2020年1月16日木曜日

6_171 宇宙の元素 3:モデルから

 宇宙の年齢を、モデルから求める方法があります。それはかなり精度が上がっており、現状ではもっとも信頼性のある方法になっているようです。現状の138億年前という値が、かなり高精度で、あまり変動はなさそうです。

 このシリーズの前半は、宇宙の年齢について見ています。今回は、宇宙誕生のモデルからの推定です。宇宙の晴れ上がりの時のゆらぎは、観測されます。ゆらぎは、当時の物質がどのように分布していたのかを反映しています。観測値のゆらぎを再現できるようなモデルを考えていきます。
 現在、モデルの中でもっとも多くの人が用いているものは、ΛCDMモデルと呼ばれています。そのモデルから、宇宙の年齢を推定することができます。
 2009年に打ち上げられたプランク衛星は、さらに高精度の観測をおこないました。その結果、宇宙は平坦で膨張は永遠に続きそうなこと、宇宙の質量のうち見える物質は4%、ダークマターは23%、不明の真空エネルギーは73%、最初の恒星が2億年後、などが明らかになりました。そして、2016年現在、ハッブル定数は、73.24±1.74km/s/Mpcとなり、宇宙の年齢は137.98±0.037億年となりました。
 今後、ハッブル定数は、その精度が上がっていくことと思います。しかし、今後の研究目的は、宇宙の年齢の精度を上げることが主になることはないでしょう。ΛCDMモデルのより精度の高い検証と修正、あるいはΛCDMよりすぐれたモデルの導出ということになるのだろうと思います。
 その付加的成果として、宇宙の年齢の精度が上がっていくことはあるのでしょう。しかし、これまでの年代値の変動をみていると、宇宙の年齢の138億年が、139億年や136億年に変わることはなさそうです。
 さてここまでがこのシリーズの前半となります。いよいよ本題となる宇宙の元素についてです。
 2019年12月に、東京大学の藤本征史さん(現在コペンハーゲン大学)たちの研究グループが、、古い銀河の観測をしました。チリのアタカマ砂漠にある「アルマ望遠鏡」を使ってのことです。銀河の年代は、130億年前のものでした。宇宙誕生の初期に形成された銀河です。
 最も古い銀河は、2015年に報告されたEGS-zs8-1で、131億年前ものでした。ハワイのケックI望遠鏡を用いて発見されました。ですから、今回観測された銀河は、最古のものではありません。しかし、宇宙ができて8億年くらいしかたっていませんが、同時期の銀河を複数観測したとことろ、共通する不思議な特徴を見出しました。これらの銀河の半径3万光年ほどの領域で、炭素のガスが分布していることが明らかになりました。銀河を覆ってって炭素ガスがありました。
 初期の銀河を覆う炭素ガスの意味するところはなんでしょうか。次回にしましょう。

・センター試験・
大学は、いよいよセンター試験を週末に迎えます。
現在の形式でのセンター試験は今回が最後になります。
今年度の受験生は、大変です。
次年度の試験の形式がどうなるかがはっきしりないからです。
もし浪人でもすることになったら、
どうなるかがわかっていません。
国のレベルで、二転三転しているので
状況もよくわかっていません。
次年度の受験生、とくに高校2年生は、
非常に困惑していることでしょう。
保護者の方々も困惑しているはずです。
大学で実施する側も、どうなるか気になります。
なにもかも未確定の部分が多すぎますね。

・ハッピーマンデイ・
大学の講義が、いよいよ終盤を迎えています。
曜日によっては、今週で終わる講義もあります。
多くは来週が最終になりますが、
毎回ですが、月曜日の処理が困っています。
大学の講義は、曜日進行なので、
ハッピーマンデイの祝日で月曜日が休みになることが
4日増えることになります。
決してハッピーではないです。
同じような苦労している業界もあるのでしょうね。
私は、講義期間は、休みなく実施したらと思うのですが、
それでは、休日祝日の意味がないといわれます。

