2025年3月27日木曜日

2_229 20億年前からの生物 8:課題と期待

 生物種がどれだけの期間継続しているのか、という疑問からスタートしました。昔から現在まで生き続けている生物種を探し、極限環境で長期間生きづけてきたことを、証明してきました。しかし課題もあります。


 ここまで紹介してきた論文で、地下の古い地層に生きている微生物の存在が明らかにされてきました。その生物は、そこに住みはじめた時期は不明ですが、過酷な閉鎖環境で生きています。代謝の仕組みはまだよくわかっていませんが、進化速度も遅いようです。古くからそこで生き続けてきたことになりそうで、その期間は長いと20億年に及ぶと考えられています。
 そこから、もし火星の生物の生存している可能性を推定しました。火星に水が存在した時期に粘土鉱物ができ、ある時生物が発生していれば、環境が地下保存されていれば、現在でも生物が生きている可能性がありました、
 この論文の結論は、どこまで確からしさがあるでしょうか。それは今後の課題でもあるのでしょう。見ていきましょう。
 試料への現在の生物の汚染には非常に注意を払われています。そして、現状では、汚染がないように見えます。しかし、これも「不在の証明」と同じ困難さを抱えています。汚染がなかったということを証明するには、その生物群が、周辺の生物、あるいは全生物と異なっている「なにかの特徴」を持っているこを示すといいかもしれません。しかし実態のよくわからない生物群が、地下に大量にいることは知られています。ですから、既知の生物は、現存する生物の一部に過ぎないので、異なっていることを完全に検証することはできません。
 また、亀裂は鉱物が充填され閉じていること、長期間安定した地層であることから、その環境に長期間生き続けていると考えました。生物として生きているということは、代謝をしていることになります。代謝とは、生きていくために必要な成分を外から取り入れ、生物内で不要になったものを排出するということです。ですから、その生物の周辺では、物質移動が必然的に起こることになります。
 その物質移動を生物群、あるいは生態系内で閉鎖することは、難しいと考えられます。なぜなら、エネルギーの保存、エントロピーの保存など、外部からなんらかの関与がないと、代謝を継続的に営めないはずです。亀裂に生物が生きているということは、エネルギーの注入や物質移動が起こってることになります。外部となんらかのつながっている経路があることにあります。それは、生物が通れる通路ともなっていたかもしれません。
 閉鎖系となっているのは、最近になって起こったのか、あるいはうがって考えれば、掘削によって一時的にできた状態という危険性もあります。その可能性を排除できないかもしれません。
 しかし、今後の展開も期待できます。一番気になるのは、その微生物群の実態解明です。群集のそれぞれの代謝方法や、DNA解析で、種や系統的位置づけがわかってくれば、古い時代のもなのか、特異な環境で生きていけるタイプのか、それとも全く未知の生物群かもしれません。それらが明らかになってくること期待しましょう。困難な研究となると推定されますが、興味深いテーマです。

・名残惜しさ・
大学では、最後の入試、学位記授与式、
教職員の歓送迎会など、
次々と年度末の行事が進んでいます。
今年度で退職なので、
主役となる場面もありました。
最後の授業の補講も続いていたので、
いくつか参加してきました。
どれも最後となると名残惜しいものです。
自身の目標を忘れることなく、
常に淡々と進めていこうと考えています。

・今後は・
このエッセイは大学教員という身分での
最後のエッセイとなります。
名誉教授という称号をただくことになり、
図書館やメールアドレスなどの継続使用が
許されるたのは、ありがたいです。
今後は大学教員の肩書は使うことはなく
在野の研究者として活動していくことになります。
ただ、研究成果の発表の場としとして
大学の紀要への投稿ができるので助かります。

2025年3月20日木曜日

2_228 20億年前からの生物 7:展望は火星へ

 20億年前の地層から、慎重な研究で、生物を発見されきましました。まだまだ不明なこともあるのですが、この成果により、多くの研究テーマが今後も展開していきそうです。その展望は火星にまでいきそうです。


