生物進化の大きな飛躍には、ある日突然起こるものと、長い時間をかけて試行錯誤の末に起こるもの、とがあるようです。多細胞化は、どうでしょうか。過去に起こった生物種から、その過程を考えていきましょう。
生物進化の大きな飛躍としては、葉緑体やミトコンドリアの共生によってある日突然起こるものと、脊椎の獲得や陸への進化など長い時間をかけて試行錯誤の後に起こるものもありました。その中で生物の多細胞化は、突然か、それとも長い時間が必要か、どちらでしょうか。これが今回のテーマでした。
多細胞化へのステップを考えると、なかなか難しく思えます。単細胞で暮らしているときは、ひとつの細胞ですべての生命活動を賄っていました。多細胞化が起こる時には、新たな仕組みを作る必要があります。例えば、多細胞全体で分業化するために、情報伝達が必要になり、そして生きていくための物質循環(栄養供給と不要物排出)などが、新たな仕組みとして作り出す必要があります。これができていないと、多細胞化とはいえません。細胞同士が単純にくっついても、それぞれが単独に生活しているのであれば、群生ということになります。
多細胞化において必要な情報伝達は、植物ではタンパク質などの分子を通しておこないます。そのため、反応は遅くなってしまいます。動物では長く伸びた神経細胞が専門に担っています。そのため反応は速くなっています。物質循環は、植物では導管と支管という仕組みがあります。動物では、消化系をつくって栄養をとり、その栄養を血液やリンパ液などで全身に送り不要物を回収するという、別の循環系を用意することで、分業化しています。植物も動物も多細胞化のために、特別な仕組みを用意しています。
単細胞から多細胞への進化は、いくつもの生物で何度も繰り返し起こっていたことがわかっています。ただし、繰り返し起こったのは、植物の仲間だけだったようです。少なくとも、褐藻類や黄緑色藻類、フェオタムニオン藻類、クリソメリス藻類などで多細胞化が起こっていることが知られています。つまり、植物へは、いくつもの系統(多系統)で進化をしてきたことになります。
ところが動物では、ひとつの系統(単系統)だけで起こった進化のようです。襟鞭毛虫類(えりべんもうちゅうるい)という単細胞類が、動物の直接の祖先だとされています。現在では、襟鞭毛虫類から、多細胞の海綿動物を経て、多くの多細胞動物へと進化してきたと考えられています。つまり動物は、襟鞭毛虫類を祖先とする単系統のみで進化してきたことになります。
細胞のつくりをみると、植物は細胞壁があり頑丈ですが、動物は細胞膜という柔らかなものからできています。植物の細胞壁と動物の細胞膜と比べると、動物のほうが柔軟性があり、多細胞化が容易にみえます。しかし、植物ではいくつもの系統で多細胞化が起こっています。植物にとっては多細胞化はそれほど困難なことではなかったようです。一方、動物では単系統でしかないので、長い生物の歴史の中で一度しか起こっていない稀な現象だったようです。動物の系統では、多細胞化は難しいものだったようです。
多細胞化によって、大型化や分業などの効率も手に入れるのですが、他の機能も付加していくという大変さありました。大変そうに見えるのですが、多細胞化した生物が繁栄しているのは、生存戦略上は成功しているのでしょうね。
・また雪景色に・
北海道は、先週末にまた雪景色に戻りました。
再び冬並みにストーブを使っていました。
気の早い人たちは、車を夏タイヤに変えていたようです。
慎重派の我が家は、冬タイヤのままでした。
そのため雪の中でも出かけるのに困りませんでした。
気の早い人は、
道路が溶けてしまえば、すぐに夏タイヤに変えてしまい
初雪のニュースがあると、早々に冬タイヤに変えてしまいます。
夏タイヤから冬タイヤへは問題はないのですが、逆は危険です。
我が家は通勤には使っていないので、
いずれにしても被害はありませんが。
・3月も終わり・
いよいよ3月も終わりです。
大学では今週から在学生へガイダンスがはじまります。
4月は新入生の行事で目白押しですので
3月末に終わらせておきます。。
教員も今週だけ、時間がゆっくりと使えます。
限られた猶予ある時間を大切に使いたいものです。
でも目の前に4月のドタバタがあると
少々落ち着かない気持ちなのですが。
2019年3月28日木曜日
2019年3月21日木曜日
2_167 単細胞から多細胞へ 1:共生
生物の進化には、いくつか大きな飛躍があります。その飛躍は簡単に起こることなのでしょう。飛躍の中には、短時間で起こったと考えられるものがあります。共生と呼ばれているものです。
生物の進化には、いくつかの大きな飛躍があるように見えます。飛躍とは、その生物にとって後の進化に重要な役割を果たす機能を獲得することです。しかし、そのような飛躍は、生物が後を進化をしようと意図して得るものではなく、たまたま起こった試行錯誤の結果が成功して、生存競争に勝つことができ子孫を残すことができたのでしょう。
よく知られている飛躍としては、光合成の獲得、好気性、多細胞化、脊椎の獲得、海から陸への進化、恒温性などがあるでしょうか。いずれの飛躍も、進化に大きな節目となっているものでしょう。しかし、その獲得は、ある日突然身につけることができるのでしょうか。
例えば光合成ですが、真核生物では藻類と植物だけが持っている仕組みです。光合成は、細胞内にある葉緑体でおこなわれています。光合成の能力は、ある時、突然、獲得できた能力だと考えられています。大型の真核生物が、シアノバクテリアを取り込んだことではじまったことがわかりました。このようなものを「共生」と呼んでいます。本来なら小さな細胞を取り込むということは、「食べる」ことになります。しかし、食べることなく、共生をしたのです。葉緑体には二重の細胞膜があり、外は真核生物のものですが、内側が別の生物ものでした。そのことから、食べることなく、取り込まれたことがわかってきました。たまたま起こったことのようです。
葉緑素は植物や藻類だけがもっているのですが、ミトコンドリアも二重の細胞膜をもっていることがわかってきました。ミトコンドリアは、すべての真核生物が持っている細胞内の小器官です。ミトコンドリアの役割は、酸素を利用してATP(アデノシン三リン酸)をつくりだし、真核生物に供給することです。ATPは、リン酸の分子が分離したり結合したりして、エネルギーの放出・貯蔵ができる物質で、非常に重要な物質です。ATPをミトコンドリアは、真核生物に供給していることになります。