2020年1月9日木曜日

6_170 宇宙の元素 2:宇宙背景放射

 宇宙の年齢の求め方には、いくつかの方法があります。もしそれぞれの方法がまったく関係しない方法で求められ、それが一致すれば、その値の信頼性が上がります。もうひとつの年齢を求める方法を見ていきましょう。

 前回はハッブル定数から宇宙の年齢を求める方法を紹介しました。小松英一郎さんたちは、2008年に、当時、最も精度のいい観測データに基づいて計算したハッブル定数は 70.5±1.3 km/s/Mpcで、ハッブル時間は138.7 ± 2.6億年となると算出しました。これが、ハッブル定数から求めた宇宙の年齢でした。
 次は、宇宙の背景放射で求める方法についてみていきます。
 宇宙背景放射とは、アメリカのペンジャスとウィルソンが1965年に発見したものです。電波を観測するつもりでつくったアンテナが、宇宙のあらゆる方向から、背景のようにやってくるノイズ(マイクロ波の雑音)を捉えました。そのときのノイズのスペクトルのパターンが、絶対温度3℃(-270℃)のときの放射(黒体放射)に一致していました。
 この放射は、もともと宇宙が高密度高温の時、つまりビックバンの時の状態の時、もっていた熱が放射して、宇宙を満たしていました。宇宙が膨張すると、宇宙はその外はないので、外とのエネルギーのやり取りはありません。ですから、宇宙の膨張とともに、温度が下がっていきます。その結果、観測された温度まで下がったと考えられます。
 高温のときのスペクトルが、現在も宇宙を飛び交っていることになります。この状態の時を、「宇宙の晴れ上がり」と呼んでいます。
 その後、この宇宙背景放射を正確に観測するために、1989年、宇宙背景放射観測衛星COBEを打ち上げました。その結果、宇宙背景放射に10万分1のゆらぎ、ムラがあることわかりました。
 2001年、さらに精度を上げるためにウィルキンソン・マイクロ波異方性探査機WMAPが打ち上げられました。その結果、背景放射のムラを高精度で測定して、宇宙には100万分1のゆらぎはあるが、非常に平坦であること、宇宙のエネルギー構成が定まり、宇宙の年齢が137±2億年であることもわかりました。
 もうひとつ、宇宙の年齢を推定する方法があります。これは、宇宙の晴れ上がりの時のゆらぎとも関係しています。それは宇宙誕生のモデルから推定するものです。それは、次回としましょう。

・独立した方法・
ここで述べた宇宙の年齢の求め方でみてきたように、
まったく別の方法で求めることを
「独立した方法」といいます。
それらが一致すれば、それは有力な根拠となります。
ただし、それぞれの方法で求め方や観測方法、
根拠データが異なるため、精度も異なります。
それぞれの精度の比較はできませんが、
値の信頼については、高いものとなっていきます。
独立した方法で、38億年になるのは、
宇宙の年齢として、信頼性が高いものです。

・筋肉痛が・
北海道の正月は、穏やかにはじまりました。
私は、31日まで研究室にいき、
3日から通常通りに仕事をはじめました。
学生には「大学に住んでいるのですか」、
と聞かれませんした。
住んでいるわけではないのですが、
「まあ半分住んでいるようなものだ」と答えました。
大学は6日まで全館休館で、暖房も最小になっているので
研究室が寒くて仕方がありません。
そのためでしょうか、4日には腰痛に似た筋肉痛がでてきました。
まあ、無理はしないようにして、
寒さは避けて、6日は自宅で少し仕事をして療養しました。

・のんびりと・
今年は、子どもたちがいないので、
のんびりとした正月になりました。
お雑煮も2日間だけのあっさりしたものでした。
夫婦だけなので、最小限にしました。
元旦は、私が福袋で買い物を、家内はスイートを。
2日は温泉にいきました。
3日はもう通常通りになりました。
これからもこんな正月になるでしょうね。