 このシリーズで紹介してきたように、地球での古い地層からの生物探しは、ステップを踏みながら、非常に慎重に進められてきました。
 地球には、地表には生物が満ちています。そのため採取する時に、試料に現在の生物が混入する危険性があります。また、地下にも生物が多数見つかっているので、目的の試料の内部に新しい時代の生物が混入している可能性もあります。それらすべてを排除していくことが、古い時代からの生きてきた生物の検証に重要になります。
 前回紹介したように、20億年前の地層にできた割れ目から、生物が発見されました。その地域は安定した地質なので、変動がほどんないところで、割れ目が形成されてから、外部から生物が混入してこなかった考えられます。割れ目のできた時代は決められていませんが、長期間、閉ざされた空間で、その生物群は生きてきたようです。もし地層ができる活動直後に割れ目ができたとすれば、その生物は20億年前近くに入り込んだものになります。ですから、生物生存期間として20億年に達する可能性もあります。
 限られた栄養の過酷な閉鎖環境で、何十億年間も生き続ける生物がいたとすると、その代謝のメカニズム、代謝速度の下限、進化の速度など、今後、多くの研究テーマが出てきそうです。割れ目の形成年代が確定すれば、これらの問題への定量化も可能かもしれません。
 鈴木さんたちは、この結果は、地球の生物を調べることだけでなく、火星の生物探査にも適用できると考えています。現在、火星で探査しているパーシビアランス(Perseverance)は、移動しながら、いろいろな試料を蓄えています。現在、試料を入れたチューブは2025年3月10日現在で27本になっています。それらの回収のためのプロジェクトを現在検討されていますが、だいぶ先なりそうです。
 火星のパーシビアランスが着陸したのはジェゼロクレーター(Jezero Crater)の中です。そこは、35億年前より以前に水が流れ込んで、湖になったところです。粘土鉱物も発見され、湖底や海岸の堆積物も形成されています。もし、火星に生物が発生していれば、その痕跡(化石)や、地下にも生物が分布していれば、現在も生きているかもしれません。地球の20億年前の極限的な環境での生物の存在は、火星の試料内の生物やその痕跡の発見の可能性も示しています。
 今回紹介した成果には、今後の研究の展望もいろいろありましたが、課題もありそうです。それは、次回としましょう。

・腰痛・
先週、朝、着替えていると
突然腰痛が発生しました。
いわるゆるぎっくり腰です。
持病になっているもので、
日頃から注意をしているのですが、
突然起こるので、避けることはできません。
ですから対処法も、自分流ですが持っています。
しかし、今回の腰痛は、ひさびさで
非常に激しいもので動くのも大変でした。
しかし、当日の夕方、どうしても
しなければならない所用があったので出かけました。
翌日も校務の会議も、議長なので大学に出ました。
動き出すと、痛みはましになるのですが
4日間、朝に起きた時、激痛が走りました。
体を動かすと痛みが走ります。
日曜日には激痛が治まってきたので、
リハビリを兼ねて、大学に出ました。
しかし、長時間椅子に座っているのは辛かったです。

・重要な行事の連続・
今週から来週にかけては、
大学で重要な校務、行事が連続します。
体調が思わしくないので、
いくつかは欠席させていただききました。
しかし、欠席できないものも多く、
だましだまし、やりくしていくつしかありません。
再発だけは避けたいと考えています。

2025年3月13日木曜日

2_227 20億年前からの生物 6:超閉鎖環境

 前回まで紹介してきたように、現在の生物や人為による汚染には、非常に慎重に対処されて進められてきました。着実にステップを踏んで、研究は進められています。20億年前の生物の有無について紹介していきましょう。


