2010年6月17日木曜日

5_87 あかつき:日本の宇宙探査2

 日本の探査機の技術は、非常に優れています。「かぐや」の航行は、月が地球に近いため、燃料も少なくてすみます。しかし、遠くなると燃料がたくさん必要になり、その分、装置がコンパクトで厳選されたものでけねればなりません。惑星探査機「あかつき」を紹介しましょう。


 2010年5月18日に打ち上げが予定されていたH-IIAロケット17号機は、気象条件が整わなかったため、延期となりました。5月21日に変更された打ち上げは、無事、成功しました。このH-IIA 17には、「あかつき」という探査機が載っていました。「あかつき」の総重量は約500kg、半分は燃料および酸化剤となります。そのうち観測機のために35kgほどしか残されていません。軽量コンパクトが観測装置の必須条件となります
 「あかつき」は、金星を探査することが目的です。金星は、地球より太陽に近いところで公転をしています。太陽に近いため、地球から見ると太陽の近くに見えます。ですから、日の出の直前(明けの明星)や日の入り直後(宵の明星)の短い時間しか見ることができません。水星とともに観測しづらい天体となっています。
 金星は、大きさや質量が地球に似ているため、「兄弟星」や「双子星」と呼ばれています。金星の起源やたどった惑星の履歴は、地球と似ているはずなので、金星の探査は、地球の謎の解明にも役立つと考えられます。
 兄弟星と呼ばれる金星ですが、地球とは表層環境があまりに違います。地表の温度が約460度という苛酷な環境です。厚い雲に覆われていて、可視光では、地表を見ることができません。空には硫酸の雲が浮かび、二酸化炭素が主成分の大気です。金星は243日かけてゆっくりと自転しています。ところが、大気の動きは激しく暴風(スーパーローテーションと呼ばれています)が吹き荒れています。その速度は自転の60倍(時速400km)もあり、4日間で金星を1周してしまいます。そのメカニズムは不明です。
 「あかつき」は、そんな金星の不思議な気象を調べることを目的としています。さまざまな波長で大気を観測するためのセンサーが搭載されいています。
 近赤外線を調べるための1μmカメラ(IR1と略されています)と2μmカメラ(IR2)は、大気を突き抜けて観測できるので、地表面の様子や低い位置の雲や水蒸気を調べます。地表面の撮影によって鉱物分布や活火山についても調べられると期待されています。波長10μmの中間赤外カメラ(LIR)では、雲の最上部の温度分布を調べたり、雲の上のでこぼこや風の様子を調べます。紫外線の紫外イメージャ(UVI)では、二酸化硫黄を調べ、雲の形成メカニズムや風を調べます。雷放電発光をとらえる雷・大気光カメラ(LAC)では、超高速撮影ができ、雷が起こっているかどうかを調べます。また、雲の上にある酸素も調べることができます。
 「あかつき」によって金星の気象が解明されることが期待されています。
 実は、H-IIA 17には、「あかつき」のほかにも、小さな衛星3個と「IKAROS」という衛星も搭載されていました。「IKAROS」は、帆を広げて太陽の光子を受けて航行します。その実験するための衛星です。帆には薄い太陽電池がはってあり、電力も帆から得ることができます。
 H-IIA 17のすべての衛星は、無事切り離しができ、「あかつき」も順調に飛行を続けています。2010年末には金星に到着する予定となっています。そして2年間(金星は3回公転します)、金星を観測し続けます。金星でも日本の貢献が期待されます。