2020年1月2日木曜日

6_169 宇宙の元素 1:宇宙の年齢

 今年最初のエッセイは、宇宙のはじまりの話をしましょう。宇宙は、いつ、どのように誕生したのでしょうか。最近、宇宙のはじまりの様子がわかってきました。まずは、宇宙の年齢を求める方法から見ていきましょう。

 昔は年齢を「かぞえ」で数え、歳のはじめに皆がひとつ歳をとりました。今は、誕生日をもって歳をとる「満年齢」を用いています。しかし、地球の古いことや宇宙の古いことは、かぞえも、満も、誤差範囲なります。
 そもそも誕生日は誕生の様子は、だれも記録、記憶していないので、現在えられる観測をもとに調べていくことになります。宇宙の歳の話しからはじめましょう。
 宇宙の年齢は、どのようにして求められるのでしょうか。いくつかの方法があります。ひとつはハッブル定数から求める方法です。
 ハッブル定数とは、宇宙が膨張していることがわかったときに、その由来はさかのぼります。アメリカの天文学者ハッブルが、1929年に、地球(私たちの太陽系)からの距離を横軸に、地球からその天体が遠ざかる速度を縦軸にしたグラフに、遠くの銀河の観測データを記入していくと、右肩上がりの分布になることを示しました。このグラフが宇宙が膨張していることの根拠となりました。
 データの分布を直線に回帰し、その傾きを求めたものが、発見者にちなみ「ハッブル定数」と呼ばれました。その傾きの次元(単位)は、1/(時間)となり、(時間)の逆数です。したがって、ハッブル定数の逆数の次元は、(時間)となります。この値は、「ハッブル時間」と呼ばれ、宇宙の年齢を示すと考えられます。
 しかし、「ハッブル時間」は、宇宙の膨張が一定であるという前提に立っていますが、そこには根拠がありません。グラフで直線とみなしたのは、宇宙の物質の量を考慮していないという問題がありました。宇宙には多くの物質があります。その物質間に働く引力で、膨張を抑える力が働きます。引力は距離の二乗に逆比例します。ビックバンのときは、引力が強かったので、ビックバンのときは引力を振り切るために、膨張の速度は速く、だんだん減速していることになります。減速も実測されてきました。
 この物質の量と分布は非常に難しい問題となっています。精度の上げるためには、別の方法が必要です。その方法として、宇宙の背景放射を用いるものがあります。それは、次回としましょう。

・年始の挨拶は電話で・
明けましておめでとうございます。
今年から、我が家は夫婦ふたりでの正月になります。
子どもたちが家を離れているのですが、
母の実家の近く住んでいます。
母は独居ですが、親族のために多くの餅をつきます。
機械でつくのですが、手伝いに親族も来るので、
子どもたちも訪れ参加しました。
母には週に何度も電話をしているのですが、
年に2、3度しか会うことがありません。
考えたら、母にも子どもたち会うのは、それくらいの頻度です。
今年は、家族全員の年始の挨拶は電話になります。

・暮は餅つき・
我が家でも、機械で餅つきをします。
もち米を前日に水につけておき、機械に入れれば、
自動でつき上げてくれので非常に楽です。
正月用の餅も重要なのですが、
つきたての餅を食べるのも楽しみです。
我が家の定番は、大根おろしや納豆もいいのですが、
シンプルに磯辺巻きが一番ですね。

・お雑煮・
正月のお雑煮は各地、各家庭で異なるでしょう。
我が家、昨年までは、京都の母のものと同じで、
白味噌仕立てで丸餅、小芋、大根を入れるのシンプルなものでした。
他に、いろいろとお重に入れるようなお節もつまみます。
雑煮は朝食だけで、昼も夜も別のメニューにしています。
今年は、市販の味噌出しを用いて、
丸餅は入れるのですが、鍋風にすることにしました。
餅を入れて雑煮代わりに食べることにしました。
夫婦ふたりなのはじめての試みです。

2019年12月26日木曜日

5_170 系外惑星 5:綿あめ惑星

 年末になって、系外惑星のニュースが、NASAから飛び込んできました。その系外惑星も、これまで知られていない異形なものでした。しかしその特徴には、どこか愛嬌がありました。

