2023年12月21日木曜日

2_216 生命誕生の条件 11:2つの疑問

 今回のシリーズは、これまでにない長いものとなっています。現在、取り組んでいる研究論文の主要テーマになっているので、ついつい力が入っているようです。


 このシリーズも長くなったので、これまで述べてきた、地球形成や生命誕生の条件もおさらいしておきましょう。そして地球形成と生命誕生で、それぞれで大きな疑問があるので、それもまとめておきましょう。
 地球は、揮発成分を持たない材料(Eコンドライト)から形成されました。地球ができたときは、ドライで裸の状態でした。また、小天体の集積して合体して、原始地球になっていきます。衝突のエネルギーで、表層の岩石が溶けて、マグマオーシャンができました。マグマオーシャンが、地球最初の海といえるかもしれません。小天体の衝突がおさまっていくると、エネルギー供給も終わり、地球の表層が冷えてきて最初の地殻ができます。
 45.2 億~ 44.4 億年前には、大きな原始惑星が地球に衝突するジャイアント・インパクトが起こり、その結果、月が形成されました。いったん形成された表層の岩石は、地殻からマントル(もしくは地球の核)までが、すべて破壊され、リセットされます。月の形成は短期間に終わり、再度地球にも月にもマグマオーシャンができます。地球表層が冷めていき、また地殻ができます。この時にできる地殻は、月と同じような斜長岩や玄武岩からなる岩石だったと考えられます。
 ジャイアント・インパクトのように大きな天体ではないですが、小天体が多数衝突する後期重爆撃が、43.7~42.0億年前にかけて起こります。この時また地殻は破壊されていくのですが、かろうじて地殻の破片は砕屑性ジルコンとして残されています。しかし、岩石が残されていないことから、激し爆撃で岩石が鉱物までバラバラにされてしまったようです。
 後期重爆撃をした天体は、小惑星帯や外側かわ来たため、水や揮発成分が多く含んでいました。その結果、地球に水と大気がもたらされました。そして、ハビタブルトリニティが整いました。やっと生物の合成過程がスタートし、1億年ほどの短期間で生物が誕生します。
 地球のはじまりは、激しい事件が、何度も起こったことがわかってきました。そんな激しさをくぐり抜けて、ジルコンの破片が残りました。穏やかな環境になったら、すぐに生物の合成がはじまります。このような生命誕生のシナリオは、条件さえ整えは必然的に起こるような現象に思えます。ここに大きな疑問が2つ生じます。
 最初の疑問は、地球初期の2度めの地殻(月の形成後)のうち、砕屑性ジルコンが残っているのに、なぜ岩石が残っていないのか。これが不思議です。砕屑性ですから、後にできた堆積岩(35億年前)の中の鉱物粒子として入っています。その堆積岩ができた時代には、もととのなるジルコンを含んだ岩石があったはずです。あるいは、岩石はすでになくなっていたのですが、砕屑性ジルコンを多く含んだ別の堆積岩があり、その堆積岩から再度、砕屑され、運搬されて新しい堆積岩に入り込んだのかもしれません。しかしこの由来は、可能性は低くなりそうです。
 次に、水や大気が存在しハビタブルトリニティが整わないと、化学進化がスタートしません。そうなると、後期重爆撃が落ち着く42億年前に、やっと環境が整います。ところが、41億年前には生命の痕跡が見つかっています。条件が整えば、短期間にすぐに生命が誕生するということになりそうです。化学合成の条件の多様さ、プロセスの複雑さを考えると、非常に多くの試行錯誤が必要だったはずです。なのに想定されている期間は、あまりに短いものです。
 この2つの疑問を、どう解決すればいいのでしょうか。

・寒波・
先週末から、毎日のように所用があり
夕方に出歩いています。
ちょうど寒波がきていました。
所用で何度も、寒い外と温かい中を
出たり入ったりするので
体が変調をきたしています。
少々、風邪気味になってきました。
年末年始は無理をしないようにしましょう。

・年末まで・
今週は非常に私用や校務があり
忙しい日々を過ごしています。
しかし、来週で、大学の講義が終わります。
週初めには、担当の講義がない日なので
今週で実質的な講義は終わりです。
しかし、学生が残った作業を進めに来ます。
まあ、月末まで毎日大学には来ていますので
対応は問題ないのですが。