2021年1月14日木曜日

2_187 恐竜の新知見 2:世界最小の恐竜卵

 恐竜の卵の化石は、あまり聞き慣れないのですが、丹波では多数の発見されてきました。多数の卵の化石があったということから、恐竜たちの営巣地ではないかと考えられます。丹波が世界でも有数の産地となりました。


 丹波では、丹波竜だけでなく、歯だけですが6種類の化石が発見されてきました。丹波には多数で多種の恐竜がいたところだと考えられます。また、大量に見つかってきた卵の殻の化石から、それを生んだ親の推定されていきました。

 卵のサイズの違いから、これまで見つかっていた恐竜と比べると、もっと小型の恐竜であることが推定されました。さらに、卵化石だけのサイズの違いから、6種類に分けられていました。そのうち1つのグループを、2015年に新属新種のニッポノウーリサス・ラモーサスと命名されました。他の卵化石は鳥脚類恐竜が1種と、獣脚類恐竜(鳥類を含見ます)3種類に分けられています。

 その後も卵化石の研究は続けられ、兵庫県立人と自然の博物館の田中康平さんたちの同研究で、2020年7月に論文が報告されました。タイトルは、

Exceptionally small theropod eggs from the Lower Cretaceous Ohyamashimo Formation of Tamba, Hyogo Prefecture, Japan

(兵庫県丹波市、下部白亜系篠山層群大山下層より発見された極めて小さな獣脚類恐竜の卵化石)

というものでした。「極めて小さい」と表記されていますが、ニュースでは、「世界最小の恐竜卵の化石」となっています。卵は、長さ4.5cm、幅2cmほど(ウズラの卵)の細長いものでした。

 なお、卵の化石は、直接、親の恐竜を知ることができないので、卵化石独自の分類がされています。しかし、この卵の殻の化石を詳しく調べることで、親は獣脚類ですが、2kg弱ほどの体重しかなく、鳥に似て羽毛を持ち、翼があったと推定されています。その結果、新種と判定され「ヒメウーリサス・ムラカミイ(Himeoolithus murakamii oogen. et oosp. nov.)」と命名されました。

 他の卵の化石から、新種1種が見つかっており「サブティリオリサス・ヒョウゴエンシス(Subtiliolithus hyogoensis oosp. nov.)」と命名されています。サブティリオリサスは、モンゴルとインドで見つかっていましたが、日本では初めての報告になります。

 大規模な発掘調査で、卵化石が4個、卵殻の化石約1300個を発見されています。この地からは多数の卵の殻が見つかっているため、丹波の篠山層群が堆積したところは、小型恐竜が群れとなり、卵を生む「営巣地」ではないかと考えられていました。

 卵や卵の殻では、すでに記載されていた4種の獣脚類の卵化石に加えて、新種の2種が加わったので、6種の卵の化石が見つかりました。スペインのテルエル州では5種の卵化石が見つかっていて最も多く産出しているところだったのですが、丹波が世界最多の発見地となりました。丹波は、恐竜の化石でも卵や卵から、あるいは営巣地としても、有数の産地となりました。

 小型の恐竜化石は小さいために、残りにくいのですが、卵は条件によっては残りやすい場合もあるようです。営巣地が見つかると、小型恐竜の研究や生態も明らかになってくるでしょう。


・学名・

生物の学名は、その特徴や関わった地域や人に

敬意を表してつけられることがあります。

ヒメウーリサス・ムラカミイは

ヒメが小さくかわいらしいこと、

ウーリサスは卵の石、

ムラカミは丹波竜発見者の村上茂さんに由来しています。

サブティリオリサス・ヒョウゴエンシスの

サブティリオリサスは繊細な卵の石という意味で、

ヒョウゴエンシスはもちろん兵庫県に由来しています。


・大学入学共通テスト・

今後、大学は入試期間に入ります。

今週末には、センター試験に変わり

新しくなった大学入学共通テストが実施されます。

これまでニュースで、記述式を取り入れるとしてはなくまり

業者によるリスニングもなくなりました。

形式的にはこれまでのセンター試験と似たもととなります。

ただし、これまでの知識や技能だけでなく

思考力や判断力、表現力を重視した出題形式になっています。

この方針を受けて、大学の一般入試の内容も変化してきます。