細胞にとって酸素は、非常に危険な存在です。酸素は、細胞の内のさまざまな物質を酸化してしまうので、酸素への対処ができないと、その生物は死んでしまいます。だからミトコンドリアのない生物は、酸素のない環境(嫌気性)でしか生きていません。しかし、ミトコンドリアがあれば、酸素の多い環境(好気性)であっても、細胞内の酸素をうまく処理してくれます。処理だけではなく、酸素を用いてエネルギーを供給するATPをもたらしてくれます。こんないいことはありません。ミトコンドリアは、好気性細菌の一種で、葉緑体と同様に共生したことがわかってきました。
共生があったことは、種類によって、葉緑体やミトコンドリアを取り出しても、生きていけるものがいることからも、確からしいと考えられています。他の生物を取り込む共生という仕組みは、ある時から急にできることになります。
一方、脊椎の獲得や陸への進化などは、長い時間をかけて試行錯誤が必要だと思われます。では、多細胞化はどうでしょうか。最近、それに関する重要な報告が出ました。詳しくは次回以降にしましょう。
・集中講義・
先週は、集中講義があり終了直後に
学位記授与式(卒業式)もありました。
大きな行事が2つ連続してあったので
先週は非常に忙しい思いをしました。
本エッセイも前の週に予め予約しておきました。
おかげで今週から来週にかけては
落ち着いて仕事ができます。
今週も来週も送別会があるので飲み会があります。
3月いっぱいで、親しい人が去っていきます。
なかなか寂しいものです。
近くに住んでいるのであれば、
近い内に会うこともできます。
親しい人は、こちらを引き払うので
会う機会はなかなかなさそうです。
・祝う会・
先週末、学位記授与式がありました。
そのあと大学祝う会があり
さらにその後に学科の祝う会がありました。
今年は担当している4年生がいなかったので
少々寂しくもありました。
しかし結果的に、多くの4年生と
いろいろな思い出を語ることができよかってす。
生物の進化には、いくつかの大きな飛躍があるように見えます。飛躍とは、その生物にとって後の進化に重要な役割を果たす機能を獲得することです。しかし、そのような飛躍は、生物が後を進化をしようと意図して得るものではなく、たまたま起こった試行錯誤の結果が成功して、生存競争に勝つことができ子孫を残すことができたのでしょう。
よく知られている飛躍としては、光合成の獲得、好気性、多細胞化、脊椎の獲得、海から陸への進化、恒温性などがあるでしょうか。いずれの飛躍も、進化に大きな節目となっているものでしょう。しかし、その獲得は、ある日突然身につけることができるのでしょうか。
例えば光合成ですが、真核生物では藻類と植物だけが持っている仕組みです。光合成は、細胞内にある葉緑体でおこなわれています。光合成の能力は、ある時、突然、獲得できた能力だと考えられています。大型の真核生物が、シアノバクテリアを取り込んだことではじまったことがわかりました。このようなものを「共生」と呼んでいます。本来なら小さな細胞を取り込むということは、「食べる」ことになります。しかし、食べることなく、共生をしたのです。葉緑体には二重の細胞膜があり、外は真核生物のものですが、内側が別の生物ものでした。そのことから、食べることなく、取り込まれたことがわかってきました。たまたま起こったことのようです。
葉緑素は植物や藻類だけがもっているのですが、ミトコンドリアも二重の細胞膜をもっていることがわかってきました。ミトコンドリアは、すべての真核生物が持っている細胞内の小器官です。ミトコンドリアの役割は、酸素を利用してATP(アデノシン三リン酸)をつくりだし、真核生物に供給することです。ATPは、リン酸の分子が分離したり結合したりして、エネルギーの放出・貯蔵ができる物質で、非常に重要な物質です。ATPをミトコンドリアは、真核生物に供給していることになります。
細胞にとって酸素は、非常に危険な存在です。酸素は、細胞の内のさまざまな物質を酸化してしまうので、酸素への対処ができないと、その生物は死んでしまいます。だからミトコンドリアのない生物は、酸素のない環境(嫌気性)でしか生きていません。しかし、ミトコンドリアがあれば、酸素の多い環境(好気性)であっても、細胞内の酸素をうまく処理してくれます。処理だけではなく、酸素を用いてエネルギーを供給するATPをもたらしてくれます。こんないいことはありません。ミトコンドリアは、好気性細菌の一種で、葉緑体と同様に共生したことがわかってきました。
共生があったことは、種類によって、葉緑体やミトコンドリアを取り出しても、生きていけるものがいることからも、確からしいと考えられています。他の生物を取り込む共生という仕組みは、ある時から急にできることになります。
一方、脊椎の獲得や陸への進化などは、長い時間をかけて試行錯誤が必要だと思われます。では、多細胞化はどうでしょうか。最近、それに関する重要な報告が出ました。詳しくは次回以降にしましょう。
・集中講義・
先週は、集中講義があり終了直後に
学位記授与式(卒業式)もありました。
大きな行事が2つ連続してあったので
先週は非常に忙しい思いをしました。
本エッセイも前の週に予め予約しておきました。
おかげで今週から来週にかけては
落ち着いて仕事ができます。
今週も来週も送別会があるので飲み会があります。
3月いっぱいで、親しい人が去っていきます。
なかなか寂しいものです。
近くに住んでいるのであれば、
近い内に会うこともできます。
親しい人は、こちらを引き払うので
会う機会はなかなかなさそうです。
・祝う会・
先週末、学位記授与式がありました。
そのあと大学祝う会があり
さらにその後に学科の祝う会がありました。
今年は担当している4年生がいなかったので
少々寂しくもありました。
しかし結果的に、多くの4年生と
いろいろな思い出を語ることができよかってす。
2019年3月14日木曜日
5_165 ケプラーからTESSへ 4:ファーストライト