 ブッシュベルト火成複合岩体の20億年前の岩石にできた亀裂に生物の有無を調べられてきました。その結果をみていきましょう。まずは、前回紹介したように、現在の生物や人為の汚染をなくした試料を用いています。
 海洋底の岩石で用いた方法でもあったDNAの染色によって、生物の存在を確認し、その細胞から赤外線を用いた分析によって、たんぱく質を検出しています。赤外線分析では、たんぱく質とともに、粘土が存在していることも明らかになっています。つまり、この亀裂には、外部からの汚染ではなく、掘削前から微生物が生きていることが確認されたことになります。
 この結果から、もしこの亀裂ができ、そこに水が入り込み粘土鉱物ができた時、生物が住みついたとすると、その環境がそのまま残っていた可能性がでてきました。海洋底の岩石からは、前に紹介したように1億年前から生き続けている生物の可能性が示されました。ブッシュベルト地域の地層は、20億年前から現在にいたるまで、安定していたところです。ですから、亀裂ができた時期は未確認ですが、亀裂で粘土形成後、生物が住み着いてから、そのまま閉鎖的な環境が維持されていたとすれば、その当時の生物が、生き続けている可能性があります。
 今後、生物の遺伝子解析で、どのような生物なのかを検証していけば、進化のスピードもわかるでしょう。超閉鎖環境になれば、進化が少ないとすると、生物種の生存期間の考え方も改めなければなりません。進化の生物の変異の用いる分子時計などの方法論も、改めなければなりません。
 この研究手法を使えば、40億年前の変動がないところで岩石が採取できれば、生命誕生初期の生きた生物の発見も可能かもしれません。安定した環境が続けば、進化が起こらないとすると、進化の要因として環境が非常に強いことになります。そして、なにより進化とはなにかを再考させる機会にもなりまそうです。
 鈴木さんたちが考えている、この研究に大きな展望があるようです。その実現はかり先になりそうですが、重要なものです。その紹介は、次回としましょう。

・3月はバタバタと・
集中講義が終わりました。
補習が何人かありますが、これで一段落です。
今後、大学では、学位記授与式や
進級者や新入生を迎える準備も進みます。
また、退職のためのセレモニーが続きます。
3月中は、公私ともにバタバタしそうです。
しかし、一番重要なことを忘れないようにしましょう。
もちろん私にとっては研究です。

・最後の教え子たち・
今年で学生を指導をするのが最後になります。
感慨深いものがあります。
退職の時がきた多くの先生たちが
この気持ちを味わうことになるでしょう。
幸い、非常勤講師として
いくつかの講義を担当します。
ただし、自身が所属した学科の専門科目ではなく、
教養科目や他学科の科目なので
学生との接触機会は少なくります。
それもで、授業やその時の出会いがきっかけになり
将来の選択に影響を与えることもあります。
気を抜くことなく、
授業は進めていかなくてはなりませんね。

2025年3月6日木曜日

2_226 20億年前からの生物 5:蛍光微粒子

 古い時代の岩石中での生物の有無は、前回紹介した方法で確認できます。しかし海の岩石は数億年前までしありません。それより古いものは、陸地にありますが、生物や水の汚染を排除するかが問題となってきます。