 本号が今年最後のエッセイになります。系外惑星のシリーズで終わることになりました。もともとの構想では、前回のエッセイで終わるはずでした。ところが、2019年12月20日にNASAから、系外惑星に関するニュースが配信されました。これを、年末のエッセイの話題にすることにしました。
 ケプラー宇宙望遠鏡が、2012年から2014年にかけて発見した系外惑星を、ハッブル望遠鏡で観測して、詳細がわかったというニュースでした。
 観測された系外惑星は、恒星のKepler-51(太陽系から約2600光年の距離)を回る3つの惑星のKepler-51b、Kepler-51c、Kepler-51dです。
 恒星の前を惑星が通り過ぎるとき、大気を透過したときの光(透過スペクトル)をハッブル望遠鏡で分析しました。すると、主に水素とヘリウムからできていることがわかりました。水は検出できませんでした。大気が厚すぎるので表層の成分しか調べられず、内部の成分はわかりませんでした。ですが、大気の下には、メタンガスがたくさん含まれているのではないか、と推定されています。
 また観測の結果、3つの惑星は木星ほどのサイズがあるのですが、密度が非常に小さいことがわかりました。ガス惑星である木星(1.33 g/cm³)と比べても、いずれも100分の1の0.1 g/cm³ほどしかありませんでした。密度から考えると、内部にも重い物質(鉄や岩石など)はほとんどなく、ガスだけからできた惑星になります。NASAはこのような惑星を"cotton candy"(綿あめ)と呼び、"super-puff"(チョウふわふわ)の表現しました。
 ところが、一番内側にあるKepler-51bは、恒星の熱で大気を大量に飛ばされているようで、10億年ほどで海王星サイズになってしまうと推定されています。まだそうなっていないということは、今の状態がずっと維持されていたのではなく、「最近」このような状態になったと推定できます。もちろん「最近」とはいっても天文学的な表現で、億年単位の話しです。
 どのようにして異形の綿あめ惑星ができたのでしょうか。もともと恒星から遠く離れたところで、メタンや水素化合物が固体になるような距離で(スノーラインと呼ばれる)できた惑星だと考えられます。それが何らかの原因で、恒星の近くに移動したことになります。その結果、水素やメタンが気化して密度の小さい惑星に膨れ上がったということです。
 綿あめ惑星の写真は、
https://www.nasa.gov/feature/goddard/2019/cotton-candy-planet-mysteries-unravel-in-new-hubble-observations
で見ることができます。背景の天体配置などは正確です。ただしこの画像は、科学的に推定して作られたものです。写真はふわふわとして可愛く見えます。

・ホワイト・クリスマス・
北海道は、根雪と思っていた雪が
暖かさで何度から融けてしまいました。
それでも、北国の冬ですので、
雪が降り寒波がくると根雪の戻ります。
クリスマスもホワイトでした。
今年は、変動の多い気候でした。

・時代の流れ・
最近の若者は、年賀状を
あまり書かなくなっているようです。
SNSで連絡することが当たり前なので、
それで済ましているようです。
テレビも持っていない学生も多いです。
テレビは三種の神器のひとつと
言われていた時代もありました。
しかし若者も映像やニュースはみています。
映像や動画は、パソコン、スマホ、タブレットなどで
YouTubeやネット放送を見ているようです。
ニュースもネットで配信されるものです。
これも時代の流れですね。

・よいお年を・
このエッセイを週の初めに書いているのですが、
まだ講義は続いています。
ですから、エッセイが届いたころから
私は冬休み入り、一段落となります。
今年最後のエッセイとなります。
よいお年をお迎えください。

2019年12月19日木曜日

5_169 系外惑星 4:大気組成

 このシリーズで、系外惑星の軌道と質量以外の情報を調べるのは、難しいといいました。しかし、いくつかの惑星で、大気組成が観測されてきました。そこで、今までの太陽系の常識を覆すものが、見つかってきました。