TESSは夏には、正式な運用がはじまりました。その時の最初の画像も公開されました。なかなか素晴らしいものでした。ケプラーよりずっと広域を観測できます。TESSは今後2年間の運用が予定されています。
TESSは、2018年4月18日に打ち上げられ、5月17日には最初のテスト画像が送られてきました。テスト画像は、4つあるCCDのうち1台を使って、たった2秒の露出での撮影されたものでした。軌道もまだ定まっていない状態での、CCDのテストでした。そこには12の星座が含まれており、非常に広い範囲の星が写っていました。
8月7日には、4台のCCDをすべて使って、30分かけて撮影した画像「ファーストライト(first light)」が公開されました。これは、本格的な観測をはじめた、最初の正式な画像になります。非常に広い範囲が撮影されています。その後、観測は順調に進んでいるようです。
さて、TESSはトランジット法を用いています。恒星の前を横切った惑星による明るさの変化を調べる方法ですから、継続的に観測していくのが、最もはっきりと惑星の存在を検証できます。そのため、同じ恒星を長期間、継続的に観測することが有効な方法となりますが、CCDの範囲の領域しか観測できません。
一方、広い範囲、できれば星域全体を観測するためには、同じ領域ばかりを観測はできないので、断続的になりますが、定期的に繰り返し観測することになります。
惑星の探査では、継続観測で検証の精度、「質」をとるか、広域観測で「量」をとるか、の選択となります。系外惑星の観測は、ケプラー宇宙望遠鏡でもまだ星域の一部しかなされていません。そのため、NASAは、「量」を選択しまし、まずは基礎的な記載を進めることにしました。
研究にはいろいろな段階があります。予察、記載、一般化、より深い探求など、さまざまなレベルがあります。ケプラー宇宙望遠鏡は、予察にあたります。ある星域を定めて、そこだけを精密な観測をおこなったら、どの程度の確実な系外惑星が発見できるかというものでした。その結果、2600個以上の惑星の存在を検証しました。
TESSでは、2年間でファーストライトの26倍の領域の観測をおこないます。ほぼ全星域で、系外惑星の有無の記載がなされることになります。このプロジェクトが完成すれば、個々の系外惑星で、精密な探査が進めらていきます。その精密探査も、ケプラーの成果からすでに進められていると思います。今後の成果に期待したいものです。
・より深い探求・
ケプラーもTESSも、最も期待される成果は、
地球型惑星の存在を検証することです。
地球型惑星の確実な証拠は、
水が存在するかどうかが重要になります。
遠くの天体、それも恒星の横切るだけで
その存在が確認された惑星で、
水の有無を検証するのは、難しいものでしょう。
まして生命の存在の可能性については
もっと難しい観測になるはずです。
技術や科学は、大きな飛躍がありえますので、
その飛躍に期待したいものですね。
・安全基準・
TESSが2年間の運用予定なので、
装置自体はその間大丈夫なように設計されています。
安全基準は、1.5から2倍程度の余裕をもって
設計されていることになります。
2年の運用を目指していますが、装置が持てば、
もっと長く運用されるはずです。
そして、さらなる成果が挙げられます。
しかし、まあこれはとらぬ狸の皮算用ですね。
TESSは、2018年4月18日に打ち上げられ、5月17日には最初のテスト画像が送られてきました。テスト画像は、4つあるCCDのうち1台を使って、たった2秒の露出での撮影されたものでした。軌道もまだ定まっていない状態での、CCDのテストでした。そこには12の星座が含まれており、非常に広い範囲の星が写っていました。
8月7日には、4台のCCDをすべて使って、30分かけて撮影した画像「ファーストライト(first light)」が公開されました。これは、本格的な観測をはじめた、最初の正式な画像になります。非常に広い範囲が撮影されています。その後、観測は順調に進んでいるようです。
さて、TESSはトランジット法を用いています。恒星の前を横切った惑星による明るさの変化を調べる方法ですから、継続的に観測していくのが、最もはっきりと惑星の存在を検証できます。そのため、同じ恒星を長期間、継続的に観測することが有効な方法となりますが、CCDの範囲の領域しか観測できません。
一方、広い範囲、できれば星域全体を観測するためには、同じ領域ばかりを観測はできないので、断続的になりますが、定期的に繰り返し観測することになります。
惑星の探査では、継続観測で検証の精度、「質」をとるか、広域観測で「量」をとるか、の選択となります。系外惑星の観測は、ケプラー宇宙望遠鏡でもまだ星域の一部しかなされていません。そのため、NASAは、「量」を選択しまし、まずは基礎的な記載を進めることにしました。
研究にはいろいろな段階があります。予察、記載、一般化、より深い探求など、さまざまなレベルがあります。ケプラー宇宙望遠鏡は、予察にあたります。ある星域を定めて、そこだけを精密な観測をおこなったら、どの程度の確実な系外惑星が発見できるかというものでした。その結果、2600個以上の惑星の存在を検証しました。
TESSでは、2年間でファーストライトの26倍の領域の観測をおこないます。ほぼ全星域で、系外惑星の有無の記載がなされることになります。このプロジェクトが完成すれば、個々の系外惑星で、精密な探査が進めらていきます。その精密探査も、ケプラーの成果からすでに進められていると思います。今後の成果に期待したいものです。
・より深い探求・
ケプラーもTESSも、最も期待される成果は、
地球型惑星の存在を検証することです。
地球型惑星の確実な証拠は、
水が存在するかどうかが重要になります。
遠くの天体、それも恒星の横切るだけで
その存在が確認された惑星で、
水の有無を検証するのは、難しいものでしょう。
まして生命の存在の可能性については
もっと難しい観測になるはずです。
技術や科学は、大きな飛躍がありえますので、
その飛躍に期待したいものですね。
・安全基準・
TESSが2年間の運用予定なので、
装置自体はその間大丈夫なように設計されています。
安全基準は、1.5から2倍程度の余裕をもって
設計されていることになります。