 前回の報告は、1億0400万年前までの玄武岩で、現在の海洋底で見つかった岩石でした。海底なので水の供給は、比較的簡単にできそうです。ところが、海洋底の岩石は、1億数千万年前くらいまでは遡れますが、それより古いものは入手できません。
 なぜなら、プレートテクトニクスが働いているためです。海洋プレートの岩石は海嶺で形成され、古い海洋プレートは海溝でマントルに沈み込んでいきます。現在の海洋底には、せいぜい1億数千万年前の岩石しか残されていません。地球の歴史45億年、あるいは生命の歴史38億年と比べると、あまりにも短い試料しな手に入りません。
 もっと古い時代の岩石で、生物の検出はできるのでしょうか。
 これまでの研究で、大陸地域で2kmより深い坑道の地層内で、20億年前より古い、10億年より長く、外部から水が入ってくることなく、存在し続けた生物がいることがわかっています。また、地下深部では、原始的な生物が、増殖の速度も遅く、1億年ほど進化することもないこともわかっています。
 このような研究と前回紹介した研究から、新しい時代の水や生物の汚染のない岩石中で生物が見つかったら、これまでの生物進化の時間スケールを考えなおす必要がでてきそうです。
 前回紹介した鈴木さんたちが共同研究され、2024年のMicrobial Ecology(微生物生態学)誌の116巻に
Subsurface Microbial Colonization at Mineral-Filled Veins in 2-Billion-Year-Old Mafic Rock from the Bushveld Igneous Complex, South Africa.
(南アフリカ、ブッシュベルト火成複合岩体からの20億年前の苦鉄質岩中の鉱物が充填された岩脈で地下微生物のコロニー形成)
が報告されました。
 ブッシュベルト火成複合岩体には、太古代の複雑な火成岩類が混在しています。それは過去の島弧が大陸化したもので、地下深部のマントルが上昇して地殻に入り込んでいます。地質は詳しく解明されています。それはこの岩体から金が発見され、ゴールドラッシュになったためです。現在もクロムやプラチナといったレアメタルの鉱山があり、地下の様子もよくわかっています。
 この研究では、500m以上のボーリングを進めて試料を採取しています。現世生物の汚染を排除するため、ボーリングした試料の洗浄、表層の加熱滅菌、真空パックして低温での保存など、いろいろな工夫がされています。
 さらに、ボーリングをする時には、潤滑のために水を使うのですが、その水にも注意を払っています。水には、紫外線に反応する微小な蛍光微粒子(0.25から0.45μm)を大量に入れ、岩石中に微粒子がないことを確認しています。もし紫外線をあてて、微粒子が見つかれば、水による汚染があったとして分析から除外しています。
 ここまで注意を払って、20億年前の岩石の亀裂での生物の有無を調べました。その結果は、次回としましょう。

・最終講義・
先週末に、最終講義を実施しました。
幸い多くの人に来て頂きました。
卒業生も在学生も来てくました。
平日なので卒業生は仕事があり来れませんでしたが、
メールで多数が連絡をくれました。
最終講義では、私がこれまで進めてきた研究の総括ですが、
その詳細は示しませんでした。
主に思索やその変遷を紹介しました。
そして最後には今後の展望などもお話しました。
終わってからも多く人から声をかけていただき
有りがかったかです。

・祭りの後は・
最終講義のあと、本来なら参加者と
歓談の場を設けるべきところなのでしょうが、
設けませんでした。
我が大学ではコロナ禍もあり
最終講義の実施が久しぶりでした。
どの程度の人が来るのか、不明でもありました。
それに平日なのでアナウンスも最小限にしてもらいました。
大学内では、退職する教職員への行事が
有志、学科、学部、大学で
開催していただけることになっていました。
ですからその日は、苦労かけてきた家内とともに
温泉に浸かりながら、のんびりとしようと考えました。
夫婦で温泉に入りごちそうを頂きました。

2025年2月27日木曜日

2_225 20億年前からの生物 4:海洋底の玄武岩

 昔の生物が外部と接することなく、生き続けられる環境とは、どのようなものでしょうか。そこに本当に生物が見つかるのでしょうか。それを調べた一連の研究があります。まずは、1億年前の岩石から紹介していきましょう。