 系外惑星では、軌道や質量は求められますが、それ以外の性質を求めるのは難しいと紹介しました。これは少し考えればわかります。遠くの天体では、恒星は光を発しているので観測できますが、惑星は光を発していません。ですから、惑星の存在を探ること、そこから軌道や質量は恒星の変動を観測することで可能です。ところが、いくつかの系外惑星で、もっと詳しい情報が得られてきました。2つの系外惑星を紹介しましょう。
 かに座方向に97光年のところある恒星(GJ-3470)でみつかった、GJ-3470bという系外惑星です。この惑星は、質量が地球の12.6倍、公転周期が3.3日となっています。短時間の周期で、恒星の非常に近いところを回っていました。サイズは海王星に似ていて、恒星に近いところを回っているので、「ホット・ネプチューン」に分類されていました。海王星型の惑星なら、大気は水蒸気やメタンがになるはずです。
 公転周期が短いので、太陽の前を通るときの観測(12回)と、後ろを通るときの観測(20回)が繰り返しおこなわれました。この惑星からは、太陽に暖められて大気が飛び出していました。惑星から飛び出した大気に、恒星からの光の波長が吸収されて、大気組成を調べることできました。その結果、水素やヘリウムという、まるで木星のようなガス惑星に似た大気でした。「ホット・ジュピター」と呼ばれる惑星の典型でした。海王星と考えられていのですが、その大気組成とは異なっていました。系外惑星、GJ-3470bも今までの太陽系の常識を覆しました。
 もう一つは、しし座方向に124光年のところにある恒星(K2-18)にあるK2-18bです。この系外惑星は、公転周期が30日ほどでした。この惑星は、ハビタブルゾーンの軌道にありました。質量は約8.9倍で、地球と海王星の中間になります。地球より大きな「スーパー・アース」、あるいは海王星より小さい「サブ・ネプチューン」などに分類されています。
 恒星を横切った時に観測(9回)がなされました。その時、惑星大気の分光分析されて、組成が求められました。この惑星は、ハビタブルゾーンにある系外惑星ではじめて大気組成が明らかになったものでした。大気には、水素とヘリウムの他に、水蒸気も見つかりました。
 ただし、この惑星には、特殊な条件がありました。まず恒星が赤色矮星であることです。赤色矮星は、一般的な恒星(主系列星)と比べて低温で、核融合反応はゆっくりと進んでいます。質量は小さいのですが、寿命が長く(1000億年以上)で、周りに惑星系があれば、安定した条件が長期間維持されると考えられます。またこの系外惑星は、公転と自転が一致し、惑星の同じ面が常に恒星を向いています。地球と月の関係(潮汐固定)と同じです。表面温度は、265K(-8℃)と推定されています。
 大気中の水蒸気の発見は、惑星には表面の条件が整っていれば、水、つまり海の存在が期待されます。自転が固定されているので、恒星に暖められた大気が循環することで、場所によっては、水が安定に存在できる場所が生まれるかもしれません。ただし、このような海王星のようなガスの多い惑星で、地表に硬い大地があり、海洋があるかどうはまだ不明です。
 多数の系外惑星からは、特異性、意外性の報告が目に付きます。これいいことなのかもしれません。地球が宇宙の中心であるという天動説から、地動説へと気づく「コペルニクス的転回」が、系外惑星から生まれつつあります。今後も、もっとたくさんの特異性が発見されるでしょう。どこまでが地球、太陽系の理屈が通じるのか、注意深くチェックしていく必要があると思います。

・コペルニクス的転回・
コペルニクス的転回は、
もちろんコペルニクス自身が、言ったものではありません。
これを言ったのは、哲学者のカントでした。
カントが、自己の認識を180度変更する
という意味として用いた言葉でした。
認識(主観)と対象(客観)の関係が
従来は客観→主観(認識は対象に依存)であったのを
主観→客観と、カントは転回しました。
これは、自分の認識がより中心になっているという意味です。
その意味では「天動説」的ですが。

