2018年9月27日木曜日

6_155 TESS 1:ペガスス座51番星b

 私たちの太陽系以外の惑星を、系外惑星と呼びます。1995年以来、多数の系外惑星が見つかってきました。もっと多数の惑星が見つかる探査が、はじまっています。系外惑星の新しい探査も含めて、紹介していきましょう。

 私たちの太陽系は、地球が属している恒星系のことをいいます。私たちの銀河には、数千億個の恒星があります。しかし、1995年まで、私たちの太陽系以外で惑星の存在は確認されていませんでした。
 1995年10月6日、マイヨールとケローにより、太陽系以外の恒星からはじめて惑星が見つかりました。木星サイズの惑星でした。この惑星は、ペガスス座51番星bと命名されました。惑星サイズは木星の半分ほどで想定内でしたが、その軌道が天文学者の予想を裏切る特異でした。太陽からの地球の距離を単位(auと略されています)であわらすことがあるのですが、その単位でみると、ペガスス座51番星bは0.05auのことろでした。太陽系で一番内側にある水星が0.387auですから、それよりずっと太陽に近いところに惑星があったのです。これは予想外の発見でした。
 太陽に近いため、惑星の環境は非常に暑いものとなります。大きさが木星のサイズで、なおかる暑いので、「ホッと・ジュピター」と呼ばれるようになります。
 この発見で、太陽系外に惑星が存在することは、私たちの惑星系が銀河や宇宙内で、特別なものではない可能性を示したことになります。他にもいろいろな影響を与えました。その後、一気に系外惑星の発見が相次ぎました。
 太陽系外で惑星を探す方法にはいくつかあるのですが、この発見は、恒星のふらつきを観測するものです。そのふらつきは、波長伸び縮みを観測することで、惑星の存在を間接的に推定するものです。ドップラー法と呼ばれています。この方法では、恒星の近くを巡る惑星、質量の大きな惑星が発見されやすくなります。ペガスス座51番星bはその条件を満たしていました。
 ただし、太陽系の例から、質量の大きな惑星の公転周期は年単位だと考えられていました。そのため、長期の観測が必要だと考えられており、いくかの観測はなされていたのですが、データの解析がなされていませんでした。しかし、この発見を契機に、データの解析が進められたところ、次々と系外惑星が発見されました。
 その後も系外惑星の発見は続きます。その経緯と最新情報を紹介していきます。

・ケプラー・
以前、このエッセイで、
ケプラーという系外惑星を調べる
宇宙望遠鏡を紹介しました。
ケプラーの発見の衝撃は大きなものでした。
そして今回、新たな宇宙望遠鏡として、
TESSが打ち上げらました。
このTESSの紹介をしていくことにしました。
TESSは一体なにを目指しているのでしょうか。

・道央調査・
週末に、道央の方に調査に出ることにしました。
本州の調査が地震のために、中止になったので、
その代替として北海道の中央部を見て回ることにしました。
来年度以降の予察とも位置付けています。
北海道は急の秋めいてきたので、
北海道の中軸部では雪が心配になります。
天候ばかりはどうしようもないので、
天候に合わせて行動するしかありません。

2018年9月20日木曜日

5_159 火星の水 4:地下の水

 火星の地下に広がる氷の下に、H2Oの水がある可能性が示されました。複雑な解析や前提があるのですが、今まで生物の存在に対して、否定的な状況だったのですが、これは明るい材料となりそうです。

