲッデ(Mario Fischer-Gödde)らの共同研究で報告されました。大絶滅を起こした衝突天体の特徴を明らかにしたという内容です。
 1980年のアルヴァレスたちの論文で、大絶滅があったK-Pg境界部の地層にだけ、イリジウム(Ir)の含有量が多いことが、衝突の重要な根拠になっていました。イリジウムは、隕石に多く含まれている成分であるために根拠となりました。
 激変説に反対する人たちからは、火山噴火による放出でもイリジウムが濃集することがありえます。これが論点のひとつになりました。隕石衝突が原因ならば、短時間で突然、一気に大絶滅が起こります。一方、火山噴火であれば、長期間(数万年)で、噴火の影響が及ぶにつれて少しずつ絶滅が広がっていくはずです。
 多種多様な観点、手法で多数の研究がなされました。各地で衝突の証拠や、短期間に一気に大絶滅が起こったことがわかってきました。これで論争に決着を見ました。
 K-Pg境界部の地層には、イリジウムの他にも白金族元素が高濃度で含まれていいて、ルテニウム(Ru)もその仲間です。今回の論文では、試料から、ルテニウムに着目して、同位体組成から、衝突した天体の特徴が探されました。
 ルテニウムは、原子番号44ですが、中性子の数が50~60まであるので、いろいろな原子量のものがあります。同じ原子の種類なのですが、多数の同位体があり、天然には7種(96Ru、98Ru、99Ru、100Ru、101Ru、102Ru、104Ru)が安定して存在しています。ルテニウムの分析値は、7種の同位体の混合物を分析していることになります。
 ルテニウムの同位体組成を詳しく調べて、由来を明らかにしていこうというものでした。隕石の衝突が原因であることはすでに判明しているので、衝突天体の特徴を明らかにしようとすることが、論文の目的です。その結果、タイトルにあるとおり、炭素質天体だったということを明らかにしました。
 その天体の詳細と判定方法は、次回にしましょう。

・研究室退去・
研究室退去の日程を
担当職員の方と調整しました。
2月27日(金)が平日としての末日になります。
当初はその日に退去の予定にしていました。
ところが、大学の来年度の講義のシラバスが
28日が締め切りとなっています。
また、2月25日(水)が後期の評価に対する
学生からの問い合わせ期間となっており
対処が必要になるかもしれません。
28日土曜日まで猶予をもつことにしました。
3月1日(日)に、残しておいたパソコン関連の
荷物を搬出していくことにしました。
その事情を職員に説明して了承をとり、
3月2日(月)の午前中に退去することにしました。
退去は、職員立会いのもと、研究室のチェックがあり、
鍵を渡して、終わりとなります。

・新しい生活パターン・
長きに渡り、この研究室を利用してきました。
起きている時間の大半を、ここで過ごしたと考えると
感慨深いものがあります。
3月からは、新しい生活をスタートしなければなりません。
自宅での研究環境の確立、
健康のための運動方法、
日常の生活パターンなど
いろいろな変化に対応していかねればなりません。
それも楽しんでいけければと思います。

2026年2月19日木曜日

3_233 大絶滅を起こした隕石 6:激変説の復活

 年代測定で、地球には長い時間が流れていたことが明らかされました。斉一説によって、科学は、宗教の激変説の呪縛が解かれました。しかし、20世紀後半、科学の世界に激変説が復活してきます。


 年代測定により、地球創成が、聖書に記された数1000年前ではなく、何桁も古いことが明らかになってきました。現在の年代測定で、地球創成は45.6億年前となっています。
 年代測定は、宗教的呪縛を破るとともに、斉一説が激変説に勝利したことも意味しました。ケルヴィンが示した科学的推論による「時間の壁」が、別の科学的結果によって更新されたことになります。この科学の自己修正機能が、科学的方法論のよさでもあります。
 科学的方法論は、斉一説すら、置き換えられることになります。
 1980年、アルヴァレスたちは、中生代と新生代の時代境界(K-Pg境界)に起こった大絶滅が、巨大隕石の衝突が原因だと発表しました。ところが、アルヴァレスらの研究は、隕石の衝突による大絶滅は、ノアの洪水に匹敵する天変地異でした。これには、西洋の科学者たちは、大きく反論しました。もちろん地質学者たちの多くが反論しました。
 それまで、20世紀までの激変説と斉一説の論争が、放射性元素を用いた年代測定によって、斉一説が勝利したのに、このアルヴァレスたちの論文は激変説の復活となります。
 多くの地質学者が、反論のためもあって検証作業をすすめたところ、地球全域で、隕石衝突の痕跡が見つかってきした。年代測定も正確になされ、当時もっとも精度のよい時代境界が、K-Pg境界といえるほどになりました。議論の末、大絶滅と環境の激変、つまり天変地異が起こっていたのことが確定されました。これは激変説の復活、あるいは新激変説の登場となりました。
 他の時代境界の大絶滅も、天変地異が起こったのではないかと再検討されてきました。生物史上最大のペルム紀と三畳紀(P-T 境界)の大絶滅は、隕石の衝突ではありませんが、シベリア・トラップと呼ばれる巨大な火山活動によることがわかってきました。これも天変地異によるものだとわかってきました。現在のところ、他の時代の大絶滅についてはまだ不明ですが、これまでの斉一説では説明できない激変が起こっていたことも明らかになってきました。
 科学的方法論によって、地球史には斉一説だけではなく、激変説による事象も存在していることを証明したことになります。これも、科学的方法論の自己修正機能でしょう。