2年の運用を目指していますが、装置が持てば、
もっと長く運用されるはずです。
そして、さらなる成果が挙げられます。
しかし、まあこれはとらぬ狸の皮算用ですね。
2019年2月28日木曜日
5_163 ケプラーからTESSへ 2:トラブル
どんな装置であっても、トラブルは発生します。そのため、あらゆるトラブルを想定して装置は設計されています。ところが、トラブルはその人智を超えたところで起こります。そんなトラブルにも人智で対処するしかありません。
ケプラー宇宙望遠鏡は2018年11月15日、NASAはシステムを完全に停止するためのコマンド「goodnight」を送ることで、運用が停止されました。11月15日は奇しくも、天文学者ケプラーの死亡した日でした。
この最後の日を迎えるまで、ケプラーはさまざまなトラブルに見舞われました。地球外にあるので、人がいって修理や補修をすることができません。プログラム上の不具合であれば、上書きなどである程度は対処できますが、ハード上の破損は補修が不可能となります。しかし、トラブルの度に、努力や工夫で、危機を脱出してきました。
運用当初の2009年6月、エラーが出てセーフモードになりました。セーフモードとは、コンピュータがトラブルを起こしたとき、その診断用のモードになることです。その原因は電力低下のためでした。なんとか回復して観測できるようになり、6月19日には、はじめての観測データを送ってきました。
その後、順調に観測を続けていたのですが、2010年3月、42個のCCDセンサーのうち2個が使えなくなるというトラブルが発生しました。これは回復することはできないトラブルでした。視野の75%が観測できなくなる領域が生じましたが、観測は可能でした。その状態で観測は継続されました。2012年7月、姿勢制御装置の8つのリアクションホイールのうちのひとつが故障し、2013年5月には、もうひとつが故障しました。制御不能になっていたのですが、別の姿勢制御機構であるスラスターを使用することで、制御が回復されました。2018年7月には、スラスターのトラブルで休止モードに入りましたが、9月には復旧して、再びデータが送信できました。このようにさまざまなトラブルに見舞われながらも、ケプラーの運用は続けられました。2018年10月30日には、とうとう推進剤がなくなり、NASAはケプラーの運用を終了することにし、2018年11月15日「goodnight」を送信しました。
さて、ケプラー宇宙望遠鏡は、星の明るさの変化を測定する方法での観測をしてきました。このような方法は、トランジット法といいます。恒星の前を惑星が通り過ぎる(transit)という現象で、明るさが変わる様子を観測する方法です。データを詳しく解析すると、減光の程度から恒星と惑星の半径比、減光の継続時間から惑星の軌道角度と恒星の密度、またたのデータと組み合わせることで、惑星がガスでできているか、岩石のような密度の大きなものできているかなど、いろいろな情報を読み取ることができます。なかなか優れた方法です。
この方法を引き継ぐ、次なる宇宙望遠鏡がすでに運用が始まっています。それは次回としましょう。
・愛着の装置・
機械や装置は、トラブルがつきものです。
どんな高性能、あるいはアナログ装置であっても故障します。
装置によっては、高性能な装置には
自動修正機能をもったものもあります。
それでも、対処できないトラブルは起こるります。
そんなときは、装置を熟知した専門家が
トラブルに対処することになります。
専門家も対処不能の装置は、
寿命として諦めるしかありません。
代替のある装置なら取り替えればいいわけです。
ところが代わりがないものは、
本来の性能がでなくても、
なんとか寿命をのばして使うように努力されていきます。
そんな装置は、非常に大切にされ
専門家や、使用者からも愛着をもれるようになります。
ケプラー宇宙望遠鏡もそんな装置になったに違いありません。
・帰省・
先週から今週はじめにかけて、
京都に帰省していました。
半年ぶりに母と近くに住む弟に会いました。
弟とも久しぶり盃を交わしました。
市内に住んでいる長男にも会い、
周辺をいろいろ案内してもらいました。
次男と家内も、それぞれ別の日に京都に出向き、
日曜日に母の実家で家族が集合することができました。
今後は、息子たちが京都にいるので
私たち夫婦が出向いて母のいる京都で
家族が集合することになるでしょうかね。
ケプラー宇宙望遠鏡は2018年11月15日、NASAはシステムを完全に停止するためのコマンド「goodnight」を送ることで、運用が停止されました。11月15日は奇しくも、天文学者ケプラーの死亡した日でした。
この最後の日を迎えるまで、ケプラーはさまざまなトラブルに見舞われました。地球外にあるので、人がいって修理や補修をすることができません。プログラム上の不具合であれば、上書きなどである程度は対処できますが、ハード上の破損は補修が不可能となります。しかし、トラブルの度に、努力や工夫で、危機を脱出してきました。
運用当初の2009年6月、エラーが出てセーフモードになりました。セーフモードとは、コンピュータがトラブルを起こしたとき、その診断用のモードになることです。その原因は電力低下のためでした。なんとか回復して観測できるようになり、6月19日には、はじめての観測データを送ってきました。
その後、順調に観測を続けていたのですが、2010年3月、42個のCCDセンサーのうち2個が使えなくなるというトラブルが発生しました。これは回復することはできないトラブルでした。視野の75%が観測できなくなる領域が生じましたが、観測は可能でした。その状態で観測は継続されました。2012年7月、姿勢制御装置の8つのリアクションホイールのうちのひとつが故障し、2013年5月には、もうひとつが故障しました。制御不能になっていたのですが、別の姿勢制御機構であるスラスターを使用することで、制御が回復されました。2018年7月には、スラスターのトラブルで休止モードに入りましたが、9月には復旧して、再びデータが送信できました。このようにさまざまなトラブルに見舞われながらも、ケプラーの運用は続けられました。2018年10月30日には、とうとう推進剤がなくなり、NASAはケプラーの運用を終了することにし、2018年11月15日「goodnight」を送信しました。