 火星の表層には、恒常的なH2Oの水はないのですが、地下で水を見つけたという報告がありました。
 火星の南極には、H2Oの氷があります。氷だけでなくチリも混じっている、多層構造になっているようですが、巨大な氷を主成分とする塊があります。広さは200 kmもあるようです。オロセイさんの報告では、それらの氷の層の下、1.6 kmほどの深さのところに、20 kmの広さにわたって、明るく見えるレーダーの反射が見つかりました。
 この明るい部分は、氷の可能性もあったのですが、堆積物の組成や地下の温度構造を想定して、詳しく解析していきました。この明るい部分は、固体状の物質としては強すぎるため、液体の水が染みこんだ堆積物と氷との境界面であることだと推定されました。さらに、装置の検出限界を考えると、液体の水の厚みは、少なくとも数十cm以上となると推定されています。
 かなり複雑な処理をしていますし、いくつかの仮定もおいているので、今後も検討が必要になります。もしこれがH2Oの水の層だとしたら、という仮定が持てるような根拠ができのです。
 この水の層は、地下の深いところに、広くひろがっているので、恒常的に存在しそうです。この水が、どのようにできたのか、そしてどれくらい前にでき、途絶えることなく継続しているのか、などの疑問は今後、解かなければなりません。これまでは、火星生命の探査では、否定できな証拠しか出てきませんでした。これは、火星生命にとっていは、非常に有望な証拠となります。
 もし火星に生命が誕生していれば、そして地球生物のように水を基本的に必要とするものであれば、この水の存在は重要な意味を持ちます。火星には、かつては海や河川もありました。その頃に誕生した生物が、火星の表層から海や河川が恒常的に存在できなくなるような環境になってきたとき、この地下の氷の下に逃げ込んだかもしれません。そして、水が長期間存在していれば、今でも生きのびているかもしれません。などという妄想がもてるようになりました。
 少々深いところですが、この水の層までボーリングすればいいのです。そして、そこに生物いるかどうかをチェックすればいいのです。火星生物の存在する可能な環境が見つかってので、その検証ができるのです。今まで生物の現在の生存にとって、あまり有利な証拠はなかったのですが、今回の報告は希望が持てるものとなりました。

・通常号・
前回は、北海道胆振東部地震で、
急遽作成したエッセイを配信しました。
今回は通常号に戻って、続きのエッセイとなります。
火星の水は、生命の起源となったのでしょうか。
生命は誕生したとしても
現在まで生き延びるは大変だったでしょうか。
真実を知りたいものです。
今後の探査や研究が待たれます。

・後期のスタート・
大学の授業がはじまりました。
地震の被害を受けた学生はいないようですが、
精神的にダメージを受けた学生はいるようです。
一人で地方から出てきた学生にとって、
知り合いの少ない都会での被災は、
心細い思いをした学生もいるようです。
自宅で家族と共に過ごしても、
精神的には疲労感があったのですから、
一人暮らしの学生には辛い体験となったようです。

2018年9月13日木曜日

6_154 台風と地震と

 予定していたエッセイを変更して、今回の北海道の連続した災害について考えたことを書きます。

 今回、北海道は台風21号の被害を受けた直後に、地震が起こりました。私事になりますが、2つの災害での私の状況を書きながら、災害、防災ついて少し考えたことを書きます。とりあえず時系列で私の状況を説明します。