・非常勤講師・
寒波の中の雪まつりも終わり、
大学も一般入試も終わり、
後期の成績評価も終わりました。
次は、来年度のシラバスの締切が2月末に来ます。
これで今年度の大学での
校務がすべて終わりとなります。
4月から、継続となりますが、
非常勤講師として、
週1日ですが、勤務することになります。
前期は新キャンパスで1講
後期には今のキャンパスで2講
全部で3つの講義を担当します。

・開け渡し・
2月末に、研究室の開け渡しがあります。
処分の困っていた書棚も
大学に頼んで処理をお願いしました。
元は大学に備品だった机やテーブル類もあるのですが、
これも同じように処理を
お願いしようと思っています。
引き渡しまで、最低限の研究環境を
維持したと考えています。
着実に準備を進めています。
最後の週にすべての搬出をするのですが
できるだけ研究に停滞が起こらないように
作業が進められばと思っています。

2026年2月12日木曜日

3_232 大絶滅を起こした隕石 5:年代測定の確立

 20世紀になってから、放射性核種の発見とその計測法の開発によって、年代測定が確立されました。年代値の確定によって、「時間の壁」が突破されました。それは、宗教の呪縛からの解放でもありました。


 過去の事象を探求する地質学では、化石による古さの順序(層序区分)や古さの区分(相対年代区分)ができ、化石が豊富な地層ではかなり詳細な区分ができていきます。しかし、化石のない地層、あるいは化石が見つからない時代には、この方法は適用できません。
 過去の物質を対象とする地質学において、定量的な年代測定は念願でした。この念願を達成するためには、原子核、放射性元素の研究、そして各種ごとの測定技術が確立されるまで待たなくてはなりませんでした。
 19 世紀末、ベクレル(Antoine Henri Becquerel)が放射能を発見し、ラザフォード(Ernest Rutherford)らが放射性崩壊が一定の速度あることを示したことから、年代測定の可能性がでてきました。
 ボルトウッド(Bertram Boltwood)が、ウランを含む鉱物中の鉛の量から、年代が計算できることを、1907年に示しました。この方法は、ウランが放射壊変して鉛ができることから、もともと鉛を含まない鉱物(ウラニナイトなど)で、鉛の量を測定すれば、その鉱物が結晶してからの時間が計測できるはずだという考えです。この論文では、世界各地から43個の試料を集めて分析して、年代を計算しました。その年代は、4億1000万年から22億年になりました。
 しかし、この年代値には問題がありました。少ないとはいえ鉱物にもともと鉛(初期鉛と呼ばれます)が含まれていた場合の区分ができていませんでした。また、ウランには2種の放射性同位体(238Uと235U)があり、鉛にもいくつもある同位体が区分されていませんでした。ただし、当時はこれらの同位体については、まだ未発見でした。
 ホームズ(Arthur Holmes)は、1911年(当時21歳)に、ボルトウッドのアイディアを改良して、ウランが鉛に変わる速度(崩壊定数や半減期と呼ばれます)を精度をよく決定して、初期鉛や風化の効果なども配慮しました。そこで、3億7000万年、10億2500万年、16億年の年代値を示しました。1930年代以降には同位体を測定する装置(質量分析計)をもちて、より正確な年代測定の方法を確立しました。ホームズが示した最古の岩石は、1913年には16億年前でしたが、1930年代には30億年前でした。理論的に推定した地球の年齢は、1946年には鉛の同位体の比率から理論的に地球の年代を約33億5000万年前となりました。
 各種の放射性性元素による年代測定法として、14C法、K-Ar法、Rb-Sr法、Nd-Sm法などが開発されてきました。放射年代の測定法の確立によって、絶対年代が測定でき、「時間の壁」が突破できることになりました。地球創成の時代は、聖書に書かれた時代に比べて、古いことが確定しました。
 しかし、化石による相対年代が不要になったわけではありません。化石が多産する地層では、年代区分の精度の方がよいことがあります。相対年代と絶対年代が両者を加味して、年代区分がなされています。
 また、年代測定には、いろいろな方法があるのですが、年代測定できる物質(岩石や鉱物)が限定されることです。含まれる放射性核種の種類と年代にふさわしい半減期、その核種を測定する技術も伴わなければなりません。
 現在、測定する技術の改良が進められて、微小の部分、微量の成分などの測定も可能になってきました。それでも、すべての岩石や地層の絶対年代が測定されているわけではありません。

