2023年2月16日木曜日

4_171 火星のマントルプルーム 3:エリシウム平原

 火星のエリシウム平原はオリンパス山の近くにあります。何度も探査がおこなわれている地域です。エリシウム平原で活発な活動を示す新しい証拠が見つかりました。それはどのような意味があるのでしょうか。


 前回、火星の火山に関する疑問として、巨大な火山と最近までの活動を示しました。それに関係するような、火星内部の新しい成果を紹介していきます。2022年末、ブロクエ(A. Broquet)とアンドリュー・ハンナ(J. C. Andrews-Hanna)さんの共著で、
Geophysical evidence for an active mantle plume underneath Elysium Planitia on Mars
(火星のエリシウム平原の下にある活発なマントルプルームの地球物理学的証拠)
というタイトルの論文が、科学雑誌Nature Astronomyに掲載されました。
 前回は、オリンパス山を取り上げたのですが、論文の対象としている地域は、火星の北半球のエリシウム平原です。オリンポス山の西側に位置しています。火星の北半球には、低地が広がっているのですが、エリシウム平原では、地表が隆起しているところになります。北半球の中でも標高が高い地域にあたります。
 2012年に火星探査機キュリオシティが着陸し、2018年11月には探査機インサイトが着陸しています。エリシウム平原は、よく探査されているところになります。
 エリシウム平原では、長く火山活動が続いていたと考えられています。アンドリュー・ハンナさんは、別の研究グループで、5万3000年前に小規模ですが火山噴火が起こったと報告しています。非常に最近まで火山活動があった地域となります。
 また、インサイトに搭載されていた地震計が、火星での地震を観測しています。地震のほぼすべてが、ケルベロス地溝帯で発生していることがわかりました。ケルベロス地溝帯は、エリシウム平原の中にある1300kmに渡る割れ目の集まっているものです。このような割れ目が、現在活動しているのかもしれません。これが最近まで活動していることと繋がります。
 もしかすると、深部にはマグマの活動、あるいはマントルなどの運動が継続しているのかもしれません。火星は活動を終えた冷めた天体と考えられていたのですが、内部にはまだ熱が残っているのかもしれません。火山活動が起こっていることを明らかにすることは、火星の現状を明らかにする上で重要な意義があります。
 大きな地球と比べても、火星の火山は、非常に巨大なものになっています。この謎をどう解明するのかは、次回としましょう。

・三寒四温・
北海道は寒さも和らぐ日が訪れるようになりました。
いわゆる三寒四温というものです。
春が近づくと、3日ほど寒い日があり
4日ほど温かい日になるという
1週間周期の繰り返しが起こることです。
これは、高気圧と低気圧が交互に
日本列島の南岸を通り過ぎることで起こります。
最近は南岸低気圧と呼ばれ
関東平野に雪を降らす天気もこの影響です。

・事前準備・
大学は、一般入試が終わり、
後期の採点評価が終わったばかりです。
次は、卒業と新学期に向けての
準備に入りつつあります。
在学生の現2年生と3年生では
教職をとっている人は
教育実習への事前準備がはじまります。
集中講義になるので
学生も教員も大変な労力をかけていきます。
しかし、これを乗り越えないと
教員への道は拓けません。
努力していくしかないですね。