・寒暖の繰り返し・
北海道は、まだ温かい日と寒い日が繰り返しています。
11月には根雪になったか
と思えるほどの雪になっていたのですが、
雨が降ったり、暖かさで雪が融けたりしました。
例年冬になっても温かい日もあるのですが、
さすがに何度も雨というのはあまり経験がありません。
まあ、これも気候の変動幅のひとつなのでしょうね。

2019年12月12日木曜日

5_168 系外惑星 3:ハビタブルゾーン

 TESSが、地球型惑星を探す理由は、私たちのことを、もっと知りたいという、隠れた意図があるのではないでしょうか。その探査には、ハビタブルゾーンという考えを知ることが、重要になります。

 地球型惑星とは、サイズもさることながら、軌道もある程度遠くを回っている必要があります。それがTESSで、地球型惑星を探す理由ともなっています。地球に似た惑星であれば、生命が存在する可能性があります。もちろん、惑星の存在は観測できますが、生命の存在が直接観測できるわけではありません。ですから、あくまでも「可能性」を探すことになります。では、どのようにして、その可能性を探ることができるのでしょうか。
 地球型惑星と呼ぶには、サイズだけではなく、軌道も恒星から一定以上遠くを回っている必要があります。系外惑星としてサイズも公転軌道も観測できます。ただし、生命が存在する可能性があるのは、小さな地球サイズの惑星で、しかも軌道がある一定の領域になければなりません。その領域の範囲は、「ハビタブルゾーン」と呼ばれています。
 小さな惑星と限定するのは、大きな惑星は表面に大量のガスをもつガス惑星になります。太陽系でいえば、木星や土星のような天体で、そこでは水も生命も存在しそうにあります。小さければ、大気も薄く、硬い表面をもつ惑星、岩石惑星が期待できます。
 また、ハビタブルゾーンとは「生存可能領域」と訳されていますが、液体の水が惑星表面に存在できる領域となります。実際に水を観測することは困難ですが、水が惑星表面に存在するには、薄めの大気があり、平均気温が0℃から100℃の範囲に維持されている必要があります。その位置は、恒星の明るさと距離によって計算できます。恒星が明るければ、ハビタブルゾーンの軌道は遠く離れ、暗いと近くなります。
 ハビタブルゾーンにある地球型惑星は、明るい恒星では見つけにくく、暗い星では見つけやすくなります。もしその領域に地球型惑星が見つかれば、生命や水の存在が観測できなくても、間接的に水があり、生命が存在する可能性を示します。
 しかし注意が必要です。ハビタブルゾーンの地球型惑星には水が存在し、水が存在すれば、生命が存在する可能性があるという論理構造は、実は地球や私たちの太陽系が、宇宙に当たり前に素材する恒星、惑星だという前提にしています。地球を典型的なものとして、地球型惑星を探そうという考えです。さらに水が惑星表面に長時間維持されていれば、生命が発生し継続的に存続し、進化していく可能性もあります。この推論も、私たちの地球や生命を典型ということを前提にしています。
 それらの前提に普遍性があるかどうかには、根拠はありません。私たちの太陽、地球、生命が、唯一無二で、特異な例なのかもしれません。もしそうなら、地球を典型とするわけにはいきません。
 これまで発見された系外惑星の多様性をみていると、私たちの太陽系も、非常に多様な惑星の一つに過ぎないことを知らされました。多様性をもっと調べていく必要がありそうです。それは私たちのことをもっと知ることになるはずです。

・暖気・
北海道では火曜日から2日続いて
暖かい日が続きました。
すると今まで積もっていた雪が溶けていました。
根雪と思っていたのですが。
北海道では根雪になると防寒の冬靴をはきます。
この靴は、防寒と滑り止めを特化しています。
防水機能は少々劣っています。
そのため、ぐしょぐしょの道を歩くと
水が靴に染み込んできます。
雨靴ではすべるので、
この時期に氷が溶けるような天気は
非常に困ってしまいます。

