アイソクロンでえられた年代が、火成岩の形成時のものだというためには、いくつかの課題をクリアしなければなりません。この論文では、いくつかはクリアしていますが、クリアできない課題もありました。
前回、アイソクロン年代の意味を説明して、論文での精度がはっきりしないということまで紹介しました。もう少し詳しく説明して、その課題をみていきましょう。
アイソクロンを引くためには、同時に形成された「もの」で、なおかつ放射性核種の147Smの量が異なっているもの(岩石や鉱物)が必要です。ここで「もの」とは、岩石や鉱物のことになります。147Smの量は、岩石や鉱物の組成を反映して変化していきます。そのため、一連のマグマから形成された「と考えられる」組成の異なった岩石・鉱物を選んで、147Smの量を測定していきます。その結果、147Smの量が異なっていれば、「直線状に並ぶはず」で、時間とともに直線の傾斜が大きくなります。
この「と考えられる」と「直線状に並ぶはず」とが問題となります。それらの確証がない限り、求めた年代が岩石の形成されたもの(初成年代)だということができません。
まず、同じ起源であることを示す必要があります。なぜなら、放射性核種がマグマの中で一様になってから、固化(岩石や鉱物になる)してから、崩壊が進むという条件が必要です。岩石の放射性核種の量が一定(直線状)になってから、崩壊がストップウオッチを押したように、同時にスタートする必要があるからです。
今回の論文では、組成の変化をえるために、離れた地域の岩石を用いています。そのような状態の試料で、同じ起源であるという前提を置くのは危険です。一連のマグマからできたということが確実なのは、連続した露頭で、組成変化していることが確認できる場合です。
今回の試料の多くは、数100mから数kmの範囲で、一連に見える岩石です。しかし、もともと海洋地殻だった古い時代の地質体が、陸地に上がっているものでは、一連に見えても、見えない断層(衝上断層やスラストと呼ばれます)が多数存在してことが知られています。そのため、一連のマグマであったという確証がえられません。
また、岩石ごとに、形成後に異なった変成作用や変質作用を受けると、147Smの量の違いが、本当にマグマ由来(初成)かどうかが、はっきりしなくなります。一番の問題は、ある時期、147Smを含んだ成分が、変成作用などで水に含まれていたり、別の岩石から由来する可能性です。このような可能性を論文では「同位体混合」と呼んで検討しています。
同位体混合では、混合する成分がわかれば、その混合状態(グラフ上で曲線が描ける)が推定できます。論文ではそのチェックはしており、いくつもの条件で検討してみて、可能性が少ないとしています。
ですから、課題として残るのは、一連のマグマからできたかどうかです。これは岩石で検討している限り解決できそうもありません。その課題の詳細については、次回としましょう。
・長男の帰省・
先週、1週間ほど、長男が帰省していました。
昨年もこの時期に帰省していました。
その理由は、野外フェスにいくためです。
今年は、1日分しかチケットを取れなかったようですが
幸い、雨にも降られず、見ることができたようです。
連日、ひとりであちこち出歩いていたり
夜も知人の飲みにいったりしていました。
それでも、家族では2回ほど
夕食をともにしました。
一年に一度の面会で、団欒を楽しみました。
・夏が終わりつつある・
北海道の小・中学校は、
来週で夏休みが終わり、学校がはじまります。
昼間は、その日の天気により
暑かったり、蒸したりすることがありますが、
夜は涼しく、窓を閉めて寝れるようになりました。
朝も涼しく、上着をはおるようになりました。
研究室は、午後には西日が当たり暑くなるので
午後には早帰りもしていましたが、
これからは、通常に戻れますかね。