2020年10月1日木曜日

1_187 初期重爆撃期 4:それぞれの年代値

 母天体のわかっている隕石で、アパタイトの年代が測定されました。5つの隕石のアパライトから、いろいろな年代値がえられました。そこから、何が読み取られるのでしょうか。


 前回、アパタイトを年代測定に利用する意味を紹介しました。記録されている年代が、450℃という中間的な温度で書き換わることが、アパタイトの特徴でした。その温度での出来事は、母天体、そして地球や太陽系の天体の歴史への重要な手がかりとなっていました。

 この報告で用いられたのは、玄武岩質ユークライトという隕石、5種ですが、そのうち3つは角礫状で、他の2つは角礫化していないものでした。

 ひとつの隕石で何個もアパタイトがえられ、いくつもの年代がえられます。同一隕石内の複数の鉱物を測定することで、年代を示す線(アイソクロンと呼ばれます)から年代値を求める方法もあります。アイソクロン法では、同じ隕石内のアパタイトは同じ履歴を記録していると仮定して求めることになります。これはよく使われる手法ですが、もしかすると課題あるかもしれませんが、今回はそれには言及しません。

 それぞれの隕石からえられたいくつかの年代をみていきましょう。

 角礫状玄武岩ユークリットから見てきましょう。ジュビナ(Juvinas)は、アパタイトのアイソクロン年代は45.169億年前とメリライトという鉱物のアイソクロン年代は41.503億年前でした。キャメルドンガ(CamelDonga)は45.7~43.7億年前付近ですが値はばらつきますが、44.914億年前や、そこからはずれたものからは43.72億年前がえられました。スタナーン(Stannern)は、41.430億年前の年代がありますが、44~41.5億年前のいくつもの年代があり、もしかすると、この期間中に複数の熱変成イベントがあった記録かもしれません。

 角礫化していない玄武岩ユークリットでは、アグルト(Agoult)のアイソクロン年代は、45.248億年前と40.5248億年前の年代もえられました。イビティラ(Ibitira)は、45.52億年前でした。

 角礫化した隕石は、これまで天体形成の初期の衝突合体の時期に、激しい衝突(爆撃期)に変形して形成されたと考えられていました。年代はその痕跡を示している可能性があります。一方、角礫化していない隕石は、火成活動など母天体の形成や形成後の天体の大規模な活動の記録を残している可能性があります。

 これらの年代から、母天体である小惑星ベスタの形成初期の履歴が復元されていきます。論文では、これらの結果に加えて、同じ隕石の別の鉱物なので年代、母天体由来の隕石の年代値も利用して議論しています。その話は、少し複雑で長くなりますので、次回としましょう。


・後期の遠隔授業・

わが大学では先週の連休明けから

後期の授業がはじまりました。

半分以上の講義は、まだ遠隔授業となっています。

しかし、ゼミナールや資格課程の授業では

対面授業がおこなわれています。

私の担当の授業の半分以上が対面授業となっています。

遠隔授業もいくつかあるので、

その準備に手間取っています。

先日は音声が途中で切れているという

学生からのクレームもあり、慌てて録音し直しました。

原因は不明です。

これからも、何がおこるかわかりませんので、

緊張が強いられます。


・ストーブの季節・

北海道は9月になってから秋めいてきました。

それでも暖かい日もあったのですが、

先週末あたりからかなり涼しくなってきました。

我が家では、週末に、衣替えをしました。

日曜日の午前中は、日が差さないときは

自宅でも足元が冷たく感じてしまいました。

ストーブの調子をみるためにも一度たきました。

しばらく炊いていると、暖かくなりすぎたので消しましたが、

もうストーブの季節になってきました。