・卒業研究・
今年も学科の4年生が
卒業研究のレポートを執筆し提出をしました。
私のゼミの学生も数名書きました。
学科では卒業研究を必修としているので
卒業するためにはレポートを
必ず提出しなければなりません。
分厚いレポートになるので、
2年間かてで準備していきます。
ゼミにでて指示に従っていれば、
文章を書くのが苦手な学生でも
大部のレポートが書けます。
でも、コツコツと積み上げていく努力が必要です。
それが苦手な学生は苦労しますが。

2019年12月5日木曜日

5_167 系外惑星 2:トランジット法

 TESSの観測方法は、トランジット法と呼ばれるものです。系外惑星を探す方法としては、もっとも一般的なものです。ただし、長所も欠点もあります。TESSは、その欠点を他の観測で補っていきます。

 TESSによる初期的な成果は、前回紹介しました。TESSは、近傍の恒星をターゲットにしています。ターゲットになる恒星は、12等級より明るく、太陽に似た恒星(G型とK型主系列星)、約50万個が対象となっています。1000個の赤色矮星も加わっています。
 TESSの惑星探査法が「トランジット法」と呼ばれるものです。トランジット法とは、恒星の周りを惑星が周ることで、恒星の明るさがわずかですが変化します。この明るさの変化を観測する方法が、トランジット法です。この探査で、地球サイズ以上の惑星、公転周期が60日以内のものが見つかると考えられています。
 今後、多数の地球型惑星を発見していくことと思います。TESSが地球近傍で明るい恒星の探査をしていますので、発見されれば、地球からの別の望遠鏡でより詳しい観測をすることができます。その観測で、惑星の質量や軌道や公転周期、状況などの詳細がわかってくことが期待されます。これが近傍の恒星の探査をする重要な意味です。
 例えば、TESSによって観測された53光年のところにあるHD 21749(レチクル座の方向の8等星)の恒星から、2つの系外惑星が発見されています。それを地上から観測して、惑星「HD 21749 b」は、サイズが地球の約2.7倍、質量は約23倍、表面温度は150℃、公転周期は約36日と推定されました。高温で大きい惑星で、地球とはあまり似ていませんでした。トランジット法では、大きな惑星、恒星近傍の惑星、公転周期の短い惑星の発見がされやすくなります。この惑星の特徴は、今まで発見されたTESSの惑星で、もっとも公転周期の長いものとなっていることでした。
 HD 21749の恒星系からは、もうひとつの惑星「HD 21749 c」が発見されています。この惑星は、サイズが地球の約90%、質量は80%で、地球に似ています。表面が岩石からできている惑星だと考えられています。ただし、公転周期は約8日で恒星に非常に近いところを回っていて、表面温度は約430℃になると推定されています。
 発見された恒星系や惑星のより詳しい観測が、地上の望遠鏡や宇宙望遠鏡でなされることになります。そこで新しい情報が付け加わります。全天を網羅的に観測することが、TESSの役割となります。ご近所の系外惑星のカタログづくりとなるわけです。

・師走・
いよいよ師走となりました。
以前は、いろいろとアセリがあったのですが、
最近はアセリなくなりました。
でも、今も変わらず、師走になると、
1年のたつ速さを噛み締めてしまいます。
年齢のせいでその速さは加速されているようです。
年々すべき仕事が終わることなく続き
日々それに追われているせいでしょうか。
仕事で1年というくくりで、
振り返ることも少なくなりました。
仕事が終わった時が区切りとなるだけです。
そして次なる仕事へと気持ちを切り替えていきます。
そんなとき、エッセイのこのメモは
1年の振り返り役に立っています。
今年のエッセイも残すところ、後3回となりました。

・雨・
北海道はまた、週末から今週はじめにかけて
暖かくなり、雨も降りました。
根雪かと思った雪が、かなり溶けました。
しかし、翌日からはまた冷え込み、雪になりました。
北海道だけでなく、日本の各地で
激しい寒暖の繰り返しが起こっているようです。
体調を壊す人もいることでしょう。
私も少々風邪気味になっていきました。
無理しないで、睡眠と栄養をとるように心がけましょう。