2025年7月22日火曜日

1_237 冥王代の岩石 2:最古と最初

 最古の年代になる岩石が見つかったという報告は、年代の更新だけでなく、冥王代の岩石であったことも重要ですが、「最古」と「最初」の違いも意識していく必要があります。その意味を詳しく見ていきましょう。


 「最古の岩石」は「最初にできた岩石」とは違うものです。「最古の岩石」より、さらに古いものが見つかれば、「最古」は更新されていきます。「最古」という意味は、常に「現在のところ『最古』の年代をもっている」ということになります。
 これまで知られていた最古の年代は、カナダのアカスタ地域の火成岩類の40億3000万年前のものでした。この岩石は変成作用を受けていましたが、火成作用の年代(マグマが固化した時代)が求められました。
 前回紹介したように岩石の成因から探っていくと、「地球最初の岩石」は、火成岩にたどり着くと考えられます。これまで、見つかっている最古の岩石の年代は、火成岩のものでした。ですから、最古の岩石が火成岩となっているのは、たまたまなのかもしれません。もしかすると、「もっと古い」堆積岩や変成岩が見つかるかもしれません。
 太古代と冥王代の時代境界は、最古岩石の年代によって決められるので、アカスタの岩石の年代が採用されています。今後も、古い年代の岩石が見つかれば、この時代境界は変更される可能性があります。
 2025年の6月26日のアメリカの科学雑誌Scienceに、Soleらの共同研究で、
Evidence for Hadean mafic intrusions in the Nuvvuagittuq Greenstone Belt, Canada
(カナダ、ヌヴァギットゥク緑色岩帯内の冥王代の苦鉄質貫入岩の証拠)
という論文が発表されました。
 この論文では、岩石の年代として41億5700万と41億9600万年前という値が報告されました。この年代が正しければ、冥王代に形成された岩石となります。冥王代と太古代の時代境界の年代が、40億3000万年前されていました。もしこの岩石の年代値が承認されれば、時代境界が41億9600万年前となり、太古代のはじまりが、1億6600万年ほど遡ることになります。
 しかし、この岩石の年代を求めるのはなかなか困難で、何度もチャレンジされてきました。これまでえられた年代は、もっと新しい時代のものばかりで、その信憑性も不確かでした。今回、やっと信頼できそうな年代値がえられという報告でした。まだ、多くの研究者が承認しているわけではありませんが、かなり信頼性は上がってきています。

・暑さが戻る・
北国では、一時期、暑い日々が続いたのですが、
最近は比較的涼しい日々が続いています。
週末は雨で、より涼しくなり
心地よい日が続きました。
夜も窓を閉めて寝るほどで
連日、熟睡できたため
体調も良くなってきました。
しかし、週明けからは、暑さが戻ってきました。

・パソコン破損・
先週末、突然、メインのパソコンが破損しました。
電源を何度入れ直しても
うんともすんとも反応しません。
2日間、あれこれやってみたのですが、
反応なしでした。
諦めることにしました。
前日の朝に保存していたデータはあったので、
3時間分のほどのデータが消えました。
対処しながらノートパソコンに切り替え
忘れないうちに、文章を復元しました。
このエッセイもそのひとつです。
重要な投稿論文も大丈夫でした。
PCの破損はあまりないのですが、
長く使用していると、時々起こります。
今回で3度目となります。
やはりバックアップが重要ですね。