2024年9月12日木曜日

3_217 外核とマントル最下部 3:D"の広がり

 この研究で、南半球のD"の様子を観測がされました。これまでの知見を塗り替えるようなものが、見つかってきました。問題は、なぜそうなっているのかです。ここから科学がはじまりそうです。


 ハンセンたちの研究チームは、手薄な南半球の地震波を計測するとにしました。しかし南半球は海が多いため、南極大陸に15箇所の観測点を設置しました。そして、3年にわたってデータを収集していきました。
 その結果、南半球のマントルの底には、広範囲にD"(超低速度帯ULVZと論文では呼ばれています)が発見されました。D"は、これまで考えられていたよりも、ずっと広範囲に広がっていることがわかっていました。
 さらに、D"の厚さは濃度はさまざまですが、マントル下部全体に広がっている可能性もでてきました。これまでD"はないとされていたところも、薄いものがあるかもしれません。
 D"の由来は、沈み込んだメガリスがあります。これは低温のD"となります。ところが、南半球には、海が多いのですが、海洋プレートがマントルに大量にもたらすような沈み込み帯が、多くはありません。では、この南半球の広範囲のD"、あるいは全地球のマントルの底に広がるD"は、いったいどこから由来したのでしょうか。
 沈み込んだメガリスが、マントルに底を流動しているかもしれません。そのようなことが起こりうるでしょうか。シミュレーションや岩石の高温高圧での物性に関する研究が、さらに必要でしょう。
 一方、D"には温かいものもあります。これは、古いメガリスが温まったものという考えがありますが、別の可能性も指摘されてきました。外核は液体の鉄で活発な対流をしています。その対流とともに、液体の鉄に含まれている成分で、岩石に取り込まれやすい成分(親石元素)や揮発成分(水素、酸素など)が、マントルの岩石に反応して取り込まれたという考えもあります。そのような成分を含んだマントル物質も温まり地震波が低速度になっていくと考えられています。
 またマントルの岩石が、外核に対流の熱によって、少し溶融しているとも考えられます。少し溶融してていても、地震波速度は小さくなります。
 D"の実体が少し鮮明なってきました。しかし、まだまだわからないことがいろいろあります。ここから、新しい科学がはじまっていくことになりそうな予感がします。

・野外調査・
9月の新学期がはじまります。
野外調査を連続的に進めています。
その傍ら、本の執筆の最終段階を進めています。
9月は研究を進めることがいろいろあるります。
その他に後期の校務も9月から
本格的にスタートしました。
忙しくて、あっという間に
9月は過ぎていきそうです。

・9月は忙しい・
8月上旬に購入していた、
新しいPCのセットアップを
9月に入って進めています。
このPCは、退職後に使うためのもので用意しました。
小型のコンパクトなものです。
小さいですが、新しいシステムになります。
するとそこでは動かない
アプリケーションがいくつもあります。
工夫でなんとなるのか、
それとも、諦めて代替のものを探すのか。
その判断もしていかなければなりません。
9月は忙しいです。