2024年5月9日木曜日

1 _217 月の形成 6:イルメナイト

 定期通信で1回間が空いたのですが、「月の形成」のシリーズの再開です。マントル・オーバーターンがおこったということは前回示しましたが、その詳細を紹介していきましょう。


 月では大規模な溶融を起こしたことは、いろいろ証拠から明らかになってきました。その熱源として、かつては重力エネルギーの開放が考えられました。そのときの事件として、マントル・オーバーターンが起こった考えられたことがありました。証拠がなくて、あまり話題にならなかったのですが、今回紹介している論文で、その可能性が再訴指摘されました。
 天体の中心に金属鉄の核があり、その外側にマントルがあるのですが、そこで少し粘性が小さいところがありました。粘性が小さいということは、一部融けている可能性があります。
 融けている部分には、イルメナイト(ilmenite、チタン鉄鉱)と呼ばれるチタンと鉄の酸化物(FeTiO3)と考えました。ただし、実際にその部分がイルメナイトであることが、確認されているわけではありません。
 なぜイルメナイトだと推定されるのでしょうか。それは、月の内部構造をいろいろと想定して、密度や熱力学的シミュレーションから、どのモデルが一番観測に合うかをチェックしていきます。すると、低粘性のところには、イルメナイトが多く含まれているというモデルだけが合うことがわかりました。
 そのイルメナイトは、どのように形成されたのでしょうか。月の地殻には、火成作用による結晶分化で、鉄やチタンの多い鉱物が含まれていきます。一方、マントルは、マグマが抜けたカンラン岩や、もともとのマントルを構成していたカンラン岩からできています。
 カンラン岩は、マグネシウムが多い岩石があります。元素としてマグネシウムは、鉄やチタンより密度が小さくなります。マグネシウムの多いマントルは密度が小さく、鉄やチタンが多い地殻は密度が大きくなます。イルメナイトが多く集まったところは、特に密度が大きくなります。
 イルメナイトの多いところが、マントルの下部にあるということは、地殻にあったものが、入れ替わったと考えられます。これがマントル・オーバーターンの傍証となります。
 以上が、論文の内容ですが、イルメナイトが低粘性の部分に相当するという必然性がありません。物理的観測に合うモデルとしてイルメナイトを選定していますが、低粘性は部分溶融でもいいし、起源物質の組成変化、物理的条件(温度、圧力、密度など)の違い、溶融によってマグマポケットの形成など、非常の多様なものが想定可能です。多様な可能性があり、他にも説明できるものが出てくるかもしれません。岩石を研究していると、マグマの分別結晶作用によってイルメナイトはできますが、その量は少なく集めることは困難だと思えます。可能性としてはあるでしょうが、今後の検討も必要でしょう。

・植物園へ・
ゴールデンウィークの後半の祝日に
家内と一緒に植物園にいきました。
数年前にいったはのですが、
コロナ禍以降、久しぶりに訪れました。
サクラは終わっていたのですが、
新緑と春の花の季節がはじまっていました。
緑と花に囲まれて、リフレッシュできました。
訪れている人も多かったのですが
広大なので、人の多さを気にせずに
落ち着いて見て回ることができました。

・レストランへ・
札幌は、海外からの観光客は多く、
駅周辺のレストランは、
食事時には、どこでも行列ができています。
家内と植物園に行く前に
昼食を摂る予定をしていました。
あらかじめ店を決めて、
開店直前にいきました。
他のレストランは、どこでも
外国人観光客が行列をしていましたが、
SNSの情報からもれていたためでしょうか、
なぜがその店だけは、だれも並んでいませんでした。
幸い、最初に入店できて
ゆっくりと食べることができました。
美味しかったです。