2021年9月2日木曜日

1_195 地球内の月 1:惑星形成のシナリオ

 月はジャイアント・インパクト(巨大衝突)で形成されたことは、今では多くの人が知るようになってきました。衝突の事件は、太陽系の惑星形成の初期に起こったものです。そのシナリオを見ておきましょう。


 月の起源に関して、かつてはいろいろなモデルがありました。その多くは、科学的根拠の乏しいものでした。20世紀後半になり、アポロ計画による月の探査と、そこから持ち帰られた試料での多様な成分での、精度のよい化学分析が大量になされました。一方、地球の科学的探査、隕石の化学分析なども進んで、月と地球、隕石などの詳細な化学的データの対比などから、その類似と相違が見極められてきました。またコンピュータの発展にともなって計算機シミュレーションも進み、ジャイアント・インパクト説が有力となってきました。

 ジャイアント・インパクトの事件は、太陽系が形成された頃のできごとです。この事件は、太陽系形成の頃のシナリオに基づいています。太陽系形成のシナリオをみておきましょう。

 太陽系ができて間もない頃は、熱いガスの状態だったのですが、温度が冷めるにしたがって、ガスから固体が凝縮してきました。固体は集まりながら粒となり、小さな石となり、石同士が衝突し合体して、やがて大きな天体(微惑星と呼ばれました)へと成長していきました。微惑星同士も衝突合体して、太陽系には火星サイズの惑星(原始惑星)だけになっていきます。最終的には、太陽系の公転軌道に、現在の数ほどの惑星だけになっていきます。

 太陽からの距離によって、惑星になるための材料(固体)は、近ければ金属鉄と岩石で、遠くになるとそこに氷(H2Oの固体)が加わります。氷ができる境界は、火星と木星の間です。火星から地球の間では、H2Oは液体(水)としても存在できる領域でした。

 太陽から遠くでは氷の成分が多かったので、惑星の質量も増え、周囲も大量にあったガスを集めた巨大ガス惑星(木星、土星)ができました。離れるにつれて、惑星の成長速度が遅くなり、遠くでは惑星が成長する頃には、ガスも少なっていて、氷だけがたくさん集まった氷惑星(天王星、海王星)ができました。

 これが太陽系の惑星形成のシナリオで、惑星のおおまかな特徴が説明できます。

 さて、微惑星が集まり、原始惑星になる段階で、大きな衝突が起こります。原始地球になったあと、最後の原始惑星の衝突で、月ができたと考えられます。これが、ジャイアント・インパクト説となります。詳細は、次回としましょう。


・調査予定が組めない・

緊急事態宣言の発令で、

9月予定していた道内の野外調査も

どうなるかは不明なになりました。

12日まで緊急事態宣言の期間の予定ですが、

その直後からなら、調査ができる予定を組めるのですが、

次の週からは、授業がはじまるため、

長めの調査出張はできません。

ぎりぎりのところで調整が進みそうです。


・八方塞がり・

北海道は、3度目の緊急事態となりました。

前回までの違う点は、感染者が都市部に集中するのではなく、

都市周辺地域から地方まで広がっている点です。

そのため、以前は都市部での警戒でよかったのですが、

今回は道内の各地での自粛しなければなりません。

しかし、地方でも感染が広がっているのは、

もう、自粛や警戒が効かなくなってきているためでしょう。

長い期間におよぶ自粛と開放の繰り返しは、

多くの人から緊張感、警戒感を奪っています。

また一部の人はワクチン接種をしているので

それも警戒感の緩みを招いているのでしょう。

八方塞がりの状態ですね。