9月4日(火)
 大学の同窓会、同期の同窓会を札幌にておこない、11時ころ列車で友人と共に最寄り駅に帰る。雨が降っているが、まだひどくはなっていない。夜、台風のひどい強風と雨となり、時々目覚める。3時ころ、ひどい音が我が家の外でする。向かいの家のトタンが飛んできたものであった。隣人と消防が、我が家のチャイムを鳴らして、自宅に入ってきて、ベランダに引っかかったトタンを撤去してくれる。
9月5日(水)
 大学に家内に車で送迎してもらう。線路に倒木があり各地でJRが運休している。国道脇で巨木が何本も倒れているのを見えた。夕方、多くの線路が復旧しだしたので、翌日の調査には出かけられそうであるので、一安心する。
9月6日(木)
 明け方3時頃、大地震発生。その直後に停電。一旦は目が覚めるが、翌朝調査にでかけるので再度無理に寝る。余震で何度も目が覚める。朝、停電は継続中であった。大地震であったのはわかるが、停電で情報が届かず、様子がよくわからない。飛行機で調査地に向かう予定であったので、自家用車で出かけるつもりで、準備を進める。スマホやラジオで、地震の被害として、JRやバスなど公共の乗り物の全面運休、信号の停止がわかる。危険なので車での空港移動を躊躇する。7時頃、飛行機も全便運休になったことがJALのホームページでわかり、調査の中止を決定する。9時から、旅館やレンタカーでキャンセルの連絡をする。最初の旅館に連絡したとき、発送した荷物の転送を頼む。水とガスは大丈夫。食料も冷蔵庫、冷凍庫にあるので2日は大丈夫だと思う。懐中電灯を集めたら、家族分や全体の明かりになるものが2つあり、電池も数日は大丈夫そうである。緊急用のラジオもあった。昼、大学のある地域は電気が回復した(ということが、7日に大学に連絡して知る)。
 水が止まるという、次男が、ウワサを聞き、風評だとは思ったが、もしもときのために、バケツに水をためる。水は止まる気配はないが、昼から、家内に手元にある材料で、数回分の食事にできるように、カレーをつくりおきしてもらう。食後、20時ころには家族全員就寝。私はぬるくなりかけたビールを消費する。
9月7日(金)
 大学では電気の復旧しているので、車で大学に出る。途中の道路は、信号がほんが消えているが、一部のみで点灯しているだけであった。家内が車に乗って帰る。研究室をチェックしたところ、被害は軽微であった。インターネットもつながっている。スマホの充電をしならが、同窓生にメール連絡をする。昼、家内に車で迎えにきてもらい、自宅に帰る。夜、ガスで土鍋でコメを炊くが、少々固めになったが食べられる。ラジオで状況をチェック。私はベッドに入り寝始める。22時前、次男が通電したいうので、外を見ると街灯がついている。ブレーカを入れて、自宅の電気機器を順次確認する。ほぼ問題なく復旧している。久しぶりテレビからの情報を少し見て寝る。
9月8日(土)
 大学に車でいく。同窓生などにメールで安否確認の連絡をする。帰りにコンビニを覗くが食料は空っぽであった。家内が朝、生鮮食料を少し入手。残っている冷凍食品で、一旦解凍されたものを様子をみて食べていく。
9月9日(日)
 午前中、地元のスーパーやホームセンターをめぐり状況をみる。緊急用商品が空っぽになっている。生鮮食品も少ないが、少しずつ流通で配送されたものが、並べられるが、一瞬で購入されていく。流通の回復は認められる。
9月10日(月)
 いつものように歩いて、大学に出勤する。地震の被害は流通に残っているが、見た目にはわからない。歩いていくる時、あちこち寄り道をしながら、被害状況をみると、台風の被害が目につく。倒木によって遮断された道路の通行の確保や危険の回避のみが応急処理でなされている。

 ここ数年、被害の大きな災害が各地で起こっています。北海道のように連続して起こることは稀まもしれませんが、災害は多くなっています。自分も被災してみて、防災について考えました。
 まずは自身や家族の身を守ることが、基本となる思います。まずは、自衛といえるでしょう。次に地域住民の助け合いや連携が必要かと思います。そして、公からの情報提供や支援と、いう順になるしょうか。
 そして情報についていも考えました。スマホとインターネットからの情報は、今回被災してみて、非常に重要で有用だということもわかりました。次男を見ていると、スマホで情報を次々と仕入れるのは、良いことです。
 一方で、その中には風評が多々含まれています。それを慎重に見分ける必要があります。次男が、泊原発の新聞の記事を読んでいたのですが、ヘッドラインのみを読んで、内容をよく読んでないこともがありました。そんな不確かな、思い込みの情報が、よかれと思ってインターネットを通じて流すことが、風評となっていくのだということも実感した。
 インターネットだけでなく、大量の情報がある現代社会で、情報をどう受け入れ、どう処理、どう解釈し、どう他人に発信するのか。慎重であるべきだと痛感しました。重要そうにみえる情報は、一気に拡散していきます。ですから、人の情報に対する心がまえ、インターネットに関するスキルの必要性も感じました。

