2021年8月19日木曜日

2_198 LUCA 7:白馬OD1

 ここまで、CPRのうち、OD1がもっともLUCAに近いことを紹介してきました。今回は、日本で発見されたOD1を紹介します。そればどのような特徴を持っており、どこで見つかり、どのような意義があるのでしょうか。


 生物の多くは、他の生物に依存することなく光合成で栄養をつくて生きる植物が生態系の中心にいます。これは、現在の多くの地球生物が、太陽エネルギーを利用した体系となっています。しかし、太陽光が届かない深海でも、熱水噴出孔周辺で、光合成生物を基本としない独自の生態系が形成されることが知られています。熱水の熱エネルギーと熱水内の栄養分を利用している独自の生態系です。

 実は熱エネルギーも利用できない環境で生きる生物も知られています。地下深くのカンラン岩や蛇紋岩の中を流れる水から発見されたCPRがいることを紹介しました。MK-D1は、冷水から発見されたCPRで、真核生物への進化の鍵を握っていました。カンラン岩や蛇紋岩を通った地下水から見つかったCPRの中に、OD1が発見され、それがLUCAの探求に重要な意味をもっていることがわかってきました。

 通常の堆積岩と比べると、カンラン岩や蛇紋岩は成分としての生物の栄養分も少なく、また熱水は超還元的な環境となります。そのような過酷な環境で見つかったOD1は、生命活動に必要はエネルギーをどのようにとっているのか不思議な生命でした。

 超還元場は、カンラン岩に水が通ると蛇紋岩になる作用が起こり、化学反応で水素を発生するためです。水素が定常的に存在する超還元的な環境でOD1が多数発見されているのは、この環境に適応していることを意味します。そこから、超還元的な環境で水素を生命活動のエネルギー源にしているのではないかと考えられています。

 さて、このような特徴が明らかになってきたのは、日本で発見されたOD1の研究からでした。白馬地域の温泉水からです。この温泉を調べたところ、CPRが多数見つかりました。その中にOD1の一群も見つかりました。それは「白馬OD1」と呼ばれました。

 白馬地域には、主な温泉として白馬八方、蓮華、若栗、栂池、鞍下の5つがあります。このうち、白馬八方は、50°Cほどの温泉がしています。pHが10を超え、日本でもっとも高アルカリ性の温泉となります。地下には蛇紋岩体があり、水素ガスを多く含むこともわかっています。

 このようなOD1の特異な特徴から、Ebisuzaki and Maruyama(2017)や佐藤ほか(2019)では、LUCAの誕生とその進化過程を推定しています。詳細は次回としましょう。


・第5波・

多くの国民の反対する中、開催された

酷暑の札幌でのオリンピック。

それ以降、札幌やその周辺での感染拡大が続いています。

わが町もまん延防止等重点措置がとられました。

またまた、自粛生活にもどりました。

今回の第5波は以前より大きな波になりそうです。

そしてデルタ株に置き換わっているので

感染力もさることながら、若い人を重症化させたり、

ワクチン接種者にも感染するようになってきました。

政府の対処の問題が次々とでてきます。


・豪雨と洪水・

先週から週末にかけて線状降水帯が西日本で発達して

大きな被害を各地にもたらしました。

昨年や少し前にの被害があった地域と

重なっていることも多かったようです。

被災されたかた、お見舞い申し上げます。

北海道は、今回の大雨より少し前に

一部地域で洪水の被害がありました、

広域にはありませんでした。