今回は、紀伊半島の限られた地域の研究です。そこから一般的な仮説を見いだせれば、その仮説はいろいろな地域、時代へ、そして他分野への適用できます。科学の仮説にはそのような効力があります。
四万十帯は、島弧の海側のできた付加体で、浅いところにできたものでした。そこに海洋マントルに由来した蛇紋岩が、上昇してきていることにがわかってきました。どのようにして上昇してきたかも、論文では考えています。
中央部の高見山地の周辺での地質調査が進められました。調査地域の蛇紋岩は、付加体の地質構造を切って貫入しています。これは、付加体が形成された後(より新しい時代)に、断層で割って蛇紋岩が入ってきたことになります。これは、重要な情報になります。
露頭を観察すると、蛇紋岩が付加体に長さ150m以上、最大幅10mの板状の岩体として貫入しています。貫入の接触部に沿って、激しい交代作用により滑石岩(マグネシウムを含む粘土鉱物)が形成されています。この滑石も蛇紋岩とともに、付加体の地質構造を切っており、蛇紋岩が付加体形成後に貫入し、そのとき滑石も形成されたことになります。
滑石の形成は、付加体の玄武岩から蛇紋岩に向かって、珪酸(SiO2)と二酸化炭素(CO2)が多く、そしてカルシウムも少し入りこんでいることになります。このような元素の移動は、通常の変成作用では起こりません。滑石は、蛇紋岩の中にできた網目状の割れ目にも形成されています。ですから、ケイ素と炭素を多く含んだ流体が、外部から流入したことになります。
境界部にできた、網目状の割れ目を解析したところ、沈み込むプレートの境界に沿って起こる力(応力と呼ばれる)でできる断層(逆断層)だと分かりました。そこから、海洋マントルが蛇紋岩化して、上にあった付加体の中に、いくつもの流動的岩石として上昇した(ダイアピルと呼んでいます)と考えました。
このような多数の断層ができる場は、沈み込む直前に海洋プレートで定常的に形成される断層(外縁隆起断層、あるいはアウターライズ断層)と考えられるとしています。そのような場には流体も多くあり、それに伴った変質作用も起こるとはずです。
断層群の解析から、断層の形成は、水平圧縮力定常的にかかっていた場であることがわかってきました。流体が入り込んで交代作用がおこれば、体積も増えていったはずです。それにもかかわらず、断層群は沈み込む海洋プレートが押しているような場であったことを示しています。
このような考察の結果、志村さんたちの論文では、次のようなモデルを提案しています。海洋プレートが沈み込む直前に曲げられるために、「アウターライズ断層」が形成されます。その断層に沿って流体が海洋プレートの深部まで入っていきます。そして海洋マントルのカンラン岩が蛇紋岩化していきます。これは、すでに知られていることです。
この蛇紋岩が、アウターライズ断層に沿って上昇していき、海洋プレートが沈み込んだ島弧プレートの前面の付加体にまで貫入していったと考えました。
この論文は、紀伊半島の四万十帯という限られた地域の地質調査の結果から書かれた論文です。しかし、えられた結果を新しい付加体と一般的な仮説とすること、地球全体へと敷衍できることになります。その仮説は、他地域で検証することで確かめることができます。また、付加体を地震探査などの別の手段での検証もできるでしょう。また、蛇紋化や滑石化の仮説も提示されているので、地球化学的な敷衍や検証もできることになります。
事例からの抽象による仮説、その仮説の別事例での検証という科学の営みのひとつの例になりますね。
・秋深し・
北海道は、秋が深まってきました。
先日、冷えた日がありました。
その日には北海道の各地で初雪や
峠の積雪のニュースが流れてきました。
その翌日、わが町から見える手稲の山並みに
初冠雪がありました。
里の木々も多くは紅葉が終わりつつあります。
秋が深まってきました。
・QOLを目指して・
今月も医者通いが続いています。
人間ドックの再検査で内科にいき
インフルエンザのコロナのワクチン接種しました。
先週はコロナワクチンの副反応には
3、4日ほど苦しみました。
今週は、眼科、泌尿器科、内科での精密検査と
たくさんの医者にいっています。
しかし、これも今後のQOLをよくするために
常用薬を減らすのに繋がっていくはずです。