 もともと生物がいない火成岩に生物が住み着き、継続的に住めるには、生存できる環境でき、その環境が持続していかなければなりません。そして、新しい時代になってから、外から生物で入ることなく、試料を手にする時、現在の生物の汚染もないようにしなければなりません。
 まずは生物がいない海に近くの火成岩で、生物が住める環境ができるかどうか、また採取時の汚染がなく試料が入手できるかどうかを、確認しておく必要があります。
 生物が暮らせる環境として、酸素はなくても大丈夫です。地球の酸素自体、生物が作り出したものです。酸素の有無は考えなくてもいいことになります。しかし、水と栄養は不可欠ですが、地球では海があるので、海に接近していれば、常時水が供給可能になります。問題は栄養です。
 そのような場に環境でき、生物が住んでいるのでしょうか。それを調べた研究があります。東大の鈴木庸平たちの共同研究で、イギリスのCommunications Biology誌の2020年の3号に掲載された
Deep microbial proliferation at the basalt interface in 33.5-104 million-year-old oceanic crust
(3350万~1億0400万年前の海洋地殻内の玄武岩界面における深部微生物の増殖)
という論文です。
 この研究では、海水が侵入しやすい海洋底の玄武岩を調べています。ただし掘削する時に、生物汚染が起こる可能性があるので、掘削でできたものではない玄武岩にもともとあった亀裂部分を調べることにしています。
 火成岩に割れ目ができ、そこに水が侵入したところです。水と岩石の長い時間、反応していれば、鉱物が変質していきます。このような水と岩石の反応につていは、以前から多くの研究や合成実験がなされて、さまざまな条件に応じた鉱物ができることがわかっていました。水があれば、粘土鉱物ができることがわかっていました。
 この研究で、玄武岩の亀裂中に水と反応してできた多様な粘土鉱物を見つけ、それらがどのような鉱物かを決め(同定といいます)ていきました。粘土鉱物を栄養にできれば、生物が住むことが可能になります。
 生物のDNAを染色する方法を用いれば、生物の存在を確認することができます。DNAの染色で、岩石の亀裂の粘土鉱物内に微生物が大量に密集していることがわかりました。
 この研究では生物の存在している密度も調べています。粘土を含む亀裂部分の薄片を作って、個々の細胞を見分けられるように、元素組成画像を用いて、細胞の量を調べました。その結果、粘土のあるところには、1cm3当たり100億個の細胞があることがわかってきました。この密度は人間の腸内微生物の密度に相当するとのことです。
 海洋底の深部で、それも3350万年前から1億0400万年前の玄武岩です。マグマが固化して、1000万年以上経過すると、岩石は冷たくなり、熱の供給はありません。ですから、生物が繁殖するには適さない条件ともいえます。そこに大量の生物群が暮らしていくことが明らかになりました。
 この結果を延長して考えると、海洋底は地球の7割ほどの占めています。水と栄養のみが供給される玄武岩中に、上記のような生物がいたとすると、地球全体での総量は非常に膨大だと推定できます。
 ただし、ここまでは、海底という前提での研究です。この研究には、さらに進展があります。それは、次回としましょう。

・排雪の風景・
北海道では、個人の住居では
敷地内での雪の捨て場も限られています。
業者に除雪や排雪を頼む家も多くなっています。
我が家の周りでも、そのようは家庭が増えてきました。
市では除雪はされるのですが
雪を道路脇に寄せていくだけなので
道も狭くなっていきます。
そのため自治会が費用を負担して
地域全体の排雪することが
年に一度おこなわれます。
先週、それが実施されました。
地区ごとに日程が事前に知らされ
大規模な排雪作業がされます。
ブルドーザーで捨てる雪を集め、
排雪車が行列をしたトラックの荷台に
雪を連続的に入れています。
例年、ルート上、我が家は、排雪は最後になります。
窓から、その様子を見ると
なかなか興味深いです。
雪が多い時期は、夜まで作業が続きます。
しかし、今年は雪が少ないので
帰宅前に終わっていました。
これも、北海道の冬の風物詩ですね。

2025年2月20日木曜日

2_224 20億年前からの生物 3:生き続けられる環境

 ある生物だけが生存できる環境が、長く維持されていれば、その生物種は、長い期間生き続けてきたと判定できそうです。そんな環境とは、どのようなものでしょうか。それは、達成できるようなものなのでしょうか。


