2026年1月22日木曜日

3_229 大絶滅を起こした隕石 2:造形力説

 現在の科学は斉一説に基づいて進められているので、地層も、化石のでき方も現在の現象や生物をもとに考えられていきます。では、中世から近世のキリスト教が支配的な世界では、どのように考えられていたのでしょうか。


 中世から近世のキリスト教が支配的な世界では、聖書に記載された内容が正しいと信じられていました。自然現象も、聖書に書かれていることで説明されてきました。
 創世記には、生物の出現も多様な生物も、神がつくったと書かれていました。地層の形成も、生物の絶滅も、聖書にあるノアの洪水のような天変地異で説明されてきました。
 科学的知見が増えてくると、地層の中から見つかる化石は、多様で、現在はいないような形態の化石も、多数見つかってきました。地層の順に、化石の形態が変化していくこともわかってきました。このような化石の多様性や変化は、聖書の中の出来事だけでは説明できませんでした。
 自然に内在する「造形力(形成力)」という神秘的な作用があったと考えられました。これは、神が、混沌から秩序をもたらし、生物や人間に固有の形を与えるという考えです。生物の形態は、造形力によって、一定の秩序や方向性をもって生み出されると説明されました。化石も、造形力の表現様式の一環で、石が生命の形を模して石化し、成長したと考えられます。地層内の生物種の消滅(絶滅)も様式の転換として説明されてきました。
 造形力説であれば、神秘的な作用で、化石や生物の形態の変化など、どのような形態や、どのような形態変化も説明できました。造形力説で、生物や化石の問題は解決できそうでした。しかし、造形力自体の解明は困難でした。
 ところが、問題はまだありました。それは時間でした。聖書に書かれている時間は、天地創造が今から6000年ほと前で、地球の歴史は、それ以降にすべて起こっていなければなりませんでした。
 科学が発展してくると、斉一説が生まれてきました。斉一説とは、地質現象は、現在見られる自然現象の集積によって進んでいくという、ごく素直な考えでした。
 例えば、河川が氾濫したら、川に堆積していた土砂が一気に海に流れ込み、海底に堆積します。洪水は稀な現象ですが、数十年、数百年に一度は起こります。ただし、この洪水という稀な現象は、人間にとってであり、地球の時間にとっては、「しょっちゅう」起こっている現象となります。海底には、このような堆積物が繰り返し溜まっていきます。山をつくっている地層の存在は、地球には非常に長い時間が流れていたことを意味しています。
 斉一説では、造形力のような神秘的な作用ではなく、化石の多様性や変化も説明できました。山をつくっている地層中に貝化石には、現在の海に生きている貝に似ているものもあります。もともとは海で生きていた貝が、土砂が洪水にで海底に運ばれた時、貝も土砂に埋まったと考えれば、山の地層内の化石も説明できます。
 斉一説に従えば、地層も化石も、現在起こっている自然現象によって説明できます。斉一説で地層や化石の形成を考えるには長い時間が必要となります。ただし、何年くらいの時間が流れていたかは、不明でした。過去の時間の定量化はできていませんでした。
 激変説と斉一説は激しく論争しました。激変説は、これまでのキリスト教の信仰の中で考えればよく、当時の教義や常識に叶っていました。一方、斉一説では、論理的ではありますが、教義に反する異端となる考え方でした。斉一説を唱えるのは、それなり勇気も必要でした。
 その論争については、次回としましょう。

・共通テスト・
このエッセイは、19日に配信しています。
大学入学共通テストが先週末に終わりました。
交通の乱れがあると、
受験生も試験会場の担当者も
大変な思いをすることになります。
札幌の一部会場で開始時間繰り下げがありましたが
無事に終わりました。
北海道では、週半ばには
寒波が来るとの予報がでています。
何度も寒波は来ているのですが
今回の寒波は、かなりの降雪が
週末まで続くとの予報です。
試験と重ならずによかったです。

・研究室の使用期限・
先週、研究室の使用期限に関する連絡がきました。
2月末までが期限となっており、
それ以降の延長は認めないというものでした。
27日に退去することにしました。
現在、日々使う最低限のものだけを
研究室に残して、
毎日持てるものを運んで帰っています。
ほぼ片付きつつあります。
現在、研究の必要な最低限のものになっています。
日々、静かに研究できる環境は
捨てがたいものがあります。
3月からは、自宅が研究の場となります。
緊張感の継続が重要かと思っています。