2023年1月12日木曜日

 6_196 ボイジャーは生きている 1:遠く離れても

 45年以上に渡って稼働している探査機があります。その探査機は1977年に打ち上げられた、ボイジャー1号と2号です。現在も、太陽系から遠く離れたところから信号を送ってきています。


 ボイジャーという探査機を知っているでしょうか。科学や宇宙に惹かれるきっかけのひとつにもなった人もいることでしょう。昔の科学少年には、馴染み深い探査機でしょう。かなり昔に打ち上げられた探査機なので、若い人は知らないかと思います。
 ボイジャーには1号と2号があります。1号は1977年9月5日に、2号は同年8月20日に打ち上げられました。いずれも外惑星の探査をしました。続けて打ち上げられたのは、木星、土星、天王星、海王星が絶妙の位置関係になっていたためです。スイングバイという省エネの飛行方法を用いることで、外惑星まで到達できる条件を満たしていました。うまくコースをとることで、スイングバイですべての惑星の探査ができる位置になっていました。このような条件は、今後、175年後までこないという、絶好のチャンスでした。
 1号では、木星と土星を、2号では木星、土星、天王星、海王星を観測しました。いずれも成功して、惑星やその衛星から、次々と新発見をしていきました。なにより、人類にはじめて鮮明な外惑星の姿を見せてくれました。それが科学に興味をもった子どもたちには、大きな夢を与えました。
 ボイジャーは、いいことだけでなく、いろいろな考えさせられることがありました。
 そのひとつは、エネルルギー源として原子力電池を用いていたことでした。当時は、外惑星の探査では、太陽から遠くなり、ソーラ発電機の効率もよくなかったので、ソーラ発電は利用できませんでした。そのため、原子力電池が使用されていました。
 原子力電池とは、半減期の長い放射性核種(プルトニウム238やポロニウム210、ストロンチウム90など)が崩壊するときの熱エネルギーを、熱電変換素子で発電するものです。もし探査機が事故で地球に落下すると、放射性物質での汚染が起こる危険性があります。実際にそのような事故が起こり、大気中にプルトニウムが放出、拡散し、検出されたこともありました。現在では、ソーラ発電の効率が良くなったので、地球近傍では原子力発電の探査機は使われなくなりました。
 もうひとつは、異星人に向けて人類からのメッセージを記録したレコードが付けられたことです。このレコードは、金メッキされていたためゴールドレコードと呼ばれています。レコードには、115枚の地球の画像と、自然の音として「地球の音」と、90分間の音楽、55の言語でのあいさつが記録されていました。レコード面には、再生方法とともに、地球の位置が特徴的な14個のパルサーから示されていました。人類の情報が、もし悪意をもった異星人に知られたら、将来に不安や不利益を生じないかという問題です。
 いろいろな課題がありますが、現在もボイジャー1号も2号も飛行を続けています。それぞれからの信号は地球に届いています。遠くにいるボイジャーの最近の話題を、次回から紹介していきます。

・航海者・
ボイジャー voyager とは、航海者という意味です。
ボイジャーは名前の通り宇宙空間を航海しています。
1号と2号は、今ではかなり遠くにいますが、
お互いは、離れた位置にいます。
それは外惑星の探査のために
たどったコースが少し違うためです。
少しの違いが、時間が経過することで
大きな違いとなっています。
地球から遠く離れたところを
今も生きて(通信可能)航海しています。

・大学入学共通テスト・
今週末は大学入学共通テストが
2日間にわたって実施されます。
毎年、大学の全教職員が試験業務を
分担して担当することになります。
ミスがあると、受験生に大きな不利益となるので
毎年講習を受けて臨むことになります。
北海道は、雪で公共の交通機関で遅延があると
それに応じて試験時間を変更することになります。
そのような事態が起こらないことを願っています。