 化石を用いた種の認定と、化石から見積もる生存期間には、どうしても不確かさが混入してきます。では、どのような方法であれば、そこの確実さが増すでしょうか。
 こんな条件があったなら、どうでしょうか。
 ある時代に誕生した種が、他の種に進化することなく、現在も生きているのなら、その種の継続期間は確実になるのではないでしょうか。例えば、1億万年前の地層があり、そこにある生物が住み着き、同じ環境が保持されれながらも、どの時代にも他の生物の汚染も受けることないとしましょう。その生物種は、1億年間、種が継続してきた期間といえないでしょうか。
 同じ環境が保持されている地層とは、どのようなものが考えられるでしょうか。外部から他の生物によって汚染されない状態で、1億年前の地層の中で、生き続けている生物がいればいいはずです。
 外から生物が入り込まない状態になっている地層とは、地下深部で固化したまま、外部との物質の出入りが最小限で、その物質には他の生物が入りこまない状態のものになります。
 一般に化石が見つかるのは、堆積岩の中です。堆積物中に生物が住み、その堆積物が固化して岩石になったものが、堆積岩です。もし1億年前の堆積物からできている地層があり、地層内に生物いて、現在も生存していれば、生存期間が判定できます。
 ただし、外部からの水の出入りがするとなると、水とともに他の生物が入ってくる可能性もあります。そうなると見つけた生物が、どの時代のものかを判定するのが難しくなります。また、分析する研究者の処理でも、汚染には注意が必要になります。
 同じ環境で保存され、ある時の生物種が維持されている岩石を入手するのも、そもそもその判定をするのも困難です。
 良好な保存状態を持ちうる地層として、マグマが固まった火成岩が考えられます。しかし、マグマ内には生物が住めない環境となります。もともと生物がいない岩石に、なんらかのきっかけで生物が入り込み、その生物種だけが生き続けられる特別な生存環境として維持されたとしたら、困難ですが、上記の条件を達成できそうです。
 では、古い時代の地層の中から、昔から生き続けている生物など、本当に発見できるのでしょうか。それにチャレンジした研究があります。

・次々と終わりが・
先日、今年度後期の成績登録が終わりました。
今月下旬には、次年度のシラバスの締切があります。
それもほぼ入力は終わっています。
年度末の重要な校務書類もあったのですが
それも私の担当分は、ほぼ終わりました。
あとは月末にある最終講義の準備となりますが、
概要は終わっているのであとは
内容の推敲とともに予行と要旨の作成となります。

・退職後のテーマ・
先日、退職後の研究テーマについて
整理することにしました。
これまで、南方熊楠やソクラテス、プラトン、デカルトなど、
気になる人物の思想をフォローして
気になるところを少し読んでいました。
それは現在までの研究の
延長線上で進めてきたものです。
今後のテーマも考えていたのですが、
なんのために熊楠や哲学を読むのかを
少し落ち着いて考えていくことにしました。
そのテーマは、どれくらいの規模になり、
どれくらいの期間になるのか、
アウトプットをどうするのかなど
少し整理しながら考えていこうしています。

2025年2月13日木曜日

2_223 20億年前からの生物 2:種の継続期間

 個体の寿命から種の寿命の話になります。種の寿命とは、その種が継続してきた期間を意味します。ではその種の継続期間は、どのように定義して、その定義はどの程度確かなのでしょうか。