・蛍の撮影・
近所で蛍が一杯飛び交っています。
毎夜写真撮影に挑戦しています。
蛍の撮影は簡単のようでなかなか難しく、
人工の灯りがないことが一番重要な条件となります。
街頭や人家の明かり、車の往来などがあると、
30秒ほどの露出で撮影しますので、
失敗の撮影となります。
しかし、比較的暗いところセットして、
30秒の連射を設定すると、
車の往来が稀にあるところでも、
いずれかのショットはOKになります。
蛍の光は暗いので、あとで画像合成をすることになります。
でも、完成した写真はなかなか幻想的なものとなります。
撮影は一度スタートすると、
カメラ任せで連射をさせるだけです。
30分ほどじっとしているだけです。
その間ただただ蛍の飛び交うのを
真っ暗らな川原の土手で眺めています。
心静かなで豊かな時間を過ごしています。

・JAXAチャンネル・
YouTubeのJAXAのチャンネルには、
面白いコンテンツがいろいろあります。
日本の宇宙開発のさまざまなプロジェクトを
市民に分かりやすく広報するための番組が
いろいろ用意されています。
でも、このようなYouTubeに公開されていると、
いつでもみられるのですが、
ついつい見入ってしまいます。
ほどほどにしないと
仕事が滞ってしまいます。

2010年6月10日木曜日

5_86 かぐや:日本の宇宙探査1

 あまり話題にはされていませんが、最近、日本の宇宙探査において、さまざまな成果が挙げられています。JAXA(宇宙航空研究開発機構)発のニュースが相次いで、いくつも流されました。しかし、その扱いはあまり大きくありません。このエッセイで最近のニュースをいくつか紹介していこうと思います。


 日本の宇宙探査で私の記憶に残っているのは、最初の宇宙飛行士の秋山さん、2度宇宙に行った毛利さんなどです。日本の月探査「かぐや」は記憶に新しいところです。最近でも、野口宇宙飛行士の宇宙空間での長期滞在、「あかつき」の打ち上げ、「はやぶさ」の帰還など、つぎつぎと重要な成果が報じられているのですが、その扱いはあまり大きくありません。他のニュースの影に隠れていて、非常に残念です。その成果をいくつか紹介していきます。まずは、少し前の成果ですが、「かぐや」からです。
 「かぐや」は、以前このエッセイでも紹介したのですが、2007年9月14日に打ち上げられた月の起源や進化を探るための探査機です。科学探査用機器や高精細の映像を写すハイビジョンカメラも搭載されていました。また、2つの子衛星(「おきな」と「おうな」)と連携した探査もなされました。
 「かぐや」に関するハイビジョン映像を、NHKもニュースや特集番組で何度も流したり、鮮明なカラー画像がいくつも紙面を飾りました。私も、その詳細な月面の地形をみて感動をしました。また、打ち上げ前には、市民からメッセージを集め、それを「かぐや」にとりつけ、月に運ぼうという「月に願いを」キャンペーンをおこなわれました。予想を超える41万人からメッセージが届きました。そのようなNHKやキャンペーンなどのせいもあって、多くの人が「かぐや」には関心を持っていました。
 2009年6月11日、「かぐや」は、月面に落下して、約1年半に渡る役目を終えました。しかし、「かぐや」の得たデータは、これからも解析が続けられます。JAXAでは、ホームページが現在も更新され、SELENE通信ではいろいろ情報が公開されています。
 JAXA ChannelがYouTubeで開設され、「かぐや」が撮影したハイビジョン映像などが、次々と公開されています。2009年10月20日には、30分ほどのハイビジョン番組「遥かなる月へ2009~月周回衛星「かぐや」の軌跡~」が公開されました。「かぐや」の概要を知るためにはいい番組です。
 科学探査の研究成果でも、2009年2月1日発行のアメリカの科学誌「サイエンス」で、「かぐや」に関する特別編集号が組まれました。研究者間にも「かぐや」の活躍が華々しく伝わりました。
 1961年から1972年にかけて実施された6回の有人月探査であるアポロ計画によって得られた試料はデータは、長い年月をかけて研究され、多大な成果があげられました。その後月の探査はあまりなく、今回の「かぐや」の探査データは、持ち望まれたものです。アポロの結果を塗り替えるほどの成果を挙げるはずです。少なくとも、月面の解像度は格段に上がり、月面地図は完全に更新されました。
 市民参加のためのキャンペーンやNHKのハイビジョンの搭載などによって、多くの人の関心を集めました。研究や成果普及なども、「かぐや」ではすべてがうまくいきました。その陰に隠れながら、あまり光が当たらないところで、重要な成果も上がっています。次回から、そのいくつかを紹介します。

