2024年4月4日木曜日

4_182 駒ケ岳:流山と景観

 今回は、昨年11月に訪れた駒ケ岳と大沼の紹介です。激しい火山活動が、現在のきれいな景観をつくりました。今後の「地球地学紀行」のシリーズについても考えました。


 COVID-19のため、2020年度は野外調査に出かけれられず、2021年度から2022年度にかけても、影響はまだあり北海道中心の野外調査となっていました。北海道は広いのですが、なんとなく似たルートでの野外調査が多くなりました。地質学的興味は尽きませんので、何度でも同じ地域にでかけていきます。それでいいと思っています。
 昨年11月中旬に野外調査にでかけた道南の紹介をします。道南には、毎年のように訪れていますが、今回は駒ケ岳と大沼周辺に出かけました。
 駒ケ岳の山頂部は、馬蹄形に削られたような特徴的な形をしています。もともとは、このような形の山頂ではありませんでした。駒ケ岳は、10万年前から活動しており、4万年前には、きれいな円錐形の成層火山(富士山のような形)をしていました。4万年前にいったん活動を停止したのですが、6800年前に活動を再開しました。何度も噴火を繰り返しながら、やがて活動は収まってきました。
 1640年に、再度、激しい活動をはじめました。この活動で山体崩壊が起こり、もともと1700mの標高があったものが、600mほど低くなって、崩れた山の形になりました。山体崩壊で、大きな岩塊が一緒に崩れました。そのような岩塊が斜面に残った流山地形ができました。1640年の噴火で流れ出た溶岩が、河川をせき止め、大沼ができました。大沼の中にある島々は山体崩壊の岩塊です。
 1929年と1942年に中規模の噴火がありましたが、不規則に小規模な活動を繰り返してきています。駒ケ岳では、時々火山性地震が発生するのですが、火山活動はあまり起こっていませんでした。2000年の小規模な水蒸気爆発があったのですが、その後は穏やかになっています。
 ところが、2023年12月以降、火山性地震が発生しています。3月23日には火山性微動や傾斜変動が起こりましたが、まだ大きな噴火の兆候はなさそうです。噴火警戒レベルは1(活火山であることを留意)のままです。
 激しい噴火で山体崩壊が起こした岩塊や溶岩が、大沼の景観をつくりました。火山活動による地形が駒ケ岳や大沼の観光地となりました。また周辺には温泉もあります。しかし、駒ケ岳は、活火山であることは忘れてはいけません。

【定期的配信】
 月刊メールマガジン「GeoEssay 大地を眺める」というエッセイを、先月で休刊としました。GeoEssayは、露頭写真や地形図、地質図、地形解析図、衛星画像など用いて、その地域の地質を文章で紹介していくものでした。そのため、ホームページで、エッセイ(文章)とともの多くの画像も公開していました。
 GeoEssayを休刊にした代替として、このEarthEssayで、月に一度(月初の号)は、「地球地学紀行」のシリーズを配信していこうと考えています。
 GeoEssayを休刊にしたのは、今年度で定年退職するためです。研究のために大学のコンピュータ室に設置しているサーバで「GeoEssay」を公開しているたのですが、退職で停止しなければなりません。この1年でサーバによる教育活動も、順次停止していく予定をしています。
 このEarthEssayはテキストだけなので、退職後も継続していきます。サーバは使いませんが、メールマガジンとブロクでの公開としていくことになります。

・Last Year・
2024年度がはじまりました。
今年は自分にとってはLast Yearとなるため、
すべての行事、講義が最後となっていきます。
二度とできないものが続いてきます。
実際におこなわれている教育は、
受講する学生にとっては
各出会い、講義が一期一会となります。
ですから、いつであっても、手抜きはできません。
そうはいっても、最後となると・・・

・入学式・
大学の入学式は、街の大きな会場を借りて実施されます。
新入生と保護者が一同に入れるサイズの会場が
大学にはないためです。
多くの大学では、入学式や卒業式は
全員が一度に入れる会場はもっていません。
大きな会場を借りて実施しています。
小中高校では、自前の施設で実施しているのですが、
大学は貸会場となることが多いようです。
全学生が集まるという需要が
ほとんどないためでしょう。
大学の自前のホールで実施しているところもあります。
我が大学も、学位記授与式は学部学科ごとに分けて
学内のホールで実施しています。
十分、セレモニーとして成立しています。