前回のシリーズはD"層についてでした。今回のシリーズは外核のE"層についてのシリーズです。E"層とは、現在あまり使われていない名称ですが、外核のもっとも外側の部分のことです。E"層の様子を探る研究が報告されました。
前回のシリーズでD"層についての実態解明が、なされつつあることを紹介してきまた。核とマントルの境界付近には、まだよくわかっていないE"層と呼ばれる層があります。ところが、E"層は、あまり使わわれていない名称です。
E"層の名称の由来を紹介しておきましょう。かつて、地震波による地球の内部を、地表からA層(地殻)、B層(上部マントル)、C層(マントル遷移層)、D層(下部マントル)、E層(外核)、F層(外核と内核の境界)、G層(内核)の7層に区分されてきました。外核がE層となり、E層のもっとも外側をE"層として区分され呼ばれています。
今回紹介するのは、E"層の実態を明らかにしようとして研究がされました。アリゾナ州立大学のキム(T. Kim)さんたちの研究グループが、2023年11月13日発行のNature Geoscience誌に、
A hydrogen-enriched layer in the topmost outer core sourced from deeply subducted water
(深くに沈み込んだ水から供給された最外核の水素に富んだ層)
という論文を報告しました。
この論文内で、E"層という名称が使われています。D"層同様に、最外核でも地震波が遅くなる領域があります。数十~数百kmの幅を持っているため、E"層と名付けられています。
外核は、地球の深部で溶けている金属鉄を主成分とし、マントルはケイ酸塩からなるため、化学的特徴が非常に異なっています。そのため、この境界部は非常に特別なものです。マントル側はD"層として研究されてきているのですが、E"層はあまり研究がされていませんでした。高温高圧の条件であることもさることながら、化学的特徴が異なるため、実験も難しくなっています。
今回の論文では、その境界の実験を進めています。どのようは工夫をしているのでしょうか。詳細は次回としましょう。
・シリーズが3つ連続・
いくつかの重要だと思える核に関する
論文がたまってきています。
それを順番に紹介していくことにしました。
前回も今回も含めて、
核やマントルの境界に関する論文3つを
連続のシリーズとして紹介していくつもりです。
核はその存在は古くから知られていたのですが
研究方法がなかなか開発できず、
最近になって研究が進むようになってきました。
・野外調査中・
現在、野外調査中なので、
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来週からは、後期がはじまるので、
野外調査が集中して進められるのは9月だけです。
そのため、9月が忙しくなります。
さらに今年度で退職なので
校務としての野外調査も最後になります。
噛み締めながら、野外調査を進めています。