 個々の生物の寿命を見てきましたが、生物の多様性を考えると、「寿命」という概念が、必ずしも適用できない種類もあることもわかってきました。では、生物「種」としての寿命は、どう調べればいいのか考えていきましょう。
 種の寿命とは、ある「種」から別の「種」として分化した時が、種の誕生となります。そこから種の寿命がスタートしてから、種がすべていなくなる時(絶滅)までの期間が、種の寿命となります。種の誕生の前と絶滅の後は、種は「不在」となります。不在の証明は難しいものとなりますが、絶滅の判定については定義があります。現生の生物種においては、信頼できる調査によって一定期間(50年間)、生存が確認されない場合を「絶滅」としています。
 ただしこれは、人為的定義によるもので、その種が本当に「不在」となったかどうかの判定ができるものではありません。なぜなら不在の証明は、論理的に不能だからです。一方、種が継続、あるいは生存している証拠は、簡単に示すことができます。その種の個体がひとつでも確認できれば証明できます。有名な例として、シーラカンスがあります。
 シーラカンス(目という大きな分類群レベル)は、古生代から中生代まで生存していことが化石からわかっています。しかし、中生代(白亜紀)と新生代(古第三紀)の境界(K-Pg境界と呼ばれています)以降、化石が見つかっていないので、絶滅していたと考えられていました。ところが、生きているシーラカンスが見つかりました。化石と現生の種の間で、形態的な差異がほとんどないことから、同じ種だとされました。
 長期間、化石が見つからなかったので定義に基づき絶滅と判断しされたのですが、生きている種が見つかったことで、生存期間が一気に6500万年も延長されました。6500万年間も化石が見つからないという不思議は残されていますが、生存の証拠が優先されます。
 種の出現はどのように判定するのでしょうか。種の誕生は、過去の出来事になるため、多くの場合「化石」で、新種と認定された時が、「出現」となります。それは古生物学的手法によって、それまでにない種の化石が見つかったとき、新種の出現と判断されます。少数の化石では、生存の証拠にはできますが、新種の出現とするのは困難です。なぜなら、その化石が、最初の種の誕生の化石とはいえないからです。
 生存期間の判別には、目的の種の化石が、大量にそして連続した多数の地層から見つかるような条件が必要です。そのような条件を満たするのは、深海底に堆積したプランクトン化石の集合物となっている珪質粘土や、それが陸地に持ち上げられた層状チャートがあります。
 ところが、一般の地層で、長期間に渡って、そのような条件を満たす地層は、あまりありません。ある種の化石が見つかり、別の場所の別の時代の地層で似た種の化石が見つかったとしても、全期間を示していないし、種の連続性も保証されないことにもなります。
 化石の同種の認定は、形態の特徴が似ていることを前提としています。化石は、生物の一部で、岩石中に残された部分(骨、歯、種子、葉など)や痕跡(体の一部の印象、形態、別の物質に置き換わったものなど)になっています。そのため不完全な部分同士で、同種として認定していくことになり、その判断は困難でしょう。その上、時代をまたいだり、あるいは地域を超えて同種の判断は、信頼性が落ちていきます。
 他にいい方法はないでしょうか。次回としましょう。

・老人力・
出張時には、レシート類を2日分を紛失しました。
あちこち探し、ホテルにも問い合わせたのですが、
結局は行方不明となりました。
ところが、提出すべき領収書が
財布に入れていたのを失念していました。
かろうじて事なきを得ました。
このようは加齢による能力の変化を
赤瀬川原平が「老人力」と呼びました。
少し前にその本を読み直しました。
耄碌(もうろく)などといわず、「老人力が増した」と
プラス思考で考えていく姿勢がいいですね。
幸い、妻も老人力が増しているので
お互い様となっています。

・年度の混在・
後期の成績評価を提出しました。
研究費で購入した備品類を返却作業や
パソコンの初期化などを進めて
大半を返却しました。
また、初期化できないものと、
大学のSEの人に頼んだものが残っています。
講義で使う消耗品類も次の担当者に託しました。
校務の報告書の提出も今週締切です。
次々と今年度の業務が終わっていきます。
先週は入試に関する出張がありました。
今月中に次年度の講義シラバスの締切りもきます。
これらは、次年度に関わる業務です。
今年度と次年度が混在している時期です。