・繰り返される寒波・
1月下旬から2月上旬にかけて
何度も寒波の襲来がありました。
地域によっては、大雪による交通の混乱もありました。
JR北海道の雪の脆弱性が問題になりました。
とくにインバウンドへの影響が大きくなったので
ニュースにもなりました。
安全性への配慮も背景にあるのではないでしょう。
しかし、以前から大雪があるの列車の遅延は当たり前で
北海道の人はしかたがないと思っていました。
現在は、時間通りに物事が進まないと
批判されることになるのですね。

・荒天の日はひっそりと・
我が家は、悪天候の日は、
自宅でじっとしているのが原則です。
毎日徒歩で大学に来ているので
大雪でも問題ではありません。
今年は以前に体験したひどい吹雪と比べると
それほど大変ではありませんでした。
大雪だと自宅での除雪は大変ですが。
徒歩による通勤も
今月一杯で研究室の明け渡しになるので
終わりになります。

2026年2月5日木曜日

3_231 大絶滅を起こした隕石 4:時間の壁

 地質学に斉一説が導入され、地球には古い歴史があることが示されました。物理学でも、地球の年齢が推定されましたが、地質学の示した年代より短いものでした。この矛盾は「時間の壁」と呼ばれるものでした。


 聖書の記述から、地球創成は6000年前と算出されていました。一方、斉一説を受け入れた地質学では、地球には非常に長い時間が流れていると考えました。現在みられる自然現象が、過去にも同様に働いて、地層ができたと考えられます。すると、地層ができるには、長い時間の自然現象の継続が必要となります。
 地質学的に推定された長い時間は、進化に必要な時間を保証していました。ダーウィンは「種の起源」の中で、ある地方(Weald)の海蝕崖の浸食速度を斉一的に仮定してみると、3億年ほどの時間が必要という算出しました。ひとつの地域、ひとつの崖だけでも3億年もの時間が必要となるので、地球には長い時間が流れていたと考えました。
 侵食や地層形成の現象は、非常のゆっくりとしか働かないこと、いくつもの仮定や推定の上での計算であること、地球の年代が間接的にしか示されていないこと、などの問題がありました。
 ケルヴィンは、物理学的に地球の時間を考えました。地球初期を高温の球体と考え、内部に蓄えられた熱が、熱伝導で冷めていくと考え、現在の地殻の温度勾配(地温勾配)の実測から、熱伝導方程式を用いて、推定しましました。そこから、地球の年齢が3000万年から1億年としました。また、太陽の重力収縮から太陽の年齢が1億年未満だと推定しました。独立した方法でえられた年代が似ていたことから、信憑性がある年代だとして、地質学者たちが主張する長い年代ではないと反論しました。これが「時間の壁」と呼ばれるものでした。
 ケルヴィンは、科学的方法で、再現性をもった実験や法則に基づいた定量値を示しました。現在の知見からすると、地球の内部には放射性元素という別の熱源、熱伝導ではなくマントル対流にて熱が伝わることなどが明らかになってきました。また、地温勾配の値は地表付近のもので、全地球に適用するには、大きくすぎる速度になっていました。しかし、これば後付の知識ですので、当時は、「時間の壁」は非常に大きな課題となり、以降、50年以上に渡って議論されることになりました。
 化石の多数でる地層では、化石の種類の変化から、非常に細かく見分けることできるため、時代区分には利用できます。別の地域の地層で、同じ化石が見つかれば、その時代区分が適用できます。ある地層から、ある時代を示す化石(示準化石)が見つかれば、それより下の地層は「より古く」、上の地層は「より新しい」という判別ができます。このような時間の示し方は「相対年代」と呼ばれています。新旧が定性的に示されているに過ぎず、これでは「時間の壁」は突破できません。
 「時間を壁」を突破するためには、直接、地層や岩石、化石などの時代を定量的に示す必要がありました。定量化できた年代を「絶対年代」と呼びますが、それができたのは、20世紀半ばまで待たなくてはなりませんでした。

・またもや大雪が・
北海道は、週末にまたもや大雪となりました。
我が家で妻は、車は使わず、
除雪のみに外にでて、
あとは、自宅にこもって
じっとしていることになります。
私は、どんなに大雪の中でも、
1時間ほど歩けば大学に着きますので、
いつもの通り歩いてきました。
ただし、ガリガリに凍って歩けないときが
今シーズン2日ほどありました。
今月は、そうならないことを願っています。

・明け渡し・
いよいよ、2月になりました。
今月いっぱいで研究室の明け渡しとなります。
それまでに研究室を
研究を継続するのに
最低限の機材は残しています。
ほぼ、片付いているのですが、
27日には、空っぽにしておかなければなりません。
24日から26日の3日間で最終的な搬出を考えています。
天気が問題ですが。