・JAXA Channel・
JAXA Channelは、
http://www.youtube.com/jaxachannel
「かぐや」だけでなく、
日本の宇宙探査に関する映像がいろいろみることができます。
YouTubeの利用が少々気になるところですが、
URLが".com"になっていますから、
アメリカ合衆国のドメインになります。
管理がどのようになっているがわかりませんが、
何かことがあったとき、
データは大丈夫かどうか心配です。
JAXAのような大規模な組織なら、
独自の動画サイトを運営してもいいのではないかと思います。
以前はあったようですが、
現在では、動画はすべてYouTubeに移動しているようです。

・場所選び・
先日、香川から徳島の海岸線、
そして中央構造線沿いを調査してきました。
祖谷(いや)の方に入ったときは
雨に降られましたが、
それ以外は天気もよく日焼けしました。
今回が、四国に来て2度目の調査となりました。
毎月のように調査をする予定です。
梅雨を警戒して、6月は早めに調査を実施しました。
7月にも出かける予定ですが、
梅雨明けと暑さを見ながら、
行く場所を選んでいこうと考えています。

2010年6月3日木曜日

6_81 何処を目指すのか:人工生命2

 DNAの塩基配列であるゲノムをすべて解読するには、労力も資金力も必要です。しかし、研究や医療などで重要な役割を果たしている生物のゲノムがすべて解読されれば、大きな役に立ちます。そんな目的だけであればいいのですが・・・


 前回紹介した人工的な細胞合成について報告された論文の著者24名全員が、すべて同じ研究所の研究者です。彼らは、J・クレイグ・ヴェンター研究所(J. Craig Venter Institute)というとろこに所属しています。ただし、カリフォルニア州サンディエゴとメリーランド州ロックビルの同名の研究所、2箇所に分かれています。その研究所のリーダーが、ジョン・クレイグ・ヴェンター(John Craig Venter)です。論文の著者名の最後には、ヴェンターの名前もあります。
 ジョン・クレイグ・ヴェンターの名前をご存知でしょうか。ヒトゲノムの解読競争として一時ニュースで騒がれたことがあります。ヴェンターはアメリカの分子生物学者で、かつては国立衛生研究所(NIH)にいたことがあるのですが、遺伝子配列を特許出願して、上司(DNAの分子構造発見者のジェームズ・ワトソン)や他の研究者から批判を受けて、研究所をやめることになりました。そして、各種生物のゲノム研究とその利用を目的に、ゲノム科学研究所を設立しました。現在では、いくつかあった研究所は、J・クレイグ・ヴェンター研究所に統合され、ヴェンターが会長となっています。
 1990年にアメリカが予算を計上して、15年かけて、世界各国の研究施設が協力してヒトのゲノムをすべて解読する計画(HGP)がスタートしました。ところが、ヴェンターは、それに対抗して、セレラ・ジェノミクス社で商業的に利用するためにヒトのゲノムを解読して、特許登録して有料のデータベースをつくろうとしました。そして彼らがヒトゲノムを猛烈なスピードで読み出したと情報が流れました。
 幸いながらヒトゲノムはバミューダ原則(1996年2月)という合意によって、ヒトゲノムの解読結果は公開されることになりました。まあその競争があったおかげで、ヒトゲノム解読が一気に加速したという効果がありました。
 2000年6月26日にゲノムのドラフト版が完成し、2003年4月14日には完成版が公開されました。その情報は、ヒトの全遺伝子の99%の配列が99.99%の正確さで含まれるとされています。現在もその精度を上げる努力が続けられています。
 その後、ゲノムの解読の技術は進み、高速かつ廉価に行えるようになりつつあります。2007年には、ほぼ同時にヴェンターとジェームズ・ワトソン自身の完全ゲノム配列が読めたという報告がでました(ここにも過去の因縁を感じます)。そのような解読技術の進歩を背景に、2008年に始まった国際協力研究では、「1000人ゲノムプロジェクト」というのがあります。3年以内に、異なる民族から1000人分の匿名ゲノムの配列を読むという計画です。このプロジェクトが完成すれば、民族間の違いやゲノムの多様性を理解することができると期待されています。
 ヴェンターが今目指しているのは、、最終的には人に役立つ(商目的に叶うもの)人工生命の合するということです。難病治療や食物増産などという、善意に基づいたものや節度があるものであればいいです。しかし、営利に走りすぎれば、金さえ積めば倫理を外れた行為も可能になるのではという不安もあります。また、すべての研究が公開のもとで行われればいいのですが、あるグループ内で非公開でおこなわれるようなものだと、歯止めが利かなくなるのではという不安があります。そんなことを考えさせられた論文でした。