さて、ケプラー宇宙望遠鏡は、星の明るさの変化を測定する方法での観測をしてきました。このような方法は、トランジット法といいます。恒星の前を惑星が通り過ぎる(transit)という現象で、明るさが変わる様子を観測する方法です。データを詳しく解析すると、減光の程度から恒星と惑星の半径比、減光の継続時間から惑星の軌道角度と恒星の密度、またたのデータと組み合わせることで、惑星がガスでできているか、岩石のような密度の大きなものできているかなど、いろいろな情報を読み取ることができます。なかなか優れた方法です。
この方法を引き継ぐ、次なる宇宙望遠鏡がすでに運用が始まっています。それは次回としましょう。
・愛着の装置・
機械や装置は、トラブルがつきものです。
どんな高性能、あるいはアナログ装置であっても故障します。
装置によっては、高性能な装置には
自動修正機能をもったものもあります。
それでも、対処できないトラブルは起こるります。
そんなときは、装置を熟知した専門家が
トラブルに対処することになります。
専門家も対処不能の装置は、
寿命として諦めるしかありません。
代替のある装置なら取り替えればいいわけです。
ところが代わりがないものは、
本来の性能がでなくても、
なんとか寿命をのばして使うように努力されていきます。
そんな装置は、非常に大切にされ
専門家や、使用者からも愛着をもれるようになります。
ケプラー宇宙望遠鏡もそんな装置になったに違いありません。
・帰省・
先週から今週はじめにかけて、
京都に帰省していました。
半年ぶりに母と近くに住む弟に会いました。
弟とも久しぶり盃を交わしました。
市内に住んでいる長男にも会い、
周辺をいろいろ案内してもらいました。
次男と家内も、それぞれ別の日に京都に出向き、
日曜日に母の実家で家族が集合することができました。
今後は、息子たちが京都にいるので
私たち夫婦が出向いて母のいる京都で
家族が集合することになるでしょうかね。
2019年2月7日木曜日
5_160 西から昇る太陽 1:ユニークな発想
子どもたちの発想は、ユニークなものが一杯あり、驚かされたり、興味を惹かれたりします。そんなユニークな発想が集まったコンクールがあります。数学に関するものですが、いくつか紹介してきましょう。
「算数・数学の自由研究作品コンクール」というものをご存知でしょうか。現在第6回目ですから、比較的最近設立されたものです。そのため、あまり知られていなかったのでしょう。しかし、小・中・高校生で、数学好きの人たちは、知っていたようです。コンクールに応募された研究レポートは、1万6485編もあったそうです。海外からも31編が届いているようです。
夏休みの自由研究や絵画などのコンクールはよく知っていたのですが、数学の自由研究にもコンクールがあるとは知りませんでした。近年できたこともあるのでしょうが、夏休みの自由研究で、算数や数学を題材にする人が、周りにいなかったからでしょう。我が家の子どもたちも、工作や自然観察などはしていましたが、算数をテーマになんて考えもいませんでした。
このコンクールで受賞したレポートを見ると、なかなかユニークなテーマがあります。小学校3年生の「三年生で習う一番むずかしい漢字は何?」、小学校5年生の「地獄からの復活劇~御釈迦様からの試練~」。小学校6年生の「お掃除ロボットが動くと……。」、高校1年生の「じゃんけんの拡張~大人数でも秒で決着をつけたい~」などです。本当に数学の内容なのか、どんな内容なのか、見てみたい気がしせんか。
「三年生で習う一番むずかしい漢字」なんて、どうして決めるのでしょうか。その小学生は、漢字の難しさを点数化しました。まずは画数の多さです。これは誰もが思いつくものでしょう。次が、漢字が上下、左右で似ているか、対称性を点数化しています。例えば、「申」は上下でも似ているし、左右で似ているとなり、点数は小さくなります。分解のしやすさというものも点数化してます。5画以下の塊にして分解すると、いくつに分解できるか、ということで点数化します。最後に読み方の多さも、点数化しています。これらの点数を合計していきました。その結果、一番点数の低い(簡単)漢字は、「申」(5点)となりました。なかなかユニークな視点です。では、一番難しいものは・・・・、レポートを見てください。
5年生「地獄からの復活劇」というレポートは、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」をテーマしています。小説に中では、長い距離を登るとか、蜘蛛の糸に多くの人がぶら下がるという内容があります。そこで作品から条件を導き出し、登るのにかかる時間、糸がどれくらいの重さに耐えられるか、について自身で実験して、それを参考に計算しています。なかなかユニークです。この詳細も、レポートを確かめてください。
レポートは、
http://www.rimse.or.jp/research/winner6th.html
で公開されています。興味のある方は覗かれてみてはいかがでしょうか。
このコンクールを知ったのは、最近その受賞レポートの内容が、ニュースになったためです。それは、「西から登ったお日様」というテレビアニメの「天才バカボン」の歌詞を、計算によって起こりうる現象かどうかを考えたものがあります。この研究が受賞したことでニュースになりました。この詳細は、次回としましょう。
・入試モード・
大学は、いよいよ入試モードにはいっています。
入試は、受験生からすると、
試験当日が本番で重要になりますが、
受け入れ側の大学の内部では、
いろいろな作業や処理、手続きが伴います。
まあ、自身の大学への入学者を選抜するために
重要な手続きですから、
慎重にものごとは進めていく必要があります。
・冬の嵐・
雨のようなベチョベチョ雪が降ったかと思ったら
急激に吹雪や冷え込みがあったり、
変化の激しい天気が続きます。
吹雪ではJRが止まったりしていました。
幸い、我が大学の入試日は
なんとか大荒れの合間をぬって
無事に終了することができました。
ただ、入試で出張している人は、