・災害に対して・
このエッセイは野外調査に出る前に
予約していたものを解除し、
新たに書いたものです。
野外調査を中止にしたので、
大学でもいろいろと予定変更になりました。
出張の取りやめの手続きと、研究計画の変更、
大学生協でのチケットのキャンセルなどを急遽しました。
2年前の熊本地震も調査出発の直前に起こり、
同じようにキャンセルしたことがありました。
災害が続くと、人の心構えが重要であるを痛感します。
自然災害は避けることはできません。
ですから復旧段階で、人が如何に着実に
避難、対処するかが求められます。

2018年9月6日木曜日

5_158 火星の水 3:科学的後退

 存在が証明できれば、そこから次なるステップにいけます。しかし、存在が証明できないときは、後退を余儀なくされます。どのような後退の仕方をするかも、なかなか悩ましい問題です。

 科学は面倒くさい手段を取っていきます。科学的な証明は、証拠と論理に基づいてなされていきます。例えば、火星生命や化石が発見されとしたとしましょう。その生命や化石をだれでも調査でき、検証できれば、その存在証明ができます。その後、生物がどのように誕生したのか、どのような生物なのか、地球生物との共通点と相違点などが、次なるステップとなるでしょう。現状までに、何度かの探査が繰り返されてきたのですが、まだ火星生命(化石)の存在は、確認ができていません。少なくともすべての科学者が納得できるような証拠は、出されていません。
 生物の存在が証明できないのであれば、研究を諦めるかというと、一歩下がってスタートすることになります。
 火星には、生命が誕生でき、長く生存でき、進化できるような条件を満たしていたのか、などを探ることです。前回紹介したH2Oの液体の存在が、生命の誕生にとって非常に重要な条件だと考えられています。ですから、液体の水を火星で見つけることに重点がおかれることになります。
 このステップに関しては、成果を上げています。かつては、水が存在した証拠は見つかっています。火星には、海にできる海岸地形や、河川がつくりだした地形があることは、火星表層の詳細な地形調査でわかってきました。
 2015年のNASAが、火星の表面で「過塩素酸塩」を検出したいう報告をしました。過塩素酸塩は、水が存在しなければ、合成されない物質です。それまでにも、この物資は発見されていたのですが、今回は地質学的に重要な意義を持つ場所で見つかりました。火星には、斜面で、暗い筋ができたり消えたりするところが見つかっていました。それは、季節変化だと考えられていました。5年前に見つかっていた筋で、この物質が発見されました。2つの根拠から、水が存在するとされていました。ただし、水を直接、検出したわけでありませんでした。
 火星の両極には白っぽく見える氷があります。その大部分は二酸化炭素の個体ですが、一部はH2Oの氷であることもわかっています。ですから、恒常的にH2Oの氷があることはわかってきました。
 生命誕生や進化には、液体の水として、長期に渡って継続的に存在している場所があるかどうかが重要になります。もし、現在も生きている生物が存在するならば、そのような現在も水の存在することが不可欠になるはずです。
 これまで、液体の水の存在は不明でした。火星表面は詳細に調べられているので、大規模な海や恒常的な河川はありません。季節変化でできる河川はありそうですが、それは恒常的な水の存在ではありません。
 あるとすれば、地下になるでしょう。しかし、氷ではだめです。液体の水が重要です。オロセイさんたちは、地下でH2Oの液体を発見したとサイエンス誌の報告しました。その手段は、軌道上の探査機のレーダーでした。詳細は次回としましょう。

・熱中症・
先週は、帰省していました。
暑かったです。
北海道は涼しかったので、バテてました。
暑い中、母に関する所用で
あちこち、歩き回ったので、
夜、調子が悪くなってきた。
熱中症になってしまいました。
2日間不調で所用を
こなすのに支障をきたしました。

・老母・
酷暑の京都で、母は一人で、
かなりよぼよぼになっていますが、
たくましく生きています。
毎日、連絡をとっていたのですが、
いつも暑いという言葉を聞いていました。
その暑さは実感しました。
北海道に来ていれば、暑く苦しい思いをしなくて
すんだはずなのですが、まあ、母の希望です。
独居できるかぎり、現状で暮らせればと思います。
子としては、そんな母を
できる限りサポートするしかありません。