・蛍・
蛍の季節です。
天候不順のため、
1週間ほどの遅れているようですが、
地もとの蛍のニュースを新聞で見ました。
地元の人に聞くと
どこどこの沢で見たというのも聞きました。
ちょっと蛍をみにうろついてみようかと思っています。

・調査中・
現在、調査中であります。
データ通信カードがあるので、
調査中でもインターネットにつなぐことができるのですが、
できるだけ調査に集中したいのと
山奥にはいることもあるので、
留まったところがDOCOMOがつながらないこともあるかもしれません。
メールマガジンを出さなければという気持ちが働いていると
落ち着かないので、事前に予約してあります。
ですから、このメールマガジンも、
一週間前に配信しています。
エッセイの内容は、前回続きなので、
一気に2話分書いたので、連続性は問題ないと思います。
では調査に集中します。

2010年5月27日木曜日

6_80 人工細胞の増殖:人工生命1

 生命は人工的に合成できるのでしょうか。実は最近、合成されたという報告がなされました。それは科学にとって重要な進歩ではあるのですが、その背景にある重要性を見過ごしてはいけません。


 先日(2010.05.20版)のアメリカの専門雑誌「科学」(Science)の電子版に、ある論文が報告されました。この記事をみて、とうとうここまできたかという思いが沸きました。記事のタイトルは「Creation of a Bacterial Cell Controlled by a Chemically Synthesized Genome」というもので「化学合成された遺伝子によるバクテリア細胞の創造」という意味です。ギブソン(D. G. Gibson)他23名の著者が、名前を連ねている共著論文です。
 人工的に合成した最近が細胞増殖をしたという内容です。私は生物学にあまり詳しくないのですが、この研究結果は、重要な節目を示していると感じました。その論文を少し詳しく紹介しましょう。
 用いられたのは、マイコプラズマ・マイコイデス(Mycoplasma mycoides)という細菌です。この細菌が用いられたのは、塩基配列が少なく、操作しやすいためです。つくり方は次のとおりです。
 マイコプラズマ・マイコイデスのDNAの短い一部部分を、化学合成でつくります。そのようにして合成したパーツが、DNA全体になるように部分部分をつくっていきます。それらの全パーツを、大腸菌などの中でつないでいき、ひとつのDNAとして、人工的に合成します。合成で完成したDNAを取り出して、同じ属ですが、別種のマイコプラズマ・カプリコラム(Mycoplasma capricolum)を用意して、もともとのDNAは抜いておき、合成したDNAに入れ替えます。つまり、別種のマイコプラズマ・カプリコラムのDNA以外の細胞を、これからつくろうとするマイコプラズマ・マイコイデスの入れものとするわけです。すると、合成したマイコプラズマ・マイコイデスが、細胞として機能をもち、増殖をしたという報告です。完全に合成されたDNAが、増殖という生命の重要な機能を発揮したのです。