帰ってこられないチームもいます。
入試日程が違う大学は、
交通のトラブルで困っているかと思います。
冬の北海道は、荒れた時の対処が大変です。
「算数・数学の自由研究作品コンクール」というものをご存知でしょうか。現在第6回目ですから、比較的最近設立されたものです。そのため、あまり知られていなかったのでしょう。しかし、小・中・高校生で、数学好きの人たちは、知っていたようです。コンクールに応募された研究レポートは、1万6485編もあったそうです。海外からも31編が届いているようです。
夏休みの自由研究や絵画などのコンクールはよく知っていたのですが、数学の自由研究にもコンクールがあるとは知りませんでした。近年できたこともあるのでしょうが、夏休みの自由研究で、算数や数学を題材にする人が、周りにいなかったからでしょう。我が家の子どもたちも、工作や自然観察などはしていましたが、算数をテーマになんて考えもいませんでした。
このコンクールで受賞したレポートを見ると、なかなかユニークなテーマがあります。小学校3年生の「三年生で習う一番むずかしい漢字は何?」、小学校5年生の「地獄からの復活劇~御釈迦様からの試練~」。小学校6年生の「お掃除ロボットが動くと……。」、高校1年生の「じゃんけんの拡張~大人数でも秒で決着をつけたい~」などです。本当に数学の内容なのか、どんな内容なのか、見てみたい気がしせんか。
「三年生で習う一番むずかしい漢字」なんて、どうして決めるのでしょうか。その小学生は、漢字の難しさを点数化しました。まずは画数の多さです。これは誰もが思いつくものでしょう。次が、漢字が上下、左右で似ているか、対称性を点数化しています。例えば、「申」は上下でも似ているし、左右で似ているとなり、点数は小さくなります。分解のしやすさというものも点数化してます。5画以下の塊にして分解すると、いくつに分解できるか、ということで点数化します。最後に読み方の多さも、点数化しています。これらの点数を合計していきました。その結果、一番点数の低い(簡単)漢字は、「申」(5点)となりました。なかなかユニークな視点です。では、一番難しいものは・・・・、レポートを見てください。
5年生「地獄からの復活劇」というレポートは、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」をテーマしています。小説に中では、長い距離を登るとか、蜘蛛の糸に多くの人がぶら下がるという内容があります。そこで作品から条件を導き出し、登るのにかかる時間、糸がどれくらいの重さに耐えられるか、について自身で実験して、それを参考に計算しています。なかなかユニークです。この詳細も、レポートを確かめてください。
レポートは、
http://www.rimse.or.jp/research/winner6th.html
で公開されています。興味のある方は覗かれてみてはいかがでしょうか。
このコンクールを知ったのは、最近その受賞レポートの内容が、ニュースになったためです。それは、「西から登ったお日様」というテレビアニメの「天才バカボン」の歌詞を、計算によって起こりうる現象かどうかを考えたものがあります。この研究が受賞したことでニュースになりました。この詳細は、次回としましょう。
・入試モード・
大学は、いよいよ入試モードにはいっています。
入試は、受験生からすると、
試験当日が本番で重要になりますが、
受け入れ側の大学の内部では、
いろいろな作業や処理、手続きが伴います。
まあ、自身の大学への入学者を選抜するために
重要な手続きですから、
慎重にものごとは進めていく必要があります。
・冬の嵐・
雨のようなベチョベチョ雪が降ったかと思ったら
急激に吹雪や冷え込みがあったり、
変化の激しい天気が続きます。
吹雪ではJRが止まったりしていました。
幸い、我が大学の入試日は
なんとか大荒れの合間をぬって
無事に終了することができました。
ただ、入試で出張している人は、
帰ってこられないチームもいます。
入試日程が違う大学は、
交通のトラブルで困っているかと思います。
冬の北海道は、荒れた時の対処が大変です。
2019年1月31日木曜日
3_179 惑星系の誕生 3:原始星円盤
原始星の周りはガスに覆われています。ガスの形状と原始星の状態から、星と惑星系の形成過程が探られています。通常の光ではガスの中を覗くことはできません。解像度の高い電波でないと見えてきません。
アルマ望遠鏡で観測されたのは、原始星でした。星はガスの多いところで形成されます。そのため、原始星の周りには、ガスが取り巻く状態になります。一般に宇宙空間に存在する物質は、回転しています。そのため、原始星もガスも回転しています。星の周りでガスが回転すると、星の重力とガスの遠心力の釣り合いで、平たい円盤状に集まってきます(ケプラー回転といいます)。このようなガスを原始星円盤、あるいは降着円盤ガスなどと呼んでいます。
アルマ望遠鏡は、電波によって、この円盤構造を観測しました。論文の題名は、
The Co-evolution of Disks and Stars in Embedded Stages:The Case of the Very-low-mass Protostar IRAS 15398-3359
(初期段階で円盤と星の共進化:超低質量原始星 IRAS 15398-3359)
というものです。
IRAS 15398-3359という星は、できはじめの星として知られています。温度が低く、サイズも小さく、ガスの中に埋もれています。そのため通常の光(可視光)での観測は難しい星です。この星は、以前にも調べられていたのですが、解像度が悪く、実態が詳しくはわかっていませんでした。今回の観測から、惑星系の形成について、新しい事実が見つけられました。
それは、誕生したばかりの原始星にも円盤構造ができていることでした。この発見が意味することは、原始星の誕生とともに、惑星系も形成されるということです。従来は、原始星が成長してから、その周囲に惑星が形成されると考えられてきました。今回の観測で、原始星の形成とともに惑星系もできるということがわかったのです。
