2022年2月10日木曜日

2_200 全球凍結と生物進化 1:スノーボールアースとは

 過去に全球凍結(スノーボールアース)が起こったと考えられています。全球凍結と生物の進化に関する研究が報告されました。その報告から、両者の関係を紹介していきましょう。


 スノーボールアースという言葉をご存知でしょうか。スノーボールは雪玉です。アースは地球なので、「雪玉のような地球」となります。これは、地球表層の水がすべて凍ってしまい、雪や氷になってしまった状態であるという仮説になります。
 陸地に雪として降ったものもあるでしょうが、雪も時間が経てば圧縮され氷になります。地球の水の大半は海にあるので、海も全面が凍ったことになります。私たちがよく知っている第四紀に何度か襲った氷河期も、海全面が凍ることはありませんでした。ですから、スノーボールアースとは、氷河期とは比べものにならないほどの寒冷な状態を意味します。
 そんな状態は地球では起きないと考えられてきました。なぜなら、地球は惑星の公転軌道がハビタブルゾーンにあることと、全球凍結が安定状態であることからです。ハビタブルゾーンとは、惑星の表面に水が存在できる惑星軌道をもっているということです。全球凍結とは、惑星表層の水がすべてになることです。
 両者は矛盾しているように見えます。少し説明が必要でしょう。
 惑星の表層の気温などの条件は、地表の状態や雲の存在が重要になります。地表の状態として反射能(アルベド)という考え方が、もっとも重要になります。現在の地球では、太陽光は地面や海を温めています。もし惑星の表層が氷で覆われたとすると、アルベドが高くなり、太陽光は反射され大地を温めるエネルギーになりません。現在は3割程度を反射しますが、一旦全球凍結の状態になると、8割が反射されると考えられます。つまり、地球表層を温めるために利用されないことになります。
 雲は、水蒸気として上昇した水が、大気中で凍ったものです。雲が多くなると太陽光は7割が反射されますが、地表からの熱は保持します。寒冷化が進むと、雲も雪となりやがてはできなくなり、全球凍結へ一気に進みます。全球凍結になってしまうと、アルベドが大きいままなので、冷たい状態が維持されることになります。
 全球凍結は、地球としては安定した状態でもあります。ですから一旦全球凍結の状態になってしますと、海のある状態に戻れないことになります。この理論を受け入れることにします。次に、地球の地質学的証拠をみていきましょう。地球には38億年前以降、各地でいろいろな時代で、海でたまった堆積岩が、存在しています。当然、現在も海があります。
 理論と地質学的証拠を合わせると、全球凍結の状態にはなったことがないと考えられます。
 これがかつての定説でした。しかし、今では定説は壊れ、全球凍結があったと考えられています。

・論文・
今回紹介する論文は、Global and Planetary Changeという雑誌に
静谷あてな、海保邦夫、Jinnan Tongさんの共同で
Marine biomass changes during and after
the Neoproterozoic Marinoan global glaciation
(原生代のマリノアン全球氷期間と後の海洋生物量の変化)
として報告されました。

・一般入試・
国公立の大学入試はこれからですが、
我が大学の一般入試が終わりました。
3月にも私立大学では入試がありますが。
私立大学では、いろいろな入学チャンスを用意しています。
これまで入学してきた学生の多い地域での受験や
大学共通テストを利用した試験、
各種の推薦入試などなど。
大学に入りたい人は、
いろいろな方式で入学できることになります。