 彼らの用いた技術は、それぞれの部分をとれば、既存の技術を利用しているようです。もちろん見えないノーハウや苦労はたくさんあったのでしょうが。そして、最終的に到達した結果も、ありえるだろうなと思える範疇のものです。つまり、そこには虚偽はなく、実際の合成ができたようです。
 しかし、問題は真偽ではなく、結果を受け入れた上で、見逃すべきでない重要な点があります。別の生物の細胞組織を利用はしていますが、DNAを完全に化学的に人工的に合成しているという点、そしてその合成したDNAが生命活動(増殖)したという点が重要です。
 彼らのグループは、2008年には、ある細菌(Mycoplasma genitalium)の全DNAの合成に初めて成功していました。ですから、次なる目標はその合成したDNAを機能させることだということも理解できるものです。そしてその延長線上には、いろいろと人間の役に立つ生物もできるかもしれません。実際今回の報告をした研究者たちが属している研究施設は、エネルギー生産などに役立つ微生物の創出を目的としています。今回の研究も、その一環だったのかもしれません。
 生命の遺伝情報を司るDNAが人工的に合成され、それが機能しているとなれば、それは生命のキーとなる部分が合成された、人工生命と呼べる可能性があります。もしそのDNAが細菌ではなく、もっと複雑なDNAを持つ生物であったら、どうなるでしょうか。そんな疑問を多くの人が持つのではないでしょうか。哺乳類、あるいはヒトになったら、という危惧ももちろんあります。
 節度ある研究が必要なのですが、実は今回の研究グループはいろいろ話題の多い人が指導者なのです。続きは次回としましょう。

・香川徳島へ・
ここしばらく晴れ間が見えても、
すぐに雨や曇ったりします。
はっきりしない天気なので、
日程を立てづらくずっと悩んでいたのですが、
来週、香川と徳島にでかけることにしました。
昨日、宿をすべて手配しました。
海岸沿いをめっぐて、
その後中央構造線沿いをいくつもりです。
天候しだいなのですが、
なんとか予定通りいきたいものです。

・友人の来訪・
先週末に、友人が私のところを訪ねてくれたのですが、
たままた私が不在のときでした。
非常に残念でしたが、
週明けにすぐにその友人と連絡をとりました。
友人は松山に在住なのですが、
奥さんの実家が隣町なので
わが町も時々通るとのことです。
また、学生の調査でこらから時々来るそうです。
日程は未定ですが、今度調査の折には
付き合うことにしました。
また松山のほかの友人にも会うことにしているので
いずれ松山にいくことにしました。
会えそうで会えないのは、歯がゆいものです。
近くて遠いのは、友人なのかもしれません。
意図しないとなかなか会えないものですね。

2010年5月20日木曜日

2_85 獣脚類が祖先:恐竜から鳥へ4

 現在の説では、獣脚類が鳥類の祖先だとされています。また、始祖鳥も鳥類と同じ祖先ですが、現在の鳥類は栄えてきますが、始祖鳥は絶滅したと考えられています。まあ、これも現状での説ですが。