さらに、原始星円盤の質量と原始星の質量が同程度であることも分かりました。このような状態だと、円盤の構造は非常に不安定であるはずので、今後、ガスは急激に原始星に落ち込んでいく状態がくると推定されます。
従来のモデルを、新しい観測で変更を迫るということは、科学の世界ではよくあります。このシリーズの最初に、多様な惑星の発見によって起こっていることを述べました。惑星科学はいろいろな点で変更、修正を求められている状況が出現しています。でも、そんなとき、研究者は新しいアイディアを次々と出せるので楽しいだろうと思ってしまいます。古いモデルを提唱した人たちは、そのモデルを捨てるか、修正するかが迫られます。一時は多くの人が採用したモデルとしてもてはやされたでしょうが、ある時それが捨て去られる、これが科学の健全な姿です。
・科学の醍醐味・
自然科学では、確定した法則はありません。
すべてが仮説に過ぎません。
仮説にも多数の証拠、多数の検証がなされたものから
特定の対象、少ない証拠、いくつかの検証だけから
構築されたものまであります。
仮説のもっともらしさの程度は、さまざまです。
仮説でとどまっているのは、
私たちが自然界で法則の対象となったものを
すべて調べ尽くすことができないためです。
それが科学の弱点であります。
しかし、それが科学の醍醐味でもあります。
でも自然科学には仮説しかない、というのは
確定した法則でしょうね。
・淡々と・
大学は定期試験がやっと終わりました。
続いて一般入試がはじまります。
教員はその隙間をぬって成績評価を進めていきます。
その期間もあまり長くないので、
かなり慌ただしいスケジュールになります。
まあ例年のことですから、
淡々と進めるしかありませんね。
アルマ望遠鏡で観測されたのは、原始星でした。星はガスの多いところで形成されます。そのため、原始星の周りには、ガスが取り巻く状態になります。一般に宇宙空間に存在する物質は、回転しています。そのため、原始星もガスも回転しています。星の周りでガスが回転すると、星の重力とガスの遠心力の釣り合いで、平たい円盤状に集まってきます(ケプラー回転といいます)。このようなガスを原始星円盤、あるいは降着円盤ガスなどと呼んでいます。
アルマ望遠鏡は、電波によって、この円盤構造を観測しました。論文の題名は、
The Co-evolution of Disks and Stars in Embedded Stages:The Case of the Very-low-mass Protostar IRAS 15398-3359
(初期段階で円盤と星の共進化:超低質量原始星 IRAS 15398-3359)
というものです。
IRAS 15398-3359という星は、できはじめの星として知られています。温度が低く、サイズも小さく、ガスの中に埋もれています。そのため通常の光(可視光)での観測は難しい星です。この星は、以前にも調べられていたのですが、解像度が悪く、実態が詳しくはわかっていませんでした。今回の観測から、惑星系の形成について、新しい事実が見つけられました。
それは、誕生したばかりの原始星にも円盤構造ができていることでした。この発見が意味することは、原始星の誕生とともに、惑星系も形成されるということです。従来は、原始星が成長してから、その周囲に惑星が形成されると考えられてきました。今回の観測で、原始星の形成とともに惑星系もできるということがわかったのです。
さらに、原始星円盤の質量と原始星の質量が同程度であることも分かりました。このような状態だと、円盤の構造は非常に不安定であるはずので、今後、ガスは急激に原始星に落ち込んでいく状態がくると推定されます。
従来のモデルを、新しい観測で変更を迫るということは、科学の世界ではよくあります。このシリーズの最初に、多様な惑星の発見によって起こっていることを述べました。惑星科学はいろいろな点で変更、修正を求められている状況が出現しています。でも、そんなとき、研究者は新しいアイディアを次々と出せるので楽しいだろうと思ってしまいます。古いモデルを提唱した人たちは、そのモデルを捨てるか、修正するかが迫られます。一時は多くの人が採用したモデルとしてもてはやされたでしょうが、ある時それが捨て去られる、これが科学の健全な姿です。
・科学の醍醐味・
自然科学では、確定した法則はありません。
すべてが仮説に過ぎません。
仮説にも多数の証拠、多数の検証がなされたものから
特定の対象、少ない証拠、いくつかの検証だけから
構築されたものまであります。
仮説のもっともらしさの程度は、さまざまです。
仮説でとどまっているのは、
私たちが自然界で法則の対象となったものを
すべて調べ尽くすことができないためです。
それが科学の弱点であります。
しかし、それが科学の醍醐味でもあります。
でも自然科学には仮説しかない、というのは
確定した法則でしょうね。
・淡々と・
大学は定期試験がやっと終わりました。
続いて一般入試がはじまります。
教員はその隙間をぬって成績評価を進めていきます。
その期間もあまり長くないので、
かなり慌ただしいスケジュールになります。
まあ例年のことですから、
淡々と進めるしかありませんね。
2019年1月24日木曜日
3_178 惑星系の誕生 2:アルマ望遠鏡
惑星ができる時の様子がわかってきました。原始星の観測から明らかになってきました。チリの高原にある巨大な望遠鏡で、日本も設立に参加していました。
惑星形成に関する新発見は、できたての星の観測によるものでした。その観測は、アルマ望遠鏡によるものでした。アルマ望遠鏡は、アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA:Atacama Large Millimeter / submillimeter Array)の略称で、チリの北部、アタカマ砂漠の中にあります。アタカマ砂漠は標高5000mの高地になっています。
なぜ、このような不便で標高の高い過酷な環境に望遠鏡があるのでしょうか。それは、ミリ波からサブミリ波の波長を観測するために適している地だからです。ミリ波は波長が1~10mm(周波数が30~300 GHz)で、サブミリ波は波長が0.1~1mmの(300 GHz~3THz)の電波です。いずれの波長の電波も、大気中に含まれている水蒸気によって、吸収が激しくて感度が悪くなっているます。日本のような湿潤な気候の地では、いい観測できませんでした。そのため、標高が高く砂漠の高地が観測に適していることになります。もちろん水蒸気を含む空気も薄い方が適しています。
