2024年8月15日木曜日

2_221 太陽系外生命の痕跡 3:パンスパーミア説

 惑星への小天体の衝突で、岩石が飛び出すことがあります。一部は、大きな惑星の影響で軌道をはずれ、恒星の引力も振り切って飛び出すこともあるようです。そんな微隕石が地球に届いているかもしれません。


 前回紹介した戸谷さん論文を紹介しました。大量の微隕石の中には、稀ですが、太陽系外から由来するものが含まれている可能性があると推定されました。さらに稀でしょうが、生物の痕跡が発見できるのではないかと考えました。
 これは生命起源にも関係します。地球外のどこかの天体で誕生した生命が、微隕石とともに地球に飛来して、それが地球生命の起源になったいうパンスパーミア説に通じるものです。
 太陽系内であれば、例えば火星から、小天体の衝突で飛び出した岩石は、惑星軌道を一定期間(100万から1000万年ほど)回り、やがてその天体に落下していきます。しかし、巨大惑星(木星や土星)の影響があると、岩石の軌道が乱され、太陽系を飛び出すものもあるとされています。
 しかし、パンスパーミア説として、他天体まで生きたまま移動させるためには、生命の生存期間(10万から1000万年以内)や生命体を守れる岩石の大きさ(10kg以上)にも制限がかかります。
 ところが、生きていなくても、生命の痕跡であれば、期間や大きさの制限はほどんなくなります。化石などの生物の痕跡、バイオマーカーと呼ばれる化学分子や同位体組成、あるいは生物がつくった鉱物(バイオミネラル)などであれば、1μm以上あれば、検出できそうです。
 このシリーズの最初に紹介した地表で見つかる大量の微隕石は、非常に有効な素材となります。数が多ければ、太陽系外の微隕石も含まれているはずです。中には、太陽系外の生物の痕跡もあるかもしれません。そのような目で再度探してみることは、手軽ですが、重要なテーマとなりそうです。
 太陽系外からの由来をどのように検証していくかが、問題となります。いくつかの同位体組成で太陽系固有の値があることが知られているので、そのような成分を利用するといいかもしれません。
 ただし、微隕石は、長年地球の表層にあったので、地球の物質や地球生物の汚染を受けているはずです。汚染の少ない氷床の中の微隕石を探すなどの工夫が必要でしょう。その中から、太陽系外の成分やが検出できるでしょうか。地球生物の汚染がないのであれば、地球外生物の化石の痕跡やバイオミネラルも、検出可能かもしれません。必要であれば、地球外の惑星空間で、微隕石を収集するはいいかもしれません。
 天文学的観測による系外惑星の地球型惑星の探査とは、異なったアプローチになります。このような試みで、見つかれば、はじめて地球外生命、太陽系外生命の発見となります。いくつも見つかってくれば、銀河系にどの程、生命が分布しているのかがわかるはずです。だれかチャレンジしませんかね。

・帰省・
お盆の只中です。
皆様も、里帰りされているのでしょうか。
我が家では、長男が帰省しています。
少々長く滞在します。
あちこち出かけたいとのことですが、
日程もあまり決まっていないようです。
その日程によって親の日程も変わってきます。
それでも家族の久しぶりの帰省はいいものです。

・復調・
体調は戻ってきています。
ただし、長時間じっと
同じ姿勢をしているのが少々つらいので、
うろうろ歩たり、研究室内で動きながら
研究を少しずつ進めています。
まあ、とりあえず一番ひどい状態から
脱したのでホッとしています。
お盆中も無理せず
じっとしていようと思っています。