 そもそも恐竜が鳥類の祖先であるという説は、今まで述べてきた化石になりやすい骨格だけでなく、珍しいですが羽毛の化石がみつかったことだけが証拠ではありません。恐竜の卵化石を詳しく観察して、鳥類の卵と同じように、多層微細構造をもつことがわかりました。2005年にマジュンガトルスという恐竜の脊椎骨の化石の研究から、鳥類のような気嚢をもっていたということが言われています。前にも紹介しましたが、いくつかの根拠から、恐竜にも恒温性があったこともいわれています。このような根拠から、今では研究者も、恐竜は鳥類の祖先であると信じています。
 どのような恐竜が、鳥類の祖先なのかについては、いくつかの説があります。
 三畳紀(2億5100~1億9960年前)ころの樹上性の小型の四足歩行をした原始的な主竜類(祖竜とも呼ばれる)を祖先とする説、古生代末から中生代前期の二足歩行をした地上性の槽歯類を祖先とする説、もっと後の二足歩行をする獣脚類という恐竜類を祖先とする説などがありました。
 その後、鳥類の特徴をもった恐竜の化石や原始的な鳥類の化石などが、発見されてきたことも紹介しましたが、それによって前回紹介した槽歯類を祖先とするダイノバード説は否定されました。また、アメリカの古生物学者のオストロムは、1973年、恐竜の獣脚類にも鎖骨があることを見つけ、獣脚類から鳥類が進化したという説を復活させ、現在ではこの説が定着しつつあります。
 恐竜は、大きく鳥盤目と竜盤目の2つの系統に分かれ、竜盤目のうちの竜脚類と獣脚類に別れ、いくつかの枝分かれをしながら、最終的にジュラ紀後期に鳥類の直系の祖先がでてきます。鳥類の祖先は少なくとも2系統あり、ひとつは現在の鳥類へ、もうひとつは始祖鳥になりました。始祖鳥の系統は、残念ながら子孫の化石が見つからないことから、絶滅してしまったと考えられています。
 以上の話は、あくまでも現状ではという但し書きがつきます。学説は、研究者がその時点まで手にした証拠によって考えた最良のものです。しかし、それは、あくまでもその時点での証拠に基づいたものです。新しい化石が発見されたら、状況は変わることは大いにあります。たった一つの化石の発見が、それまでの説に大きな変更を迫ることもあります。
 これからの大発見に、期待したいものです。これこそ科学の醍醐味でもあるのですから。

・科学の進歩・
恐竜から鳥のシリーズはとりあえず
今回で、いったん終了とします。
恐竜の発掘は、現在も世界各地で続けられています。
特に中国やモンゴルでは、新しい発見が続いています。
そんな発見の中で、今までの学説を覆すものも
出てくるかもしれません。
そんな発見は、現在の説を唱えいている人には
心穏やかではないかもしれませんが、
それも、学問の進歩の一形態ですから歓迎すべきでしょう。

・足摺行・
先日、愛媛から半時計周りに
足摺岬を一周し、四万十川を経由してもどってきました。
4日間をかけて巡りました。
ただ走るだけなら、2日ほどで
走破できる距離かもしれません。
でも、ここぞともうところを
じっくり見ることが私の目的です。
地層をみて、いろいろ思うところがありました。
まあ、それは別の機会にしましょう。

・山派・
ところで、山派と海派に分けるとすると
私は、山派です。
海沿いの景色は、私にはまぶしすぎます。
それに比べて川沿いは川面を渡る風は涼しく、
暑くとも木陰が涼をもたらしてくれます。
四万十川沿いを走って非常に心地よい思いをしました。
自宅から1時間足らずでそんな環境があります。
これから、時々出かけましょう。

2010年5月13日木曜日

2_84 ダイノバード:恐竜から鳥へ3

(2010.05.13)
 古生物学は、まず化石の発見から研究がスタートします。たくさんの化石がみつかれば、いろいろなことが分かってきます。ところがダイノバードという生物は、化石も見つかっていないのに提唱されたことがありました。それは、ミッシング・リンクですが、架空の化石でした。