世界中のそのような条件を満たした「観測最適地」がいろいろ候補が挙げられた中で、最も適した地としてアタカマ砂漠が選ばれました。標高も高いので空気が薄く、また非常に乾燥していて年間降水量が100mm以下しかありません。観測する研究者にとっては過酷ですが、観測条件が優先です。
日本だけでなく、東アジア、ヨーロッパ、北米の諸国が、チリと協力して建設されました。チリが選ばれたのは、先程の「観測最適地」を満たし、なおかつ、南半球は観測できる拠点が少ないので、今まであまり研究がなされていない星域での観測が期待されたためでした。
この望遠鏡は巨大です。ひとつの望遠鏡ではなく、複数のアンテナが組み合わられて、ひとつの巨大なアンテナとなっています。直径12mのパラボラアンテナが54台、直径7mのパラボラアンテナが12台、合計66台のアンテナから構成されています。これまでの電波望遠鏡の約100倍の感度と数10倍の解像度を持った性能となっています。
ただし、弱点もあります。不便な地です。日本から40時間ほどかかり、なおかつ標高も高いので高度障害も起きやすくなります。しかし、観測には理想的な環境なので、天文学者は訪れることになります。
アルマ望遠鏡は、銀河の形成、星や惑星の誕生、有機分子の合成などの物質進化、ブラックホールの研究に威力が発揮できると期待されています。今回の報告もその一環です。
・センター試験・
先週末、センター試験が終わりました。
北海道はセンター試験の前後は大荒れの天候でしたが、
幸い試験の日は穏やかな日でした。
受験生にとっても実施する側いとっても
ホッとできる天気でした。
全国50万人以上の受験生が
一斉に同じ条件で試験に望むことになります。
日本列島は長いので気候のハンディもあるはずです。
それを克服することは難しいものです。
長年続いてきたセンター試験も来年度で最後になります。
次の試験はどうなるのでしょうか。
受験生が一番心配でしょうね。
・卒業研究発表会・
学科では卒業研究の発表会があります。
このエッセイを送るのは発表の前日です。
皆さんに届く頃には終わっています。
学生にとっては発表会がプレッシャーになるでしょう。
学生生活最後に卒業研究として
レポートをまとめ、発表することは
非常にいい経験になると思います。
社会でも同じような経験をすることがあるはずです。
そのためにも精一杯取り組んでいって欲しいものです。
惑星形成に関する新発見は、できたての星の観測によるものでした。その観測は、アルマ望遠鏡によるものでした。アルマ望遠鏡は、アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA:Atacama Large Millimeter / submillimeter Array)の略称で、チリの北部、アタカマ砂漠の中にあります。アタカマ砂漠は標高5000mの高地になっています。
なぜ、このような不便で標高の高い過酷な環境に望遠鏡があるのでしょうか。それは、ミリ波からサブミリ波の波長を観測するために適している地だからです。ミリ波は波長が1~10mm(周波数が30~300 GHz)で、サブミリ波は波長が0.1~1mmの(300 GHz~3THz)の電波です。いずれの波長の電波も、大気中に含まれている水蒸気によって、吸収が激しくて感度が悪くなっているます。日本のような湿潤な気候の地では、いい観測できませんでした。そのため、標高が高く砂漠の高地が観測に適していることになります。もちろん水蒸気を含む空気も薄い方が適しています。
世界中のそのような条件を満たした「観測最適地」がいろいろ候補が挙げられた中で、最も適した地としてアタカマ砂漠が選ばれました。標高も高いので空気が薄く、また非常に乾燥していて年間降水量が100mm以下しかありません。観測する研究者にとっては過酷ですが、観測条件が優先です。
日本だけでなく、東アジア、ヨーロッパ、北米の諸国が、チリと協力して建設されました。チリが選ばれたのは、先程の「観測最適地」を満たし、なおかつ、南半球は観測できる拠点が少ないので、今まであまり研究がなされていない星域での観測が期待されたためでした。
この望遠鏡は巨大です。ひとつの望遠鏡ではなく、複数のアンテナが組み合わられて、ひとつの巨大なアンテナとなっています。直径12mのパラボラアンテナが54台、直径7mのパラボラアンテナが12台、合計66台のアンテナから構成されています。これまでの電波望遠鏡の約100倍の感度と数10倍の解像度を持った性能となっています。
ただし、弱点もあります。不便な地です。日本から40時間ほどかかり、なおかつ標高も高いので高度障害も起きやすくなります。しかし、観測には理想的な環境なので、天文学者は訪れることになります。
アルマ望遠鏡は、銀河の形成、星や惑星の誕生、有機分子の合成などの物質進化、ブラックホールの研究に威力が発揮できると期待されています。今回の報告もその一環です。
・センター試験・
先週末、センター試験が終わりました。
北海道はセンター試験の前後は大荒れの天候でしたが、
幸い試験の日は穏やかな日でした。
受験生にとっても実施する側いとっても
ホッとできる天気でした。
全国50万人以上の受験生が
一斉に同じ条件で試験に望むことになります。
日本列島は長いので気候のハンディもあるはずです。
それを克服することは難しいものです。
長年続いてきたセンター試験も来年度で最後になります。
次の試験はどうなるのでしょうか。
受験生が一番心配でしょうね。
・卒業研究発表会・
学科では卒業研究の発表会があります。
このエッセイを送るのは発表の前日です。
皆さんに届く頃には終わっています。
学生にとっては発表会がプレッシャーになるでしょう。
学生生活最後に卒業研究として
レポートをまとめ、発表することは
非常にいい経験になると思います。
社会でも同じような経験をすることがあるはずです。
そのためにも精一杯取り組んでいって欲しいものです。
登録:
投稿 (Atom)