2021年4月8日木曜日

1_189 カーニアン多雨事象 1:時代区分

 今回から、新しいシリーズになります。「カーニアン多雨事象」という聞き慣れない言葉がテーマとなります。カーニアンとは、地質時代の区分名です。そこで起こった事件です。時代区分から紹介していきましょう。


 今回のエッセイは、熊本大学の大学院生の冨松さんと九州大学、海洋研究開発機構(JAMSTEC)などの共同研究による報告をもとにしています。「全地球惑星変化」(Global and Planetary Change)の2020年11月に掲載されました。タイトルは、

Marine osmium isotope record during the Carnian “pluvial episode” (Late Triassic) in the pelagic Panthalassa Ocean

(パンサラッサ海のカーニアン「多雨事変」(後期三畳紀)における海洋のオスニウム同位体の記録)

というものでした。

 この報告で、キーワードとなるのは、「カーニアン多雨事象」と呼ばれる現象(事象)とオスニウム同位体です。

 「多雨事象」とは、雨の多い気象現象で、「カーニアン」という聞き慣れない固有名詞がついたものです。カーニアンというは、時代名称です。この時代名称を時代区分について概要を紹介しておきましょう。

 時代区分は、さまざまな階層でおこなわれています。例えば、中生代や白亜紀などは、有名なので聞いたことがあると思います。専門的には他にも、いろいろな時代区分が用いられています。もっとも大きな時代区分の階層としては、隠生代と顕生代があります。隠生代は生物が隠れている時代、顕生代は生物が顕(あらわ)れる時代という意味です。隠生代は、冥王代、太古代、原生代に、顕生代は古生代と中生代、新生代に区分されます。「代」というのをよく聞くのですが、これはかなり大きな時代区分となります。

 次に「代」より下位の区分を、中生代を取り上げて考えていきましょう。中生代は、三畳紀、ジュラ紀、白亜紀に分けられます。「代」と次は、「紀」という区分になっています。三畳紀は、さらに前期、中期、後期に分けられていますが、まだ正式名称は確定していませんが、正式に区分名がつけられたら、「世」が付きます。後期は、カーニアン期、ノーリアン期、レーティアン期に区分されます。「期」がこの階層には付きます。

 さらに細分は続きますが、今回のテーマに用いられている「カーニアン期」は、この階層にあります。年代では、2億3700万年前から2億2700万年前になります。

 この時代に雨の多い気象現象が起こっていたということです。多雨の現象がこの時期に起こっていたことは、以前から知られていました。しかし、その原因がよくわかっていませんでした。今回の論文は、カーニアン期の多雨事象の原因を、海洋のオスニウムの同位体の記録から検討したというものです。オスニウムの同位体については、次回にしましょう。


・新学期・

いよいよ学校では、新学期がはじります。

我が大学では、4月1日の入学式から6日まで、

短期間でガイダンスがおこなわれます。

そして、7日からは、授業がはじまります。

今年度も、遠隔授業が混在した状態でのスタートです。

在学生や教職員は馴れてきたのですが、

新入生は戸惑うはずです。

ガイダンスも、対面は最小限にされているので、

十分な準備ができないままではないでしょうか。

遠隔授業も充分理解できずに、

スタートする新入生もいると思います。

新生活の不安の上に、

遠隔授業の不安も重なのではないでしょうか。

案ずるより産むが易しであればいいのですが。


・野外調査の再開・

学内の競争的研究費が採択されました。

今年こそは、野外調査を再開したいと考えています。

ただし、今年度は、道内を中心にしています。

5月下旬から出かける予定をしています。

コロナ感染の第4波が起こりそうで、

少々心配ですが、行政の指示に従いながら

判断していこうと考えています。