 鳥類とは、そもそもどのような特徴をもっている動物をいうのでしょうか。私たちがよく知っている鳥(分類学上は鳥綱になります)の特徴は、羽毛に覆われ、羽があり、卵を産み、恒温性で、歯がなくくちばしをもち、声を出すというところでしょうか。これらは、分類学上も重要な特徴です。
 でも、このような特徴は鳥類だけのものでしょうか。前回までで紹介したように、羽毛をもち、羽を持つ恐竜の化石は見つかっています。もちろん恐竜は卵を産むことは化石からもわかっています。また、くちばしは、恐竜の獣脚類(オルニトミムス、オヴィラプトルなど)でも、鳥盤類(カモノハシ竜、角竜など)の多くが、持っていたことが分かっています。
 ただ、恒温性については、まだ決着をみていません。なぜなら、恒温性は化石から判別できないからです。しかし、根拠となりそうな重要な証拠があります。アメリカの古生物学者オストロム(John H. Ostrom)が、1964年にディノニクス(Deinonychus)という恐竜の化石を発見しました。そのディノニクスが、重要な証拠になっています。
 ディノニクスは、体長が2mから4mほどで、2足歩行をする恐竜でした。その特徴は、大きく鋭い鉤爪、そして大きな脳を持っていることでした。前肢もよく動くことが化石からわかり、鋭い鉤爪は狩をする肉食獣の特徴です。脳が大きいことから知能が高かったと考えられます。さらに、ディノニクスの化石は、いくつもの個体が集まってみつかることから、群れで暮らし、狩も共同でしていたと考えられました。
 このような活発な行動をする動物は、恒温性がなければならないとして、オストロムやその弟子のバッカー(Robert T. Bakker)は、恐竜の恒温説を唱えました。
 まだ、恐竜の恒温性を持っていたかどうかは不明ですが、科学者によっては恒温説を唱える人もいるわけです。
 以上見てきたように、個々の特徴を比べていくと、恐竜と鳥はよく似ていることがわかります。
 鳥類が恐竜の類似性は、古くから知れていました。ダーウィンの進化論に賛同し急進的に広めようとしたことで有名なハクスリーは、恐竜から鳥が進化したとすでに主張していました。
 しかし、当時知られていた恐竜の化石には鎖骨がなく、鳥類にはあることが問題でした。解剖学的には、恐竜から鳥類が進化したと考えるには、無理があるということになります。その問題を解決するために、恐竜と鳥類の共通の祖先(古生代末に誕生した槽歯類)から進化したという説(ダイノバード、dinobird)、あるいは鳥類のほうが先に誕生して恐竜があとから進化してきたという説(BCF仮説、Birds came first hypothesis)などが提唱されました。
 しかし、これらのダイノバード説は現在では否定されています。その証拠を見つけたのも、やはりオストロムでした。それは次回にしましょう。

・調査・
こちらに来てやっとまとまった調査に
出ることになりました。
高知県の西部を調査しています。
3泊4日で見て回っています。
北海道からすると、近いので、車ですぐにいけます。
天気を見ながら、晴れが続きそうなときに
宿を予約してさっといけます。
これが近場のメリットです。

・母の日・
皆さんは先週末の母の日になにかしましたか。
私は、電話をしただけでした。
電話をしたら、法事で、親戚にいっているときで、
何人もの人に電話で話をすることになりました。
知っている人ばかりなのですが、
懐かしい人の声も聞けました。
弟も一緒に法事にいっていたのですが、
母とその姉妹の親戚とたくさん話しました。
これも親孝行なのでしょうかね。

2010年5月5日水曜日

2_83 羽毛恐竜:恐竜から鳥へ2

 始祖鳥をめぐっては、議論が二転三転しています。鳥類の祖先であるなしをめぐって長年議論されています。それは、化石の保存の良さによるものです。ゾルンホーフェン以外からも保存のよい化石が見つかるようになり、鳥の起源については、いろいろ情報が加わるようになりました。


 始祖鳥の化石は、1855年に発見され、1861年に記載され科学者たちが知るところになりました。19世紀中ごろといえば、科学の歴史に少しでも詳しい人なら、ダーウィンの「種の起源」の出版された時期と思うでしょう。「種の起源」の初版がでたのは、1859年11月24日でした。
 ダーウィンは始祖鳥化石の発見のニュースは聞いていたかもしれませんが、出版の時期にあたります。科学的な記載がなされていなかったのか、それともこのニュースをしらなかったのかわかりませんが、ダーウィンは初版の中では、始祖鳥についてはふれていません。しかし後の版では、爬虫類と鳥類を繋ぐ発見として評価したしたそうです(手元には初版の日本語訳しかないので確認してません)。
 では、始祖鳥が、恐竜と鳥類のミッシング・リンクとなるのでしょうか。それが、なかなか一筋縄ではいかないところなのです。
 まず、始祖鳥は、鳥類より恐竜の獣脚類(恐竜の2大グループ竜盤目のひとつ)に似ている特長がいくつもりました。ただ、決定的な違いもありました。それは、恐竜にはない羽と叉骨(胸骨を固定しているしている骨)の存在でした。ところが、当時の恐竜の化石がまだたくさんの種類が発見されていなかったため、恐竜の多様性が充分おさえられておらず、始祖鳥と恐竜の違いが強調され、現在の鳥類の祖先ではないとされたこともあります。
 恐竜の多様性が分かるにつれて、恐竜にも上で述べたような鳥類がもつような特徴のある化石が見つかってきました。
 アメリカ合衆国のテキサス州で始祖鳥より7500万年も古い(三畳紀の2億2500万年前ころ)「プロトエイビス」という化石が、1986年に発見されました。この化石は、骨が中空であること、竜骨突起というものがついた胸骨をもつことなど、現在の鳥に似ていました。しかし、現在の鳥類の祖先ではなさそうです。
 また、1996年、中国遼寧省からシノサウロプテリックスという羽毛も持った恐竜が見つかりました。羽毛恐竜の発見です。ただし、この化石は白亜紀前期(1億2000万年前ころ)のもので、始祖鳥よりずっと新しい時代でした。実はこれはかなり深刻な問題で、祖先ともいうべきタイプが、時代が新しいのです。これは、非常の矛盾したことになります。
 しかし、2009年に、中国東北部にあるジュラ紀後期(1億6100万年~1億5100万年前)の地層から、トロオドンという肉食恐竜の仲間で、羽毛を持った恐竜が見つかりました。これで、やっと始祖鳥より古い時代に、恐竜の仲間に羽毛をもったものがいたことになりました。
 恐竜の多様性は大きく、その中には現在の鳥の特徴をもった種類が何度か出現していたようです。その多様性が起こりだしたのは、ジュラ紀中期ころからではなかいかと考えられています。
 では、始祖鳥と現在の鳥との関係は、またそもそも鳥類といったいどのような特徴をもったものをいい、いつのどの系統から生まれたのでしょうか。それは次としましょう。

・種の起源・
ダーウィンの「種の起源」は正式には、
"On the Origin of Species by Means of Natural Selection,
or the Preservation of Favoured Races in the Struggle for Life"
という長いタイトルの本です。
現在では
「自然選択、もしくは生存競争における適者生存による種の起源」
とでも訳すのでしょうか。
当時の本は、通常このように長いタイトルが付けられています。
また、本の中の章立ても長いもので
文章となっていることもあります。
私は、渡辺政隆訳の光文社古典新訳文庫『種の起源』(上下)
を手元においています。
実は、始祖鳥の記載が種の起源にないが
さんざん探したのですが、
初版なのでないことが、あとで判明しました。

・運動・
長いゴールデンウィーク、
皆さんはどのように過ごされたでしょうか。
私は、地域の祭に2日、
1日は近所の子供と化石採りに出かけました。
あとは、おとなしく仕事をしていました。
運動もしっかりやっています。
執務室まで、片道1.5kmほどあるのですが、
歩いて通っています。
また、夕方は、温泉プールがあるのですが、
そこの年会員になっています。
毎日夕方ひと泳ぎして、
シャワーもしくは温泉にはいって
帰るようようにしています。
来週から天候を見ながら調査をはじめようかと思っています。
論文を書くことも重要な仕事なので、
抜かりなく進めていきたいと思っています。